よこはま物語 壱、ヒメたちとのエピソード

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ヒメと明彦2、美姫編

第11話 予備校

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 明彦とずっと一緒に過ごせた楽しかった春休みが終わってしまった。学校、行きたくない!いいじゃん?高校中退して、大好きな明彦と同棲したって。なんで高校卒業しないといけないの?大学に進学しないといけないの?

 例えばですよ、明彦がバイトして、月の収入十数万円でしょ?かなりいい金額なんだけどね。(20世紀は大卒の初任給は10~15万円くらい)

 彼は、新橋のホテルのバーで、大学の授業が終わって、5~6時頃から、翌日の午前1時まで働いて、ホテルに泊まって、始発でホテルから急いでアパートに帰ってきて、ちょっと仮眠して大学に行く。

 青山のカメラマンのスタジオは遊びに行ったんだけど、平日とか土日、撮影の手伝い、現像とプリント作業をしている。現像なんて、長時間暗室で薬剤の臭い充満(お酢の臭いだよ、あれ)の中、急ぎの時は徹夜だってあるんだ。

 土日の伊勢佐木町のアトリエのバイトはまだいい。子供に絵を教えるだけだもの。でも、あまりバイト代は出ない。明彦は、楽しみでやっているだけ。でも、画家の先生は助かっているんだもん。

 だから、それをこの美姫ちゃんがですね、高校を中退して、映画『赤ちょうちん』の秋吉久美子ばりに、スーパーのレジのバイトとかをして、明彦のバイトを減らせれば、彼はもっと大学の授業に割く時間が増える。

 さらにですね、私に割く時間も増えて、美姫はもっとアンアンできる。明彦もティーンのみずみずしい体を存分に犯せる。明彦が子供はまだ、って言うなら、卒業、就職して収入が安定するまで待ちましょ。これの何が悪いの?

 と、いろいろ抵抗してます。明彦にも、秋吉久美子でいいじゃん!と言ってます。言ってますが、彼氏(註:恋人/ベッドのお相手も含)兼家庭教師兼美姫のお目付け役の明彦は聞きゃあしない。キミは私の兄か?パパとママの代理か?

 今日は明彦に引きずられて(物理的じゃない、心理的にだよ)千駄ヶ谷からひと駅の代々木の予備校の入学申込みに来てしまった。あ~あ。私、予備校に行くの?予備校のカリキュラムと彼のバイトがずれると、明彦といる時間、減るじゃん!

 少なくとも、代々木という場所は良い!ママに予備校行くからね!明彦のアパートからひと駅。だから、彼のアパートに泊まる!通学時間、節約できる!勉強時間、増える!文句ないでしょ?と言える。言えるんだけど、彼がバイトでいない部屋に一人いるって、意味ある?え?勉強すればって?18才の乙女は体が疼くのよ!

 現役の受験生や浪人生でごったがえしている予備校の受付に明彦と並んだ。並んでいるのは、一人だけか、女子・男子別のグループが多い。カップルはあまりいない。ちょっと鼻高々。彼のコートの袖にしがみつく。ついでに、胸を押し付ける。彼がやれやれと言う顔で私を見るけど、いいじゃん?イチャイチャしても。知ってるよ、こういうのを人前でするのはあまり好きじゃないのを。だから、わざとやってやるんだもん。

 壁にポスターがベタベタと貼ってある。

●「実戦的な内容」に注力!高3・受験対策講座!!!

 ハイハイ。何、リキいれちゃってんでしょ?力抜きなよ。セックスでもしろよ!・・・関係ないね・・・

 受験対策講座は、ハイレベルコース 👉 東大他有名国立+旧帝大(旧帝大?戦後数十年も経ってまだ言ってんの?)+早慶上智ですって。標準コース 👉 公立+早慶上智未満(さすがに未満とは書いてない!)だそうだ。

 私の高校って、中学で入学したら高校では募集してないんだ。だから、同じ学年、定員200人が6年間一緒。私の成績は、200人中、真ん中から下。どう考えても標準コースが無難でしょ?数学の成績なんて、200人の下1割だよ!

 それをですね、パパ、ママ、明彦は、ハイレベルコースで早慶上智はどうだろ?と言ってる。バカな女子高生に高望みはイカン!と無駄な抵抗をしたが、却下されましたです、ハイ。

 ママからハイレベルコースの講習代を預かっているのだ。高いね?このお金で原宿でショッピングして明彦と食事すれば豪遊できんじゃん!

 申込みの列の後ろの方に並んでいた。肩をポンっと叩かれた。振り返ると、同級生の元生徒会長(3年生は引退なの)、高橋良子がニコニコして私を見ていた。こいつ、学業優秀、みかけ清楚の美少女なんだ。

 でも、私は知ってるよ。裏の顔はサド。好きなのは、男の子をお口で逝かせて、出しても許さないというビッチ。だけど、成績の悪い私とはなんか気が合う。いろいろ助けてくれる。赤点回避の試験対策を教えてくれたり、追試の傾向と対策を手伝ってくれたり。でも、それって、明彦みたいなお目付け役みたいなものじゃん!

「美姫も講習受けるんだね?いいことよ」
「うん、もう強引に」
「ダメだぞ、ちゃんと大学に進学しないと」
「何をやるのよ?やることなんてないもん。それより、お嫁さんになる方がいいじゃん?」

 明彦がちょっと離れて聞いている。私は彼の袖を引っ張って私たちの方に引き付ける。「良子、彼、お兄ちゃんの友達。宮部明彦さん。明彦、彼女、同級生の高橋良子ちゃん。私と違って学業優秀、清楚な美少女、元生徒会長」と紹介する。長いサラサラ黒髪ロングで、私よりも5センチぐらい背が高い。陸上部で大会にも出た。私と違うね。いいんだもんね。人それぞれなんだから。

「美姫のお兄さんの友だち?お兄さんと同じ学校ね。宮部さん、高橋良子です。美姫のお目付け役です。ヨロシク」と良子がペコリと挨拶する。
「宮部です。良子さんもこいつのお目付け役なの?ぼくもですよ。ご両親からお願いされてるんで」
「宮部さんのことは美姫からいやになるほど聞いてるわ。明彦、明彦、明彦って毎日、数十回も連呼するんだもん。私も明彦さんって呼ぶのに違和感なくなっちゃいました。大変ですね?美姫、ほっとくとどこかに飛んでっちゃいそうな子だから。でもね、飛んでっちゃうぞ、飛んでっちゃうぞと言う割には、飛ぶのが怖い。しょうがない子」

「良子、私の本質をズケズケと言っちゃあイカン!ねえ、良子、一人?」
「ええ、今のところ、美姫みたいに一緒に来てくれる男子はいないから。現在、空き家」
「あれ?空き家になったの?鎌倉の男子は?」
「つまんないから振っちゃった、次を物色中」
「よくまあ、とっかえひっかえ!」

 明彦がモジモジしてる。「何よ!明彦!モジモジすんじゃないわよ」

「あのさ、赤裸々に女子高生の会話が聴こえてくるんで、いたたまれないよ」
「いいのよ、いつもの話題だから。ねえ、良子、申込み、済んだの?」
「ええ、帰ろうかなって思ってる」
「私の申込みが済んだら、お茶しない?」
「だって、明彦さんに悪いでしょ?私、お邪魔でしょ?」
「そんなことないよ。良いよね?明彦」
「問題なし。でも、ヒメ、土曜日だから喫茶店は混んでるだろ?なんなら、和菓子でも買って、でお茶したら?」
「明彦さん、『』?」とニンマリと良子が聞き返す。
「・・・訂正。。千駄ヶ谷にあるから、近いんだ。国鉄ひと駅、2分」
「いいよ、明彦。『』でも『』でも。良子はみんな知ってるから。良子は意地悪で『』なんて聞き返しただけ」
「やれやれ」

 千駄ヶ谷の駅前通りの途中で和菓子屋さんがあるので、みたらし団子や桜餅、ピンクの練り切りのお花なんかの和菓子を買った。別の箱に大家の生田さんのお団子ときんつばも詰めてもらった。お小遣いをもらったばかりなので、私が払う。いつも明彦に払わせるのは悪い!いくら、女子高生の肉体を夜毎提供しているからと言っても悪い。

「良子、何を食べたい?私のお財布は今潤沢なんだよ」
「フフフ、いつも金欠病の美姫が珍しいこと。じゃあね、塩豆大福を2個買って。それとお赤飯も」
「あなた、好みが渋いね?」
「昼近いからお腹がすいたの」
「じゃあ、赤飯を人数分買おう!」

 アパートの1階の布団屋さんで、生田さんは相変わらずはたきがけをしている。1日、何回はたきをかけるんだろう?「生田さん、和菓子買ってきたの。おすそ分けだよ。これ生田さんの分」と別の和菓子の箱を彼女に渡す。

「美姫ちゃん、ありがとう。あらら、今日は三人。宮部さん、両手に花ね?」
「美姫の友だちと偶然予備校でバッタリ。それでお茶しに連れてきました」と明彦。
「私、仲里と同じ学校の高橋良子と言います」と良子がペコリとお辞儀する。優等生はそつがないわよね!
「宮部さんの大家の生田です。ヨロシク」
「生田さん、また歴史の話、聞かせてくださいね」と私たちは生田さんに言って失礼した。

 アパートのドアを開けようとして、思い出した。二人に「ここでちょっと待っててね、すぐ済むから」と言う。特売コンドームの箱を本棚に出しっぱなしにしていたのだ。いくら相手が良子とはいえ、生々しいじゃん?・・・あった!明彦が買ってくれたビニールのタンスのジッパーを開けて放り込む。証拠隠滅。部屋、臭くないかしら?フェロモン臭は・・・大丈夫みたいね。念のため、窓を開けておこう!

 ドアを開けた。おまたせぇ~と言おうとしたら二人、仲良さそうに近づいて話してる。待ちくたびれたって顔してくれてたら良かったのに、待ってたを感じさせない仲睦まじい感じで話している。ムカッとした。

「こら!明彦!良子と仲良さそうに話してるんじゃない!私というものがありながら!」
「ほら言ったとおりでしょ?」と良子。
「何が言った通り?私の悪口でも話してたのかよ?」
「違うわよ。何あわてて血相変えて部屋に飛び込んで待っててねなんて言っているのかしら?と私が明彦さんに聞いたの。そうしたら、『どうせ特売で買ったコンドームが出しっぱなしなんで隠してるんじゃないかな?それで、窓を開けて換気してるんでしょう』と言うのよ。図星だった?」

「・・・うん」
「それで、私が、明彦さんと距離を縮めて楽しそうに話している風にすると、ものすごく嫉妬するわよって言ったの。図星でしょ?」
「・・・うん」
「わかりやすい子。だから、私は美姫が好き」良子、私のことをおこちゃま扱いしてない?まあ、おこちゃまですけど。フン!
「それにしても、明彦!特売のコンドームの箱を隠してるなんてバラすんじゃないわよ!」
「じゃあ、本当に隠したんだ?」と明彦。
「・・・うん・・・クローゼットに放り込んだ・・・」


※この物語は性描写や飲酒、喫煙シーン含みます。
※この物語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
 参考:『補足資料 少年法等の一部の改正と……
 1)合法JK, 2)覚醒剤, 3)売春, 4)殺人, 5)少年鑑別所と少年刑務所』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/461940836/episode/9344181
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