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ヒメと明彦5、美姫編
第38話 雅子の提案
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20世紀のいつか、雅子大学3、明彦大学2、良子大学1
美姫ちゃんの家に行く途中の車内で私はみんなに提案をした。
「これから、美姫ちゃんのご両親とお兄さんに釈明するのよね?」と良子に聞いた。
「そう。ウソつかないと。美姫は泣いてればいいんだ。ひたすら、ゴメンナサイ、もうしません、反省します、ちゃんと予備校に行って受験勉強を再開します、来年、大学に入学できるように努力します、って、雅子の言うように、フリでもいい、ハイハイとパパとママに従うのよ、処世術よ。ウソの話の経緯は私とファンでするから。いいわね?美姫?」と良子。口調とは裏腹に、美姫の頭を自分の肩において、美姫を抱きしめている。ウンウンと半べそをかきながら美姫が頷く。
「良子とファンファンは、釈明が終わったらどうするの?」
「美姫の家に泊まろうかな?夜通し話を聞いてあげる。ファンはどうする?」
「私は、家に帰って、浩司に、吉村刑事に連絡してみる。あの後どうなったか、知りたいもの。美姫は良子だけの方がいいでしょ?」
「ということよ、雅子」
「そうか。それがいいわね。え~っと、私ね、高校の頃、ヤマ勘の雅子ちゃんって呼ばれていたのよ。中間試験、期末試験前は、私の出題予想のノートがみんなに回覧されて、教師にもう出題予想を発表するのはダメだ、と言われたくらいなの」
「何の話?」と良子。
「あのね、気分を害したらゴメンね。良子みたいに、アプリオリに、先験的にわかっちゃう人は、私や美姫ちゃんみたいな人間に勉強の説明できないのよ。みんなわかっちゃう人間は、受験科目全般がわかるから、出題される問題がどれか?とか、傾向と対策を気にしないの。明彦は、だいたいにおいて、物理!とか、どんな学問でも根源的な部分から理解しないとダメだ!という考えがある。30度の斜面を5キロニュートンの荷物を引きました。荷物を引くモーターが2キロニュートン/秒の時、斜面が6メートルとすると、地面から頂点まで何秒かかりますか?なんて問題を解くのに、熱力学の基本法則から始めちゃうところがある。オタクだからね。だから、二人が美姫ちゃんに教える時、『何がわからない?どこがわからない?』と聞くと思うの。そんなこと聞かれたら、みんなわからない、あなたの説明もわからない!って、私や美姫ちゃんなら答えるわ。そうだった?美姫ちゃん?」
「うん、その通りだった。ゴメンナサイ」
「明日は私、午後試験が終わって休講の授業があるから、空いている。それで、良子は、美姫のご両親に、明日の午後、明彦の大学の彼女がここに来ます、美姫の家庭教師をしてくれます、秋の全国一斉模試で、偏差値59以上を美姫に取らせるように教えるつもりだそうです、と言ってくれない?」
「ハイ?」と良子と美姫ちゃんが声をそろえて言う。
「だから、私が美姫ちゃんの家庭教師よ。三年前の受験ノートは残っている。理系の美姫ちゃんには必要のない科目を除いて、4教科分あるの。ここ三年間くらいの過去の出題傾向を分析すれば、まだ7月、模試まで2ヶ月あるから、偏差値59以上くらいなら簡単よ。美姫ちゃんがそれでよければ、だけどね」
「う~ん、よく展開がわかんないんだけど・・・」と怪訝な顔の良子。
「勉強するのは、私が言う通りの問題の部分だけ、丸暗記。何もアインシュタインになる必要はない、夏目漱石みたいな文章を書けないといけないとか、清少納言も紫式部も要らない。丸暗記。私が言う通りの問題の部分だけ、暗記すればいいだけ」
「え?何?雅子さん、それだけ?明彦とか、良子の考え方と違う!」と美姫が言う。
「大学入学試験なんて、単に選別試験なんだから、出そうな問題を想定して、その問題だけに集中、丸暗記して、受験に通ればいいだけの話。そもそも、入学して安心じゃなくて、入学してからさあ何をしよう?どうこの学問と取り組もう?というのだから。入学試験なんて通過儀礼なのよ。悩む必要はないわ。丸暗記で十分なのよ。理解なんて要らない。出そうな問題だけ、どう解答すればいいかを反復練習すればいいの。天才さんや秀才さんに追いつこうと、余計な時間を使うなら、丸暗記だけして、後は余った時間は、美姫ちゃんの好きなことをすればいいのよ。よっぽどストレスが減るわよ」
「そんなことができるの?」
「私ならできます!」
「秋までに美姫ちゃんの偏差値が上がれば、ご両親だって安心して信頼をしてくれるでしょう?」
「雅子、そうだけどさ、どこでどう美姫に教えるのよ?」と良子。
「ご両親が納得して許してくれたら、私のマンションで教えるわ。美姫ちゃん、どうせ、千駄ヶ谷の明彦のアパートに私物が置いてあるでしょ?明日、この筋書きで良ければ、千駄ヶ谷のアパートに行って、私物を引き払って、私のマンションに引っ越すのよ。千駄ヶ谷のアパートの代わりに、飯田橋のマンションに引っ越す。それで、去年、家に帰ったり、明彦のアパートに泊まったりしてたんでしょ?それを私のマンションですればいい。ご両親も、この家出で、美姫ちゃんを明彦のアパートにはもう行かせない、行かせられないでしょ?だから、私が明日、美姫ちゃんの家に行って、このアイデアで、秋までやらせてくださいってご両親にお願いします」
「・・・雅子、それ、今カノのマンションで、元カノが受験勉強するってことじゃないの?」と良子。
「何か問題ある?私は構わない。美姫ちゃんさえ気にしなければ、これで、偏差値は上がる。そうね、来年、大学受験をちゃんと受ければ、国立一期校はわからないけど、六大学くらいなら大丈夫と思う。例えば、ウチの大学の近くの法政大学とかね」
「・・・雅子さん、明彦に法政大学の話を聞いたの?」
「ううん、全然。美姫ちゃんなら、明彦の大学の近くの法政大学に行く!って言いそうだから、単なる推測です」
「美姫、どうするのよ?雅子の言うことを聞いたら、あなた、なんとかなるかもよ?今のままじゃあ、泣いてばかりになって、パパもママも不信感を持ったままよ?」と良子が美姫ちゃんの頭をなでながら聞いた。
「・・・あの、その、雅子さんがそれでよろしいって言って頂けるなら、こちらこそ、お願い致します」頭をあげて、初めて私の目をちゃんと見てお辞儀した。よしよし。
「本当にいいのね?私、あなたのいう『スケッチブックの女』なのよ?」
「雅子さんのさっきからのお話で、雅子さんのことが少しわかりました。もう『スケッチブックの女』なんて言いません。雅子さんのアイデアが一番いいと思います。誘拐されていたら、香港か中国に売り飛ばされていたかもしれないし、達夫のアパートにいる時から、これからどうするんだろう?と途方にくれていました。雅子さん、良子、ファンファン、明彦、みんなに助けてもらってありがとうございます。立ち直れるように頑張ります」
明彦は黙って聞いていた。美術部室でも黙って聞いているのがスタイルだ。でも、首を傾げている。「明彦はどう思うの」
「雅子のアイデアは、うまく行くと思う。良子には悪いけれど、良子が教えるよりもいいと思う。ぼくが教えるわけには・・・」
「明彦!何を気にしているの!あなたの大事な『ヒメ』なんでしょ?Fundamental な部分はあなたのほうが教え方はうまいわよ」
「雅子、あのね・・・」
「今カノ、元カノとか気にしているの?」
「いや、まあ・・・」
「まずね、源氏物語、ご存知?」
「また、話が飛ぶ」
「光源氏は女とどこで会ったの?」
「どこで会った?そりゃあ、あれ?」
「平安の昔、男は女の家に忍んでいったの。男の家じゃなくて。千駄ヶ谷のアパートは男の家でしょ?飯田橋は、私、女の家。男の家なんかに行ってうまくいくわけがないわ」
「その話、どこにつながるの?」
「つまり、美姫ちゃんは、家に帰ったり、私のマンションに泊まったりする。明彦は、美姫ちゃんが私のところに居ようといまいと、私の部屋に泊まればいいことよ」
「よくわからないが?」
「三人一緒に寝ればいいじゃない?今までだって、明彦と美姫ちゃんと良子と三人で寝ていたんでしょ?」
「ハァ?」
「さっき私がスナックで言ったでしょ?『美姫ちゃんが明彦とセックスをしたければ、まあ、私の感情というものもあるけど、したってかまわない、良子も』って・・・私も入れて三人でするなら、いいわよ。それ、私も興味あるから。二人でするなら、私に教えないで、隠れてやって頂戴!私だって、キミと二人でするのを美姫ちゃんや良子にいちいち報告しないわ」
「良子も?」
「今まで通り。良子も私のマンションにくればいいのよ。たくさん居た方がワイワイできて面白いでしょ?・・・って、明彦、キミ、まさか、四人でなんて考えてないでしょうね?このドスケベ!」
「それは死んでしまう。ところで、明日はぼくは必修があるんだけど・・・」
「大丈夫。私一人で美姫ちゃんの家にお伺いします」
「・・・」
「雅子さん、あの、そんなんでいいんですか?私、彼に隠れて、良子に内緒で、浮気していたんですよ?最後はあんなことになっちゃって・・・」
「これで懲りたでしょ?次はちゃんと男を見て、慎重に選べばいい話。まだ二人目じゃないの?」
「・・・そぉですね・・・別にこれで終わりって話じゃないし。私も相手を探せばいいのか・・・」
「大学に入ったら、良い男もいっぱいいるわ。美姫ちゃんほどなら、向こうから寄ってくるわ。私でも寄ってきたもの。みんな振ってやったわ。それもモチベーションになるわね。とにかく、まずは受験勉強。秋までに偏差値を上げること。簡単な話」
「なあ、良子、理系の大学って、みんなこんなものなの?」とファンファン。
「さぁ、少なくとも理学部で物理科とか化学科はこうなのかもしれない」と良子。
私たちは美姫の家についた。降りたのは、美姫、良子、ファンファンだけ。私と明彦は、東京に帰る。ファンファンが、マーくん、悪い、彼らを東京まで送ってあげてと指示した。マーくんは、了解!、と言う。悪いなあ。私は、ゴメンね、マーくん、と謝った。お嬢の友だちですもの、お安い御用です、と言ってくれる。
明彦、千駄ヶ谷?飯田橋?どっち?と聞く。飯田橋じゃない?金曜日の荷物が雅子の部屋に置きっぱなしだもの。ああ、そうだ!マーくんに飯田橋の私のマンションの道順を教えた。神楽坂ですね、了解。首都高に乗っちゃいましょう。
美姫ちゃんの家に行く途中の車内で私はみんなに提案をした。
「これから、美姫ちゃんのご両親とお兄さんに釈明するのよね?」と良子に聞いた。
「そう。ウソつかないと。美姫は泣いてればいいんだ。ひたすら、ゴメンナサイ、もうしません、反省します、ちゃんと予備校に行って受験勉強を再開します、来年、大学に入学できるように努力します、って、雅子の言うように、フリでもいい、ハイハイとパパとママに従うのよ、処世術よ。ウソの話の経緯は私とファンでするから。いいわね?美姫?」と良子。口調とは裏腹に、美姫の頭を自分の肩において、美姫を抱きしめている。ウンウンと半べそをかきながら美姫が頷く。
「良子とファンファンは、釈明が終わったらどうするの?」
「美姫の家に泊まろうかな?夜通し話を聞いてあげる。ファンはどうする?」
「私は、家に帰って、浩司に、吉村刑事に連絡してみる。あの後どうなったか、知りたいもの。美姫は良子だけの方がいいでしょ?」
「ということよ、雅子」
「そうか。それがいいわね。え~っと、私ね、高校の頃、ヤマ勘の雅子ちゃんって呼ばれていたのよ。中間試験、期末試験前は、私の出題予想のノートがみんなに回覧されて、教師にもう出題予想を発表するのはダメだ、と言われたくらいなの」
「何の話?」と良子。
「あのね、気分を害したらゴメンね。良子みたいに、アプリオリに、先験的にわかっちゃう人は、私や美姫ちゃんみたいな人間に勉強の説明できないのよ。みんなわかっちゃう人間は、受験科目全般がわかるから、出題される問題がどれか?とか、傾向と対策を気にしないの。明彦は、だいたいにおいて、物理!とか、どんな学問でも根源的な部分から理解しないとダメだ!という考えがある。30度の斜面を5キロニュートンの荷物を引きました。荷物を引くモーターが2キロニュートン/秒の時、斜面が6メートルとすると、地面から頂点まで何秒かかりますか?なんて問題を解くのに、熱力学の基本法則から始めちゃうところがある。オタクだからね。だから、二人が美姫ちゃんに教える時、『何がわからない?どこがわからない?』と聞くと思うの。そんなこと聞かれたら、みんなわからない、あなたの説明もわからない!って、私や美姫ちゃんなら答えるわ。そうだった?美姫ちゃん?」
