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第一章
2-1. 日常に嘘を添えて
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お昼前のスーパーは、平日だろうが休日だろうがお構いなしにそこそこ混んでいる。
せっかくの休日をバイトで過ごすのもなんだが、たまにはそんな日があってもいいだろうと思う。
ちゃかちゃかとペットボトル飲料の品出しをしながら、思い出すのは昨夜のこと。
角の生えた大男。光の鎖。そして、悪魔のような姿をした、ヨルという少年。
あの時俺は大学のキャンパスまで行ったはずなのに、朝目が覚めた時は自分のベッドの中だった。すわ夢だったかと思った。
だが少なくともヨルくんについては夢じゃなったらしい。目覚めた俺に擦り寄りながらにっこりと笑いかける少年(半裸)の顔を見た時、心臓止まるかと思ったけど。むしろこっちも夢だったらよかったのにな。
そうしてつい昨日知り合った謎の少年ヨルくんに留守番を頼み、俺は朝からバイトに出向いたのだった。
棚におさまらないコーラを適当に積み上げていると、背後から声をかけられた。
「す、すいません」
恐る恐る、という様子が見なくてもわかるその少女の声に、店員に話しかけるのって勇気いるんだろうなあ、おばちゃんとかは躊躇なく商品の場所聞いて来るのに、いい子だなあなんて考えながら振り向く。
そこにいたのは、ゆるりふわりとした白いワンピースを着た、俺より少し年下くらいの内気そうな少女だった。
少女は、何かに驚いたように少し目を見開き、肩口まである黒髪をふわりと揺らしながら声を上げた。
「アサヒさん!?」
俺の名を呼ぶその少女の顔を、俺は知っていた。
彼女は、妹の友達だった。俺がまだ実家に住んでいた頃に、よく家にも遊びに来ていたこの子の名前は。
「ナギちゃん?」
俺が記憶をもとに名前を呼び返すと、少女は少し照れたように頷いてから目を逸らした。
「え、うそ。なんでここに? もしかしてここで働いてるの? もう、シノちゃん知ってたんなら教えてくれてもよかったのに」
頬を抑えているナギちゃんを見て、それから記憶の中ではまるでニコイチであったかのように常に一緒にいた我が妹を周囲に探す。
しかし、妹の姿は見えなかった。
うんまあ、いたらいたで仕事の邪魔をされることは目に見えているんだけど。
「今日はひとり?」
問いかけるとナギちゃんは焦ったようにこちらに向き直った。
「あ、えと。今日は、今日も、一緒です。お父さんにお弁当持って来たんですけど。シノちゃんがつきあってくれて」
ナギちゃんは言いながらかわいい薄いピンク色の手提げを掲げる。
「そうなんだ。それで? そのまひるちゃんは?」
「お米を買うって」
ナギちゃんの言葉に心の中で納得する。
妹・四ノ宮真昼は健啖家である。
男だったら大食漢とも言えるその食欲旺盛ぶりは同居している祖父の血を色濃く受け継いでいるのが窺える。
なんと二人あわせて10合の米を食う。
一食でだ。
しかしそんな量どこに入るんだ、とは思わない。
なんせ妹は俺より“でかい”からだ。
……やめよう。想像しただけでお腹がすいてきた。
「……で、お父さんってのは?」
「え、と。たしか、店長だって言ってましたけど」
言われて店長の顔を思い出す。
ああ、そうなのか。
顔は全く似ていないけど、なんていうかこの少しおどおどしている雰囲気とかは、ちょっと似ているかも知れない。
それにそういえば、店長の娘さんはうちの妹と同い年って聞いた気がするので、多分あっているんだろう。
「店長なら今の時間だと多分裏かな。あっちの扉から入って奥行けば多分いると思う」
そう言ってバックヤードへの扉を指差す。
「あ、ありがとうございます」
しかし、ナギちゃんはお礼を言いつつももじもじとしながら動こうとしない。
「どうしたの?」
「あの、アサヒさん。今一人暮らしなんですよね。シノちゃんに聞きました」
「うん。そうだね。大体こっから10分ちょいくらいかな」
俺がそう答えるとナギちゃんは小さく「よしっ」と力を入れてから、喉を鳴らした。
「よ、よかったら、今度」
しかしその言葉は段々勢いを失くして止まってしまう。
じっと見つめるも、ナギちゃんは目があった途端に焦ったように視線を逸らす。
え、なにこの意味深な態度。
もしかしてこの子俺のこと好きなの?
「今度?」
「あの、えーと」
聞き返すも顔を真っ赤にして唸るナギちゃんにおやこれは、などと思っていると、声が聞こえた。
「にいちゃーん」
遠くから投げかけられたその聞き覚えのある声に、ナギちゃんがビクリと震える。それからわたわたと動いた後、「や、やっぱりなんでもないです!」
なんて言いつつ彼女は逃げるようにバックヤードへの扉に突っ込んで行った。
その様子を呆然と眺めていると再度聞こえる声。
「おーい。にいちゃーん」
声の方を向くと、お客さんの波間から頭一つ抜けた少女が遠くにいるのが目に入った。
少女は想像通りの相手だった。
少女は真っ直ぐにこちらに向かってくる。
20kgの米袋を小脇に抱えつつも、そんなことおくびにも出さない笑顔でがしがしと。
思わず苦笑いが漏れる。
まるでライオンみたいな、癖のついた茶色いショートカットを揺らしながら迫る少女。
あんなフィジカルモンスター、他には知らない。
ご機嫌で俺の下に辿り着いた少女に溜め息をついて、告げる。
「あんまり大きな声出しちゃダメだよ、まひるちゃん」
人ごみの中でもすぐに見つけられるほどの高身長なその少女、俺の妹であるまひるちゃんは、そんな俺の言葉にはにかみながら、
「ごめんごめん。ナギちゃんと一緒にいるのが見えたからついうれしくなっちゃって。なんか行っちゃったけど」
そう言ってナギちゃんが消えて行った扉にチラリと視線を向けた。
「一緒に来たんじゃなかったの」
呆れながら言う俺にまひるちゃんはうーんと唸ってから、あっけらかんと答えた。
「まあ、あれだよ。利害の一致というか」
「君達仲いいように見えてそんな打算的な関係だったの」
そう冗談めかしく言うものの、二人は本当に仲がいい。まひるちゃんは昔からでかくて活発だったわけだけど、そんな彼女の側に常に、まるで真逆な、小動物のような彼女ナギちゃんがいることが不思議でならなかった。
しかしやはり俺が実家にいた頃から、ことあるごとにナギちゃんは家に来ていたようで、まあ人はみかけによらないんだろう、なんて思う。
それにふたりで話している時は、彼女はよく笑って。楽しそうだった。
いや本当こんな、正に竹を割ったような性格の妹にあんな可愛らしいお友達がいるとは。
……。
「……ところでねえねえまひるちゃん」
「なんだいにいちゃん」
小声で話しかける俺に、まひるちゃんが少し屈むように顔を寄せる。
「いつも友達と喋るときは元気いっぱいなのに、俺と喋るときだけ緊張したように声を震わせ顔を赤らめている女の子がいるとする」
「ふんふん」
「あんまり目を合わせてくれないけど、たまに照れたように頬を赤らめながら意味深に目線を送ってくる子がいるとする」
「ほうほうほう」
真面目に相槌を打ってくれるまひるちゃんに、俺は尋ねた。
「これって絶対俺のこと好きだよね」
そんな俺の問いに対して、まひるちゃんは、
「間違いないね。行っちゃえにいちゃん。家に連れ込んじゃえにいちゃん」
力強く頷いて、そう言った。
「そうだよな!? やっぱそうだよな!? え? 行っちゃう? 行っちゃうか? お家連れ込んじゃうか!?」
妹の心強い言葉を聞いて、テンションが上がる。
やっぱりな。いやもしやとは思ったんだ。
友達のお兄ちゃんとかな! 絶対女子高生好きだろうって思ったもん!
ああ、ついに俺にも春が来たか、なんて考えていると、まひるちゃんが口を開いた。
「因みにその子はおいくつくらい?」
「まひるちゃんと同い年」
答えた瞬間、まひるちゃんから表情が消えた。
「それは犯罪だよにいちゃん」
そう言ったまひるちゃんは今まで見たことない程冷え切った表情だった。
「そ、そんなことないだろ?」
震える声縋る俺に、ゆっくり首を横に振って、まひるちゃんは答えた。
「犯罪だよにいちゃん」
「2回言うほど!?」
え、嘘? そんなことないよね? 俺が大学2年でまひるちゃん達が高校2年生だから、たったの3歳差だよ? マジで? やっぱり女子高生から見たら大学生ってもうおじさんなの?
現実の残酷さに震える俺。
しかしまひるちゃんはそんな俺を気にも留めず、思い出したように、「そういえば」と切り出して、
「またにいちゃん宛に郵便届いてたんだけど。いつも通りお家持ってっちゃってよい?」
「ああ、うん」
どうせ部屋の合鍵も持っているし、好きな時に適当に持ってきてくれ、と適当に返そうとしてから。
家にいる褐色の少年のことを思いだした。
一気に血の気が引くのを感じた。
「あ、いや。ダメ。駄目だわ。今ちょっと人入れられる状態じゃないわ」
あの少年のことだ、きっと今頃俺のいない部屋で天衣無縫だろう。
俺にはわかる。なんだかわからんがわかる。
俺の言葉に、まひるちゃんは不思議そうに首を傾げる。
「なに、またお掃除さぼっちゃってるの? 心配しなくても荷物置くだけなんだから大丈夫だよ。別にあたしは散らかってても気にしないし」
「いや、うん。そういうのじゃないんだよ。そういうのじゃないの」
歯切れの悪い俺の言葉を聞いて、まひるちゃんは何かに思い当たったような顔をしてから、眉を顰めた。
「……もしかして女の子連れ込んでるの?」
追求するようなそのまなざしに、目が泳ぐ。
「あー。……当たらずも遠からずというか」
そんな俺に対し、まひるちゃんはひとつ息を吐き、
「にいちゃん」
「なんだいまひるちゃん」
「監禁は犯罪だよ」
困ったように、腫れものに触れるようにそう言った。
「同意の上かもしれないだろ! 俺を犯罪者にしようとするのはやめろ!」
言い返すも、まひるちゃんの顔は引きつっていた。
しかし、その視線は、犯罪者予備軍の俺ではなく、
「ねえ、アサヒくん。この子はだれ?」
いつの間にか俺の背後に立っていた、朝ぶりに顔を合わせた褐色の少年に向けられていた。
「え……? な、んで……いるの?」
「なんで、ってアサヒくんに会いたくなったからに決まってるじゃない」
キマってるのはお前だろ……!
あまりの展開に、血の気が一気に引き、脳が痺れたかのような感覚に陥る。
しばしの間沈黙が流れてから、まひるちゃんが口を開いた。
「……にいちゃん」
「…………、」
返事ができない俺を咎めるように、まひるちゃんがぐいと詰め寄る。
「ねえ、にいちゃん。この子はだれ?」
やましいことはなにもしていない(手を出していない的な意味で)。していないが、謎の罪悪感により答えられない俺。
ヨルくんはそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、俺とまひるちゃんにそれぞれ目線を向けてから、
「僕はヨル」
まひるちゃんに、そう名乗った。
あかん。
「ま、待って!」
そう思ってヨルくんを止めようとするも、まひるちゃんが、俺を威圧するようにじろりと睨んだ。
喉がひゅっと鳴る。
「にいちゃんは黙ってて」
「はい」
二つ返事だった。
だって勝てないし。
まひるちゃんは俺が動かなくなったことを確認すると、ヨルくんと視線を合わせるように屈む。それからにっこり笑って、
「ヨルくん。ヨルくんはこのお兄ちゃんと、どういう関係?」
そう問いかけた。
「関係?」
ヨルくんは確認するように言い返す。それからふむと、考えた。
それからすぐに思いついたかようにまひるに向き直る。
頼むぞヨルくん余計なこと言うなよ……!
「主従関係」
「えっ」
「あっ」
さらりと言ってのけたヨルくんに、まひるの顔が笑顔のまま固まった。
終わった。
そう思っているとまひるちゃんはヨルくんから少し距離を取るように俺の腕を引っ張って、顔を寄せた。
「え、嘘でしょにいちゃん。まさかこの子……? 女の子どころか男の子だなんて。しかも少年。少年て。やばいでしょにいちゃん。業深すぎでしょ」
「いや、待て待てまひるちゃん違うんだ。いや違くは無いんだけど」
「そんな! 昨夜はあんなに熱い夜を共に過ごしたじゃない!」
俺の弁解を耳聡く聞いていたのかヨルくんが口を挟む。
本当待て! これ以上ややこしくなるようなことを言うな! しかも昨夜とか何もしてないだろ!
……何もしてないよね!?
まひるちゃんはその様子を見てにっこり笑って。
それからズボンのポケットからおもむろに携帯を取り出した。
「通報」
「あー! 待って待って! チャンス、チャンスを、弁明の機会をください!」
テンパってまひるちゃんに縋りつき、なんとか絶望への一歩目を止めようとすると、
まひるちゃんは、ぷ、と吹き出した。
呆気にとられる俺に、まひるちゃんが続ける。
「なーんてね。どうせ、なんか訳ありなんでしょ? 家出とか、そんな感じ? まあ、なんでもいいけど」
それからヨルくんの頭に手を乗せて笑う。
「この子、困ってたんでしょ?」
ぐりぐり頭を撫でられるヨルくんは少しくすぐったそうに目を細めるも、その手を払いはしなかった。
「……うん。そうなんだ」
俺がそう認めるとまひるは「そっか」とヨルくんから手を離して、
「じゃあ、いいや」
「色々聞かなくていいの?」
俺が尋ねると、まひるちゃんはどこか嬉しそうに笑う。
「言いにくいことなんでしょ? 言えるようになったらでいいよ」
その、我が妹ながらさっぱりとした態度に、安堵と共に笑みが漏れた。
「ありがとう。まひるちゃん」
「いいえ。いつものことじゃん」
それからまた、まひるちゃんはヨルくんと視線を合わせる。
「ヨルくん」
「なあに」
「あたしはまひる。四ノ宮真昼(しのみや まひる)。このお兄ちゃんの妹。よろしくね」
そうやって人懐っこく笑うまひるを、ヨルくんは静かに眺めてから。
確かめるように頷いて、答えた。
「……うん。よろしくマヒルちゃん」
そう言ったヨルくんの笑顔は、どことなく、嬉しそうだった。
それから、噛みしめるように呟く。
「そっか。アサヒくんの妹……」
そして天啓を得たかのようにハッとして、
「てことはいずれ僕の義妹になるってことだね?」
「なに言ってんだこの少年は」
思わず突っ込んでしまった。
ホント、何言ってんだこの少年は。
とは言いつつも、なんだかまひるちゃんとは上手くやっていけそうで。
なんだか、初めて家族と彼女を引き合わせた時のような感覚を思い出した。
いや彼女じゃないけど。男だから彼氏だけど。
……いや彼氏でもないけど!
そこに、
「なあんだ。思ったより元気そうね」
なんて、声が背後から聞こえた。
これも聞き慣れた声だ。
というか今日は知り合いがたくさん来るなぁ、なんて思いながら振り向く。
「ヒマリ」
そこには俺の予想通り、園城ヒマリが立っていた。
そしてヒマリを認めるや否やまるで犬のように彼女に飛びつく我が妹。
「姐さん!」
なんて言いながら飛びついて来る大質量をしっかり受け止めながらヒマリは笑う。
「や。まひるちゃん」
よしよしなんてまるでじゃれつく大型犬の宥めるようなヒマリに、まひるちゃんは嬉しそうに話しかける。
「今日は大ちゃんはいないの?」
「うん。今日はひとり」
大ちゃん、とは龍次郎のことだ。
まひるちゃんはなんだか苗字であだ名をつけるようで、先程のナギちゃんも、苗字からとったあだ名らしい。
実はちゃんと自己紹介をしてもらったことがないから、彼女の本名を知らないのだけど。
……そういえばかくいう俺も、彼女に自己紹介をした覚えがないが、なぜ彼女は俺の名前を知っていたのだろう。まひるちゃんから聞いたのかな?
それからヒマリはチラリとヨルくんに目を向けた。
「ところでその子は? 見ない顔だけど」
ドキリと心臓が跳ねる。
ああ、どうしよう。本当、こうなる気がしたからお留守番を頼んだのに、なんで出てきちゃったのこの子。
せっかくの休日をバイトで過ごすのもなんだが、たまにはそんな日があってもいいだろうと思う。
ちゃかちゃかとペットボトル飲料の品出しをしながら、思い出すのは昨夜のこと。
角の生えた大男。光の鎖。そして、悪魔のような姿をした、ヨルという少年。
あの時俺は大学のキャンパスまで行ったはずなのに、朝目が覚めた時は自分のベッドの中だった。すわ夢だったかと思った。
だが少なくともヨルくんについては夢じゃなったらしい。目覚めた俺に擦り寄りながらにっこりと笑いかける少年(半裸)の顔を見た時、心臓止まるかと思ったけど。むしろこっちも夢だったらよかったのにな。
そうしてつい昨日知り合った謎の少年ヨルくんに留守番を頼み、俺は朝からバイトに出向いたのだった。
棚におさまらないコーラを適当に積み上げていると、背後から声をかけられた。
「す、すいません」
恐る恐る、という様子が見なくてもわかるその少女の声に、店員に話しかけるのって勇気いるんだろうなあ、おばちゃんとかは躊躇なく商品の場所聞いて来るのに、いい子だなあなんて考えながら振り向く。
そこにいたのは、ゆるりふわりとした白いワンピースを着た、俺より少し年下くらいの内気そうな少女だった。
少女は、何かに驚いたように少し目を見開き、肩口まである黒髪をふわりと揺らしながら声を上げた。
「アサヒさん!?」
俺の名を呼ぶその少女の顔を、俺は知っていた。
彼女は、妹の友達だった。俺がまだ実家に住んでいた頃に、よく家にも遊びに来ていたこの子の名前は。
「ナギちゃん?」
俺が記憶をもとに名前を呼び返すと、少女は少し照れたように頷いてから目を逸らした。
「え、うそ。なんでここに? もしかしてここで働いてるの? もう、シノちゃん知ってたんなら教えてくれてもよかったのに」
頬を抑えているナギちゃんを見て、それから記憶の中ではまるでニコイチであったかのように常に一緒にいた我が妹を周囲に探す。
しかし、妹の姿は見えなかった。
うんまあ、いたらいたで仕事の邪魔をされることは目に見えているんだけど。
「今日はひとり?」
問いかけるとナギちゃんは焦ったようにこちらに向き直った。
「あ、えと。今日は、今日も、一緒です。お父さんにお弁当持って来たんですけど。シノちゃんがつきあってくれて」
ナギちゃんは言いながらかわいい薄いピンク色の手提げを掲げる。
「そうなんだ。それで? そのまひるちゃんは?」
「お米を買うって」
ナギちゃんの言葉に心の中で納得する。
妹・四ノ宮真昼は健啖家である。
男だったら大食漢とも言えるその食欲旺盛ぶりは同居している祖父の血を色濃く受け継いでいるのが窺える。
なんと二人あわせて10合の米を食う。
一食でだ。
しかしそんな量どこに入るんだ、とは思わない。
なんせ妹は俺より“でかい”からだ。
……やめよう。想像しただけでお腹がすいてきた。
「……で、お父さんってのは?」
「え、と。たしか、店長だって言ってましたけど」
言われて店長の顔を思い出す。
ああ、そうなのか。
顔は全く似ていないけど、なんていうかこの少しおどおどしている雰囲気とかは、ちょっと似ているかも知れない。
それにそういえば、店長の娘さんはうちの妹と同い年って聞いた気がするので、多分あっているんだろう。
「店長なら今の時間だと多分裏かな。あっちの扉から入って奥行けば多分いると思う」
そう言ってバックヤードへの扉を指差す。
「あ、ありがとうございます」
しかし、ナギちゃんはお礼を言いつつももじもじとしながら動こうとしない。
「どうしたの?」
「あの、アサヒさん。今一人暮らしなんですよね。シノちゃんに聞きました」
「うん。そうだね。大体こっから10分ちょいくらいかな」
俺がそう答えるとナギちゃんは小さく「よしっ」と力を入れてから、喉を鳴らした。
「よ、よかったら、今度」
しかしその言葉は段々勢いを失くして止まってしまう。
じっと見つめるも、ナギちゃんは目があった途端に焦ったように視線を逸らす。
え、なにこの意味深な態度。
もしかしてこの子俺のこと好きなの?
「今度?」
「あの、えーと」
聞き返すも顔を真っ赤にして唸るナギちゃんにおやこれは、などと思っていると、声が聞こえた。
「にいちゃーん」
遠くから投げかけられたその聞き覚えのある声に、ナギちゃんがビクリと震える。それからわたわたと動いた後、「や、やっぱりなんでもないです!」
なんて言いつつ彼女は逃げるようにバックヤードへの扉に突っ込んで行った。
その様子を呆然と眺めていると再度聞こえる声。
「おーい。にいちゃーん」
声の方を向くと、お客さんの波間から頭一つ抜けた少女が遠くにいるのが目に入った。
少女は想像通りの相手だった。
少女は真っ直ぐにこちらに向かってくる。
20kgの米袋を小脇に抱えつつも、そんなことおくびにも出さない笑顔でがしがしと。
思わず苦笑いが漏れる。
まるでライオンみたいな、癖のついた茶色いショートカットを揺らしながら迫る少女。
あんなフィジカルモンスター、他には知らない。
ご機嫌で俺の下に辿り着いた少女に溜め息をついて、告げる。
「あんまり大きな声出しちゃダメだよ、まひるちゃん」
人ごみの中でもすぐに見つけられるほどの高身長なその少女、俺の妹であるまひるちゃんは、そんな俺の言葉にはにかみながら、
「ごめんごめん。ナギちゃんと一緒にいるのが見えたからついうれしくなっちゃって。なんか行っちゃったけど」
そう言ってナギちゃんが消えて行った扉にチラリと視線を向けた。
「一緒に来たんじゃなかったの」
呆れながら言う俺にまひるちゃんはうーんと唸ってから、あっけらかんと答えた。
「まあ、あれだよ。利害の一致というか」
「君達仲いいように見えてそんな打算的な関係だったの」
そう冗談めかしく言うものの、二人は本当に仲がいい。まひるちゃんは昔からでかくて活発だったわけだけど、そんな彼女の側に常に、まるで真逆な、小動物のような彼女ナギちゃんがいることが不思議でならなかった。
しかしやはり俺が実家にいた頃から、ことあるごとにナギちゃんは家に来ていたようで、まあ人はみかけによらないんだろう、なんて思う。
それにふたりで話している時は、彼女はよく笑って。楽しそうだった。
いや本当こんな、正に竹を割ったような性格の妹にあんな可愛らしいお友達がいるとは。
……。
「……ところでねえねえまひるちゃん」
「なんだいにいちゃん」
小声で話しかける俺に、まひるちゃんが少し屈むように顔を寄せる。
「いつも友達と喋るときは元気いっぱいなのに、俺と喋るときだけ緊張したように声を震わせ顔を赤らめている女の子がいるとする」
「ふんふん」
「あんまり目を合わせてくれないけど、たまに照れたように頬を赤らめながら意味深に目線を送ってくる子がいるとする」
「ほうほうほう」
真面目に相槌を打ってくれるまひるちゃんに、俺は尋ねた。
「これって絶対俺のこと好きだよね」
そんな俺の問いに対して、まひるちゃんは、
「間違いないね。行っちゃえにいちゃん。家に連れ込んじゃえにいちゃん」
力強く頷いて、そう言った。
「そうだよな!? やっぱそうだよな!? え? 行っちゃう? 行っちゃうか? お家連れ込んじゃうか!?」
妹の心強い言葉を聞いて、テンションが上がる。
やっぱりな。いやもしやとは思ったんだ。
友達のお兄ちゃんとかな! 絶対女子高生好きだろうって思ったもん!
ああ、ついに俺にも春が来たか、なんて考えていると、まひるちゃんが口を開いた。
「因みにその子はおいくつくらい?」
「まひるちゃんと同い年」
答えた瞬間、まひるちゃんから表情が消えた。
「それは犯罪だよにいちゃん」
そう言ったまひるちゃんは今まで見たことない程冷え切った表情だった。
「そ、そんなことないだろ?」
震える声縋る俺に、ゆっくり首を横に振って、まひるちゃんは答えた。
「犯罪だよにいちゃん」
「2回言うほど!?」
え、嘘? そんなことないよね? 俺が大学2年でまひるちゃん達が高校2年生だから、たったの3歳差だよ? マジで? やっぱり女子高生から見たら大学生ってもうおじさんなの?
現実の残酷さに震える俺。
しかしまひるちゃんはそんな俺を気にも留めず、思い出したように、「そういえば」と切り出して、
「またにいちゃん宛に郵便届いてたんだけど。いつも通りお家持ってっちゃってよい?」
「ああ、うん」
どうせ部屋の合鍵も持っているし、好きな時に適当に持ってきてくれ、と適当に返そうとしてから。
家にいる褐色の少年のことを思いだした。
一気に血の気が引くのを感じた。
「あ、いや。ダメ。駄目だわ。今ちょっと人入れられる状態じゃないわ」
あの少年のことだ、きっと今頃俺のいない部屋で天衣無縫だろう。
俺にはわかる。なんだかわからんがわかる。
俺の言葉に、まひるちゃんは不思議そうに首を傾げる。
「なに、またお掃除さぼっちゃってるの? 心配しなくても荷物置くだけなんだから大丈夫だよ。別にあたしは散らかってても気にしないし」
「いや、うん。そういうのじゃないんだよ。そういうのじゃないの」
歯切れの悪い俺の言葉を聞いて、まひるちゃんは何かに思い当たったような顔をしてから、眉を顰めた。
「……もしかして女の子連れ込んでるの?」
追求するようなそのまなざしに、目が泳ぐ。
「あー。……当たらずも遠からずというか」
そんな俺に対し、まひるちゃんはひとつ息を吐き、
「にいちゃん」
「なんだいまひるちゃん」
「監禁は犯罪だよ」
困ったように、腫れものに触れるようにそう言った。
「同意の上かもしれないだろ! 俺を犯罪者にしようとするのはやめろ!」
言い返すも、まひるちゃんの顔は引きつっていた。
しかし、その視線は、犯罪者予備軍の俺ではなく、
「ねえ、アサヒくん。この子はだれ?」
いつの間にか俺の背後に立っていた、朝ぶりに顔を合わせた褐色の少年に向けられていた。
「え……? な、んで……いるの?」
「なんで、ってアサヒくんに会いたくなったからに決まってるじゃない」
キマってるのはお前だろ……!
あまりの展開に、血の気が一気に引き、脳が痺れたかのような感覚に陥る。
しばしの間沈黙が流れてから、まひるちゃんが口を開いた。
「……にいちゃん」
「…………、」
返事ができない俺を咎めるように、まひるちゃんがぐいと詰め寄る。
「ねえ、にいちゃん。この子はだれ?」
やましいことはなにもしていない(手を出していない的な意味で)。していないが、謎の罪悪感により答えられない俺。
ヨルくんはそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、俺とまひるちゃんにそれぞれ目線を向けてから、
「僕はヨル」
まひるちゃんに、そう名乗った。
あかん。
「ま、待って!」
そう思ってヨルくんを止めようとするも、まひるちゃんが、俺を威圧するようにじろりと睨んだ。
喉がひゅっと鳴る。
「にいちゃんは黙ってて」
「はい」
二つ返事だった。
だって勝てないし。
まひるちゃんは俺が動かなくなったことを確認すると、ヨルくんと視線を合わせるように屈む。それからにっこり笑って、
「ヨルくん。ヨルくんはこのお兄ちゃんと、どういう関係?」
そう問いかけた。
「関係?」
ヨルくんは確認するように言い返す。それからふむと、考えた。
それからすぐに思いついたかようにまひるに向き直る。
頼むぞヨルくん余計なこと言うなよ……!
「主従関係」
「えっ」
「あっ」
さらりと言ってのけたヨルくんに、まひるの顔が笑顔のまま固まった。
終わった。
そう思っているとまひるちゃんはヨルくんから少し距離を取るように俺の腕を引っ張って、顔を寄せた。
「え、嘘でしょにいちゃん。まさかこの子……? 女の子どころか男の子だなんて。しかも少年。少年て。やばいでしょにいちゃん。業深すぎでしょ」
「いや、待て待てまひるちゃん違うんだ。いや違くは無いんだけど」
「そんな! 昨夜はあんなに熱い夜を共に過ごしたじゃない!」
俺の弁解を耳聡く聞いていたのかヨルくんが口を挟む。
本当待て! これ以上ややこしくなるようなことを言うな! しかも昨夜とか何もしてないだろ!
……何もしてないよね!?
まひるちゃんはその様子を見てにっこり笑って。
それからズボンのポケットからおもむろに携帯を取り出した。
「通報」
「あー! 待って待って! チャンス、チャンスを、弁明の機会をください!」
テンパってまひるちゃんに縋りつき、なんとか絶望への一歩目を止めようとすると、
まひるちゃんは、ぷ、と吹き出した。
呆気にとられる俺に、まひるちゃんが続ける。
「なーんてね。どうせ、なんか訳ありなんでしょ? 家出とか、そんな感じ? まあ、なんでもいいけど」
それからヨルくんの頭に手を乗せて笑う。
「この子、困ってたんでしょ?」
ぐりぐり頭を撫でられるヨルくんは少しくすぐったそうに目を細めるも、その手を払いはしなかった。
「……うん。そうなんだ」
俺がそう認めるとまひるは「そっか」とヨルくんから手を離して、
「じゃあ、いいや」
「色々聞かなくていいの?」
俺が尋ねると、まひるちゃんはどこか嬉しそうに笑う。
「言いにくいことなんでしょ? 言えるようになったらでいいよ」
その、我が妹ながらさっぱりとした態度に、安堵と共に笑みが漏れた。
「ありがとう。まひるちゃん」
「いいえ。いつものことじゃん」
それからまた、まひるちゃんはヨルくんと視線を合わせる。
「ヨルくん」
「なあに」
「あたしはまひる。四ノ宮真昼(しのみや まひる)。このお兄ちゃんの妹。よろしくね」
そうやって人懐っこく笑うまひるを、ヨルくんは静かに眺めてから。
確かめるように頷いて、答えた。
「……うん。よろしくマヒルちゃん」
そう言ったヨルくんの笑顔は、どことなく、嬉しそうだった。
それから、噛みしめるように呟く。
「そっか。アサヒくんの妹……」
そして天啓を得たかのようにハッとして、
「てことはいずれ僕の義妹になるってことだね?」
「なに言ってんだこの少年は」
思わず突っ込んでしまった。
ホント、何言ってんだこの少年は。
とは言いつつも、なんだかまひるちゃんとは上手くやっていけそうで。
なんだか、初めて家族と彼女を引き合わせた時のような感覚を思い出した。
いや彼女じゃないけど。男だから彼氏だけど。
……いや彼氏でもないけど!
そこに、
「なあんだ。思ったより元気そうね」
なんて、声が背後から聞こえた。
これも聞き慣れた声だ。
というか今日は知り合いがたくさん来るなぁ、なんて思いながら振り向く。
「ヒマリ」
そこには俺の予想通り、園城ヒマリが立っていた。
そしてヒマリを認めるや否やまるで犬のように彼女に飛びつく我が妹。
「姐さん!」
なんて言いながら飛びついて来る大質量をしっかり受け止めながらヒマリは笑う。
「や。まひるちゃん」
よしよしなんてまるでじゃれつく大型犬の宥めるようなヒマリに、まひるちゃんは嬉しそうに話しかける。
「今日は大ちゃんはいないの?」
「うん。今日はひとり」
大ちゃん、とは龍次郎のことだ。
まひるちゃんはなんだか苗字であだ名をつけるようで、先程のナギちゃんも、苗字からとったあだ名らしい。
実はちゃんと自己紹介をしてもらったことがないから、彼女の本名を知らないのだけど。
……そういえばかくいう俺も、彼女に自己紹介をした覚えがないが、なぜ彼女は俺の名前を知っていたのだろう。まひるちゃんから聞いたのかな?
それからヒマリはチラリとヨルくんに目を向けた。
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ドキリと心臓が跳ねる。
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