Strawberry Film

橋本健太

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第44話 楽園の終焉

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 2008年になり、薫は東南アジアでの大冒険を回顧していた。ベトナムとインドネシアでは、14th2007AFCアジアカップ ベトナム・タイ・マレーシア・インドネシアで日本代表の試合を観戦、タイとカンボジアでは、南国の光と影を撮影、ミャンマーでは、反政府デモの渦中に入って撮影、と波乱万丈であった。タイ・カンボジア・ミャンマーでの撮影で、薫はジャーナリズムについて考えるようになった。テレビや雑誌で報道しきれない真実や楽園の裏側などを、時に命がけで撮影して伝える、その覚悟が自分にあるのか、と。ミャンマーの2007反政府デモで、日本人ジャーナリスト長井健司が射殺された事件を知り、半端な覚悟でジャーナリストの世界に踏み込んではいけない、と痛感した。

 ジャーナリストという生き方も考え始めた。雑誌の「いちご🖤みるく」「シュークリーム」も売上げが低迷。Seventeen・Popteen・小悪魔agehaの後塵を拝し、赤字が続いている。
「ジャーナリスト、それもありやけんね。」
「せやけど、長井健司さんの件があったように、命懸けの仕事やと思うねん。半端な覚悟では出来ひん。中途半端な覚悟で突っ込んだらアカン、って言う葛藤もあるんよ。」
グラビアカメラマンとして、女子中高生の制服や水着姿を撮影した日々は、本当に甘い楽園のようで、一種のシャングリラであった。海外での撮影では、これまで韓国・中国・香港・ベトナム・タイ・ミャンマー・カンボジア・インドネシアに行った。2月のある日、薫は海外での撮影経験についてまとめた。

韓国・・・17th2002FIFAW杯日韓大会の撮影。決勝トーナメントから乗り込み、韓国のアジア初ベスト4という快進撃を目の当たりにした。

中国・・・13th2004AFCアジアカップ 中国と上海・広州の芸能事務所と提携して撮影。上海・広州のグラビアアイドルと、薫が推薦した女の子達と共同撮影。重慶・済南・北京で反日ムードの中、アジアカップを撮影。日本の大会連覇の瞬間を収めた。

香港・・・アジアカップと並行して、グラビアの撮影。現地のグラビアアイドルと共同撮影。2005年にStrawberry Filmの撮影で赴き、現地の雰囲気を含めて撮影した。

ベトナム・・・2005年にStrawberry Filmの撮影で赴き、首都ハノイと田園地帯のディエンビエンフーでグラビア撮影。14th2007AFCアジアカップ ベトナム・タイ・マレーシア・インドネシアの撮影。ベトナムで日本代表の試合を観戦。

タイ・・・2005年にStrawberry Filmの撮影でバンコクとプーケットに赴く。2007年に南国の光と影を収めた。

ミャンマー・・・2007年に南国の光と影と言うテーマで赴く。反政府抗議活動の渦中に突っ込み、ジャーナリズムについて考える。

カンボジア・・・2007年に南国の光と影と言うテーマで赴く。内戦を乗り越え、経済発展した光と、地雷原が残っている影の部分を収めた。

インドネシア・・・14th2007AFCアジアカップ ベトナム・タイ・マレーシア・インドネシアの撮影で赴く。3位決定戦で敗れ、失意のまま帰国。

2002~2007年にかけて、アジアの8つの国と地域を訪れて撮影した。それぞれの現地での出会いも、楽しめるものであった。韓国では、W杯の熱狂や現地の女子とも意気投合。中国・香港では、現地のグラビアアイドルと共演。それらは楽しめたが、タイ・カンボジア・ミャンマーでは、社会の闇の部分を目撃。ジャーナリズムを知った。これから、自分がどういう道に行くべきか、それを真剣に考えるようになった。

 2月のある日、里沙と沙羅から3月でグラビアアイドルを卒業する、と言うことを告げられた。
「卒業?!」
薫は驚きが隠せなかった。2002年に当時17歳の2人と出会い、二人三脚に近い形で共に歩んで来た戦友でもあるからだ。
「私は、小説家になります。」
里沙は文学賞で当選し、出版社に就職。沙羅はテレビ関係の仕事に就く。2人の夢を応援したい気持ちもあるが、薫は少し複雑であった。
(ジュニアアイドルって、年齢制限あるからな…。)
2人の卒業グラビアの撮影を考える。撮影地は京都。

 迎えた撮影日当日、2人と共演出来るのも最後になる。里沙と沙羅は浴衣に着替え、撮影する。祇園の街並みに合わせて撮影。
「ええよ、ええよ。」
赤い着物の里沙と青い着物の沙羅。少女だった2人は、大人になり、成長した様子が伺える。色々な思い出が蘇る。撮影後、薫はしんみりしていた。
「里沙、沙羅。2人に出会えて良かったよ。ホンマにありがとう!!」
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