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第3章 イシガキ作戦、イシガキへ
第18話 ハバロフスクと舟山基地の通信2
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石垣島への出撃日数日前
金少尉は楊少校の肩を抱いてやる。楊は頭を金の胸にあずけた。回した手で彼女の肩を優しくさすってやる。いつもの眼尻をあげて怒鳴りまくっているのがウソみたいだわ。こういう場合だと甘えん坊に彼女はなるのよねえ、とキムは思う。
「それでね、お姉さま、林中校(中佐)はそれはそれは処女がお好きで。私が入隊してすぐの18才の女の子を段取りしてやるんですけど、情けないことに処女を奪う前によく暴発されるんですよぉ~。奥様とはレスみたいです。内緒話をその兵士に漏らすみたいで、軍の金を横領しているみたい。お姉さまの同期の王少校(少佐)は、ドMです。お尻をムチで叩かれるのがお好きでして、皮が剥がれるほど叩くと射精して逝ってしまいます。彼は香港に内緒で愛人を囲っています」などと部隊の醜聞を楊に楽しそうに話す。
楊少校は自分のことは棚に上げて、人民解放軍部隊の規律が乱れている、などと思う。
「だけど、お姉さまとこういう楽しいことができるのもあと何日なんでしょうねえ・・・石垣島に出撃するともうこういうこともできなくなって、残念ですわ。容洙、悲しいです」と甘え声で楊少校に言う。
「容洙、大丈夫だよ。旗艦の071型揚陸艦(ドック型輸送揚陸艦 )龍虎山(Longhushan)は満載排水量25,000トンだから、佐官用の居室も広い。おまえを呼んでお話もできる」
「お姉さま、071型揚陸艦は商船ベースで部品も一般船舶用品を転用したと聞いています。速力も23ノット(時速37キロ)でしょう?海自の護衛艦はみんな30ノット(時速48キロ)だから、装甲も薄いし速力も遅いので心配です」
「容洙ヨンス、龍虎山(Longhushan)の装甲は薄いが、島から十分離してホバーを出すから問題はないさ。南海艦隊の長白山(Changbaishan)、祁連山(Qilianshan)も借りた」
「東海艦隊は、沂蒙山(Yimengshan)、四明山(Simingshan)もついてくる。南通※(Nantong)、安陽(Anyang)、浜州(Binzhou)を護衛につけている。福州空軍基地※(Fuzhou Air Base)からはJ-20(殲20)16機編隊が来援する。大丈夫だよ。」
※ジャンカイ級フリゲート艦
※中国、空軍基地
「そうですか・・・お姉さまを信じてついていきます。でも、買い物しなくちゃいけませんね。下着なんかも・・・オモチャも仕入れておきませんと・・・急がないと・・・私、非番が四日後ですから・・・」
「四日後?それはダメだね。私が手配して、明日、非番にしてあげるよ。なにせ、出撃は明後日午後11時半(中国時間)だからね」
「ええ?明日非番を頂けるんですか?じゃあ、上海にお買い物にいけますわ。お姉さま、ありがとうございます」と無邪気そうに頬を楊少校の頬に擦り付ける。
そうか。石垣島への出撃は明後日の午後11時半(中国時間)。寧波と石垣島の距離は680キロ。23ノット(時速37キロ)で約18時間。台湾に向かうと見せかけて迂回するだろうから、石垣到着は3日後の午後六時(中国時間)以降だ。日没後を狙うわけだ。
そうすると、侵攻部隊の戦力は、
● 東海艦隊揚陸艦:旗艦龍虎山(Longhushan)、沂蒙山(Yimengshan)、四明山(Simingshan)
● 南海艦隊揚陸艦:長白山(Changbaishan)、祁連山(Qilianshan)
● 東海艦隊フリゲート艦:南通(Nantong)、安陽(Anyang)、浜州(Binzhou)
● 南京軍区空軍:J-20(殲20)16機編隊
が総兵力。
071型揚陸艦には、726型エアクッション揚陸艇(ACV)4隻が搭載されている。071型揚陸艦5隻で726型は合計20隻。1隻当たり陸戦隊は250名程度が乗れる。つまり、陸戦隊は5,000名。
これが全部石垣島周辺海域へ派遣されるのかしら?与那国島、宮古島は別働隊?
同規模じゃないだろうけど。この侵攻部隊が島嶼を占領したら、全部隊が反転して、台湾攻略に参加するってわけね。
尖閣諸島は軍事拠点になり得ないので今回は放置ね。宮古島の狙いは、防衛されていない下地島だろうな。与那国島は台湾に最も近いけど、空港の滑走路が石垣島よりも貧弱ね。新石垣空港は港湾・ミサイル基地と離れていて確保しやすい。
「となると、南西諸島侵攻の最大の攻略目標はエレーナ少佐の来る石垣島だ!ニャーナに連絡しなくっちゃ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
《《ジトコ大将の別荘《ダーチャ》、ハバロフスク》》
ジトコはリビングのソファーに座っていた。ジトコの腿に顔をつけて愛人のニャーナがソファーに身を横たえている。
「・・・以上が金少尉からの諜報情報。金少尉と楊少校の関係はそういうこと。人民解放軍はかなりの戦力よ。石垣に行くだろうエレーナ、大丈夫かしら?」
「う~む、中国はかなり本気だな。台湾侵攻の前に南西諸島攻略とは。それで、南西諸島を不沈空母化して、取って返してその部隊を台湾の東岸攻略に使って、台湾海峡からの部隊と挟み撃ちにする作戦か。北京も気が狂ったか?プーチンの失敗から学んでいない。しかし、まずいな」
「あなたの量子エニグマ暗号トランシーバーはエレーナのやつとペアリングしてあるでしょう?それを貸してよ。私が直接説明するわ」
「おまえたちは仲が悪いからな・・・」
「将来の義理の娘が危ないのよ。四の五の言っていられないわよ。トランシーバー、貸して!」
ジトコはカバンから量子エニグマを取り出した。「まず、ワシが話すよ」「いいわよ」
ジトコは暗号設定手順に従い、石垣島のエレーナの量子エニグマに通話した。衛星経由での通信で、ハバロフスクと佐渡ヶ島の通信は良好だった。
「エレーナ、ワシだ」
「パパ、こんな時間にどうしたの?今、ウラジオ?ハバロフスク?」
「ハバロフスクだよ」
「じゃあ、女狐と一緒ね?」
「口の悪い娘だ。おまえの言うその女狐がおまえと直接話したいそうだ。彼女に代わる」
「ハイ、エレーナ、お元気。女狐のニャーナよ」
「・・・ニャーナ、私に何の用?」
「あらあら、突っかかるもんじゃないわよ。真面目な話よ。人民解放軍に関する諜報情報が手に入ったの」
「確かな情報なんでしょうね?」
「言うわね、エレーナ。女狐のニャーナの情報ですもの。人民解放軍の石垣島侵攻作戦の指揮官からの情報よ」
「・・・ありがとう、と言うべきでしょうね?」
「いいわよ、別に。情報元はね、石垣島侵攻作戦の指揮官の楊少校。女性佐官。どうやったかって言うと、金少尉という楊の副官がいてね、それが私の母方の親戚の女なのよ。つまり、中国の朝鮮族の人間。枕の間柄で聞き出したそうよ」
「・・・まったく・・・なるほど、それで?」
「侵攻部隊が寧波を出発するのが五日日午後11時半。中国時間だから、日本時間だと六日後の午前零時半。、石垣到着予想時間はその日の午後六時、日本時間七時以降。部隊の海上戦力は・・・ちょっと待ってね、メモを見るわ・・・強襲揚陸艦5隻、フリゲート艦3隻。陸戦隊予想員数5千名。思い切ったものよ。2万5千人の陸戦隊の5分の1を引っこ抜いたみたい。楊少校ってのもやり手よね。あなどれないわよ。航空戦力は、福州空軍基地(Fuzhou Air Base)からJ-20(殲20)16機編隊が飛来するそうよ。詳細はね・・・ということ。与那国島と宮古島侵攻部隊の詳細は不明。この内容はテキストにしてSMSで送ってあげるわ」
「ニャーナ・・・その・・・ありがとう」
「あなたらしくもない。殊勝にならなくてもよろしいわ。私は私の愛するあなたのお父様の愛娘が死んではイヤだからしているだけ。それよりも、あなたたち大丈夫?自衛隊とロシア軍のあなたの部隊で対処できるの?」
「こちらの指揮官の紺野二佐と相談します。こちらの陸戦兵力は自衛隊二千名。私の部隊千名・・・
