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第12章:魔王が遺したもの
EPILOGUE:飛翔
しおりを挟む『転生者、お前はお前のままでこの世界を生きろ』
色とりどりの花々が咲き乱れるアサギリ島。
緑の葉を茂らせる木の下で、アズの転生者は前世の霊からそんな事を言われていた。
前世の記憶と心はアサギリ島に宿る霊となり、1本の木を護っていた。
その木には前世の妻ルルの霊が宿っている。
『私は世界を滅ぼしたくないから、もう転生するのはやめたの』
『ここを荒らさずそっとしておいてくれ。それ以外にお前に何か求める事は無い』
ルルとアズの霊は穏やかに微笑んで言う。
互いに霊となった2人は触れ合えて、永遠といえる時を共に過ごせる。
だからもう転生者に前世の記憶を与える気は無いとアズの霊は言った。
「それで構わないなら、そうさせてもらうよ」
答えた転生者は、現世の記憶のみで生きる事にした。
前世の記憶が無いという事は、当然アズが鍛え上げた特S級の剣技は得られない。
けれど、平和な今の世界なら、それは無くても問題なさそうだ。
『そこの家の中にある物は全部お前にやるから、好きに使っていい』
そう言って贈与された物の中には、かつてアズが使っていた魔法発動の剣と魔法石もある。
「ありがたく使わせてもらうよ」
アズの転生者は前世の霊から遺産を受け取り、前世の心と記憶はそのままアサギリ島に残した。
───転生者だと分かっても、前世の記憶が戻るとは限らない。
好きに生きろって言われたから、俺は俺のままで生きる事にした───
アサケ学園禁書【転生者イオの手記】より
─END─
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