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どういう状況?
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「……これはどういう状況だ?」
ヴェルネの家の門前に着いた俺たちは困惑して立ち止まっていた。
それもそのはず。目の前には裸にエプロンをした姿のヴェルネとルルアがベロベロに酔った様子で寝転がっているのだから。
「……あ~!カ~ズ~おか~り~」
「ホントだ~、おにぃちゃんだ~」
俺たちの姿を見たヴェルネとルルアが赤くした顔で満面の笑みになり、こっちに手を振りながらそう言って迎えてくれた。
「た、ただいま……なんでお前らこんなところにいるんだ?しかもなんか酔ってない?」
「酔ってないれす!」
ヴェルネが普段使わないような「ですます調」を使って返事をし、さらに呂律が回ってない。これを酔ってると言わず何と言う。
しかも周囲にはその酒が入っていたビンらしきものも転がってるし、確実にアルコール類を飲んだのは明らかだった。
「おにぃちゃんおにぃちゃん」
するとルルアが俺の服を引っ張りながらいつもと違うニュアンスで呼んでくる。
「えへぇー」とたるみきった笑顔をする幼姿のルルアを見ていると可愛くも見えてくるけれど……
「なんかずいぶん嬉しそうだけど、良いことでもあったのか?」
「うん、だって……お姉様もルルアたちと同じになったんだもん!」
ルルアの要領を得ない言葉に眉間にシワが寄ってしまう。
ルルアたちと同じになった……ってなんだ?そもそも「たち」って誰のことを言ってる?
疑問が疑問を呼びさらに混乱する中、ヴェルネが「はいはーい」と子供のように手を挙げて挙手する。
「ヴェルネも一万歳のジュミョーになりましたぁー!」
「「……えっ」」
俺とマヤルが口を揃えて声を漏らす。
ヴェルネが見たこともないテンションで自身のことを名前で言ったのに気を取られて重要な聞き逃しそうになったけれど……
「今……寿命がなんて?」
「いちまんしゃい!あんたとおんらひよ!」
滑舌がもっと酷くなって聞き取りにくくなってしまっているが、ヴェルネは今「一万歳」「あんたと同じよ」と言ったように聞こえた。
まさか……
「ヴェルネにも儀式をしたのか?」
「あん!」
詫びれる様子もなく微妙に元気な感じで返事をするルルア。マジかよ……それじゃあヴェルネも寿命が思いっ切り伸びたってことか。
「カズさん、儀式って……?」
「あぁ――」
聞いてきたマヤルには吸血鬼が持つ知識の中に彼らと同様ほどに寿命を伸ばす儀式があることを伝えた。
そして俺はすでにその儀式を行って寿命が伸びていること、さらにそれをヴェルネが行ったであろうことも。
「……それってマジのやつですか?」
「そういうのがわかる知り合いが言ってたから本当……だと思う」
実際に効果があるなんて生きてみないとわからないからなんとも言えない。
ただあの黒い竜……ヤトの言葉を信じるなら俺も、そしてヴェルネも寿命が一気に伸びているはずだ。
実際に五十年百年生きてみないと実証できないというのがまた歯痒いけれど。
でもヴェルネは俺の寿命のことを知らないはずだ。ということはルルアが話したのか……?
「……その真偽はともかく、今はコイツらの格好をどうにかするのが先だな。このままだと風邪引くぞ」
裸エプロンに憧れを持つ男は多いと聞くが、こんな真夜中の外でそんな姿で居座られてたら心配の方が先にきてしまうだろうさ。
「そっすね、今服を……そういえば元々着てた服はどこにやったんでしょうか?」
「……わからん。家の中で脱いだか、儀式をしに行った吸血鬼の城の中か……流石にそのエプロンを着た場所で脱いだとは思うけど」
まさかとは思うが裸で街に繰り出す痴女みたいなことはしてないと……願う。
「えっと……一応聞くけど服はどこに?」
「え~?着てるじゃな~い♪」
ヴェルネが「ホラホラ~」とエプロンの肩掛けを持ってヒラヒラさせる。
やめなさい、見えそうで見えないせいでドキドキしちゃうでしょうが。……なるほど、これが裸エプロンの魔力か……
「……うふふ、すけべ~」
考えが顔に出てたのか、俺を見てヴェルネが含みのある笑いでからかってくる。
今日は調子が狂わされてばかりだな……
「それよりもそれ、どこで着替えたんだ?」
「忘れたわ、そんなもん!」
「ご飯作るところだよー!」
ケラケラと雑に答えるヴェルネに変わってルルアが答えてくれる。んー、これはもしかして?
「ヴェルネとルルア、これ何本に見える?」
手の指を三本だけ立てて彼女たちに見せる。
「三百本ンンンッ!」
「三本!」
ヴェルネは完全に酔った勢いで喋っているが、ルルアはへにゃりと緩んだ笑みで普通に答える。
もしかしたらルルアはまだ正常な判断ができるのかもしれないな……ほぼ裸で外にいる時点でかなりアウト気味だけど。
にしてもヴェルネが今この状況を後々覚えてたらどんな反応をするか楽しみだな。
どうせなら動画とかにして撮っておきたい……が、この格好の彼女たちを撮るのは流石にラインを超えているだろうからやめておこう。さっきそういうのを自制しようって決めたところだし。
「そうだな……とりあえずマヤルとジークは二人を寝室に運んでくれるか?服は俺が取りに行くから……ん?ジーク?」
そういえばさっきから反応がない。流石のジークもこの主人の姿に呆れちまったか?
と思いつつ周囲を見ると、ジークは何かを抱えて座り込んでいた。
ヴェルネの家の門前に着いた俺たちは困惑して立ち止まっていた。
それもそのはず。目の前には裸にエプロンをした姿のヴェルネとルルアがベロベロに酔った様子で寝転がっているのだから。
「……あ~!カ~ズ~おか~り~」
「ホントだ~、おにぃちゃんだ~」
俺たちの姿を見たヴェルネとルルアが赤くした顔で満面の笑みになり、こっちに手を振りながらそう言って迎えてくれた。
「た、ただいま……なんでお前らこんなところにいるんだ?しかもなんか酔ってない?」
「酔ってないれす!」
ヴェルネが普段使わないような「ですます調」を使って返事をし、さらに呂律が回ってない。これを酔ってると言わず何と言う。
しかも周囲にはその酒が入っていたビンらしきものも転がってるし、確実にアルコール類を飲んだのは明らかだった。
「おにぃちゃんおにぃちゃん」
するとルルアが俺の服を引っ張りながらいつもと違うニュアンスで呼んでくる。
「えへぇー」とたるみきった笑顔をする幼姿のルルアを見ていると可愛くも見えてくるけれど……
「なんかずいぶん嬉しそうだけど、良いことでもあったのか?」
「うん、だって……お姉様もルルアたちと同じになったんだもん!」
ルルアの要領を得ない言葉に眉間にシワが寄ってしまう。
ルルアたちと同じになった……ってなんだ?そもそも「たち」って誰のことを言ってる?
疑問が疑問を呼びさらに混乱する中、ヴェルネが「はいはーい」と子供のように手を挙げて挙手する。
「ヴェルネも一万歳のジュミョーになりましたぁー!」
「「……えっ」」
俺とマヤルが口を揃えて声を漏らす。
ヴェルネが見たこともないテンションで自身のことを名前で言ったのに気を取られて重要な聞き逃しそうになったけれど……
「今……寿命がなんて?」
「いちまんしゃい!あんたとおんらひよ!」
滑舌がもっと酷くなって聞き取りにくくなってしまっているが、ヴェルネは今「一万歳」「あんたと同じよ」と言ったように聞こえた。
まさか……
「ヴェルネにも儀式をしたのか?」
「あん!」
詫びれる様子もなく微妙に元気な感じで返事をするルルア。マジかよ……それじゃあヴェルネも寿命が思いっ切り伸びたってことか。
「カズさん、儀式って……?」
「あぁ――」
聞いてきたマヤルには吸血鬼が持つ知識の中に彼らと同様ほどに寿命を伸ばす儀式があることを伝えた。
そして俺はすでにその儀式を行って寿命が伸びていること、さらにそれをヴェルネが行ったであろうことも。
「……それってマジのやつですか?」
「そういうのがわかる知り合いが言ってたから本当……だと思う」
実際に効果があるなんて生きてみないとわからないからなんとも言えない。
ただあの黒い竜……ヤトの言葉を信じるなら俺も、そしてヴェルネも寿命が一気に伸びているはずだ。
実際に五十年百年生きてみないと実証できないというのがまた歯痒いけれど。
でもヴェルネは俺の寿命のことを知らないはずだ。ということはルルアが話したのか……?
「……その真偽はともかく、今はコイツらの格好をどうにかするのが先だな。このままだと風邪引くぞ」
裸エプロンに憧れを持つ男は多いと聞くが、こんな真夜中の外でそんな姿で居座られてたら心配の方が先にきてしまうだろうさ。
「そっすね、今服を……そういえば元々着てた服はどこにやったんでしょうか?」
「……わからん。家の中で脱いだか、儀式をしに行った吸血鬼の城の中か……流石にそのエプロンを着た場所で脱いだとは思うけど」
まさかとは思うが裸で街に繰り出す痴女みたいなことはしてないと……願う。
「えっと……一応聞くけど服はどこに?」
「え~?着てるじゃな~い♪」
ヴェルネが「ホラホラ~」とエプロンの肩掛けを持ってヒラヒラさせる。
やめなさい、見えそうで見えないせいでドキドキしちゃうでしょうが。……なるほど、これが裸エプロンの魔力か……
「……うふふ、すけべ~」
考えが顔に出てたのか、俺を見てヴェルネが含みのある笑いでからかってくる。
今日は調子が狂わされてばかりだな……
「それよりもそれ、どこで着替えたんだ?」
「忘れたわ、そんなもん!」
「ご飯作るところだよー!」
ケラケラと雑に答えるヴェルネに変わってルルアが答えてくれる。んー、これはもしかして?
「ヴェルネとルルア、これ何本に見える?」
手の指を三本だけ立てて彼女たちに見せる。
「三百本ンンンッ!」
「三本!」
ヴェルネは完全に酔った勢いで喋っているが、ルルアはへにゃりと緩んだ笑みで普通に答える。
もしかしたらルルアはまだ正常な判断ができるのかもしれないな……ほぼ裸で外にいる時点でかなりアウト気味だけど。
にしてもヴェルネが今この状況を後々覚えてたらどんな反応をするか楽しみだな。
どうせなら動画とかにして撮っておきたい……が、この格好の彼女たちを撮るのは流石にラインを超えているだろうからやめておこう。さっきそういうのを自制しようって決めたところだし。
「そうだな……とりあえずマヤルとジークは二人を寝室に運んでくれるか?服は俺が取りに行くから……ん?ジーク?」
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と思いつつ周囲を見ると、ジークは何かを抱えて座り込んでいた。
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