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
海上戦力だけでも、エレーナが使える部隊は、90年代に就役した満載排水量4,080トンの揚陸艦ペレスヴェートとオスリャービャ二隻に対して、人民解放軍は最新鋭の満載排水量25,000トンの071型揚陸艦5隻。(中国南海艦隊:長白山(Changbaishan)、祁連山(Qilianshan)、中国東海艦隊:旗艦龍虎山(Longhushan)、沂蒙山(Yimengshan)、四明山(Simingshan))。
ジャンカイ級フリゲート艦の南通(Nantong)、安陽(Anyang)、浜州(Binzhou)の三隻に対して、海上自衛隊はFFM型護衛艦もがみ、くまの、のしろの3隻。
ホバーは、エレーナ部隊は満載排水量550トンのポモルニク型エアクッション揚陸艦四隻に対して、人民解放軍は最新鋭の満載排水量170トン726型エアクッション揚陸艇20隻。
兵数は、広瀬二尉の陸自水陸機動団400名と石垣島陸自ミサイル部隊600名、沖縄本島から増援の畠山三佐の水陸機動団1,000名、エレーナ部隊1,000名、合計3,000名に対して、人民解放軍海兵隊は5,000名。
宮古島駐屯地にはミサイル部隊700名、与那国駐屯地にミサイル部隊150名。
海上戦力は、揚陸艦に関しては劣勢、フリゲートは同じ、ホバーはやや攻撃力で優勢、陸上戦力は圧倒的に劣勢。
航空戦力は、J-20(殲20)16機編隊に対して、空自の迎撃航空機数はいまだ未知数。
中国本土の寧波《ニンポー》基地と石垣島はたった680キロの距離。沖縄本島との距離400キロのほぼ中間地点。680キロというと東京、広島間だ。400キロは東京、大阪間に相当する。
「ニャーナ、こういう戦力だと、残念ながら我が方が劣勢というしかありません」
「なるほど。在日米軍は、沖縄本島が攻撃されない限り、核保有国同士の中国相手に介入はしないと思うわ」
「同感です」
「つまり、南西諸島、特に石垣島は、自衛隊とあなたの部隊で防衛せざるをえないってことね。でも、腑抜けの日本政府は先制攻撃をしない。指を加えて停船勧告するだけで、中国の海上戦力の領海侵入を許してしまうのがおちよね?東ロシア共和国、あなたの部隊も手出ししにくいでしょうし・・・中国軍がペレスヴェートかオスリャービャ、ポモルニク型エアクッション揚陸艦を先に攻撃でもしない限り・・・」
「奴らに先に手を出させる・・・」
「ふ~ん、検討してみましょう・・・そうそう、この量子エニグマ暗号トランシーバーは金《キム》少尉も同じのを渡してあるのよ。テキストSMSでペアリング手順を送るから、あなたのエニグマと金少尉のエニグマをペアリングしてちょうだい。いざとなった時のためにね」
「その金《キム》少尉は大丈夫なのかしら?スパイ行為が露見したら・・・」
「彼女は私と同じ女狐よ。ま、私は彼女と違ってバイセクシュアルじゃないけど。非常に優秀、抜け目はないわ。私からは以上。お父様と代わるわね」
「エレーナ、十分注意してくれよ」
「パパ、大丈夫よ」
「それから、婚姻届は出したのかね?」
「それは・・・ヒロシがバックパックに書類を突っ込んだまま、出し忘れていて・・・」
「そういうところは二人共抜けているんだな。佐渡市役所で提出しておくといい」
「暇ができたらね」
「あ、そうだ、そっちの紺野二佐にジトコからよろしくと言っておいてくれ。何でも彼女の要望には答えるからと」
「紺野二佐をご存知なの?」
「エレーナ、わしは東ロシアの高官だよ。日本の内閣情報調査室とは緊密に連絡を取っている。日本の免許証だって受け取ったろう?」
「・・・ありがとう、パパ」
「紺野二佐もニャーナと同じ女狐だからな。敵に回すと怖いが、味方としては心強い存在だ。じゃあ、お休み。気をつけるんだよ」
「お休みなさい、パパ。慎重に行動するわ」
金少尉は楊少校の肩を抱いてやる。楊は頭を金の胸にあずけた。回した手で彼女の肩を優しくさすってやる。いつもの眼尻をあげて怒鳴りまくっているのがウソみたいだわ。こういう場合だと甘えん坊に彼女はなるのよねえ、とキムは思う。
「それでね、お姉さま、林中校(中佐)はそれはそれは処女がお好きで。私が入隊してすぐの18才の女の子を段取りしてやるんですけど、情けないことに処女を奪う前によく暴発されるんですよぉ~。奥様とはレスみたいです。内緒話をその兵士に漏らすみたいで、軍の金を横領しているみたい。お姉さまの同期の王少校(少佐)は、ドMです。お尻をムチで叩かれるのがお好きでして、皮が剥がれるほど叩くと射精して逝ってしまいます。彼は香港に内緒で愛人を囲っています」などと部隊の醜聞を楊に楽しそうに話す。
楊少校は自分のことは棚に上げて、人民解放軍部隊の規律が乱れている、などと思う。
「だけど、お姉さまとこういう楽しいことができるのもあと何日なんでしょうねえ・・・石垣島に出撃するともうこういうこともできなくなって、残念ですわ。容洙、悲しいです」と甘え声で楊少校に言う。
「容洙、大丈夫だよ。旗艦の071型揚陸艦(ドック型輸送揚陸艦 )龍虎山(Longhushan)は満載排水量25,000トンだから、佐官用の居室も広い。おまえを呼んでお話もできる」
「お姉さま、071型揚陸艦は商船ベースで部品も一般船舶用品を転用したと聞いています。速力も23ノット(時速37キロ)でしょう?海自の護衛艦はみんな30ノット(時速48キロ)だから、装甲も薄いし速力も遅いので心配です」
「容洙ヨンス、龍虎山(Longhushan)の装甲は薄いが、島から十分離してホバーを出すから問題はないさ。南海艦隊の長白山(Changbaishan)、祁連山(Qilianshan)も借りた」
「東海艦隊は、沂蒙山(Yimengshan)、四明山(Simingshan)もついてくる。南通※(Nantong)、安陽(Anyang)、浜州(Binzhou)を護衛につけている。福州空軍基地※(Fuzhou Air Base)からはJ-20(殲20)16機編隊が来援する。大丈夫だよ。」
※ジャンカイ級フリゲート艦
※中国、空軍基地
「そうですか・・・お姉さまを信じてついていきます。でも、買い物しなくちゃいけませんね。下着なんかも・・・オモチャも仕入れておきませんと・・・急がないと・・・私、非番が四日後ですから・・・」
「四日後?それはダメだね。私が手配して、明日、非番にしてあげるよ。なにせ、出撃は明後日午後11時半(中国時間)だからね」
「ええ?明日非番を頂けるんですか?じゃあ、上海にお買い物にいけますわ。お姉さま、ありがとうございます」と無邪気そうに頬を楊少校の頬に擦り付ける。
そうか。石垣島への出撃は明後日の午後11時半(中国時間)。寧波と石垣島の距離は680キロ。23ノット(時速37キロ)で約18時間。台湾に向かうと見せかけて迂回するだろうから、石垣到着は3日後の午後六時(中国時間)以降だ。日没後を狙うわけだ。
そうすると、侵攻部隊の戦力は、
● 東海艦隊揚陸艦:旗艦龍虎山(Longhushan)、沂蒙山(Yimengshan)、四明山(Simingshan)
● 南海艦隊揚陸艦:長白山(Changbaishan)、祁連山(Qilianshan)
● 東海艦隊フリゲート艦:南通(Nantong)、安陽(Anyang)、浜州(Binzhou)
● 南京軍区空軍:J-20(殲20)16機編隊
が総兵力。
071型揚陸艦には、726型エアクッション揚陸艇(ACV)4隻が搭載されている。071型揚陸艦5隻で726型は合計20隻。1隻当たり陸戦隊は250名程度が乗れる。つまり、陸戦隊は5,000名。
これが全部石垣島周辺海域へ派遣されるのかしら?与那国島、宮古島は別働隊?
