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第63話:妹が作る謎アイテム

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飛ばされるのはこれがラストらしい。
その場所は、リユとカジュちゃんがいる女子談話室だった。

「おかえり~」
「夕飯とっといたよ」
「「ありがとぉぉぉ!」」

あっちこっち飛ばされてメシなんて食う暇無かったよ。
異空間倉庫ストレージで熱々のまま保管していたクリームシチューを、テーブルに置いてくれた妹が天使に見える。
元の世界だったら温めなおす時間がかかるところ、異世界では熱いまま鍋ごと保管しておけるって素晴らしい。

「修行どうだった?」
「どんな事してきたの?」

シチューを貪り食ってたら、カジュちゃんとリユがお茶を出しつつ聞いてきた。

「死んじゃった笹谷先生がゾンビになって追いかけてきた」
「やだそれ学校の怪談?!」

鼻の穴広げて真顔でモチが話すと、カジュちゃんは少しビビッた様子。

「福島先生に言われてソース100パターン作ったら【神の雫】が出来上がった」
「なにこれ調合の伝説?!」

俺が福島先生から半分貰ってきた【神の雫】を入れたビンを渡したら、リユが目をまん丸にして驚いてる。

「スケートリンクの氷を蒸発させたら、山根さんに心臓凍るほど怒られた」
「それは北極の海に落ちるより凍っちゃうね」

青ざめた顔でモチが言ったら、カジュちゃんの顔も青ざめた。

「修行始めるぞって言って、松本先生が西洋竜ドラゴン召喚した」
「それで、お兄ちゃんも東洋龍シェンロン出しといた?」

リユは、教師がドラゴン出しても驚かないようだ。

「あと、詩川先生が捕獲用アイテムくれた」
「リユにも何か作ってもらってるって言ってた」
「うん、出来てるよ」

シチューを食べ終えてテーブル上が片付いたところで、リユが異空間倉庫ストレージからレース編みセーターみたいな服を取り出した。

「これが捕獲用アイテム?」

それは、少し緑がかった茶色いレース糸らしき物で編まれた、涼し気な夏用セーターに見える。

「ただの糸じゃないよ、前にモチが教えてくれた、300メガ倍増のアレ使用なの」
「!!!」

リユの説明を聞いた途端、モチが一気に青ざめた。
鼻の穴開いて真顔で顔面蒼白、山根さんに怒られた時より動揺してるかも。

「2人に持たせるように言われてるから、渡しておくね」
「使い方はモチが知ってる……のかな?」

リユとカジュちゃんが、不思議そうに首を傾げてモチを見る。
動揺して沈黙していたモチが、ハッと我に返った。

「………それ、首には絶対近付けるなよ」
「え? 着る物じゃないの?」
「腰に巻いとけ」

やけに真剣にモチが言うので、とりあえず受け取ったレース編みセーターっぽい物は腰に巻いておいた。


「………まさか、アレを糸にするなんて…」

再び顔面蒼白なモチがブツブツ言ってる。

モチは何を知ってるんだ?

首に近付けてはいけないなんて、何に使う物なのかな?
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