【完結】星の海、月の船

第９章：世代交代

端末アイオの記録⑨

　交流用端末アイオです。
　アルビレオの旅は終わりました。

　歴史に残る偉業を達成した宇宙船アルビレオ号は、アエテルヌム復興記念館になりました。
　広大な湖の上に浮かぶアルビレオ号の姿は、古代の地球で見られたという【白鳥】に似ています。
　見学に訪れる人々は、岸からのびる桟橋を歩きながら、自分たちの祖先を運んできた宇宙船ふねを眺めて、遠い昔の奇跡に想いを馳せるのでした。

　アルビレオ艦長トオヤは、記念館の名誉館長に就任しましたよ。
　私は副館長としてトオヤをサポートしています。
　アンドロイド犬ライカは記念館のマスコットで、映像記録を見せてくれるスタッフになりました。
　他にもクローンの身体を使って永続的に生きているティオ、レシカ、カール、チアルム、アニムスが記念館のスタッフになっています。

　記念館は好奇心旺盛な子供たちに特に大人気です。
　学校の修学旅行先にもなっていますよ。
　アルビレオの設備は宿泊施設としても素晴らしいと言われているんです。
　料理が美味しいとの声が多く、いつも喜ばれています。
　レストランやカフェを目当てに来る人も多くなっています。
　宿泊の際は、展望大浴場が楽しみらしいですね。
　日帰り入浴に来る人もいますよ。

　修学旅行で貸し切りの日には、アルビレオは湖から飛び立ち、大気圏外からアエテルヌムを見せています。
　大きなお風呂に浸かりながら見る星の海と、大きな宝石のように美しい惑星の姿に、子供たちはいつも歓声を上げるんですよ。
　楽しく移民の歴史が学べる記念館に、ぜひ一度お越し下さい。