26 / 87
第3章:追放から始まる翌月
第21話:意地悪トリオからの解放
しおりを挟む
冒険者学園に入学して1ヶ月が経った。
最初の1ヶ月はクラス内抽選によって決まるパーティに所属が必須だったけれど、その期間を過ぎれば自由に組むことができる。
「アルキオネ! お前をパーティから追放する!」
教室内で、トレミーがふんぞり返って言い放つ。
トレミーの両脇には、ニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべるスーフィーとハインドがいる。
クラスの生徒たちは、遠巻きにしながらその様子を眺めていた。
……追放も何も、今日で解散だが?
俺は自分の席に座ったまま、黙ってトレミーを見つめる。
今は放課後で、先生はいない。
いたとしてもトレミーの親に金を積まれているから、我関せずという対応をするだろう。
「お前は学校の備品を雑に扱って壊してしまったり、パーティを置き去りにしたり、行動に問題があり過ぎるからな。もう一緒にダンジョンへ行ってやることはできない」
上から目線で偉そうにトレミーが言う。
そうだそうだと相槌を打つのがスーフィーとハインド。
その言葉、そっくりそのまま返してやりたい。
ダンジョン研修初日に撮影用魔道具を壊したのはハインドだ。
呪いの魔法陣にアルキオネを無理やり乗せた後、置き去りにしたのは意地悪トリオの方だ。
腹立たしくはあるが、これで面倒くさいトリオと一緒にダンジョンへ潜らずに済む。
俺は引き続き黙っておくことにした。
「そうそう、クラスのみんなもお前とは組みたくないそうだぜ」
「これでお前はソロ決定だな」
「ソロじゃダンジョン使用許可が下りないな。留年確定おめでとうアルキオネ」
同じような腹黒スマイルを浮かべながら、意地悪トリオが口々に言う。
どうやら、クラスのみんなに金か物を与えて根回ししたようだ。
クラスの面々は俺が見回すと一様に目を逸らしている。
さて、困ったぞ。
意地悪トリオからの解放は万々歳だが、誰ともパーティを組めないのではダンジョンに入れない。
プロの冒険者になればソロで潜ることが可能だが、学生のうちは2人以上でないとダンジョン使用を許可してもらえないんだ。
「来年の1年生たちがお前と組んでくれるといいな」
「まあ無理だと思うけど」
「誰も落第生とは組みたがらないかもしれないぞ」
まるで俺の留年が確定したように、トレミーたちがニヤつきながら言う。
それはつまり、来年の1年生たちにも根回しするってことだろう。
普通そこまでやるか?
こいつら、どんだけ金の無駄遣いする気?
そこまでアルキオネをいびり倒して何の得があるというのか?
「意地汚いお前は学食でメシが食えれば満足かもしれないが、留年は3回までだからな」
「4回目は退学だぜ」
「冒険者ギルドは退学した奴を登録させないから、お前もう冒険者になれないな」
勝手に俺の未来を予想して意地悪トリオが言う。
言いたいことはそれだけか?
俺は腹立たしく思いつつも表情には出さず、黙って席を立つ。
ここにいても時間の無駄にしかならない。
教室を出て歩き出すと、トレミーたちが下品に大爆笑する声が廊下の端まで響いていた。
最初の1ヶ月はクラス内抽選によって決まるパーティに所属が必須だったけれど、その期間を過ぎれば自由に組むことができる。
「アルキオネ! お前をパーティから追放する!」
教室内で、トレミーがふんぞり返って言い放つ。
トレミーの両脇には、ニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべるスーフィーとハインドがいる。
クラスの生徒たちは、遠巻きにしながらその様子を眺めていた。
……追放も何も、今日で解散だが?
俺は自分の席に座ったまま、黙ってトレミーを見つめる。
今は放課後で、先生はいない。
いたとしてもトレミーの親に金を積まれているから、我関せずという対応をするだろう。
「お前は学校の備品を雑に扱って壊してしまったり、パーティを置き去りにしたり、行動に問題があり過ぎるからな。もう一緒にダンジョンへ行ってやることはできない」
上から目線で偉そうにトレミーが言う。
そうだそうだと相槌を打つのがスーフィーとハインド。
その言葉、そっくりそのまま返してやりたい。
ダンジョン研修初日に撮影用魔道具を壊したのはハインドだ。
呪いの魔法陣にアルキオネを無理やり乗せた後、置き去りにしたのは意地悪トリオの方だ。
腹立たしくはあるが、これで面倒くさいトリオと一緒にダンジョンへ潜らずに済む。
俺は引き続き黙っておくことにした。
「そうそう、クラスのみんなもお前とは組みたくないそうだぜ」
「これでお前はソロ決定だな」
「ソロじゃダンジョン使用許可が下りないな。留年確定おめでとうアルキオネ」
同じような腹黒スマイルを浮かべながら、意地悪トリオが口々に言う。
どうやら、クラスのみんなに金か物を与えて根回ししたようだ。
クラスの面々は俺が見回すと一様に目を逸らしている。
さて、困ったぞ。
意地悪トリオからの解放は万々歳だが、誰ともパーティを組めないのではダンジョンに入れない。
プロの冒険者になればソロで潜ることが可能だが、学生のうちは2人以上でないとダンジョン使用を許可してもらえないんだ。
「来年の1年生たちがお前と組んでくれるといいな」
「まあ無理だと思うけど」
「誰も落第生とは組みたがらないかもしれないぞ」
まるで俺の留年が確定したように、トレミーたちがニヤつきながら言う。
それはつまり、来年の1年生たちにも根回しするってことだろう。
普通そこまでやるか?
こいつら、どんだけ金の無駄遣いする気?
そこまでアルキオネをいびり倒して何の得があるというのか?
「意地汚いお前は学食でメシが食えれば満足かもしれないが、留年は3回までだからな」
「4回目は退学だぜ」
「冒険者ギルドは退学した奴を登録させないから、お前もう冒険者になれないな」
勝手に俺の未来を予想して意地悪トリオが言う。
言いたいことはそれだけか?
俺は腹立たしく思いつつも表情には出さず、黙って席を立つ。
ここにいても時間の無駄にしかならない。
教室を出て歩き出すと、トレミーたちが下品に大爆笑する声が廊下の端まで響いていた。
12
あなたにおすすめの小説
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。
シトラス=ライス
ファンタジー
万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。
十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。
そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。
おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。
夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。
彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、
「獲物、来ましたね……?」
下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】
アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。
*前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。
また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる