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第4章:星の絆
第34話:謎のクレーター
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惑星ミカルドに関するアルビレオのデータはかなり古いものなので、知的生命体が住む集落が無くなっていても不思議ではない。
アニムスを発見した森から近い場所にあったクレーターは、過去に何か大きな災害があった事を示している。
おそらくそこにあった村は、その災害で消滅したんだと思う。
丸く陥没した地面の状態は、発見時は雑草も生えていなかった。
念のため数日観察していたら、成長の早い雑草が小さな芽を出し始めた。
おそらく、最近出来たクレーターだ。
もしかしたら、アニムスはその村の住民で、災害の目撃者かもしれない。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
「これは隕石の落下とは違うね」
「そうですね。どちらかというとここにあった物が爆発したような痕跡ですね」
クレーターを調査しながら、トオヤとライカが話す。
村が消滅するほどの大きな陥没には、隕石が衝突した時のような残留物は見当たらない。
「しかしその爆発物の破片も無いね」
「この星はサイキックを軍事利用しているそうなので、それによる爆発の可能性があります」
「軍が村1つ吹き飛ばしたとして、何のためだろうね?」
「そうしなければならない危険な何かがあったのかもしれません」
クレーター内には爆弾などの痕跡も無い。
ライカはアルビレオから送られた情報を元に予想を述べた。
ミカルド星のサイキック兵器によるものだとしたら何のためか、使用目的が気になるトオヤであった。
保護開始から2週間経過。
強い精神的ショックを受けて心を閉ざしている少年アニムスに、変化が現れ始めた。
本来メンタルダメージは回復にかなりの時間を要するものだが、チアルムのヒーリングボイスがかなり大きな回復効果を与えている。
「アニムス、今日もチアルムが歌ってくれるよ」
プレイルームの柔らかいマットの上、カールはそう言いながらアニムスを抱き締める。
アニムスはまだ言葉は発しないものの、少し表情が出てくるようになり、ほんのりと笑みを浮かべた。
「アニムスの心の痛いのが早く治るように、今日も聴いてね」
隣に座るチアルムは、アニムスに微笑みかけて言うと、翼人の歌声を響かせる。
翼人は父から受け継ぐ歌の他に、独自の歌を組み上げて歌う。
チアルムが今歌っているのは、アニムスのために組み上げた歌。
アニムスの心が癒えるように願う歌は、優しく温かく心に流れ込んでゆく。
言葉を話せないアニムスが、また微笑みで喜びを表した。
「アニムス、笑うようになったね」
「笑うと可愛いね」
2人の少年が、そう言ってアニムスの頬にキスをする。
それが愛情表現であることも、心を開き始めた少年には分っていた。
アニムスはまた微笑み、カールとチアルムの頬にキスを返す。
今の彼にとって、この2人は心許せる大切な相手になりつつあった。
夜の入浴タイム、トオヤとアイオがプレイルームを訪れた。
今では子供たちの居室はプレイルームの隣室になっており、いつも3人で眠っている。
入浴時はトオヤとアイオが迎えに来て、5人で風呂へ行っていた。
「アニムス、お風呂へ行くよ」
トオヤは優しく声掛けして、アニムスを抱き上げる。
抱いて行かなくても手を引けばついて来るけれど、彼は幼子を扱うように抱き上げて運ぶ。
保護間もない頃は人形かぬいぐるみのように身体の力を抜いて何もしなかったアニムスは、今では縦抱きすると抱きついてくるようになった。
「アニムス、背中流してあげる」
「前は僕が洗ってあげる」
「トオヤはボクが背中流しますね」
「どっちが保護者か分からない構図だね」
いつもの事ながら、トオヤは苦笑した。
洗い場で椅子に座らせてもらった少年を、2人の少年が洗ってあげる様子は、王子と従者みたいに見えなくもない。
仲の良い子供たちを眺めるトオヤは、今日もアイオに背中を流してもらっている。
トオヤにとってのアイオの存在は、妻や恋人にはもう少しという感じだった。
アニムスを発見した森から近い場所にあったクレーターは、過去に何か大きな災害があった事を示している。
おそらくそこにあった村は、その災害で消滅したんだと思う。
丸く陥没した地面の状態は、発見時は雑草も生えていなかった。
念のため数日観察していたら、成長の早い雑草が小さな芽を出し始めた。
おそらく、最近出来たクレーターだ。
もしかしたら、アニムスはその村の住民で、災害の目撃者かもしれない。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
「これは隕石の落下とは違うね」
「そうですね。どちらかというとここにあった物が爆発したような痕跡ですね」
クレーターを調査しながら、トオヤとライカが話す。
村が消滅するほどの大きな陥没には、隕石が衝突した時のような残留物は見当たらない。
「しかしその爆発物の破片も無いね」
「この星はサイキックを軍事利用しているそうなので、それによる爆発の可能性があります」
「軍が村1つ吹き飛ばしたとして、何のためだろうね?」
「そうしなければならない危険な何かがあったのかもしれません」
クレーター内には爆弾などの痕跡も無い。
ライカはアルビレオから送られた情報を元に予想を述べた。
ミカルド星のサイキック兵器によるものだとしたら何のためか、使用目的が気になるトオヤであった。
保護開始から2週間経過。
強い精神的ショックを受けて心を閉ざしている少年アニムスに、変化が現れ始めた。
本来メンタルダメージは回復にかなりの時間を要するものだが、チアルムのヒーリングボイスがかなり大きな回復効果を与えている。
「アニムス、今日もチアルムが歌ってくれるよ」
プレイルームの柔らかいマットの上、カールはそう言いながらアニムスを抱き締める。
アニムスはまだ言葉は発しないものの、少し表情が出てくるようになり、ほんのりと笑みを浮かべた。
「アニムスの心の痛いのが早く治るように、今日も聴いてね」
隣に座るチアルムは、アニムスに微笑みかけて言うと、翼人の歌声を響かせる。
翼人は父から受け継ぐ歌の他に、独自の歌を組み上げて歌う。
チアルムが今歌っているのは、アニムスのために組み上げた歌。
アニムスの心が癒えるように願う歌は、優しく温かく心に流れ込んでゆく。
言葉を話せないアニムスが、また微笑みで喜びを表した。
「アニムス、笑うようになったね」
「笑うと可愛いね」
2人の少年が、そう言ってアニムスの頬にキスをする。
それが愛情表現であることも、心を開き始めた少年には分っていた。
アニムスはまた微笑み、カールとチアルムの頬にキスを返す。
今の彼にとって、この2人は心許せる大切な相手になりつつあった。
夜の入浴タイム、トオヤとアイオがプレイルームを訪れた。
今では子供たちの居室はプレイルームの隣室になっており、いつも3人で眠っている。
入浴時はトオヤとアイオが迎えに来て、5人で風呂へ行っていた。
「アニムス、お風呂へ行くよ」
トオヤは優しく声掛けして、アニムスを抱き上げる。
抱いて行かなくても手を引けばついて来るけれど、彼は幼子を扱うように抱き上げて運ぶ。
保護間もない頃は人形かぬいぐるみのように身体の力を抜いて何もしなかったアニムスは、今では縦抱きすると抱きついてくるようになった。
「アニムス、背中流してあげる」
「前は僕が洗ってあげる」
「トオヤはボクが背中流しますね」
「どっちが保護者か分からない構図だね」
いつもの事ながら、トオヤは苦笑した。
洗い場で椅子に座らせてもらった少年を、2人の少年が洗ってあげる様子は、王子と従者みたいに見えなくもない。
仲の良い子供たちを眺めるトオヤは、今日もアイオに背中を流してもらっている。
トオヤにとってのアイオの存在は、妻や恋人にはもう少しという感じだった。
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