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3章
7話目 中編 出現
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少々話し過ぎてしまった。
ララは無事なのか……遅れて焦りを感じる。
彼女も冒険者だから少しは抵抗するだろう。
しかし力が強いと言っても、所詮彼女も女の子だ。だからか嫌な予感がする。
無事でいてくれ……そう思いながら裏路地に入って進んでいく。
するとすぐにララを見付けた。
しかも予想してた通り、数人の屈強な男たちに組み伏せられて今にも殺されそうな状況。
俺は頭に血が上りそうになっていた。
【戦闘状態への移行を確認。戦闘時に不要な感情を確認。レジストします。戦闘状態に移行したため《不明ウイルスLv.2》が発動されました】
久しぶりに頭へ直接響くように聞こえてくるアナウンスの機械的な音声。
同時に昂りそうだった感情が冷めて冷静になる。
俺はすぐに走り出し、フィッカーから短剣を二つ取り出して自分の脇腹突き刺す。
「そこで何してんだ」
自分でもびっくりするくらい冷めた声で俺はそう言い放ち、体から抜いたらその武器で振り上げた男たちを切り付けた。
「……が……ぁ……?」
「なん……だ……これ……?」
突然動かなくなってしまった自分の体に戸惑う男たち。
それもそうだろう。それは俺の「血」の効果なんだから。
チェスターとの研究の成果、とも言うべきか。
どうやら俺の体からは生物の害となるあらゆる成分が検出されていたらしい。
毒、眠り、麻痺……他にも成分が出たらしいが、それはまた別の機会にでも話そう。
とりあえず今、自分に短剣を突き刺したのは麻痺の効果のある血を短剣に塗るためだ。
そしてその効果は即効性があって絶大。
このように大の大人でも切られて数秒も経たないうちに体が麻痺し、指一本動かなくなるというわけだ。
ちなみに《不明ウイルス》の内容はまだわかっていない。
そいつらが武器を落とさないように俺がすぐ回収する。
「誰だテメ――」
「ああ、お前もな」
ララに対する一番の危険を優先的に取り除いたら、今度はララを押さえているクズ野郎を切った。
「女の子の上で馬乗りするとか、クズ野郎かよ?」
「あがっ……がっ……!?」
「なんだこれは」と言わんばかりに驚いた表情で固まり、石だったかのようにそのまま転がって倒れる男。
異様な事態に他のチンピラたちも戸惑い狼狽えていた。
ララを押さえていた他の奴らも、俺が睨むとたじろいで離れていく。
周囲に俺とララ以外に誰もいなくなったのを確認して、倒れたままの彼女に手を差し伸べる。
「大丈夫かララ?知らない人に付いて行ってるのが見えたからおじさん心配になって追いかけてきちまったよ」
少し茶化した言い方をして気分を紛らわせようとするが、ララは涙目になって今にも泣きそうになっていた。
というよりもう抱き着いてきていた。
「ヤ……タ……!」
その声はとてもか細く、聞き取り辛いくらいに消えてしまいそうだったが、確かに呼んだ。
「っとと!?ララ……お前、声が――」
「《主よ、我らの前に立ち塞がる敵を屠り給え――フレアボム》」
そんな声が後ろから聞こえ、一気に周囲が明るくなった。
振り返ると、大きめの炎の玉が俺たちに向かって放たれていた。
「なんだアレは」「逃げろ」「あぶねぇ」色んな言葉が頭に浮かぶも、あまりに咄嗟のことで口から出てこない。
ただ俺の体は無意識に立ち上がり、ララを庇うように動いていた。
背中に走る衝撃と共に目の前が暗転し、落下する感覚と再び背中と壁がぶつかる感覚を味わった。
だが痛みがないからこそその状況を吹き飛ばされながらも冷静に分析できる。
俺は奇跡によって吹き飛ばされたんだ。
目を開けた先には、いかにも「自分がやりました」と言うように手の平を前に出している男がいた。絶対あいつだ。
俺がこうでもしなければ、ララが丸焦げになっていただろう……
そう思ったら怒りがフツフツと沸いてきた。
【戦闘に不要な感情を検知。レジストします】
……冷静に物事を見られるのは良いことなんだろうけど、感傷的にならなきゃいけない場面で怒ったり泣いたりできないのは人間としてどう思われるんだろ……ま、今はどうでもいいか。
それよりもだ、気味の悪いことが一つある。
たった今、奇跡を放った奴の様子がおかしい。
表情がないというのか……さっきからずっと無表情だ。
しかもただの無表情や感情を出し難いとかいうレベルじゃない気がする。
なんだ、このモヤッとした気持ち悪い感じは……?
それにあの顔、どこかで……
「や……やるじゃねえか!まさかあんな強ぇ奇跡が使えるなんてな!」
その男の仲間と思しきチャラい奴が、戸惑いながらもそいつに馴れ馴れしく肩を組んでそう言った。
それでも男は顔色一つ変えない……むしろ焦点すら合ってない気がする。
なんなんだ、あの抜け殻のような男は?
