23 / 57
華蓮~カレンの幼年期
ep20:華蓮視点⑩
しおりを挟む
「お父様、エトワール孤児院にお料理を差し入れてもいいかしら?」
「勿論だよ。カレンは優しい子だね」
ソレイユ留学の前に、私は孤児院へ堂々と行ける口実を作った。
6歳になったルナとアランは冒険者ギルドの採集系クエストを日課にしていて、昼間は不在なのは知っている。
だから、直接会えなくても、美月ちゃんなら私だと気づいてもらえるかもしれないヒントを料理に託した。
「料理長、ちょっと調理場の一部を貸してね」
「はいお嬢様」
ゲームのカレンには出来なくて、私には出来ること。
それは、料理。
ゲームのカレンは「料理は使用人が作るもの」という考えで、自分で作ることはなかった。
私は、日向家のおばさんに習った料理を記憶している。
「へえ、お嬢様、珍しい物を作られますねぇ」
「コロッケっていうの。できあがったら食べてみてね」
私が作るのは、肉じゃがコロッケ。
定食屋「日向」の人気メニューだ。
この世界には、醤油に似た調味料「セーユ」がある。
もちろん、砂糖もある。
ジャガイモやタマネギもある。
ミノタウロス肉は黒毛和牛みたいなお肉。
卵と小麦粉もあるし、パン粉はハードパンから作れる。
ジャガイモを茹でながら、お肉とタマネギを風魔法で細かく刻む。
ハードパンも風魔法で細かく刻む。
刻んだお肉とタマネギを炒めて、セーユと砂糖で甘辛く味付けしたら、茹で上がったジャガイモに混ぜ込んで潰す。
マッシュポテトくらいに潰れたら、小判型に丸めて成型する。
小麦粉、とき卵、パン粉の順にまぶして衣をつける。
あとは、熱した油で衣がサクッと揚がれば完成。
「おお! これは美味いっスね!」
料理長も大喜び。
今後ミシオン家の食卓にも並ぶ予感がする。
日向のおばさんに、お料理を習っていてよかった。
おかげで転生先でもコロッケが食べられるよ。
風魔法でタマネギを刻むと、目が痛くならないから楽でいいわ。
◇◆◇◆◇
「趣味で作ってみましたの。皆さんで食べてみて下さいね」
「ありがとうございます!」
「わあっ! いい匂い!」
公爵家の馬車で孤児院を訪れて、コロッケ盛りのバスケットを渡したら、スタッフも子供たちも大喜びだった。
ルナとアランは出かけていて不在だけど、このコロッケなら冷めても美味しく食べられるから大丈夫。
「いっぱいあるから、ルナちゃんとアランくんの分も、残しておいてね」
「「「はーい!」」」
孤児院の子供たちにお願いしたら、元気な声が返ってくる。
不在の2人の分は、スタッフの女性が、ササッと取り分けて戸棚に入れてくれた。
ルナ……美月ちゃんなのかな。
コロッケ食べたら、私だと気付いてくれるかな。
切ない思いと期待を抱きつつ、私は孤児院を出て馬車に乗り込んだ。
「勿論だよ。カレンは優しい子だね」
ソレイユ留学の前に、私は孤児院へ堂々と行ける口実を作った。
6歳になったルナとアランは冒険者ギルドの採集系クエストを日課にしていて、昼間は不在なのは知っている。
だから、直接会えなくても、美月ちゃんなら私だと気づいてもらえるかもしれないヒントを料理に託した。
「料理長、ちょっと調理場の一部を貸してね」
「はいお嬢様」
ゲームのカレンには出来なくて、私には出来ること。
それは、料理。
ゲームのカレンは「料理は使用人が作るもの」という考えで、自分で作ることはなかった。
私は、日向家のおばさんに習った料理を記憶している。
「へえ、お嬢様、珍しい物を作られますねぇ」
「コロッケっていうの。できあがったら食べてみてね」
私が作るのは、肉じゃがコロッケ。
定食屋「日向」の人気メニューだ。
この世界には、醤油に似た調味料「セーユ」がある。
もちろん、砂糖もある。
ジャガイモやタマネギもある。
ミノタウロス肉は黒毛和牛みたいなお肉。
卵と小麦粉もあるし、パン粉はハードパンから作れる。
ジャガイモを茹でながら、お肉とタマネギを風魔法で細かく刻む。
ハードパンも風魔法で細かく刻む。
刻んだお肉とタマネギを炒めて、セーユと砂糖で甘辛く味付けしたら、茹で上がったジャガイモに混ぜ込んで潰す。
マッシュポテトくらいに潰れたら、小判型に丸めて成型する。
小麦粉、とき卵、パン粉の順にまぶして衣をつける。
あとは、熱した油で衣がサクッと揚がれば完成。
「おお! これは美味いっスね!」
料理長も大喜び。
今後ミシオン家の食卓にも並ぶ予感がする。
日向のおばさんに、お料理を習っていてよかった。
おかげで転生先でもコロッケが食べられるよ。
風魔法でタマネギを刻むと、目が痛くならないから楽でいいわ。
◇◆◇◆◇
「趣味で作ってみましたの。皆さんで食べてみて下さいね」
「ありがとうございます!」
「わあっ! いい匂い!」
公爵家の馬車で孤児院を訪れて、コロッケ盛りのバスケットを渡したら、スタッフも子供たちも大喜びだった。
ルナとアランは出かけていて不在だけど、このコロッケなら冷めても美味しく食べられるから大丈夫。
「いっぱいあるから、ルナちゃんとアランくんの分も、残しておいてね」
「「「はーい!」」」
孤児院の子供たちにお願いしたら、元気な声が返ってくる。
不在の2人の分は、スタッフの女性が、ササッと取り分けて戸棚に入れてくれた。
ルナ……美月ちゃんなのかな。
コロッケ食べたら、私だと気付いてくれるかな。
切ない思いと期待を抱きつつ、私は孤児院を出て馬車に乗り込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです
志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑!
10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。
もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。
(頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。
けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。
思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。
──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……?
※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。
聖女は支配する!あら?どうして他の聖女の皆さんは気付かないのでしょうか?早く目を覚ましなさい!我々こそが支配者だと言う事に。
naturalsoft
恋愛
この短編は3部構成となっております。1話完結型です。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
オラクル聖王国の筆頭聖女であるシオンは疑問に思っていた。
癒やしを求めている民を後回しにして、たいした怪我や病気でもない貴族のみ癒やす仕事に。
そして、身体に負担が掛かる王国全体を覆う結界の維持に、当然だと言われて御礼すら言われない日々に。
「フフフッ、ある時気付いただけですわ♪」
ある時、白い紙にインクが滲むかの様に、黒く染まっていく聖女がそこにはいた。
悪女として処刑されたはずが、処刑前に戻っていたので処刑を回避するために頑張ります!
ゆずこしょう
恋愛
「フランチェスカ。お前を処刑する。精々あの世で悔いるが良い。」
特に何かした記憶は無いのにいつの間にか悪女としてのレッテルを貼られ処刑されたフランチェスカ・アマレッティ侯爵令嬢(18)
最後に見た光景は自分の婚約者であったはずのオルテンシア・パネットーネ王太子(23)と親友だったはずのカルミア・パンナコッタ(19)が寄り添っている姿だった。
そしてカルミアの口が動く。
「サヨナラ。かわいそうなフランチェスカ。」
オルテンシア王太子に見えないように笑った顔はまさしく悪女のようだった。
「生まれ変わるなら、自由気ままな猫になりたいわ。」
この物語は猫になりたいと願ったフランチェスカが本当に猫になって戻ってきてしまった物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる