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異世界でパスタを作る
ep07:朝ごはんの仕込み
お城の厨房を出て宿舎に帰る直前、僕はベルさんにもうひとつパスタメニューを教えた。
「ベルさん、この余ったスープにトマトを入れて煮込んで、麺にかければもう一種類スープパスタが作れますよ」
「良いわね。明日の朝食のメニューにするわ」
トマトはこの世界でも「トマト」という。
日本のトマトよりも果肉が厚く、種や水分は少なく、皮を湯むきして煮込むと、短時間でとろけて美味しくなる。
トマトは人気の食材で、栽培農家から仕入れたものが市場に出回っていた。
【僕】の村でも栽培が盛んで、身近な野菜の一つだ。
この世界のトマトは春~秋まで繰り返し花が咲いて結実し、一ヶ月ほどで収穫できる。
リシュ領では、森の中に野生種のトマトが生えていて、採集で手に入れることができた。
(生でも美味い。野生種は、栽培種よりも糖度が高いな)
宿舎の食糧庫でトマトを味見してみたら、村で採れる栽培種よりも味が濃くて甘かった。
これは良いスープになりそうだ。
僕は食糧庫からトマトを50~60個ほど取り出して、明日の朝食用のトマトスープ作りにかかった。
トマトのヘタをくり抜き、鍋に沸かした湯に放り込む。
皮がめくれてきたら鍋から取り出して、ボウルに入れた冷水に漬けて冷まし、皮をむく。
皮をむいたトマトを乱切りにして、夕食のスープの残りに入れて数分煮込めば、トマトがトロリととろけてミネストローネ風のスープに変わる。
スープには既に良い出汁がでてるので、塩と胡椒を少々追加する程度で美味しく仕上がった。
(スープはこれでよし。あとは麺だな)
できあがったトマトスープを冷ましつつ、麺作りにかかる。
生麺ができる頃には、スープの粗熱もとれていた。
あとはチルドルームのようにヒンヤリした食糧庫の片隅に置いて、明日の朝まで保管しよう。
こうして前夜から仕込んでおけば、翌朝はスープを温めながら麺を茹でるだけで済む。
◇◆◇◆◇
「ウォル、お前は朝食作りをしてくれるから、朝稽古は休んでもいいぞ」
「いえ、参加させて下さい」
団長は朝稽古を免除してくれると言うけれど、僕は参加を希望した。
この両手が何故マメだらけなのか、そのわけを【僕】は知っている。
ウォルクリスは、見習い騎士になる以前から一人で剣を振っていたんだ。
雨の日も雪の日も、黙々と剣を振り続けたのは何故か、その記憶は脳にしっかり残っている。
(騎士になりたい)
それが、【僕】の夢。
騎士団は村の子供たちの憧れで、ウォルクリスも騎士に憧れる一人だった。
この国での騎士団は、主に街の警備を担う。
災害時には現場に赴いて、救助や炊き出しも行う。
人々を守ったり助けたりできるという誇らしさにプラスして、公務員なので給料が良いという経済的な魅力もあった。
徴兵義務で見習い騎士として活動するのは1年間。
【僕】は、その後も騎士として働きたいと思っている。
そのために、稽古は休んじゃダメだ。
この身体の本来の持ち主が望むことを、転生者の僕が妨げちゃいけない。
「朝食は短時間で作れますから」
「そうか。お前が無理しない範囲ならいいが」
団長はちょっと心配そうにしたけれど、朝稽古参加を受け入れてくれた。
「ベルさん、この余ったスープにトマトを入れて煮込んで、麺にかければもう一種類スープパスタが作れますよ」
「良いわね。明日の朝食のメニューにするわ」
トマトはこの世界でも「トマト」という。
日本のトマトよりも果肉が厚く、種や水分は少なく、皮を湯むきして煮込むと、短時間でとろけて美味しくなる。
トマトは人気の食材で、栽培農家から仕入れたものが市場に出回っていた。
【僕】の村でも栽培が盛んで、身近な野菜の一つだ。
この世界のトマトは春~秋まで繰り返し花が咲いて結実し、一ヶ月ほどで収穫できる。
リシュ領では、森の中に野生種のトマトが生えていて、採集で手に入れることができた。
(生でも美味い。野生種は、栽培種よりも糖度が高いな)
宿舎の食糧庫でトマトを味見してみたら、村で採れる栽培種よりも味が濃くて甘かった。
これは良いスープになりそうだ。
僕は食糧庫からトマトを50~60個ほど取り出して、明日の朝食用のトマトスープ作りにかかった。
トマトのヘタをくり抜き、鍋に沸かした湯に放り込む。
皮がめくれてきたら鍋から取り出して、ボウルに入れた冷水に漬けて冷まし、皮をむく。
皮をむいたトマトを乱切りにして、夕食のスープの残りに入れて数分煮込めば、トマトがトロリととろけてミネストローネ風のスープに変わる。
スープには既に良い出汁がでてるので、塩と胡椒を少々追加する程度で美味しく仕上がった。
(スープはこれでよし。あとは麺だな)
できあがったトマトスープを冷ましつつ、麺作りにかかる。
生麺ができる頃には、スープの粗熱もとれていた。
あとはチルドルームのようにヒンヤリした食糧庫の片隅に置いて、明日の朝まで保管しよう。
こうして前夜から仕込んでおけば、翌朝はスープを温めながら麺を茹でるだけで済む。
◇◆◇◆◇
「ウォル、お前は朝食作りをしてくれるから、朝稽古は休んでもいいぞ」
「いえ、参加させて下さい」
団長は朝稽古を免除してくれると言うけれど、僕は参加を希望した。
この両手が何故マメだらけなのか、そのわけを【僕】は知っている。
ウォルクリスは、見習い騎士になる以前から一人で剣を振っていたんだ。
雨の日も雪の日も、黙々と剣を振り続けたのは何故か、その記憶は脳にしっかり残っている。
(騎士になりたい)
それが、【僕】の夢。
騎士団は村の子供たちの憧れで、ウォルクリスも騎士に憧れる一人だった。
この国での騎士団は、主に街の警備を担う。
災害時には現場に赴いて、救助や炊き出しも行う。
人々を守ったり助けたりできるという誇らしさにプラスして、公務員なので給料が良いという経済的な魅力もあった。
徴兵義務で見習い騎士として活動するのは1年間。
【僕】は、その後も騎士として働きたいと思っている。
そのために、稽古は休んじゃダメだ。
この身体の本来の持ち主が望むことを、転生者の僕が妨げちゃいけない。
「朝食は短時間で作れますから」
「そうか。お前が無理しない範囲ならいいが」
団長はちょっと心配そうにしたけれど、朝稽古参加を受け入れてくれた。
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