【完結】公爵令嬢は王太子殿下との婚約解消を望む

むとうみつき

文字の大きさ
5 / 15

ヒロインは考察する

しおりを挟む

「やばいやばいやばい!」

あたしは寮の部屋で書き溜めたノートをめくる。
[二年生のイベント]と書かれたページ。

「ないないない!」

[三年生のイベント]と書かれたページ。

「あぁ~!やっぱり~!」

・階段落ち
ローゼリアに言い掛かりを付けられ階段に突き落とされるが、好感度の高い攻略対象者に助けられ、医務室で手当てをしてもらう。

「まだ二年生なのに、三年生のイベント起こしちゃったんだ」

あたしはノートを放り投げてベットに飛び込んだ。

「どうしよう~!なんでうっかり足滑らせちゃったかな~、あたし!」

そう、突き落されてない。
足を滑らせて落ちた所にアラン様が現れて助けてくれた。

驚いたのと怖かったので混乱して、階段落ちイベントだ!と思い、アラン様にローゼリアにやられたのかと聞かれて思わずうんと言ってしまった。


あたしには前世の記憶がある。

この世界で普通に平民として暮らしていたけど、母さんが亡くなって茫然としてたら、ブレッド男爵家から迎えが来て、貴族として暮らす事になった。

びっくりしたけど、取り敢えず生活には困らなくて済みそうだったから安心してたら、十三歳だから学校に行かなきゃいけないと言われて、学園に入学させられた。

その入学式で気付いたのだ。
ここが前世でやっていた乙女ゲームの世界だと!

試しに入学式が始まる前に講堂近くの庭でウロウロしてたら、アラン様が来た!
興奮した。
二次元じゃないリアルな攻略対象者なんて、想像つかないと思ってたけど、半端なく王子様だった!

そして何を隠そうあたしはヒロインだ!
ひゃっほう!

ヒロインとして攻略対象者とイベントを起こしまくった。
王太子のアラン様を始め、側近の公爵令息や騎士団長子息、アラン様の護衛騎士にクラスの担任教師。
このゲームに逆ハーは無かった筈だけど、みんながあたしを気に掛けるようになって来た。

恋のスパイス悪役令嬢も何かと絡んでくるようになった。
ただ、記憶している悪役令嬢と少し違う気がした。

見た目はゲーム通り真っ赤な髪に紫の瞳のザ・悪役令嬢なのに、なんだか普通の人なのだ。
というか、どっちかというといい人っぽい。

廊下は走らないとか、先生みたいな事を言っては来るけど、何だかあたしが困らないように色々フォローしてくれている。

でも一応攻略対象者には、ローゼリアに酷い事を言われたと泣きついてみたりした。

そこではたと思う。
何も考えずに乙女ゲームを楽しんでしまったけど、よく考えたらあたしはどうしたいんだろう?

アラン様は王太子だ。
攻略して結ばれる事はイコール王太子妃になって、いずれ王妃になるって事だ。

無理無理無理~!!!

王妃教育とか絶対無理~!!!

前世でも勉強は大っ嫌いだったし、今も嫌いだし、マナーの授業のカーテシーしたまま耐久レースとか意味分かんないし、絶対無理だ。

そうだ、アラン様にはローゼリアがいるんだ。
王太子妃とか王妃とかは、なりたい人がなればいい。
恋のスパイスとして悪役令嬢は必要だけど、アラン様の事は諦めて、他の人を攻略しよう!

そう思ってたのに…。

アラン様や他の攻略対象者と仲が良い事を妬んだ女生徒達から、嫌がらせを受けるようになった。
教科書や持ち物を隠されたり壊されたり、中庭を歩いていたら水をかけられたりした。

ローゼリアじゃない事は分かっていたけど、誰にやられたんだと聞かれた時に、乙女ゲームのストーリーが頭に浮かんだ。
ここでローゼリアじゃ無いって言ったら、ストーリーが進まなくなるんじゃない?

それは困る~!!!

一応ローゼリアだとは言わず、何となくそうかな~くらいで言ってたんだけど、どんどん話しが大きくなって、いつの間にかアラン様とローゼリアの仲は最悪な状態になってしまった。

極め付けがうっかり階段落ちだ。

あたしを医務室に連れて行ってくれた後、アラン様がローゼリアを張り飛ばした挙句、退学だの婚約破棄だの言い出して本気で焦った。

どうしよう。
王妃なんて絶対嫌だ。

乙女ゲームのヒロインだ~なんて気楽に考えるんじゃなかった。

これはリアルなあたしの人生なんだ。
リセットできるゲームじゃなかった。

なりふり構っていられない。

自由に楽しく二度目の人生を謳歌する為に、面倒くさい王妃の役目はローゼリアにやって貰わなくっちゃ!!!
しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【完結】愛されない令嬢は全てを諦めた

ツカノ
恋愛
繰り返し夢を見る。それは男爵令嬢と真実の愛を見つけた婚約者に婚約破棄された挙げ句に処刑される夢。 夢を見る度に、婚約者との顔合わせの当日に巻き戻ってしまう。 令嬢が諦めの境地に至った時、いつもとは違う展開になったのだった。 三話完結予定。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

貴方の知る私はもういない

藍田ひびき
恋愛
「ローゼマリー。婚約を解消して欲しい」 ファインベルグ公爵令嬢ローゼマリーは、婚約者のヘンリック王子から婚約解消を言い渡される。 表向きはエルヴィラ・ボーデ子爵令嬢を愛してしまったからという理由だが、彼には別の目的があった。 ローゼマリーが承諾したことで速やかに婚約は解消されたが、事態はヘンリック王子の想定しない方向へと進んでいく――。 ※ 他サイトにも投稿しています。

さよなら初恋。私をふったあなたが、後悔するまで

ミカン♬
恋愛
2025.10.11ホットランキング1位になりました。夢のようでとても嬉しいです! 読んでくださって、本当にありがとうございました😊 前世の記憶を持つオーレリアは可愛いものが大好き。 婚約者(内定)のメルキオは子供の頃結婚を約束した相手。彼は可愛い男の子でオーレリアの初恋の人だった。 一方メルキオの初恋の相手はオーレリアの従姉妹であるティオラ。ずっとオーレリアを悩ませる種だったのだが1年前に侯爵家の令息と婚約を果たし、オーレリアは安心していたのだが…… ティオラは婚約を解消されて、再びオーレリア達の仲に割り込んできた。 ★補足:ティオラは王都の学園に通うため、祖父が預かっている孫。養子ではありません。 ★補足:全ての嫡出子が爵位を受け継ぎ、次男でも爵位を名乗れる、緩い世界です。 2万字程度。なろう様にも投稿しています。 オーレリア・マイケント 伯爵令嬢(ヒロイン) レイン・ダーナン 男爵令嬢(親友) ティオラ (ヒロインの従姉妹) メルキオ・サーカズ 伯爵令息(ヒロインの恋人) マーキス・ガルシオ 侯爵令息(ティオラの元婚約者) ジークス・ガルシオ 侯爵令息(マーキスの兄)

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

処理中です...