1 / 3
第1話 おとといの夜から40時間ちょっとだけ
しおりを挟む
「なんこれ?国連マークやけど?明彦は国連機関の職員なん?」ってミキちゃんが首を傾げとる。
「そやみたいね。UNDP。United Nations Development Programme、国際連合開発計画やね。国連の補助機関やけど、その名刺の裏を見てみてよ」
ミキちゃんが名刺をひっくり返した。眉を顰めとる。「表が国連組織で、裏がJAXA?JAXAって、あのロケットのH2Aを飛ばしよる日本の組織やん?」
「JAXAは宇宙航空研究開発機構よ。つまり、彼は国際機関と日本の政府機関に勤務しとって、で、住んどるとこがスリランカってこと。理解できんね?なんで、スリランカなん?先進国やないよ?UNDPだけやったらわかるよ。開発途上国の経済、社会的発展のために、プロジェクト策定や管理をする機関なんやけん。けど、JAXA?JAXAから出向でUNDPなんかな?でも、JAXAは宇宙開発の機関やん?」
「インドなんかもICBMや衛星ロケットを打ち上げとるけど?」
「インドはスリランカより貧しかけど、宇宙開発は1960年代に始まっとるよ。1970年代には初の国産打ち上げロケットの発射が成功しとる。フランス、アメリカ、ロシアが技術協力したんよ。貧しい言うても十数億人の人口の国やけん、宇宙開発の予算くらいは捻出できる。けど、スリランカはインドより裕福やけど人口は2千万人程度。宇宙開発の予算なんかないよ」
「なんかよぉわからんけど、本人に聞いてみようや。だって、政府機関の職員が美術品売買ビジネスに投資するってわけわからんよ。JAXAって組織は美術品の目利きもできるんかな?」
「まさかね。謎やね。本人は雲の上やし、次に日本に来た時に聞かんと。でも、政府機関職員なんやけん、まっとうな職業やし、安心は安心やね」
┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼┈┈
関西空港駅から12:14分発の特急はるか22号で新大阪まで行った。電車賃、明彦に出してもらって悪かったなあ。彼、お金持っとるねえ。まあ、貧乏よりええかあ。
新大阪駅で待ち時間が10分くらいあったけん、駅弁を買う。ミキちゃんに「駅弁、買おうや」って言ったら「お腹すいた」って言う。あれだけリーガロイヤルホテルのビュッフェで食べたのに、まだ食べられると?
うちは明彦の前やけん遠慮して少ししか食べんかった。淑女の嗜みやね。普段はミキちゃんと同じくらいの食欲やけど。小娘は、天ぷら、お寿司、お稲荷さん、おうどん、デザートを全部平らげた。小娘、よう食べたねえ。
「直美さん、駅弁はうちが買うけんね」って言う。それで、カゴになんとか御膳いう赤飯、煮物、揚げ物、お肉、タコの炊き込みご飯のおかずがいっぱいの駅弁を放り込んで、牛タン弁当も放り込む。
それ、全部食べるん?うん、食べる!って言う。うちも幕の内弁当にした。ウニ・いくら丼をカゴに放り込んだ。朝、遠慮したけんお腹すいたんよ。新幹線は13:18分発で15:57分着。3時間近くある。ビールも500mlを4本。あ~あ、太るかもね。
けど、一昨日の夜から40時間ちょっとしか経っとらん。あっという間やったな。大阪には夜行バスで来て、帰りは新幹線なんて。こういう旅も悪くないやん?あ!バーのオーナーにお店を昨日閉めちゃったのを謝らんとね!
「やることがいっぱいあるねえ」って独り言。
「直美さん、会社作るってどうやるん?」
「前に友人に聞いたら、市役所の窓口やハローワークで起業のやり方とか、小倉市の補助金制度とか、市が紹介してくれるオフィスとか教えてくれるらしいよ。ミキちゃんが従業員になったら、ミキちゃんのお給料の一部も負担してくれるそうよ」
「それ、事務作業はうちが手伝うよ」
「当てにしとるよ」
「香港とシンガポールやったら、英語やね?」
「うちはちょっと話せるけど…」
「うちは、TOEICで820点とっとる。やけん、会話と書類作業は、もうちょっと勉強すればなんとかなるかも」
「それって、すごくない?TOEICって、平均点620点くらいやなかったっけ?」
「うん、勉強してもう1回受けて、900点以上とろうかな?」
「ミキちゃん、そっち、任せた。うちは、画廊とか画家の発掘をするよ」
やることがだんだん見えてきた。二人して、二人前の駅弁をペロッと食べてしまい、ビールもあっという間になくなって、パーサーさんが通りがかったけん、ウィスキーのミニチュアボトルを3本ずつ、ロックでもらった。パーサーが女二人、トリプルロックなんていうけん目を丸くしとった。
山陽新幹線さくら583号は13:18分発、博多駅着が15:57分。もっと乗っとりたいな。
ミキちゃんと新幹線の中で話して、彼女はうちのマンションに住むことになった。全財産が今持っとるバッグだけやけん、引っ越しは必要ないんよ。彼女は身ぎれいやけど、スーツケースならわかるけど、あんなバッグひとつで服から下着まで詰め込むのってすごかね。ミニマムの持ち物なんやろ。でも、もっと服や靴は買わんとね。明日、服を買いに行こう。
漫画喫茶を転々として、コインランドリーで洗濯、ファストフード店で食事するなんていう生活じゃダメやろね?いやいや、彼女の言う『寂しくなっても、私がおるけん、なぐさめてあげる』目当てやないよ。ない!絶対にない!