状況をきちんと確認するために俺は立ち上がり、服に付いた砂埃を払う。
「……はっ!?なんで生きてるんだ?というかなんで今ので無事なんだよ!今直撃したんじゃなかったのか……!?」
ぶっ飛んだはずの俺にかすり傷一つないことに驚くチャラ男。
「だったらもう一度だ!動けなくなったボスの代わりに俺が指示を出してやる、もう一回今の技をあいつに撃て!」
チャラ男は動揺を隠さないまま奇跡を放った奴に命令する。
しかし次の瞬間、奇跡を放った男はありえない角度でチャラ男の方へ振り向いた。
――ズプッ
「……へ?」
間の抜けた声を出したチャラ男は、たった今まで肩を組んでいた男の中へ沈んでいく。
ララは無事なのか……遅れて焦りを感じる。
彼女も冒険者だから少しは抵抗するだろう。
しかし力が強いと言っても、所詮彼女も女の子だ。だからか嫌な予感がする。
無事でいてくれ……そう思いながら裏路地に入って進んでいく。
するとすぐにララを見付けた。
しかも予想してた通り、数人の屈強な男たちに組み伏せられて今にも殺されそうな状況。
俺は頭に血が上りそうになっていた。
【戦闘状態への移行を確認。戦闘時に不要な感情を確認。レジストします。戦闘状態に移行したため《不明ウイルスLv.2》が発動されました】
久しぶりに頭へ直接響くように聞こえてくるアナウンスの機械的な音声。
同時に昂りそうだった感情が冷めて冷静になる。
俺はすぐに走り出し、フィッカーから短剣を二つ取り出して自分の脇腹突き刺す。
「そこで何してんだ」
自分でもびっくりするくらい冷めた声で俺はそう言い放ち、体から抜いたらその武器で振り上げた男たちを切り付けた。
「……が……ぁ……?」
「なん……だ……これ……?」
突然動かなくなってしまった自分の体に戸惑う男たち。
それもそうだろう。それは俺の「血」の効果なんだから。
チェスターとの研究の成果、とも言うべきか。
どうやら俺の体からは生物の害となるあらゆる成分が検出されていたらしい。
毒、眠り、麻痺……他にも成分が出たらしいが、それはまた別の機会にでも話そう。
とりあえず今、自分に短剣を突き刺したのは麻痺の効果のある血を短剣に塗るためだ。
そしてその効果は即効性があって絶大。
このように大の大人でも切られて数秒も経たないうちに体が麻痺し、指一本動かなくなるというわけだ。
ちなみに《不明ウイルス》の内容はまだわかっていない。
そいつらが武器を落とさないように俺がすぐ回収する。
「誰だテメ――」
「ああ、お前もな」
ララに対する一番の危険を優先的に取り除いたら、今度はララを押さえているクズ野郎を切った。
「女の子の上で馬乗りするとか、クズ野郎かよ?」
「あがっ……がっ……!?」
「なんだこれは」と言わんばかりに驚いた表情で固まり、石だったかのようにそのまま転がって倒れる男。
異様な事態に他のチンピラたちも戸惑い狼狽えていた。
ララを押さえていた他の奴らも、俺が睨むとたじろいで離れていく。
周囲に俺とララ以外に誰もいなくなったのを確認して、倒れたままの彼女に手を差し伸べる。
「大丈夫かララ?知らない人に付いて行ってるのが見えたからおじさん心配になって追いかけてきちまったよ」
少し茶化した言い方をして気分を紛らわせようとするが、ララは涙目になって今にも泣きそうになっていた。
というよりもう抱き着いてきていた。
「ヤ……タ……!」
その声はとてもか細く、聞き取り辛いくらいに消えてしまいそうだったが、確かに呼んだ。
「っとと!?ララ……お前、声が――」
「《主よ、我らの前に立ち塞がる敵を屠り給え――フレアボム》」
そんな声が後ろから聞こえ、一気に周囲が明るくなった。
振り返ると、大きめの炎の玉が俺たちに向かって放たれていた。
「なんだアレは」「逃げろ」「あぶねぇ」色んな言葉が頭に浮かぶも、あまりに咄嗟のことで口から出てこない。
ただ俺の体は無意識に立ち上がり、ララを庇うように動いていた。
背中に走る衝撃と共に目の前が暗転し、落下する感覚と再び背中と壁がぶつかる感覚を味わった。
だが痛みがないからこそその状況を吹き飛ばされながらも冷静に分析できる。
俺は奇跡によって吹き飛ばされたんだ。
目を開けた先には、いかにも「自分がやりました」と言うように手の平を前に出している男がいた。絶対あいつだ。
俺がこうでもしなければ、ララが丸焦げになっていただろう……
そう思ったら怒りがフツフツと沸いてきた。
【戦闘に不要な感情を検知。レジストします】
……冷静に物事を見られるのは良いことなんだろうけど、感傷的にならなきゃいけない場面で怒ったり泣いたりできないのは人間としてどう思われるんだろ……ま、今はどうでもいいか。
それよりもだ、気味の悪いことが一つある。
たった今、奇跡を放った奴の様子がおかしい。
表情がないというのか……さっきからずっと無表情だ。
しかもただの無表情や感情を出し難いとかいうレベルじゃない気がする。
なんだ、このモヤッとした気持ち悪い感じは……?
それにあの顔、どこかで……
「や……やるじゃねえか!まさかあんな強ぇ奇跡が使えるなんてな!」
その男の仲間と思しきチャラい奴が、戸惑いながらもそいつに馴れ馴れしく肩を組んでそう言った。
それでも男は顔色一つ変えない……むしろ焦点すら合ってない気がする。
なんなんだ、あの抜け殻のような男は?
状況をきちんと確認するために俺は立ち上がり、服に付いた砂埃を払う。
「……はっ!?なんで生きてるんだ?というかなんで今ので無事なんだよ!今直撃したんじゃなかったのか……!?」
ぶっ飛んだはずの俺にかすり傷一つないことに驚くチャラ男。
「だったらもう一度だ!動けなくなったボスの代わりに俺が指示を出してやる、もう一回今の技をあいつに撃て!」
チャラ男は動揺を隠さないまま奇跡を放った奴に命令する。
しかし次の瞬間、奇跡を放った男はありえない角度でチャラ男の方へ振り向いた。
――ズプッ
「……へ?」
間の抜けた声を出したチャラ男は、たった今まで肩を組んでいた男の中へ沈んでいく。
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