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ヒメと明彦4、良子・芳芳編
第26話 良子の家4、天ぷら蕎麦と熱いほうじ茶
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20世紀のいつか、良子大学1、芳子大学1、明彦大学2、雅子大学3
三人とも唸っている。チャイムが鳴った。良子がちょっと失礼と言って玄関に行く。また、ツケで。おじさん、お盆をお借りするわね。ありがとう、なんて言っている。
良子がお盆にのせられた天ぷら蕎麦を持って応接間に入ってきた。「ファン、お腹すいたでしょう?熱々の天ぷら蕎麦よ。召し上がれ」とニコニコして言う。この暑いのに天ぷら蕎麦ってなんだ?なんで天ぷら蕎麦を注文するんだ?「良子、夏なら冷やし中華だろ?」「さっき、三人でカツ丼と天ぷら蕎麦を食べたのよ。それで思わず・・・」
雅子がクスクス笑う。「良子、意地悪しちゃダメでしょ?」とわけのわからないことを言う。「ファンファン、あのね、さっき、良子が応接間のソファーテーブルで、女の子が熱い汁物を食べたら、すごいことになる、女の子はソファーテーブルで汁物を食べてはいけないって言ってたの。私たちはキッチンでお蕎麦を頂きました」
「雅子、バラしちゃダメよ。でも、ファン、ジーンズなんだもの。いつものミニスカートなら明彦は可愛い女の子のパンツが見えたのにねえ・・・さ、ファン、キッチンに行こう!」とお盆にお蕎麦をのせて、さっさと行ってしまう。
「まったく、あの女はなんなんだ?深刻な話をしている最中に!」
「ファンファン、いつもの良子的な行動じゃないの?」と明彦が言う。確かに。あいつの行動は読めない!
三人でキッチンに行った。確かに、ダイニングテーブルの方が熱いお蕎麦は食べやすい。ファン、七味唐辛子よと目の前におかれる。
「さて、話の続きだけど・・・」と良子。
「食べている途中よ、こっちは!」
「食べながら話そう」
「まったく!え~、何の話だったっけ?・・・つまり、達夫がまだ美姫をアパートに住まわせているか、それとも台湾野郎に売っ飛ばしたか、わからないけど、私と良子で達夫のアパートに行って、確かめてくるのがいいと思う」ズルズル
「ファンファン、ぼくも行く。当事者だから。女の子二人に任せられないよ」と明彦。
「明彦、喧嘩、できる?」
「・・・頭は固い」
「頭?固い?」
「ぼくの家系は、頭蓋骨が固いんだ。喧嘩はできない、体術は知らないけど、頭突きはできる」
「明彦、頭突きなんて技じゃないわよ?」と良子。
「良子、一理ある。狭いアパートの部屋で、近接でもみ合ったら、頭突きは武器になる。人間の体で、鍛えられないのは頭部。側頭部と後頭部は鍛えられない。そこを頭突きでやられたらかなりのダメージだ」
「ファン、だから、喧嘩の自信はないけど、ぼくがアパートに乗り込むよ。か弱い女の子に任せておけない」
「明彦、誰がか弱いの?私、合気道の有段者だよ」ズルズル
「え?」
「結構、強いよ、私。それで、私より強いのが良子。彼女には私は勝てない」
「良子、そんなこと言ったことがないじゃないか?ヒメだって知らないぞ?」
「あら、言う必要はないでしょ?私とファンは小学校の頃から道場に通っているのよ。でも、ファン以外誰も知らない話。生徒会長が合気道の有段者なんて、イメージが崩れるもの」
「やれやれ」
「ということで、達夫一人だったらいいけど、やつのダチがいたらマズイでしょ?達夫は私のことを知っているから、ウソをついて、私がドアを開けさせる。それで、私、良子、明彦が部屋にのりこむ。美姫がいれば、取り返して逃げる。いなければ、達夫に居場所を吐かせる。この作戦でどう?」
「ファン、私もついて行きます。役に立たないけど、足手まといにならないように離れて。美姫ちゃんのことは他人事と思えないのよ」と雅子。
「う~ん・・・もしも、私たちがやられそうになったら、雅子が警察に通報すればいいのか?浩司に、吉村刑事の電話番号を教えるから、もしもの時の連絡役に雅子はなってもらおうか・・・」ズルズル「良子、冷たい麦茶とかないの?おまえ、熱いほうじ茶しか出してくれないじゃん!」ズルズル
やっと食べ終わった。良子のユーモアの感覚は小学校6年以来の付き合いだけど、まったく理解できない。みんな応接間に戻った。応接間にはクーラーがある。
「何時に達夫のアパートに行こうと思っているの?」と良子。
「日が暮れてからからかな?7時過ぎ。8時前くらい?」
「あら、時間があるわね?ねえ、暑いから、ビールでも飲まない?」
「・・・天ぷら蕎麦を食べる前にそれを言えよ!」
「だって、何時に行くのか、わからなかったんですもの。私、ビールを飲む。みんなも飲むわね?」
明彦がバンザイした。私もお手上げだ。頭を抱えた。雅子がゲラゲラ笑い出した。雅子、笑い上戸なのか?
「ビール、持ってこよう!」と良子が嬉しそうに言う。こののんべが!
「良子、私、手伝う」と言って、雅子も応接間を出ていった。
私と明彦だけ。「明彦、よく、あんなのと付き合ってるね?小学校6年の時からの付き合いだけど、良子は理解の範疇外だよ」
「ぼくは、去年の夏以来だけどね」
「あなたも、まあ、美姫と良子と?両手に花だったんだね。それに、雅子?美少女とカワイ子ちゃんばっかじゃん?」
「話は複雑なんだよ」
「美姫もあれだね、浮気みたいなものじゃない?もう、元には戻れないのかしら?」
「それは、美姫を取り戻してから考えよう」
「美姫がいなくなったんだから、良子で良かったんじゃないの?」
「どうだろ?良子とは良い友だちで気が合うけど」
「体の関係があっても?」
「うん、さっき、雅子が言っていた。良子は稀有な存在だって。『男に抱かれた女って、愛情関係になる。もう、男と女の友情は成立しない。それが普通だけど、良子と明彦の関係では、肉体関係があってもなくても、友情関係はなくならないのよ。だから、良子は稀有な存在』なんだそうだ」
「う~ん、あのさ、良子、あんたのことがとても好きだよ、きっと」
「ファンファン、わからんよ、今は」
「モテて良いわね。私なんか美少女でもカワイ子ちゃんでもないからさ」
「それって、みんな自覚がないんだよ。キミも、良子も、雅子も。自意識が薄いんだよ、みんな。ファンファンは雅子やヒメくらい可愛いと思う」
「お世辞にしてもうれしいじゃん!今晩、鏡を見ようっと」
「それはそうと、その台湾の連中が行方不明の女性を倉庫に閉じ込めているって話。輪姦されるってこともあるんだろうか?」
「それはわからない。彼らにとっては彼女らは商品だから。だけど、味見をするってことはありえないことじゃない」
「輪姦されたら、心理的な負担が増えるな・・・」
「トラウマは残ると思う。そうなっていないことを願うこと。ラッキーだったら、達夫のアパートにいて奪い返せるかもしれないしね」
「去年の秋からヒメの様子はおかしかったんだ。ぼくがちゃんと気づいてやればよかったよ」
「悪いけど、浮気されてたんだよ、明彦」
「ぼくと良子に知らせないで・・・」
「見つけて家に連れかえったら、引っ叩いてやればいいんだ、ワガママ女は」
「見つかったらの話だよなあ・・・見つかっても元には戻らないんだ・・・あのバカ女が!」
「思いっきりビンタしてやんなよ」
「でも、ヒメが可哀想だ」
「優しいんだね、明彦は」
「雅子は雅子で、良子を入れてエッチしたい、って言うし」
「あんたたちいかれてるよ・・・あれ?良子は使用済みじゃん?三人でいいなら、私も混ぜてよ」
「ファンファンには刑事の彼氏がいるでしょ?」
「明彦、地方公務員の神奈川県警のデカと中国マフィアの家の娘が添い遂げられると思う?歪な愛情なんだよ。だったら、別に私が明彦に抱かれてもいいじゃん?」
「話がもっとややこしくなるだろう?」
「チェッ!三人ってしたことなかったのに・・・いつでもオファーは受けるよ。明彦、中国娘としたことないだろう?」
「やれやれ」
良子と雅子が戻ってきた。こののんべが!瓶ビール、4本。ウイスキーまで持ってきてる。ナッツにビーフジャーキー。宴会してる場合かよ?これから喧嘩に行くんだよ!それにしても、雅子と良子は仲がよさそうだね?今日、会ったばかりだろ?わかんないなあ、この連中。
良子がみんなにビールを注いで回る。こいつのペースに合わせているととんでもないことになる。そうだろ?明彦?と聞いたら、何度も体験済みだそうだ。私と明彦は自分のペースを守った。だけど、雅子は良子と同じペース。もうウイスキーにしてる。良子がいつもの調子でドボドボと注いでいる。あ~あ。雅子、京都出身?京女って、のんべなのかよ?
「おい、良子、酔っ払う前に言っとくけど、その服は着替えろよ。ヒラヒラのフレンチカジュアルで喧嘩に行くなんて聞いたことがないや。私と似たような服装に着替えてね」
「黒ずくめのその格好?頭にリボンつけちゃ、ダメ?」
「おい!」
「冗談よ、冗談」
「おまえだったらやりかねない!」
私は持ってきたバックを開けた。良子に指ぬきしてあるなめし革の手袋を渡した。砂を詰めたブラックジャックと振り出すと伸びる警棒を見せて、これ要るか?と聞いた。
「指ぬきの革の手袋は必要ね。ピアノ、弾けなくなるのはイヤだもん。ブラックジャック?まあ、乱暴な。警棒?私に要るかな?手袋は借りとく。他はいらないわ。素手で十分」
「相手をなめんなよ。広い道場じゃないんだから。狭いアパートの中の近接戦だよ?」
「わかってますって。ファンが最初に部屋に入って、達夫以外がいたら、私がそいつらとやればいいのね?明彦は私のあとね」
「良子、大丈夫なの?」と雅子が心配そうに見る。私よりも良子の方がはたして強いのかどうかと思っているようだ。
「雅子、良い子の良子の裏の顔は、悪い子の悪子だから。ただ、何が突発的に起こるかわからないから、油断はしないってこと」
「私も習おうかしら?」と雅子。明彦が止めてくれ、という顔をしている。
酔ってきたのか、雅子が、美姫には負けません!と言ったり、いいえ、美姫ちゃんが戻ってきたら、私は身を引きます!と言ったり、無茶苦茶言っている。良子は、私は雅子、美姫、どっちに転んでも安泰よ、とこいつもとんでもないことを言っている。
良子、二人ともあぶれちゃったら、どうする?と雅子。そうよねえ、私は雅子と一緒に生きていこうかしら?あら、じゃあ、早速試さないと、良子、今晩、私のマンションに泊まらない?それ、いい考えね、私、雅子のマンションに泊まる!おいおい。
「明彦、なんとか言ってやれよ」
「どうしようもないなあ」
「こんな二人も美姫も捨てちゃって、私と仲良くなればいいじゃん!日本娘よりも中国娘の方がよっぽど良いよ。京都女はキツイよ?丘の上のお嬢様たちは身勝手よ。それに引き換え、私のような中国娘は尽くすわ。子供だって、じゃんじゃん産んじゃうもん。どう?」
「ファンファン、酔ってる?」
「冗談だよ・・・半分・・・って、みんな、6時半になった。もうすぐ陽が落ちるよ」
良子が急にシャキっとなった。「よし、顔洗おう。雅子、洗面所、こっち。それでお化粧しましょう」という。
「お化粧?」何言ってんだ?
「ファン、あなたは中華街で面が割れている。雅子さんは東京に住んでいるからまだいいけど、私と明彦は地元。私とこの二人はちょっと細工する。雅子は化粧で面が割れないようにするのよ」と言い出す。なるほど。冷静ね、良子。二人が洗面所に行った。
「ねえ、ファンファン、キミの格好とか、良子も黒尽くめになるんだろう?ここから林田のアパートまで歩いていくのか?タクシー、拾うか?」
「ああ、私の家の若いのに送らせるわ。ハイエースがあるから。家の人間に手出しをさせると抗争になるから、運転だけ」
「ファンファンも得体の知れない女の子だよなあ」
・・・戻ってきた二人は、別人だった。明彦にも野球帽をかぶらせた。
三人とも唸っている。チャイムが鳴った。良子がちょっと失礼と言って玄関に行く。また、ツケで。おじさん、お盆をお借りするわね。ありがとう、なんて言っている。
良子がお盆にのせられた天ぷら蕎麦を持って応接間に入ってきた。「ファン、お腹すいたでしょう?熱々の天ぷら蕎麦よ。召し上がれ」とニコニコして言う。この暑いのに天ぷら蕎麦ってなんだ?なんで天ぷら蕎麦を注文するんだ?「良子、夏なら冷やし中華だろ?」「さっき、三人でカツ丼と天ぷら蕎麦を食べたのよ。それで思わず・・・」
雅子がクスクス笑う。「良子、意地悪しちゃダメでしょ?」とわけのわからないことを言う。「ファンファン、あのね、さっき、良子が応接間のソファーテーブルで、女の子が熱い汁物を食べたら、すごいことになる、女の子はソファーテーブルで汁物を食べてはいけないって言ってたの。私たちはキッチンでお蕎麦を頂きました」
「雅子、バラしちゃダメよ。でも、ファン、ジーンズなんだもの。いつものミニスカートなら明彦は可愛い女の子のパンツが見えたのにねえ・・・さ、ファン、キッチンに行こう!」とお盆にお蕎麦をのせて、さっさと行ってしまう。
「まったく、あの女はなんなんだ?深刻な話をしている最中に!」
「ファンファン、いつもの良子的な行動じゃないの?」と明彦が言う。確かに。あいつの行動は読めない!
三人でキッチンに行った。確かに、ダイニングテーブルの方が熱いお蕎麦は食べやすい。ファン、七味唐辛子よと目の前におかれる。
「さて、話の続きだけど・・・」と良子。
「食べている途中よ、こっちは!」
「食べながら話そう」
「まったく!え~、何の話だったっけ?・・・つまり、達夫がまだ美姫をアパートに住まわせているか、それとも台湾野郎に売っ飛ばしたか、わからないけど、私と良子で達夫のアパートに行って、確かめてくるのがいいと思う」ズルズル
「ファンファン、ぼくも行く。当事者だから。女の子二人に任せられないよ」と明彦。
「明彦、喧嘩、できる?」
「・・・頭は固い」
「頭?固い?」
「ぼくの家系は、頭蓋骨が固いんだ。喧嘩はできない、体術は知らないけど、頭突きはできる」
「明彦、頭突きなんて技じゃないわよ?」と良子。
「良子、一理ある。狭いアパートの部屋で、近接でもみ合ったら、頭突きは武器になる。人間の体で、鍛えられないのは頭部。側頭部と後頭部は鍛えられない。そこを頭突きでやられたらかなりのダメージだ」
「ファン、だから、喧嘩の自信はないけど、ぼくがアパートに乗り込むよ。か弱い女の子に任せておけない」
「明彦、誰がか弱いの?私、合気道の有段者だよ」ズルズル
「え?」
「結構、強いよ、私。それで、私より強いのが良子。彼女には私は勝てない」
「良子、そんなこと言ったことがないじゃないか?ヒメだって知らないぞ?」
「あら、言う必要はないでしょ?私とファンは小学校の頃から道場に通っているのよ。でも、ファン以外誰も知らない話。生徒会長が合気道の有段者なんて、イメージが崩れるもの」
「やれやれ」
「ということで、達夫一人だったらいいけど、やつのダチがいたらマズイでしょ?達夫は私のことを知っているから、ウソをついて、私がドアを開けさせる。それで、私、良子、明彦が部屋にのりこむ。美姫がいれば、取り返して逃げる。いなければ、達夫に居場所を吐かせる。この作戦でどう?」
「ファン、私もついて行きます。役に立たないけど、足手まといにならないように離れて。美姫ちゃんのことは他人事と思えないのよ」と雅子。
「う~ん・・・もしも、私たちがやられそうになったら、雅子が警察に通報すればいいのか?浩司に、吉村刑事の電話番号を教えるから、もしもの時の連絡役に雅子はなってもらおうか・・・」ズルズル「良子、冷たい麦茶とかないの?おまえ、熱いほうじ茶しか出してくれないじゃん!」ズルズル
やっと食べ終わった。良子のユーモアの感覚は小学校6年以来の付き合いだけど、まったく理解できない。みんな応接間に戻った。応接間にはクーラーがある。
「何時に達夫のアパートに行こうと思っているの?」と良子。
「日が暮れてからからかな?7時過ぎ。8時前くらい?」
「あら、時間があるわね?ねえ、暑いから、ビールでも飲まない?」
「・・・天ぷら蕎麦を食べる前にそれを言えよ!」
「だって、何時に行くのか、わからなかったんですもの。私、ビールを飲む。みんなも飲むわね?」
明彦がバンザイした。私もお手上げだ。頭を抱えた。雅子がゲラゲラ笑い出した。雅子、笑い上戸なのか?
「ビール、持ってこよう!」と良子が嬉しそうに言う。こののんべが!
「良子、私、手伝う」と言って、雅子も応接間を出ていった。
私と明彦だけ。「明彦、よく、あんなのと付き合ってるね?小学校6年の時からの付き合いだけど、良子は理解の範疇外だよ」
「ぼくは、去年の夏以来だけどね」
「あなたも、まあ、美姫と良子と?両手に花だったんだね。それに、雅子?美少女とカワイ子ちゃんばっかじゃん?」
「話は複雑なんだよ」
「美姫もあれだね、浮気みたいなものじゃない?もう、元には戻れないのかしら?」
「それは、美姫を取り戻してから考えよう」
「美姫がいなくなったんだから、良子で良かったんじゃないの?」
「どうだろ?良子とは良い友だちで気が合うけど」
「体の関係があっても?」
「うん、さっき、雅子が言っていた。良子は稀有な存在だって。『男に抱かれた女って、愛情関係になる。もう、男と女の友情は成立しない。それが普通だけど、良子と明彦の関係では、肉体関係があってもなくても、友情関係はなくならないのよ。だから、良子は稀有な存在』なんだそうだ」
「う~ん、あのさ、良子、あんたのことがとても好きだよ、きっと」
「ファンファン、わからんよ、今は」
「モテて良いわね。私なんか美少女でもカワイ子ちゃんでもないからさ」
「それって、みんな自覚がないんだよ。キミも、良子も、雅子も。自意識が薄いんだよ、みんな。ファンファンは雅子やヒメくらい可愛いと思う」
「お世辞にしてもうれしいじゃん!今晩、鏡を見ようっと」
「それはそうと、その台湾の連中が行方不明の女性を倉庫に閉じ込めているって話。輪姦されるってこともあるんだろうか?」
「それはわからない。彼らにとっては彼女らは商品だから。だけど、味見をするってことはありえないことじゃない」
「輪姦されたら、心理的な負担が増えるな・・・」
「トラウマは残ると思う。そうなっていないことを願うこと。ラッキーだったら、達夫のアパートにいて奪い返せるかもしれないしね」
「去年の秋からヒメの様子はおかしかったんだ。ぼくがちゃんと気づいてやればよかったよ」
「悪いけど、浮気されてたんだよ、明彦」
「ぼくと良子に知らせないで・・・」
「見つけて家に連れかえったら、引っ叩いてやればいいんだ、ワガママ女は」
「見つかったらの話だよなあ・・・見つかっても元には戻らないんだ・・・あのバカ女が!」
「思いっきりビンタしてやんなよ」
「でも、ヒメが可哀想だ」
「優しいんだね、明彦は」
「雅子は雅子で、良子を入れてエッチしたい、って言うし」
「あんたたちいかれてるよ・・・あれ?良子は使用済みじゃん?三人でいいなら、私も混ぜてよ」
「ファンファンには刑事の彼氏がいるでしょ?」
「明彦、地方公務員の神奈川県警のデカと中国マフィアの家の娘が添い遂げられると思う?歪な愛情なんだよ。だったら、別に私が明彦に抱かれてもいいじゃん?」
「話がもっとややこしくなるだろう?」
「チェッ!三人ってしたことなかったのに・・・いつでもオファーは受けるよ。明彦、中国娘としたことないだろう?」
「やれやれ」
良子と雅子が戻ってきた。こののんべが!瓶ビール、4本。ウイスキーまで持ってきてる。ナッツにビーフジャーキー。宴会してる場合かよ?これから喧嘩に行くんだよ!それにしても、雅子と良子は仲がよさそうだね?今日、会ったばかりだろ?わかんないなあ、この連中。
良子がみんなにビールを注いで回る。こいつのペースに合わせているととんでもないことになる。そうだろ?明彦?と聞いたら、何度も体験済みだそうだ。私と明彦は自分のペースを守った。だけど、雅子は良子と同じペース。もうウイスキーにしてる。良子がいつもの調子でドボドボと注いでいる。あ~あ。雅子、京都出身?京女って、のんべなのかよ?
「おい、良子、酔っ払う前に言っとくけど、その服は着替えろよ。ヒラヒラのフレンチカジュアルで喧嘩に行くなんて聞いたことがないや。私と似たような服装に着替えてね」
「黒ずくめのその格好?頭にリボンつけちゃ、ダメ?」
「おい!」
「冗談よ、冗談」
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「相手をなめんなよ。広い道場じゃないんだから。狭いアパートの中の近接戦だよ?」
「わかってますって。ファンが最初に部屋に入って、達夫以外がいたら、私がそいつらとやればいいのね?明彦は私のあとね」
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「雅子、良い子の良子の裏の顔は、悪い子の悪子だから。ただ、何が突発的に起こるかわからないから、油断はしないってこと」
「私も習おうかしら?」と雅子。明彦が止めてくれ、という顔をしている。
酔ってきたのか、雅子が、美姫には負けません!と言ったり、いいえ、美姫ちゃんが戻ってきたら、私は身を引きます!と言ったり、無茶苦茶言っている。良子は、私は雅子、美姫、どっちに転んでも安泰よ、とこいつもとんでもないことを言っている。
良子、二人ともあぶれちゃったら、どうする?と雅子。そうよねえ、私は雅子と一緒に生きていこうかしら?あら、じゃあ、早速試さないと、良子、今晩、私のマンションに泊まらない?それ、いい考えね、私、雅子のマンションに泊まる!おいおい。
「明彦、なんとか言ってやれよ」
「どうしようもないなあ」
「こんな二人も美姫も捨てちゃって、私と仲良くなればいいじゃん!日本娘よりも中国娘の方がよっぽど良いよ。京都女はキツイよ?丘の上のお嬢様たちは身勝手よ。それに引き換え、私のような中国娘は尽くすわ。子供だって、じゃんじゃん産んじゃうもん。どう?」
「ファンファン、酔ってる?」
「冗談だよ・・・半分・・・って、みんな、6時半になった。もうすぐ陽が落ちるよ」
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「お化粧?」何言ってんだ?
「ファン、あなたは中華街で面が割れている。雅子さんは東京に住んでいるからまだいいけど、私と明彦は地元。私とこの二人はちょっと細工する。雅子は化粧で面が割れないようにするのよ」と言い出す。なるほど。冷静ね、良子。二人が洗面所に行った。
「ねえ、ファンファン、キミの格好とか、良子も黒尽くめになるんだろう?ここから林田のアパートまで歩いていくのか?タクシー、拾うか?」
「ああ、私の家の若いのに送らせるわ。ハイエースがあるから。家の人間に手出しをさせると抗争になるから、運転だけ」
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