【完結】声優憑依〜隠し攻略対象とのエンディングを目指せ〜

BIRD

文字の大きさ
37 / 51
第4章:勇者と魔王

第32話:魔王の城と戦闘準備

しおりを挟む
【天使と珈琲を】の魔王城は、メインシナリオ前半は魔界に存在する。
 シナリオ後半、四天王が全て倒されると、魔王城は魔界から人界へ転移して、ラスボスイベントが始まる。

「魔王城が人界に転移してきました」

 見回りから帰ってきた天使たちが言う。
 フェイオを倒したことで、中ボスイベントは全て完了している。
 この後に待つのは、魔王との闘いだ。


「ヒロ、死なないからって無茶はするなよ」

 魔王戦に参加できないルウが何度も言ってくる。
 僕が一度仮死状態になってサキに蘇生されているのを視て以来、ルウはすっかり心配性になってしまった。
 ケイを大天使にしたのも、自分が行けないから見張り役を任せたんだろう。

「俺が見張っておくから大丈夫だ」

 一緒に討伐戦に出るケイがそう答える。
 でも、僕はこのゲームをクリアするために、無茶はしてもしょうがないと思っている。
 メインシナリオをクリアして、ケイを現実世界に連れ戻す。
 僕が目指すことは、ただそれだけだ。


   ◇◆◇◆◇


「勇者よ、其方に聖剣を授けよう。神の代行者として、魔王を打ち滅ぼしなさい」

 天界の神殿最奥、神の間。
 僕は神様から聖剣を授かった。
 純粋な光の力を宿す、柄の部分に白い羽根と金の光が描かれた剣。
 刀身は銀色に輝き、天界の文字が刻まれている。

【光は汝と共に在り】

 その剣を受け取った時に、僕は覚悟を決めた。
 天使としての名を捨てて「シャイターン」と名乗る彼と戦う覚悟を。

 魔王化プログラムが実行されると、元の人格は失われる。
 彼はかつて天使だったことは覚えていても、友情や愛情は感じなくなっている。
 僕を名前ではなく「勇者」と呼んでいたから、敵対者として認識したんだろう。


「まさかサキが魔王になっちまうとは……」

 剣の稽古を終えた後、フーッと溜息をついてミカが呟く。
 魔王討伐メンバーの1人である彼は、僕と共に近接火力として戦うことになった。

「だが、堕ちてしまったのなら、戦うしかない。俺は攻撃の要だからな」
「僕も覚悟はできているよ。迷っていたら勝てる相手じゃないし」
「そうだな。水の力をもつあいつには火力が落ちるが、全力で絆スキルをブッ放してくれ」
「うん」

 前衛の僕たちが迷っているわけにはいかない。
 ミカも僕も、魔王戦に備えて鍛錬に励んだ。


「サキはもういない。あれはサキの身体を乗っ取った悪魔だ」

 魔王シャイターンを見た後から、ファーはそう言うようになった。
 彼は後方火力として魔王討伐メンバーに加わる。

「次に会ったら迷わず弓を引くからね」

 ファーも躊躇いを捨てた。
 魔王を倒さなければ、人界もサキも救えないと彼は言う。

「魔王がサキのスキルを継承しているとしたら、盾は無意味かな」
水滴石穿すいてきせきせんを食らう前に、攻撃あるのみだね」

 サキは装備破壊の特殊スキルを僕に教えた師匠だ。
 盾スキルは解除されてしまう可能性が高かった。


「魔王が装備解除の使い手なら、素手でも使えるスキルが必要だな」

 ウリは冷静に自分の戦い方を研究している。
 彼も魔王討伐メンバーだ。
 素手でも使えるといえば、絆スキルの【大地の波動】があるけど、ウリはそれ以外にも素手で使える身体強化系スキルを持っている。

「ヒロ、油断して脱がされるなよ」
「う、うん」

 最近になって聞いたんだけど、ウリは過去にサキと模擬戦をして、全装備解除を食らったらしい。
 全装備解除は天使たちに恐れられるスキルで、全ての装備がはずされてしまう。
 盾などの防具や武器だけでなく、衣服さえも脱がせてしまうという。
 社会的ダメージが大きいので、天使長に多用禁止令を出されたのだとか。

「サキには何度も裸を見られてるから今更だけど、他の魔族に見られるのは嫌だな」

 不覚にもフェイオに全裸にされた僕としては、全装備解除は食らいたくない。
 魔王がどこまでサキの能力を継承しているのかは分からないけど、警戒はしておこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

朝目覚めたら横に悪魔がいたんだが・・・告白されても困る!

渋川宙
BL
目覚めたら横に悪魔がいた! しかもそいつは自分に惚れたと言いだし、悪魔になれと囁いてくる!さらに魔界で結婚しようと言い出す!! 至って普通の大学生だったというのに、一体どうなってしまうんだ!?

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...