「うん、その通りだった。ゴメンナサイ」
「明日は私、午後試験が終わって休講の授業があるから、空いている。それで、良子は、美姫のご両親に、明日の午後、明彦の大学の彼女がここに来ます、美姫の家庭教師をしてくれます、秋の全国一斉模試で、偏差値59以上を美姫に取らせるように教えるつもりだそうです、と言ってくれない?」
「ハイ?」と良子と美姫ちゃんが声をそろえて言う。
「だから、私が美姫ちゃんの家庭教師よ。三年前の受験ノートは残っている。理系の美姫ちゃんには必要のない科目を除いて、4教科分あるの。ここ三年間くらいの過去の出題傾向を分析すれば、まだ7月、模試まで2ヶ月あるから、偏差値59以上くらいなら簡単よ。美姫ちゃんがそれでよければ、だけどね」
「う~ん、よく展開がわかんないんだけど・・・」と怪訝な顔の良子。
「勉強するのは、私が言う通りの問題の部分だけ、丸暗記。何もアインシュタインになる必要はない、夏目漱石みたいな文章を書けないといけないとか、清少納言も紫式部も要らない。丸暗記。私が言う通りの問題の部分だけ、暗記すればいいだけ」
「え?何?雅子さん、それだけ?明彦とか、良子の考え方と違う!」と美姫が言う。
「大学入学試験なんて、単に選別試験なんだから、出そうな問題を想定して、その問題だけに集中、丸暗記して、受験に通ればいいだけの話。そもそも、入学して安心じゃなくて、入学してからさあ何をしよう?どうこの学問と取り組もう?というのだから。入学試験なんて通過儀礼なのよ。悩む必要はないわ。丸暗記で十分なのよ。理解なんて要らない。出そうな問題だけ、どう解答すればいいかを反復練習すればいいの。天才さんや秀才さんに追いつこうと、余計な時間を使うなら、丸暗記だけして、後は余った時間は、美姫ちゃんの好きなことをすればいいのよ。よっぽどストレスが減るわよ」
「そんなことができるの?」
「私ならできます!」
「秋までに美姫ちゃんの偏差値が上がれば、ご両親だって安心して信頼をしてくれるでしょう?」
「雅子、そうだけどさ、どこでどう美姫に教えるのよ?」と良子。
「ご両親が納得して許してくれたら、私のマンションで教えるわ。美姫ちゃん、どうせ、千駄ヶ谷の明彦のアパートに私物が置いてあるでしょ?明日、この筋書きで良ければ、千駄ヶ谷のアパートに行って、私物を引き払って、私のマンションに引っ越すのよ。千駄ヶ谷のアパートの代わりに、飯田橋のマンションに引っ越す。それで、去年、家に帰ったり、明彦のアパートに泊まったりしてたんでしょ?それを私のマンションですればいい。ご両親も、この家出で、美姫ちゃんを明彦のアパートにはもう行かせない、行かせられないでしょ?だから、私が明日、美姫ちゃんの家に行って、このアイデアで、秋までやらせてくださいってご両親にお願いします」
「・・・雅子、それ、今カノのマンションで、元カノが受験勉強するってことじゃないの?」と良子。
「何か問題ある?私は構わない。美姫ちゃんさえ気にしなければ、これで、偏差値は上がる。そうね、来年、大学受験をちゃんと受ければ、国立一期校はわからないけど、六大学くらいなら大丈夫と思う。例えば、ウチの大学の近くの法政大学とかね」
「・・・雅子さん、明彦に法政大学の話を聞いたの?」
「ううん、全然。美姫ちゃんなら、明彦の大学の近くの法政大学に行く!って言いそうだから、単なる推測です」
「美姫、どうするのよ?雅子の言うことを聞いたら、あなた、なんとかなるかもよ?今のままじゃあ、泣いてばかりになって、パパもママも不信感を持ったままよ?」と良子が美姫ちゃんの頭をなでながら聞いた。
「・・・あの、その、雅子さんがそれでよろしいって言って頂けるなら、こちらこそ、お願い致します」頭をあげて、初めて私の目をちゃんと見てお辞儀した。よしよし。
「本当にいいのね?私、あなたのいう『スケッチブックの女』なのよ?」
「雅子さんのさっきからのお話で、雅子さんのことが少しわかりました。もう『スケッチブックの女』なんて言いません。雅子さんのアイデアが一番いいと思います。誘拐されていたら、香港か中国に売り飛ばされていたかもしれないし、達夫のアパートにいる時から、これからどうするんだろう?と途方にくれていました。雅子さん、良子、ファンファン、明彦、みんなに助けてもらってありがとうございます。立ち直れるように頑張ります」
明彦は黙って聞いていた。美術部室でも黙って聞いているのがスタイルだ。でも、首を傾げている。「明彦はどう思うの」
「雅子のアイデアは、うまく行くと思う。良子には悪いけれど、良子が教えるよりもいいと思う。ぼくが教えるわけには・・・」
「明彦!何を気にしているの!あなたの大事な『ヒメ』なんでしょ?Fundamental な部分はあなたのほうが教え方はうまいわよ」
「雅子、あのね・・・」
「今カノ、元カノとか気にしているの?」
「いや、まあ・・・」
「まずね、源氏物語、ご存知?」
「また、話が飛ぶ」
「光源氏は女とどこで会ったの?」
「どこで会った?そりゃあ、あれ?」
「平安の昔、男は女の家に忍んでいったの。男の家じゃなくて。千駄ヶ谷のアパートは男の家でしょ?飯田橋は、私、女の家。男の家なんかに行ってうまくいくわけがないわ」
「その話、どこにつながるの?」
「つまり、美姫ちゃんは、家に帰ったり、私のマンションに泊まったりする。明彦は、美姫ちゃんが私のところに居ようといまいと、私の部屋に泊まればいいことよ」
「よくわからないが?」
「三人一緒に寝ればいいじゃない?今までだって、明彦と美姫ちゃんと良子と三人で寝ていたんでしょ?」
「ハァ?」
「さっき私がスナックで言ったでしょ?『美姫ちゃんが明彦とセックスをしたければ、まあ、私の感情というものもあるけど、したってかまわない、良子も』って・・・私も入れて三人でするなら、いいわよ。それ、私も興味あるから。二人でするなら、私に教えないで、隠れてやって頂戴!私だって、キミと二人でするのを美姫ちゃんや良子にいちいち報告しないわ」
「良子も?」
「今まで通り。良子も私のマンションにくればいいのよ。たくさん居た方がワイワイできて面白いでしょ?・・・って、明彦、キミ、まさか、四人でなんて考えてないでしょうね?このドスケベ!」
「それは死んでしまう。ところで、明日はぼくは必修があるんだけど・・・」
「大丈夫。私一人で美姫ちゃんの家にお伺いします」
「・・・」
「雅子さん、あの、そんなんでいいんですか?私、彼に隠れて、良子に内緒で、浮気していたんですよ?最後はあんなことになっちゃって・・・」
「これで懲りたでしょ?次はちゃんと男を見て、慎重に選べばいい話。まだ二人目じゃないの?」
「・・・そぉですね・・・別にこれで終わりって話じゃないし。私も相手を探せばいいのか・・・」
「大学に入ったら、良い男もいっぱいいるわ。美姫ちゃんほどなら、向こうから寄ってくるわ。私でも寄ってきたもの。みんな振ってやったわ。それもモチベーションになるわね。とにかく、まずは受験勉強。秋までに偏差値を上げること。簡単な話」
「なあ、良子、理系の大学って、みんなこんなものなの?」とファンファン。
「さぁ、少なくとも理学部で物理科とか化学科はこうなのかもしれない」と良子。
私たちは美姫の家についた。降りたのは、美姫、良子、ファンファンだけ。私と明彦は、東京に帰る。ファンファンが、マーくん、悪い、彼らを東京まで送ってあげてと指示した。マーくんは、了解!、と言う。悪いなあ。私は、ゴメンね、マーくん、と謝った。お嬢の友だちですもの、お安い御用です、と言ってくれる。
明彦、千駄ヶ谷?飯田橋?どっち?と聞く。飯田橋じゃない?金曜日の荷物が雅子の部屋に置きっぱなしだもの。ああ、そうだ!マーくんに飯田橋の私のマンションの道順を教えた。神楽坂ですね、了解。首都高に乗っちゃいましょう。
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