北千住物語 Ⅲ、紗栄子と純子、アキラ編 ー 美久と武の周りのラブストーリー

✿モンテ✣クリスト✿

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第2章 紗栄子、純子とアキラ編

第6話 紗栄子、純子とアキラ1J

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 午前中最後の授業が終わり、昼休みになった。教室から廊下に出て、いつもの屋上への階段口にぼくは行こうとしていた。向こうから、3年D組の節子さん、紗栄子さん、佳子さんの三人組がやってきた。

 数週間前に、後藤順子と彼女の三人組の恭子、敏子、恵美子、他校のヤンキーとの大立ち回りが学校中の話題になった。智子を初め、数名の女の子が覚醒剤漬けにされて、援助交際をさせられていたそうだ。

 それを先輩の田中美久さんや節子、紗栄子、佳子の三人組が暴いて順子たちをのした、という話。警察沙汰になって、後藤順子と彼女の三人組は少年院送りになったそうだ。生徒集会で、校長をはじめ教師から、覚醒剤などの薬の話、援助交際の話、はては性病の話など、しばらく注意事項を連呼された。童貞のぼくには関係のない話だ。

 紗栄子さんがぼくを見て話しかけてくる。困るなあ。「A組のアキラくんじゃないか?どこ行くんだ?屋上でボッチメシするの?そりゃ、寂しいよ。私と食べない?」と紗栄子さんが言う。
「紗栄子、童貞くんをからかっちゃいけないよ」と佳子さん。なんでぼくが童貞だってみんな知っているんだろうか?
「だって、アキラくん、可愛いもの。タケシ兄さんみたいに目立つ人じゃないし。私の好みなんだよなあ」と紗栄子さんが勝手に言った。

「おい、紗栄子、アキラくん、怯えているじゃないか?」と節子さん。最近、和服姿で街を歩いているのをよく見かける。田中美久先輩のように超絶美少女というわけではないが、ヤンキー姿を止めてから、節子さん、紗栄子さん、佳子さんの三人はかなりキレイになった。しかし、元ヤンは元ヤン。怖い。

「アキラくん、怯えなくてもいいよ。こう見えて、私は優しいんだ。今度、デートしないか?それで、デートの後、私と女体の神秘を二人で探求するのってどうだい?」と紗栄子さんが恐ろしいことを言う。

「こら、紗栄子、全然逆ナンになってないだろ?アキラくん、ますます、怯えているじゃないか?」と佳子さんが言って「アキラくん、ごめんね。こいつ、超肉体派だから、怯えさせないナンパの仕方を知らないブキッチョなんだよ。すまんね、呼び止めて」と紗栄子さんの耳を引っ張って引きずっていく。

「アキラくん、私で良ければいつでも筆おろしオッケーだからね。覚えといてね」と紗栄子さんが言いながら、階段を降りていってしまった。ひと言も返せなかった。

 あ~、怖かった。紗栄子さんは体が半端なくバンバンのグラマー肉体派だもんなあ。迫力すごい。でも、いつでも筆おろしオッケーだって?冗談でしょ?でも、冗談じゃなかったら・・・ああ、恐ろしい。想像しちゃダメだ。イカン、イカン。

 ボッチのぼくは3年A組。進学組だ。今日も一人で学校の屋上で昼飯を食べる。叔父貴から借りたハードボイルド小説を読んで、卵焼きを愉しんでいる。一人が一番だ。

 卵焼きを食べていると、屋上のドアがキィ~と開いた。だれかな?と見ると、同じクラスの時任純子。ありゃ、彼女も三人組と同じく苦手だ。陰キャのぼくに対して、クラスで陽キャの小柄なカワイコちゃんだ。身長155センチくらいかな?ぼくは170センチ。ちょうど見下ろせる。席が隣りなんだ。

「あ!アキラ、何してんの?一人でご飯食べて?一緒していい?」と、おいおい、スキップして胸揺らして近づくな!スカートの長さ、校則違反だろう!太腿パツンパツンで、パンツ、見えそう!

 純子はまたたく間に近づいてきて、ぼくの座っている木のベンチの隣に「よいっしょ」と言ってぼくに断りもなく座った。今日はぼくには女難の相でもでているのか?
 
 彼女もお弁当を広げる。プラスチック二段のベージュと茶色のお弁当箱だ。ぼくのは桐二段の弁当箱。順子はジロジロ、ぼくの弁当を見る。ぼくも純子の弁当箱を見てしまう。

「アキラのうまそうじゃん?あ!卵焼き!私、好物なの!ちょうだいね!」とぼくの許しも得ずに箸を伸ばしてまたたくまに口に入れやがる。
「あ!こら!純子!食っていいなんて一言もいってないぞ!」
「うっさいわねえ、あ!おいしい!ね、ね、お母さんが作ったの?」
「・・・ええっと、ぼくが作ったんだけど・・・」

「え~、うっそぉ~?」
「どうでもいいだろう?ウチの母親は料理苦手で、朝苦手なんだから。弁当は自分で作る」
「へぇ~、人は見かけによらんもんだよ、アキラ。お返しに私の鶏の唐揚げをあげよう」とぼくの弁当箱に彼女の鶏の唐揚げを乗せる。
「まったく、純子は。ま、ありがと・・・うまいね?純子が作ったの?ジューシーだよ?」純子の箸でつまんだ鶏の唐揚げを食べるのは、純子との間接キスか?とか、思うな、自分。
「へへへ、純子のは、みんなママが作るの。朝、純子が起きられるわけ、ないじゃん?」

 昼食を二人とも食べ終わった。純子は伸びをする。伸びをすると制服を折り込んで超ミニになっているスカートがずり上がって、パンツが見えそう。「純子、パンツ、パンツ、見えるよ」と僕が言うと、
「え?アキラ、見たいの?純子のパンツ?見せてあげようか?」
「どうせ、見せパンだろ?二枚はいているんだろ?そんなの黒のショートパンツだもんな」

「アキラはバカねえ。女の子でも、二枚、三枚重ねばきしている子もいれば、見せパンなんてはかない一枚だけの子もいるんだよ。私は一枚。その下は私の裸。ねえねえ、見る?」と言ってスカートをたくし上げ始めた。ぼくは彼女の手を掴んで「お止めください、純子、止め!」と言った。

「なぁ~んだ、アキラは純子の純正パンツ、見たくないんだ。可愛いのに。ホラっ!」と一瞬めくってまた隠した。ぼくはなんだか白のレースの思っているより小さな布生地をちょっと見てしまって、「純子!刺激が強すぎる!」と言った。「なあんだ、ちゃっかり見てるじゃん!」

「ウブだね、アキラ。あのさ、アキラは女の子のパンツの話、知ってる?聞きたい?」
「知らない、聞きたくない」
「じゃあ、教えてあげる」
「聞きたくないといっただろ?」
「それは聞きたいの裏返しだよね。教えてあげる」

 と純子は一方的に言って説明しだした。

 男の子はいいわよ。パンツ重ね着しないでもいいから。その代わりポロリってあるんでしょう?ボクサーパンツなんかは?でも、蒸れないからいいわよね。女の子は大変。階段の下から覗かれてもいいように見せパンはくじゃない?下の勝負下着はいいけど、見せパンって蒸れるのよ。夏なんか汗で蒸れ蒸れでさ、ぐっしょり。それで、生理の時なんてどうなると思う?

「ね?アキラ、生理の時、パンツの中、どうなると思う?」
「し、知るわけないだろ!純子!」
「あのね、アキラ、生理のときはね、まぁ~、いろんな体液がでます」
「おい、純子、止め!」
「ダメ!その体液が、ナプキンとかタンポンで吸収されるわけなのよ。生の赤身のレバーみたいなのも出てくるの」
「昼飯後なんですが・・・」と反抗してみるも無視される。

「汗と体液がないまぜになりまして、すごいことになるの!」一切無視して純子。
「ああ・・・すごいこと?」
「そう、授業中、女の子が脚を擦り合わせたり閉じたり開いたりつま先立ちしているの見たことない?」
「気づかないよ、そんなの」
「じゃあ、今度、あの子よ、あの子、って教えてあげる。それでさ、なんでその子は脚を擦り合わせたり閉じたり開いたり上げたりしているんでしょうか?」
「トイレに行きたいから?」

「そういう場合もある。だけど、夏で生理で見せパン二重ばきの子ならどうなる?」
「蒸れ蒸れ?」
「そう、蒸れ蒸れ。そうなるとさ・・・とてつもなく、あそこが痒くなるのよ!」
「え?痒いの?」
「そう、死にそうになるくらい、痒いの。授業が終わって、その子がトイレに駆け込むじゃない?」
「・・・う~、はい?」

「それを隣で聞かせてあげたいわ。ボリボリボリボリボリボリって」
「ゲェ~!」
「そうなのよ、隣のブースから聞こえてくるのよ。ボリボリボリボリボリボリ・・・」
「あ!もう女の子に対する夢が・・・」
「アキラの好きな清楚そうな女の子もそうよ。ボリボリボリボリボリボリ・・・」
「純子、止めて!」
「私は見せパンはいてないもの。蒸れ蒸れにならないんだよねえ。ねえ、女の子のこと、少しはわかった?」
「わかりました、純子、十分です」

 純子は、なぜぼくにちょっかいを出すんだろうか?教室では席が隣だけど、そんなに話したことはない。三年になるまで同じ組になったことはなく、彼女のことは殆ど知らないのだ。
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