同規模じゃないだろうけど。この侵攻部隊が島嶼を占領したら、全部隊が反転して、台湾攻略に参加するってわけね。
尖閣諸島は軍事拠点になり得ないので今回は放置ね。宮古島の狙いは、防衛されていない下地島だろうな。与那国島は台湾に最も近いけど、空港の滑走路が石垣島よりも貧弱ね。新石垣空港は港湾・ミサイル基地と離れていて確保しやすい。
「となると、南西諸島侵攻の最大の攻略目標はエレーナ少佐の来る石垣島だ!ニャーナに連絡しなくっちゃ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
《《ジトコ大将の別荘《ダーチャ》、ハバロフスク》》
ジトコはリビングのソファーに座っていた。ジトコの腿に顔をつけて愛人のニャーナがソファーに身を横たえている。
「・・・以上が金少尉からの諜報情報。金少尉と楊少校の関係はそういうこと。人民解放軍はかなりの戦力よ。石垣に行くだろうエレーナ、大丈夫かしら?」
「う~む、中国はかなり本気だな。台湾侵攻の前に南西諸島攻略とは。それで、南西諸島を不沈空母化して、取って返してその部隊を台湾の東岸攻略に使って、台湾海峡からの部隊と挟み撃ちにする作戦か。北京も気が狂ったか?プーチンの失敗から学んでいない。しかし、まずいな」
「あなたの量子エニグマ暗号トランシーバーはエレーナのやつとペアリングしてあるでしょう?それを貸してよ。私が直接説明するわ」
「おまえたちは仲が悪いからな・・・」
「将来の義理の娘が危ないのよ。四の五の言っていられないわよ。トランシーバー、貸して!」
ジトコはカバンから量子エニグマを取り出した。「まず、ワシが話すよ」「いいわよ」
ジトコは暗号設定手順に従い、石垣島のエレーナの量子エニグマに通話した。衛星経由での通信で、ハバロフスクと佐渡ヶ島の通信は良好だった。
「エレーナ、ワシだ」
「パパ、こんな時間にどうしたの?今、ウラジオ?ハバロフスク?」
「ハバロフスクだよ」
「じゃあ、女狐と一緒ね?」
「口の悪い娘だ。おまえの言うその女狐がおまえと直接話したいそうだ。彼女に代わる」
「ハイ、エレーナ、お元気。女狐のニャーナよ」
「・・・ニャーナ、私に何の用?」
「あらあら、突っかかるもんじゃないわよ。真面目な話よ。人民解放軍に関する諜報情報が手に入ったの」
「確かな情報なんでしょうね?」
「言うわね、エレーナ。女狐のニャーナの情報ですもの。人民解放軍の石垣島侵攻作戦の指揮官からの情報よ」
「・・・ありがとう、と言うべきでしょうね?」
「いいわよ、別に。情報元はね、石垣島侵攻作戦の指揮官の楊少校。女性佐官。どうやったかって言うと、金少尉という楊の副官がいてね、それが私の母方の親戚の女なのよ。つまり、中国の朝鮮族の人間。枕の間柄で聞き出したそうよ」
「・・・まったく・・・なるほど、それで?」
「侵攻部隊が寧波を出発するのが五日日午後11時半。中国時間だから、日本時間だと六日後の午前零時半。、石垣到着予想時間はその日の午後六時、日本時間七時以降。部隊の海上戦力は・・・ちょっと待ってね、メモを見るわ・・・強襲揚陸艦5隻、フリゲート艦3隻。陸戦隊予想員数5千名。思い切ったものよ。2万5千人の陸戦隊の5分の1を引っこ抜いたみたい。楊少校ってのもやり手よね。あなどれないわよ。航空戦力は、福州空軍基地(Fuzhou Air Base)からJ-20(殲20)16機編隊が飛来するそうよ。詳細はね・・・ということ。与那国島と宮古島侵攻部隊の詳細は不明。この内容はテキストにしてSMSで送ってあげるわ」
「ニャーナ・・・その・・・ありがとう」
「あなたらしくもない。殊勝にならなくてもよろしいわ。私は私の愛するあなたのお父様の愛娘が死んではイヤだからしているだけ。それよりも、あなたたち大丈夫?自衛隊とロシア軍のあなたの部隊で対処できるの?」
「こちらの指揮官の紺野二佐と相談します。こちらの陸戦兵力は自衛隊二千名。私の部隊千名・・・
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
海上戦力だけでも、エレーナが使える部隊は、90年代に就役した満載排水量4,080トンの揚陸艦ペレスヴェートとオスリャービャ二隻に対して、人民解放軍は最新鋭の満載排水量25,000トンの071型揚陸艦5隻。(中国南海艦隊:長白山(Changbaishan)、祁連山(Qilianshan)、中国東海艦隊:旗艦龍虎山(Longhushan)、沂蒙山(Yimengshan)、四明山(Simingshan))。
ジャンカイ級フリゲート艦の南通(Nantong)、安陽(Anyang)、浜州(Binzhou)の三隻に対して、海上自衛隊はFFM型護衛艦もがみ、くまの、のしろの3隻。
ホバーは、エレーナ部隊は満載排水量550トンのポモルニク型エアクッション揚陸艦四隻に対して、人民解放軍は最新鋭の満載排水量170トン726型エアクッション揚陸艇20隻。
兵数は、広瀬二尉の陸自水陸機動団400名と石垣島陸自ミサイル部隊600名、沖縄本島から増援の畠山三佐の水陸機動団1,000名、エレーナ部隊1,000名、合計3,000名に対して、人民解放軍海兵隊は5,000名。
宮古島駐屯地にはミサイル部隊700名、与那国駐屯地にミサイル部隊150名。
海上戦力は、揚陸艦に関しては劣勢、フリゲートは同じ、ホバーはやや攻撃力で優勢、陸上戦力は圧倒的に劣勢。
航空戦力は、J-20(殲20)16機編隊に対して、空自の迎撃航空機数はいまだ未知数。
中国本土の寧波《ニンポー》基地と石垣島はたった680キロの距離。沖縄本島との距離400キロのほぼ中間地点。680キロというと東京、広島間だ。400キロは東京、大阪間に相当する。
「ニャーナ、こういう戦力だと、残念ながら我が方が劣勢というしかありません」
「なるほど。在日米軍は、沖縄本島が攻撃されない限り、核保有国同士の中国相手に介入はしないと思うわ」
「同感です」
「つまり、南西諸島、特に石垣島は、自衛隊とあなたの部隊で防衛せざるをえないってことね。でも、腑抜けの日本政府は先制攻撃をしない。指を加えて停船勧告するだけで、中国の海上戦力の領海侵入を許してしまうのがおちよね?東ロシア共和国、あなたの部隊も手出ししにくいでしょうし・・・中国軍がペレスヴェートかオスリャービャ、ポモルニク型エアクッション揚陸艦を先に攻撃でもしない限り・・・」
「奴らに先に手を出させる・・・」
「ふ~ん、検討してみましょう・・・そうそう、この量子エニグマ暗号トランシーバーは金《キム》少尉も同じのを渡してあるのよ。テキストSMSでペアリング手順を送るから、あなたのエニグマと金少尉のエニグマをペアリングしてちょうだい。いざとなった時のためにね」
「その金《キム》少尉は大丈夫なのかしら?スパイ行為が露見したら・・・」
「彼女は私と同じ女狐よ。ま、私は彼女と違ってバイセクシュアルじゃないけど。非常に優秀、抜け目はないわ。私からは以上。お父様と代わるわね」
「エレーナ、十分注意してくれよ」
「パパ、大丈夫よ」
「それから、婚姻届は出したのかね?」
「それは・・・ヒロシがバックパックに書類を突っ込んだまま、出し忘れていて・・・」
「そういうところは二人共抜けているんだな。佐渡市役所で提出しておくといい」
「暇ができたらね」
「あ、そうだ、そっちの紺野二佐にジトコからよろしくと言っておいてくれ。何でも彼女の要望には答えるからと」
「紺野二佐をご存知なの?」
「エレーナ、わしは東ロシアの高官だよ。日本の内閣情報調査室とは緊密に連絡を取っている。日本の免許証だって受け取ったろう?」
「・・・ありがとう、パパ」
「紺野二佐もニャーナと同じ女狐だからな。敵に回すと怖いが、味方としては心強い存在だ。じゃあ、お休み。気をつけるんだよ」
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