Strawberry Film

橋本健太

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第78話 亀の歩み

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 オファーを貰い、各々で撮影に行く日々を送っていた。グラビア稼業をしていたが、当時のサブカルチャー上、アンダーグラウンド感が否めなかった。J-POPでは、48グループ・坂道グループ(乃木坂46・欅坂46)、EXILETRIBE(EXILE・3代目J SOUL Brothers・THE RAMPAGE・E-girls)、ジャニーズアイドルの天下であり、YouTubeやAbemaTVなどのコンテンツに歯が立たない日々が続いた。
(仕事を取りに行くだけじゃアカンな…。)
社長として、薫は悩んでいた。

 4月下旬、家族で夕食後のデザートとして、苺を食べていた時のことだった。
「薫君、今どんな感じなん?」
TVをつければ、どこもかしこも48グループやジャニーズなどが引っ張りだこである。彼ら彼女らの人気に圧倒され、薫達のグラビアは中々売れなかった。
「正直、壁にぶち当たってるよ。」
先に苺を食べ終えた京香が、歯磨きに行き、桃香は既に就寝していた。薫は今ひとつ、手が進まない。行き詰まっている薫に、久美がアドバイスをする。
「ねぇ、この間、スタッフを採用したやん?それと同じく、事務所専属のグラビアアイドルとジュニアアイドル採用したらええんちゃう?」
久美の提案に、薫は閃いた。
「それや!!!」
薫は、アイデアをメモに書き出し、残っていた苺を平らげ、苺ミルクをイッキ飲みした。
「ありがとう、久美ちゃん。これで行くで。この夏は面白いことになりそうや!!」

 5月上旬、世間はゴールデンウィークになったが、薫はアイデアを考えていた。博之と真緒に協力してもらい、オーディションの草案を練る。
「オーディションの倍率って、どれくらいになるんやろうかな?」
元グラビアアイドルの真緒は、パソコンのキーボードをカチャカチャいじりながら、質問に答える。
「そうですね。乃木坂46の1期生オーディションの時が、38934人受けて、選出されたのが36人。AKB48の1期生オーディションが、7924人受けて、24人合格。倍率は200倍以上あります。」
オーディションの厳しい競争に、薫は飲んでいた珈琲を噴き出す。
「嘘やろ!?そないに応募してたん?!あのグループ?モーニング娘。より多いな!てか、それぐらい競争率高いねんな…。」
「そうですよ、薫さん。グラビアアイドルっていうのは、女の子の憧れの世界ですから。なりたい子は山程おりますよ。」
薫は考える。これから季節は夏になる。夏は海やプールに入れる。ということは、女子の水着姿が見れる。グラビアアイドルの需要も増える。そこに照準を合わせて、オーディションを開催、という流れに持っていく。アイデアが出た薫は、珈琲を飲み干した。
「よし!!今月中にオーディションの詳細を決めよう!!夏にグラビアをやろう!!」
その後、3人で計画を練る。

 ゴールデンウィーク明け、薫はスタッフ達にオーディションのことを話す。
「皆いつもありがとう。グラビア撮影に奔走してくれて、皆よく頑張ってくれている。そこで、このStrawberry Milkも専属のグラビアアイドルを雇うことにした。」
薫のアイデアに、共感の声が寄せられる。
「良いですね。やりましょう!!」
「日程は、こうや。」

Strawberry Milk グラビアアイドルオーディション2017
エントリー期間 5月7日~21日
書類選考 5月22日~28日
結果発表 5月30日
水着審査 6月17日
結果発表 6月21日
面接試験 6月25日
最終結果発表 7月1日

早速、エントリー開始となる。薫はホームページや、グラビア撮影オファーを受けている雑誌に採用情報を掲載。
「どんな子が来るか、楽しみやな。」

 エントリー期間中も、皆は撮影に勤しみ、薫も社長として、経営や他の事務所との提携活動を行なう。2週間後、エントリー期間が終了。応募者数を数える。応募総数は、1200人。北は北海道、南は沖縄まで、年齢層は最年長は28歳、最年少は16歳である。
「おぉ!!こんなに応募してくれたんか!!」
「ここから書類選考です。」
今後の選考フローは、こうなる。

書類選考
1200人

40人

水着審査
40人

10人

面接試験
10人

4人

合格者
4人

高い倍率と競争率のサバイバル。薫も心を鬼にして、書類選考に臨む。3人で、1週間かけて書類選考を行い、合格者に通知を送った。6月になり、梅雨の季節がやってきた。薫は、ロシアW杯アジア最終予選を、注意深く観戦。

21th2018FIFAW杯ロシア大会 アジア最終予選
2017年6月13日 第8戦 VSイラク N
5勝1分1敗 勝ち点16と首位に立つ日本は、中立地のテヘランでイラクと対戦。中東の暑さに苦戦し、8分に大迫勇也のゴールで先制するも、72分にマフディー・カーミルのゴールで同点に追いつかれ、1-1と引き分けに終わった。第8戦まで終わり、最終予選の順位は、こうなる。

21th2018FIFAW杯ロシア大会 アジア最終予選
グループA
イラン 6 2 0 8 0 20 ☆
韓国 4 1 3 11 10 13
ーーーW杯出場圏内ーーー
ウズベキスタン 4 0 4 6 8 12
ーーープレーオフ圏内ーー
シリア 2 3 3 4 5 9
カタール 2 1 5 6 10 7
中国 1 3 4 5 9 6

グループB
日本 5 2 1 15 6 17
サウジアラビア 5 1 2 15 8 16
ーーーW杯出場圏内ーーー
オーストラリア 4 4 0 14 8 16
ーーープレーオフ圏内ーー
アラブ首長国連邦 3 1 4 8 11 10
イラク 1 2 5 8 11 5
タイ 0 2 6 4 20 2

グループAでは、イランがアジア勢1番乗りでW杯出場を決めた。残る自動出場圏争いは、韓国・ウズベキスタン・シリアの三つ巴か。カタールと中国も、まだプレーオフ進出の可能性を残す。グループBは、日本・サウジアラビア・オーストラリアの直接対決がある残り2試合で決着。イラクとタイは、敗退決定となった。
「三つ巴やな。勝てばいける。そして、俺は水着選考。夏は面白くなりそうや。」
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