…初日からやってしもうた。
「そやみたいね。UNDP。United Nations Development Programme、国際連合開発計画やね。国連の補助機関やけど、その名刺の裏を見てみてよ」
ミキちゃんが名刺をひっくり返した。眉を顰めとる。「表が国連組織で、裏がJAXA?JAXAって、あのロケットのH2Aを飛ばしよる日本の組織やん?」
「JAXAは宇宙航空研究開発機構よ。つまり、彼は国際機関と日本の政府機関に勤務しとって、で、住んどるとこがスリランカってこと。理解できんね?なんで、スリランカなん?先進国やないよ?UNDPだけやったらわかるよ。開発途上国の経済、社会的発展のために、プロジェクト策定や管理をする機関なんやけん。けど、JAXA?JAXAから出向でUNDPなんかな?でも、JAXAは宇宙開発の機関やん?」
「インドなんかもICBMや衛星ロケットを打ち上げとるけど?」
「インドはスリランカより貧しかけど、宇宙開発は1960年代に始まっとるよ。1970年代には初の国産打ち上げロケットの発射が成功しとる。フランス、アメリカ、ロシアが技術協力したんよ。貧しい言うても十数億人の人口の国やけん、宇宙開発の予算くらいは捻出できる。けど、スリランカはインドより裕福やけど人口は2千万人程度。宇宙開発の予算なんかないよ」
「なんかよぉわからんけど、本人に聞いてみようや。だって、政府機関の職員が美術品売買ビジネスに投資するってわけわからんよ。JAXAって組織は美術品の目利きもできるんかな?」
「まさかね。謎やね。本人は雲の上やし、次に日本に来た時に聞かんと。でも、政府機関職員なんやけん、まっとうな職業やし、安心は安心やね」
┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼┈┈
関西空港駅から12:14分発の特急はるか22号で新大阪まで行った。電車賃、明彦に出してもらって悪かったなあ。彼、お金持っとるねえ。まあ、貧乏よりええかあ。
新大阪駅で待ち時間が10分くらいあったけん、駅弁を買う。ミキちゃんに「駅弁、買おうや」って言ったら「お腹すいた」って言う。あれだけリーガロイヤルホテルのビュッフェで食べたのに、まだ食べられると?
うちは明彦の前やけん遠慮して少ししか食べんかった。淑女の嗜みやね。普段はミキちゃんと同じくらいの食欲やけど。小娘は、天ぷら、お寿司、お稲荷さん、おうどん、デザートを全部平らげた。小娘、よう食べたねえ。
「直美さん、駅弁はうちが買うけんね」って言う。それで、カゴになんとか御膳いう赤飯、煮物、揚げ物、お肉、タコの炊き込みご飯のおかずがいっぱいの駅弁を放り込んで、牛タン弁当も放り込む。
それ、全部食べるん?うん、食べる!って言う。うちも幕の内弁当にした。ウニ・いくら丼をカゴに放り込んだ。朝、遠慮したけんお腹すいたんよ。新幹線は13:18分発で15:57分着。3時間近くある。ビールも500mlを4本。あ~あ、太るかもね。
けど、一昨日の夜から40時間ちょっとしか経っとらん。あっという間やったな。大阪には夜行バスで来て、帰りは新幹線なんて。こういう旅も悪くないやん?あ!バーのオーナーにお店を昨日閉めちゃったのを謝らんとね!
「やることがいっぱいあるねえ」って独り言。
「直美さん、会社作るってどうやるん?」
「前に友人に聞いたら、市役所の窓口やハローワークで起業のやり方とか、小倉市の補助金制度とか、市が紹介してくれるオフィスとか教えてくれるらしいよ。ミキちゃんが従業員になったら、ミキちゃんのお給料の一部も負担してくれるそうよ」
「それ、事務作業はうちが手伝うよ」
「当てにしとるよ」
「香港とシンガポールやったら、英語やね?」
「うちはちょっと話せるけど…」
「うちは、TOEICで820点とっとる。やけん、会話と書類作業は、もうちょっと勉強すればなんとかなるかも」
「それって、すごくない?TOEICって、平均点620点くらいやなかったっけ?」
「うん、勉強してもう1回受けて、900点以上とろうかな?」
「ミキちゃん、そっち、任せた。うちは、画廊とか画家の発掘をするよ」
やることがだんだん見えてきた。二人して、二人前の駅弁をペロッと食べてしまい、ビールもあっという間になくなって、パーサーさんが通りがかったけん、ウィスキーのミニチュアボトルを3本ずつ、ロックでもらった。パーサーが女二人、トリプルロックなんていうけん目を丸くしとった。
山陽新幹線さくら583号は13:18分発、博多駅着が15:57分。もっと乗っとりたいな。
ミキちゃんと新幹線の中で話して、彼女はうちのマンションに住むことになった。全財産が今持っとるバッグだけやけん、引っ越しは必要ないんよ。彼女は身ぎれいやけど、スーツケースならわかるけど、あんなバッグひとつで服から下着まで詰め込むのってすごかね。ミニマムの持ち物なんやろ。でも、もっと服や靴は買わんとね。明日、服を買いに行こう。
漫画喫茶を転々として、コインランドリーで洗濯、ファストフード店で食事するなんていう生活じゃダメやろね?いやいや、彼女の言う『寂しくなっても、私がおるけん、なぐさめてあげる』目当てやないよ。ない!絶対にない!
…初日からやってしもうた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる