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転生者モチ編
第4話:医学部と料理学部(画像あり)
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「では2人もカジュと同じ、魔法学部を選択でいいのかニャ?」
カジュちゃんは既に魔法学部に入っているようだ。
魔法、いいな。俺もそこにしよう。
でも、他の学部はどんなものがあるかも知りたい。
「ちなみに他の学部はどんなのがあるんですか?」
「この学園は自由がモットーだから色々あるニャン。ちょっと見学してくるといいニャ」
同じことを思ったらしいイオが訊いている。
学園長は、校内の案内図をくれた。
本館を中心に、四方に建物、その外側に森が広がっている地図だ。
「カジュ、案内してあげるといいニャ」
「はぁい」
学園長に言われたカジュちゃんが案内人になってくれた。
いつまでこの世界にいることになるか分からないけど、せっかくだから楽しもう。
「じゃあ、ここから近いところから順に案内して行くね」
カジュちゃんが最初に案内してくれたのは、笹谷さんが担任を務めるクラス。
元の世界に居た時と同じ、元の世界での姿そのまま、痩せ型長身で顔色の悪い笹谷さんが教壇に立って何か話している。
「授業を始め…ゲホゴホぐふっっ!」
……もしもし、笹谷さん?
血ぃ吐いてませんか?!
「先生っ! 大丈夫ですか?」
「うわぁ大変だぁっ、先生が吐血した!」
「息してないよ先生っ!」
「心臓止まってるぅ!」
……ちょっ、大丈夫か?!
って思ってたら、イオが横目でこっち見た。
俺は無意識に鼻の穴広げて真顔になっていたようだ。
物心ついた頃からの癖で、動揺したり困惑したりすると、この変顔になってしまう。
「大丈夫、このクラスは蘇生には慣れてるから」
1人だけ動じてないのはカジュちゃん。
蘇生に慣れてる?
様子を見ていたら、校長やジャミさんと同じ二足歩行の猫型獣人の生徒がササッと駆け寄った。
抱えてきた物は、AED?
獣人たちが気道確保&人工呼吸とか、心臓マッサージ(胸骨圧迫)とかしてるぞ。
しかも手馴れているような?
ピーポーピーポー
窓の外、聞きなれた音が近付いてくるぞ?
「救急車が来たけど、必要無さそうね」
カジュちゃんが冷静だ。
俺とイオは廊下の窓から外を見てみる。
救急車………?
音は日本と同じだけど、白黒ブチの猫みたいなデザイン。
自動車ではない。
タイヤじゃなくて足が付いてるぞ。
しかも、降りて来た救急隊員も二足歩行の猫だ。
この世界、猫型獣人が多いのか?
むしろ、我が社の関係者以外のヒューマンタイプを見かけていない。
「はぁはぁ……助かった……みんな、よくやった……」
救急隊員が教室に入る前に、笹谷さんは蘇生されていた。
顔色は悪いけど、とりあえず助かったらしい。
「さすが医学部、いつも蘇生が早いね」
やっぱり冷静なのは、カジュちゃん。
えっ?
「いつも」?
これが日常?
笹谷さん、こんなに毎回死にそうになる人だったっけ?
◇◆◇◆◇
「じゃ、次は料理学部ね」
次に案内してもらったのは、調理師を目指すという学部。
人気の学部かな?
さっきの医学部よりも生徒数が多く、調理室も複数ある。
廊下を通ると、胃袋を刺激する良い匂いがした。
「「は…腹減った」」
ハモる俺とイオ。
近くの調理室を覗くと、出来上がった物を器に盛り付けているのが見えた。
肉じゃがだ!
美味そう! 誰か試食させてくれないかな?
期待を込めて調理室を眺めていたら、猫型獣人に混じってヒューマンタイプの女の子がいるのが見えた。
髪や瞳の色は水色で洋風な顔になってるけど、ほんの僅かに残る面影は俺が知っている人に似ている。
「リユちゃ~ん、お兄ちゃん起きて来たよ」
カジュちゃんが調理室のガラス窓を開けて呼びかける。
その名を聞いた瞬間、俺はその女の子が誰なのか理解した。
いつも美味しいゴハンを食べさせてくれた、イオの妹ちゃん。
妹ちゃんはグッズショップの店員だった。
プルミエタウンに住む者が全員ナーゴに飛ばされたのなら、彼女も来ているよな。
料理好きだから、この学部にいるのも納得だ。
「おはよう~、肉じゃが食べる?」
「「いただきます!」」
天使降臨!
俺とイオがハモった。
調理室の隣は試食ルー厶。
そこへ入らせてもらって、絶妙な味付けに仕上がった肉じゃがを御馳走になった。
すき焼きに似た甘辛い煮汁の中に、豚肉とジャガイモ、彩りに緑の豆。
芋は煮崩れしにくいメークイン系、もっちりした食感。
豚肉は短時間で仕上がりやすいように、バラ肉スライス使用。
プルミエタウンの社員寮で、何度も御馳走になった絶品を異世界で食えるとは!
……ってことは、この世界には【醤油】があるのか。
「ごちそうさま!美味しかったよ」
イオも気持ちいい食べっぷりで完食して、満ち足りた顔になっている。
お腹が満足したところで、俺はふと気付いた。
「そういば先生いなかったけど、料理学部にも社員さんいるの?」
「何言ってるの、リユちゃんが先生よ」
「「マジっすか?!」」
カジュちゃんに聞いたら、想定外の返事がきたぞ。
確かに、調理室で教師らしき人はいなかったな。
でも、ここへ来てそんなに経ってない、それも6歳児を教師にするか?!
アサケ学園、謎が多過ぎだろ。
カジュちゃんは既に魔法学部に入っているようだ。
魔法、いいな。俺もそこにしよう。
でも、他の学部はどんなものがあるかも知りたい。
「ちなみに他の学部はどんなのがあるんですか?」
「この学園は自由がモットーだから色々あるニャン。ちょっと見学してくるといいニャ」
同じことを思ったらしいイオが訊いている。
学園長は、校内の案内図をくれた。
本館を中心に、四方に建物、その外側に森が広がっている地図だ。
「カジュ、案内してあげるといいニャ」
「はぁい」
学園長に言われたカジュちゃんが案内人になってくれた。
いつまでこの世界にいることになるか分からないけど、せっかくだから楽しもう。
「じゃあ、ここから近いところから順に案内して行くね」
カジュちゃんが最初に案内してくれたのは、笹谷さんが担任を務めるクラス。
元の世界に居た時と同じ、元の世界での姿そのまま、痩せ型長身で顔色の悪い笹谷さんが教壇に立って何か話している。
「授業を始め…ゲホゴホぐふっっ!」
……もしもし、笹谷さん?
血ぃ吐いてませんか?!
「先生っ! 大丈夫ですか?」
「うわぁ大変だぁっ、先生が吐血した!」
「息してないよ先生っ!」
「心臓止まってるぅ!」
……ちょっ、大丈夫か?!
って思ってたら、イオが横目でこっち見た。
俺は無意識に鼻の穴広げて真顔になっていたようだ。
物心ついた頃からの癖で、動揺したり困惑したりすると、この変顔になってしまう。
「大丈夫、このクラスは蘇生には慣れてるから」
1人だけ動じてないのはカジュちゃん。
蘇生に慣れてる?
様子を見ていたら、校長やジャミさんと同じ二足歩行の猫型獣人の生徒がササッと駆け寄った。
抱えてきた物は、AED?
獣人たちが気道確保&人工呼吸とか、心臓マッサージ(胸骨圧迫)とかしてるぞ。
しかも手馴れているような?
ピーポーピーポー
窓の外、聞きなれた音が近付いてくるぞ?
「救急車が来たけど、必要無さそうね」
カジュちゃんが冷静だ。
俺とイオは廊下の窓から外を見てみる。
救急車………?
音は日本と同じだけど、白黒ブチの猫みたいなデザイン。
自動車ではない。
タイヤじゃなくて足が付いてるぞ。
しかも、降りて来た救急隊員も二足歩行の猫だ。
この世界、猫型獣人が多いのか?
むしろ、我が社の関係者以外のヒューマンタイプを見かけていない。
「はぁはぁ……助かった……みんな、よくやった……」
救急隊員が教室に入る前に、笹谷さんは蘇生されていた。
顔色は悪いけど、とりあえず助かったらしい。
「さすが医学部、いつも蘇生が早いね」
やっぱり冷静なのは、カジュちゃん。
えっ?
「いつも」?
これが日常?
笹谷さん、こんなに毎回死にそうになる人だったっけ?
◇◆◇◆◇
「じゃ、次は料理学部ね」
次に案内してもらったのは、調理師を目指すという学部。
人気の学部かな?
さっきの医学部よりも生徒数が多く、調理室も複数ある。
廊下を通ると、胃袋を刺激する良い匂いがした。
「「は…腹減った」」
ハモる俺とイオ。
近くの調理室を覗くと、出来上がった物を器に盛り付けているのが見えた。
肉じゃがだ!
美味そう! 誰か試食させてくれないかな?
期待を込めて調理室を眺めていたら、猫型獣人に混じってヒューマンタイプの女の子がいるのが見えた。
髪や瞳の色は水色で洋風な顔になってるけど、ほんの僅かに残る面影は俺が知っている人に似ている。
「リユちゃ~ん、お兄ちゃん起きて来たよ」
カジュちゃんが調理室のガラス窓を開けて呼びかける。
その名を聞いた瞬間、俺はその女の子が誰なのか理解した。
いつも美味しいゴハンを食べさせてくれた、イオの妹ちゃん。
妹ちゃんはグッズショップの店員だった。
プルミエタウンに住む者が全員ナーゴに飛ばされたのなら、彼女も来ているよな。
料理好きだから、この学部にいるのも納得だ。
「おはよう~、肉じゃが食べる?」
「「いただきます!」」
天使降臨!
俺とイオがハモった。
調理室の隣は試食ルー厶。
そこへ入らせてもらって、絶妙な味付けに仕上がった肉じゃがを御馳走になった。
すき焼きに似た甘辛い煮汁の中に、豚肉とジャガイモ、彩りに緑の豆。
芋は煮崩れしにくいメークイン系、もっちりした食感。
豚肉は短時間で仕上がりやすいように、バラ肉スライス使用。
プルミエタウンの社員寮で、何度も御馳走になった絶品を異世界で食えるとは!
……ってことは、この世界には【醤油】があるのか。
「ごちそうさま!美味しかったよ」
イオも気持ちいい食べっぷりで完食して、満ち足りた顔になっている。
お腹が満足したところで、俺はふと気付いた。
「そういば先生いなかったけど、料理学部にも社員さんいるの?」
「何言ってるの、リユちゃんが先生よ」
「「マジっすか?!」」
カジュちゃんに聞いたら、想定外の返事がきたぞ。
確かに、調理室で教師らしき人はいなかったな。
でも、ここへ来てそんなに経ってない、それも6歳児を教師にするか?!
アサケ学園、謎が多過ぎだろ。
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