1 / 6
1
しおりを挟む
どんなドラマ見てる?好きな俳優は?
どんな音楽が好き?ジャンルは?
好きな食べ物は?和食?洋食?
甘いものって好き?洋菓子と和菓子ならどっち?
新しく変わった環境、職場やクラス編成などで良く交わされる質問ではないだろうか。はたまた、気になる相手の事を知りたくて、ということもあるだろう。
犬が好き?猫が好き?
これもお互いの事を知るための話題の一つに出される質問ではないだろうか。少なくとも俺は生まれてこの方、何度か受けた覚えがある。
自分の見た目から初対面の人からは敬遠されがちなことから、そういった質問が聞かれるのは随分と時間が経て友達になってからだが。
そんな自分とは違い、おそらく世間一般ではわりと初期段階で交わされる質問の一つだろうと考えている。
だが、俺は出来ることなら声を大にして言いたい。
『犬と猫、どっちが好き?』
好きな動物は犬か猫と何故決めつけるのかと。どうしてその二択なのかと。
いや分かっている。飼育されているペットといえば、犬と猫が大部分を占めていることくらいは。
日本だけじゃない、世界でも同じだと言うことくらいは分かっているんだ。
俺も犬や猫も嫌いじゃぁない。それどころか、かなり好きだと宣言も出来る。
休日に暇で散歩へと出かけた時に、通りがりに散歩している犬を見れば可愛いなぁと思うし、運よく触らせてくれる野良猫がいれば存分に撫でまわす位には好きだ。(構いすぎで嫌がれること多数あったとしても)
「お前って、犬派?猫派?っていうか、動物なんて好きじゃないか。まあ、お前に動物は似合わねーか」
動物の方が逃げる面子だしなぁ。と、学生の頃クラス替えで友達未満の同級生から無遠慮に言われたことがある。小学校低学年だった幼心にチクリと痛んだ経験が一度ならず、数度。
そんな経験を繰り返せば、普段から人前で動物が好きだなんて自ら公開は控えるようになるというもの。
動物が似合わないと言われても、傷ついていない態度を取り続けた自分にも、落ち度はあっただろうと今では思う。
―――容姿って容赦ない。
初対面の奴からさえ言われるのも仕方がないと自分ですら思える部分は、確かにある。
まずは名前。
大熊正剛《おおくままさたけ》。
苗字に熊が入っている。それだけでも力強さを感じさせる漢字一字だと思うのに、「大」まで付属している。巨大な熊ってどうなんだ?
そして親から貰った名前は「正剛」。まっすぐ丈夫に育つようと込められたらしい。
家族共々も一緒になって、幼少期から体を動かす機会が多くあった。両親の願いの込めた名前のお陰か随分と体格には恵まれたと思っている。
そんな希望の込められた名前のせいなのか、遺伝子がそうさせたのは分からないが、186cmと家族の中で一番丈が伸び、見た目も一番ごつくなってしまった。
体の大きさも、名前からも他者にはいかにも強そうなイメージを与える。
まあ、なってしまったものはしょうがない。多少服を購入する際サイズに困ることくらいで、風邪も滅多に引かない丈夫な体は気に入っている。
だが動物が似合わないと言われる所以は名前だけではない。むしろ、名前は後付けだろう。
はっきりと言ってそれは「見た目」だ。
視覚から威圧感を与えているのではどうしようもないだろう。
高身長と、ガタイの良さ。肩幅もあるからさらに威圧感は増しているのだろう。
そして、極め付は「目つき」だ。
初対面に限らず、仲の良い筈の友達にさえ今日は機嫌悪いのかと聞かれるほどに凶悪な面相が拍車を掛けている、らしい。自分ではそんなつもりは全くないし、意識して凶悪な表情なんてしていないのだが。
あるとすれば、学校での休み時間に窓ギラの席で眠くて眠くてぼうっとして、このままうっかり寝てしまいそうになっている心穏やから気分でいたというのに、なんでそんなに凶悪面でいやがると丸めたノートでパコンと友達に
理不尽に叩かれた後だろうか。その衝撃で目が覚め、柄の悪いヤツみたいな低い声で「アァッ!?」と思わず言ってしまった俺は悪くない。
決して、凄み睨んだわけではない。純粋に驚いただけだ。
短い黒髪をセットし清潔感を出しているものの、目はよく言えばスッキリ、悪く言えば鋭すぎる。じいっと視線を当て続けるのも癖となっている。顔のパーツ一つ一つはバランスが悪いわけではないのだが、目つきが悪く見える為、爽やかというより圧力を感じる風貌。
ゆえに、厳つい大男の動物好きなんて、家族や仲の良い友達からでさえイメージじゃないやら、似合わない、はたまたいじめてるんじゃないのかと冗談交じりに言われることもある。
―――だから、自分の容姿は相手に相当な威圧感を感じさせることは理解しているがゆえに、自分から進んで言うことが出来ない。円満な社会生活を送るためには、必要不可欠なことだと割り切ってはいる。
頭ではそう思っていても、心では違う。表には出さないだけで、本心ではない。だからと言って、おおっぴらにも言えずにいる小心者。それが自分だ。
もし動物隙を隠さず、行動したらどうなるのかと想像する。もしかすると小動物相手にいじめをしているんじゃないかと、ほぼ他人に近い知り合いから投げられた時は、おそらくダメージが半端ないだろう。中には全然気にせずに動物好きと認めてくれる人もいるのかもしれないが少数派だろう。だから動物好きをさらけ出すことには抵抗がある。
もふもふは正義だ。好きなものは好きなんだ。ただ愛らしいから愛でているだけなんだ!素直に全力で言えたらどれだけ楽だろう。楽しいことだろう。
そう想像はするものの、行動には移す踏ん切りはつかない。思うだけだ。
厳つい容姿と全く似合わないからといって、触ることをすべてを諦めるまでは考えられないくらいには、やっぱりもふもふ好きで、人目が無いところでだけ幸せを噛みしめる。
それが正剛という男なのだった。
どんな音楽が好き?ジャンルは?
好きな食べ物は?和食?洋食?
甘いものって好き?洋菓子と和菓子ならどっち?
新しく変わった環境、職場やクラス編成などで良く交わされる質問ではないだろうか。はたまた、気になる相手の事を知りたくて、ということもあるだろう。
犬が好き?猫が好き?
これもお互いの事を知るための話題の一つに出される質問ではないだろうか。少なくとも俺は生まれてこの方、何度か受けた覚えがある。
自分の見た目から初対面の人からは敬遠されがちなことから、そういった質問が聞かれるのは随分と時間が経て友達になってからだが。
そんな自分とは違い、おそらく世間一般ではわりと初期段階で交わされる質問の一つだろうと考えている。
だが、俺は出来ることなら声を大にして言いたい。
『犬と猫、どっちが好き?』
好きな動物は犬か猫と何故決めつけるのかと。どうしてその二択なのかと。
いや分かっている。飼育されているペットといえば、犬と猫が大部分を占めていることくらいは。
日本だけじゃない、世界でも同じだと言うことくらいは分かっているんだ。
俺も犬や猫も嫌いじゃぁない。それどころか、かなり好きだと宣言も出来る。
休日に暇で散歩へと出かけた時に、通りがりに散歩している犬を見れば可愛いなぁと思うし、運よく触らせてくれる野良猫がいれば存分に撫でまわす位には好きだ。(構いすぎで嫌がれること多数あったとしても)
「お前って、犬派?猫派?っていうか、動物なんて好きじゃないか。まあ、お前に動物は似合わねーか」
動物の方が逃げる面子だしなぁ。と、学生の頃クラス替えで友達未満の同級生から無遠慮に言われたことがある。小学校低学年だった幼心にチクリと痛んだ経験が一度ならず、数度。
そんな経験を繰り返せば、普段から人前で動物が好きだなんて自ら公開は控えるようになるというもの。
動物が似合わないと言われても、傷ついていない態度を取り続けた自分にも、落ち度はあっただろうと今では思う。
―――容姿って容赦ない。
初対面の奴からさえ言われるのも仕方がないと自分ですら思える部分は、確かにある。
まずは名前。
大熊正剛《おおくままさたけ》。
苗字に熊が入っている。それだけでも力強さを感じさせる漢字一字だと思うのに、「大」まで付属している。巨大な熊ってどうなんだ?
そして親から貰った名前は「正剛」。まっすぐ丈夫に育つようと込められたらしい。
家族共々も一緒になって、幼少期から体を動かす機会が多くあった。両親の願いの込めた名前のお陰か随分と体格には恵まれたと思っている。
そんな希望の込められた名前のせいなのか、遺伝子がそうさせたのは分からないが、186cmと家族の中で一番丈が伸び、見た目も一番ごつくなってしまった。
体の大きさも、名前からも他者にはいかにも強そうなイメージを与える。
まあ、なってしまったものはしょうがない。多少服を購入する際サイズに困ることくらいで、風邪も滅多に引かない丈夫な体は気に入っている。
だが動物が似合わないと言われる所以は名前だけではない。むしろ、名前は後付けだろう。
はっきりと言ってそれは「見た目」だ。
視覚から威圧感を与えているのではどうしようもないだろう。
高身長と、ガタイの良さ。肩幅もあるからさらに威圧感は増しているのだろう。
そして、極め付は「目つき」だ。
初対面に限らず、仲の良い筈の友達にさえ今日は機嫌悪いのかと聞かれるほどに凶悪な面相が拍車を掛けている、らしい。自分ではそんなつもりは全くないし、意識して凶悪な表情なんてしていないのだが。
あるとすれば、学校での休み時間に窓ギラの席で眠くて眠くてぼうっとして、このままうっかり寝てしまいそうになっている心穏やから気分でいたというのに、なんでそんなに凶悪面でいやがると丸めたノートでパコンと友達に
理不尽に叩かれた後だろうか。その衝撃で目が覚め、柄の悪いヤツみたいな低い声で「アァッ!?」と思わず言ってしまった俺は悪くない。
決して、凄み睨んだわけではない。純粋に驚いただけだ。
短い黒髪をセットし清潔感を出しているものの、目はよく言えばスッキリ、悪く言えば鋭すぎる。じいっと視線を当て続けるのも癖となっている。顔のパーツ一つ一つはバランスが悪いわけではないのだが、目つきが悪く見える為、爽やかというより圧力を感じる風貌。
ゆえに、厳つい大男の動物好きなんて、家族や仲の良い友達からでさえイメージじゃないやら、似合わない、はたまたいじめてるんじゃないのかと冗談交じりに言われることもある。
―――だから、自分の容姿は相手に相当な威圧感を感じさせることは理解しているがゆえに、自分から進んで言うことが出来ない。円満な社会生活を送るためには、必要不可欠なことだと割り切ってはいる。
頭ではそう思っていても、心では違う。表には出さないだけで、本心ではない。だからと言って、おおっぴらにも言えずにいる小心者。それが自分だ。
もし動物隙を隠さず、行動したらどうなるのかと想像する。もしかすると小動物相手にいじめをしているんじゃないかと、ほぼ他人に近い知り合いから投げられた時は、おそらくダメージが半端ないだろう。中には全然気にせずに動物好きと認めてくれる人もいるのかもしれないが少数派だろう。だから動物好きをさらけ出すことには抵抗がある。
もふもふは正義だ。好きなものは好きなんだ。ただ愛らしいから愛でているだけなんだ!素直に全力で言えたらどれだけ楽だろう。楽しいことだろう。
そう想像はするものの、行動には移す踏ん切りはつかない。思うだけだ。
厳つい容姿と全く似合わないからといって、触ることをすべてを諦めるまでは考えられないくらいには、やっぱりもふもふ好きで、人目が無いところでだけ幸せを噛みしめる。
それが正剛という男なのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる