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第6章:奇跡の子
第56話:指名依頼
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冒険者になっちゃった。
僕は未だ自分の身体を指1本動かせず、スバルが思いのままに行動しているだけなのに。
立場上は僕(アルキオネ)が冒険者登録をしたことになる。
見ているだけで自分が冒険者になってしまうなんて、ちょっと複雑な気分だよ。
「登録ありがとう。ではこれを渡しておこう。君のデータを保存する冒険者証だよ」
そう言ってシースリットさんが差し出すのは、白金色の金属でできた腕輪。
腕輪には小さく共通文字で「登録証明:コメルス支部」と書いてあった。
「依頼を受けるときや完了報告をするときは、その腕輪を受け付けの魔道具に翳せば、簡単に手続きができるんだ。君がこなした依頼の履歴も保存されるよ。依頼の達成報酬もここに所持金データとして残されるから、買い物の際は商店の支払い手続きで腕輪を翳すだけで済む」
「海賊船の撃破は登録前のことだけど、既存の依頼だから履歴として保存してもらったよ。報酬も入れてあるから確認してごらん。頭の中で【接続】と言えばいい」
腕輪を手渡したながら、シースリットさんは使い方を教えてくれた。
冒険者証は身分証になり、お財布代わりにもなる便利なもの。
トーンルンさんからは、海賊討伐の報酬について告げられた。
「確認しますね。……えっ?! こんなに?!」
言われた通りに腕輪に登録された報酬データを見て、スバルが金額の多さに驚いている。
一緒に見ている僕もビックリだ。
お菓子、いくつ買える? っていう額じゃないよ。
(孤児院の建物、リフォームしてもお釣りがくるかも……)
スバルが心の中で呟いた。
雨漏りとか隙間風とか酷いから、孤児院の修理に使うといいかもね。
「そして、君に指名依頼を出したいんだが、受けてくれるかい?」
「モントル号のコメルス停泊期間中に済むものなら、受けてもいいですよ」
冒険者になったばかりで早速指名依頼がきたよ。
もしかして、それも目的で登録を急いだのかな?
トーンルンさんとスバルが話していると、さっき登録に使った魔道具を手早く操作したシースリットさんが、依頼データ画面を表示させてスバルに向ける。
【海賊島の制圧】
ルカン島にある海賊の拠点の制圧。
襲われた商船の積み荷が残っていれば回収。
海賊は生死問わず湾岸警備隊が拘束するので、それに協力する。
「モントル号は確か来週末までの停泊だったね。君ならそれまでに依頼を完了できそうだね」
「万が一、モントル号の出港に間に合わなかったら、警備隊の船でプレアまで送ってあげるよ」
「「頼む! 海竜使いの力を貸してくれ!」」
「わ、分かりました」
シースリットさんとトーンルンさんに頼み込まれて、スバルは依頼を引き受けた。
僕は未だ自分の身体を指1本動かせず、スバルが思いのままに行動しているだけなのに。
立場上は僕(アルキオネ)が冒険者登録をしたことになる。
見ているだけで自分が冒険者になってしまうなんて、ちょっと複雑な気分だよ。
「登録ありがとう。ではこれを渡しておこう。君のデータを保存する冒険者証だよ」
そう言ってシースリットさんが差し出すのは、白金色の金属でできた腕輪。
腕輪には小さく共通文字で「登録証明:コメルス支部」と書いてあった。
「依頼を受けるときや完了報告をするときは、その腕輪を受け付けの魔道具に翳せば、簡単に手続きができるんだ。君がこなした依頼の履歴も保存されるよ。依頼の達成報酬もここに所持金データとして残されるから、買い物の際は商店の支払い手続きで腕輪を翳すだけで済む」
「海賊船の撃破は登録前のことだけど、既存の依頼だから履歴として保存してもらったよ。報酬も入れてあるから確認してごらん。頭の中で【接続】と言えばいい」
腕輪を手渡したながら、シースリットさんは使い方を教えてくれた。
冒険者証は身分証になり、お財布代わりにもなる便利なもの。
トーンルンさんからは、海賊討伐の報酬について告げられた。
「確認しますね。……えっ?! こんなに?!」
言われた通りに腕輪に登録された報酬データを見て、スバルが金額の多さに驚いている。
一緒に見ている僕もビックリだ。
お菓子、いくつ買える? っていう額じゃないよ。
(孤児院の建物、リフォームしてもお釣りがくるかも……)
スバルが心の中で呟いた。
雨漏りとか隙間風とか酷いから、孤児院の修理に使うといいかもね。
「そして、君に指名依頼を出したいんだが、受けてくれるかい?」
「モントル号のコメルス停泊期間中に済むものなら、受けてもいいですよ」
冒険者になったばかりで早速指名依頼がきたよ。
もしかして、それも目的で登録を急いだのかな?
トーンルンさんとスバルが話していると、さっき登録に使った魔道具を手早く操作したシースリットさんが、依頼データ画面を表示させてスバルに向ける。
【海賊島の制圧】
ルカン島にある海賊の拠点の制圧。
襲われた商船の積み荷が残っていれば回収。
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「モントル号は確か来週末までの停泊だったね。君ならそれまでに依頼を完了できそうだね」
「万が一、モントル号の出港に間に合わなかったら、警備隊の船でプレアまで送ってあげるよ」
「「頼む! 海竜使いの力を貸してくれ!」」
「わ、分かりました」
シースリットさんとトーンルンさんに頼み込まれて、スバルは依頼を引き受けた。
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