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街中が賑わう大通りには、カップルや、家族、友達同士でたくさんの笑顔と笑い声が響く中、まだ仕事中の人や、下を向いて涙を堪えながら歩いている人。そして、受験生らしき学生が分厚い参考書を抱えて街中を通り過ぎていく。
そして俺は、
「Merry X'mas ケーキはいりませんか?」
「寒っ!!!」
「後、どれくらいで完売?」
「後、2、4、6、8、10、2、4、6………後、23個です」
「20時までに売れきれなかったら、3割引で、それでも21時になっても売れなかったら5割でみんな買い取ってもらおうかな?」
「え~っ!そしたら俺の数日間の飯、全部ケーキじゃん!!!毎食ケーキになるのは嫌だ!!!」
「それが嫌なら、柊(しゅう)と俺がが作ったケーキ、頑張って売ってみろ!」
サンタの様なパティシエが笑いながら後ろに下がっていく。
「絶対、智(さとし)さんがサンタの格好をして売った方が子供が買ってくれるのにな?しかもバイトの娘(こ)、こんな日に休むなよ。それにしても柊さん、凄くトナカイ似合ってますね」
バイトで入っている大学生の大夢(ひろむ)が、笑いながら言う。
「悪かったな、熊男で」
「いや智さん、誰も熊男なんて言ってないですよ。子供が喜びそうだって言っただけです。それに俺、柊さんのように背が高ければトナカイの着ぐるみ着れたんですけど、コックコートですみません。でも、なんでこの店サンタの衣装がないんですか?あってもサンタのエプロンだけだし」
本当に申し訳なさそうに言われた上に、この店の謎まで突っ込んできた事に俺は、
「サンタの衣装は、まあいいとして、大夢、後少ししたら上がっていいよ。どうせ智も帰るだろうし、こんな時、住まいを店の上にするんじゃなかったって、つくづく思うよ。まあ、明日と明後日は休みになっているからゆっくり休めよ」
「すみません、柊さんこそ早く休めるように頑張って売っちゃいましょう」
残りを二人で売るが、中々減らない。
そのうち智は帰り支度を済ませ俺に向かって『サンタコスね━━━』って意味深に俺に視線を向けながら言った。智は自分の分のケーキを持って愛する家族の元に帰っていった。
ケーキをただ売るだけじゃクリスマスムードにかけるのか、やっぱりサンタクロースは必要だったかな……
でもまさか、『オーナー、バイト辞めます。一緒にクリスマスを過ごそうって彼に言われちゃって♡彼氏?そうなんです。今日付き合うことになって…………だからバイト代は………』臨時のバイトで面接の時にしか会ってない女子大生は、昨日と今日の二日間しか、シフトに入っていないのに一日も来ないでやめてしまった。しかも働いていないのに『バイト代は、いらないです』って、思わず『おいっ?! 』って突っ込みそうだったよ。しかも、『可愛いサンタコスじゃなくてエプロンだけなんて可愛い私にはありえない』って………思わず自分で言うかなって。おかげで大夢には迷惑をかけた。バイト代は振り込みだけど、辞めた彼女の分大夢が頑張ってくれたから昨日と今日何とか乗り切れた。それに対しての対価になればいいけど、彼女に支払う分と+ α 色をつけておいた。それくらい本当によく働いてくれたから、俺からの感謝の気持ちだ。そんな事を考えていたら、
「すみません柊さん、佐々木いますか?」
若い子達が数人やってきた。何人かは顔見知りだ。大夢を迎えに来たらしい。
俺は大夢が奥にいることを伝えると、それが聞こえたのか奥から顔を出して、
「わりぃ、まだあと少しかかる」
「じゃあ、先に椎名(しいな)の所に行ってた方がいいかな?」
「悪い、俺も後から行くから」
本当は、みんなと一緒に行きたい癖して、我慢してんだろうな………
「おい、佐々木、もう上がっていいぞ」
「でも、それじゃ、柊さん大変じゃないですか?」
すると大夢の友達が、
「あれ?誰かケーキ用意したって聞いてる?」
「あ、それなら俺が柊さんに頼んであるよ。しかもケーキ屋の前でする話じゃないよね。すみません柊さん、こいつら悪気はないんです」
恥ずかしそうに顔を赤くする当たりがまだまだ可愛いと、思ってしまった。そして、楽しそうに話す大夢の姿を見て、大夢はいい友達に巡り会えているように思った。その輪の中に大夢に熱い視線を送っている一人の女の子がいた。俺が見ているのに気がついて、慌ててお辞儀をする。
『ああ、この娘(こ)かな?大夢の好きな娘(こ)って』
俺は大きめのデコレーションケーキと、少し小さめなデコレーションケーキを奥から出してくると、
「自分で最初から最後まで作ったケーキ忘れないで持っていけ。好きな子に今日、告白するんだろ?大丈夫、よく出来ているから安心して告白してこい。後、よく働いてくれたからバイト代とは別に、俺から」
封筒に入れてあるお金を渡すと、大夢はとても嬉しそうに受け取った。
「いいんですか?ありがとうございますっっ」
「Merry X'mas みんなと楽しいクリスマスを」
「はい、柊さんもMerry X'mas 」
「早く行け」
「はい、ありがとうございます。みんな、俺も一緒に行く」
大夢は、着替えてくると言って更衣室に入っていった。
「これはうちからのサービスね」って、ジンジャークッキーを渡すと、
「わ~、可愛い。これアイシングしてあるんですね」
さっきの女の子が嬉しそうに受け取った。
「よく知ってるね」
「はい、よく大夢くんが話していたんで覚えたんです」
幸せそうな顔をしている。
「お待たせー」
と、大夢が来るとさらに嬉しそうに笑った。
大夢の視線も、クッキーを持っているこの女の子に向いている。
「柊さん、お先に失礼します」
大夢も帰ってしまった。
「ついに一人になってしまった……」
ケーキの在庫もまだある。男だけのケーキ屋には中々客が寄り付かない。その為に女の子のバイトを入れたのにまさか『彼氏が出来たのでバイトはやっぱりいいです』なんて、言われるとは思わなかった。
「はあ………予約数以上に作ったからか………」
「あっ……あの、ケーキまだありますか?」
フードを目深に被った女の子が目の前に立っていた。
「いっぱいあるよ。アルバイトの女の子が来れなくなって予約以外のケーキが思ったよりも売れないんだ」
思わず愚痴るとその女の子は、
「わ…私、手伝ってもいいですか?」
女の子は少し顔を上げた時、綺麗な輪郭が見えたけど、正直どうしたらいいのか……
「思わぬ申し出に喜ばないわけがないけど……いいのか?」
小さく頷く。
ありがたい話だ。藁をも掴む気持ちでお願いすることにした。
「荷物は奥の右側に更衣室があるからそこにエプロンもあるから」
「はい……」
俺の横を通り過ぎる女の子は、急いで更衣室に入って行った。
すれ違いざまに女の子が小さな声で呟いた言葉は、
「やっと……会えた」
と、とても嬉しそうな顔をしていた。
何故だろう………
そして俺は、
「Merry X'mas ケーキはいりませんか?」
「寒っ!!!」
「後、どれくらいで完売?」
「後、2、4、6、8、10、2、4、6………後、23個です」
「20時までに売れきれなかったら、3割引で、それでも21時になっても売れなかったら5割でみんな買い取ってもらおうかな?」
「え~っ!そしたら俺の数日間の飯、全部ケーキじゃん!!!毎食ケーキになるのは嫌だ!!!」
「それが嫌なら、柊(しゅう)と俺がが作ったケーキ、頑張って売ってみろ!」
サンタの様なパティシエが笑いながら後ろに下がっていく。
「絶対、智(さとし)さんがサンタの格好をして売った方が子供が買ってくれるのにな?しかもバイトの娘(こ)、こんな日に休むなよ。それにしても柊さん、凄くトナカイ似合ってますね」
バイトで入っている大学生の大夢(ひろむ)が、笑いながら言う。
「悪かったな、熊男で」
「いや智さん、誰も熊男なんて言ってないですよ。子供が喜びそうだって言っただけです。それに俺、柊さんのように背が高ければトナカイの着ぐるみ着れたんですけど、コックコートですみません。でも、なんでこの店サンタの衣装がないんですか?あってもサンタのエプロンだけだし」
本当に申し訳なさそうに言われた上に、この店の謎まで突っ込んできた事に俺は、
「サンタの衣装は、まあいいとして、大夢、後少ししたら上がっていいよ。どうせ智も帰るだろうし、こんな時、住まいを店の上にするんじゃなかったって、つくづく思うよ。まあ、明日と明後日は休みになっているからゆっくり休めよ」
「すみません、柊さんこそ早く休めるように頑張って売っちゃいましょう」
残りを二人で売るが、中々減らない。
そのうち智は帰り支度を済ませ俺に向かって『サンタコスね━━━』って意味深に俺に視線を向けながら言った。智は自分の分のケーキを持って愛する家族の元に帰っていった。
ケーキをただ売るだけじゃクリスマスムードにかけるのか、やっぱりサンタクロースは必要だったかな……
でもまさか、『オーナー、バイト辞めます。一緒にクリスマスを過ごそうって彼に言われちゃって♡彼氏?そうなんです。今日付き合うことになって…………だからバイト代は………』臨時のバイトで面接の時にしか会ってない女子大生は、昨日と今日の二日間しか、シフトに入っていないのに一日も来ないでやめてしまった。しかも働いていないのに『バイト代は、いらないです』って、思わず『おいっ?! 』って突っ込みそうだったよ。しかも、『可愛いサンタコスじゃなくてエプロンだけなんて可愛い私にはありえない』って………思わず自分で言うかなって。おかげで大夢には迷惑をかけた。バイト代は振り込みだけど、辞めた彼女の分大夢が頑張ってくれたから昨日と今日何とか乗り切れた。それに対しての対価になればいいけど、彼女に支払う分と+ α 色をつけておいた。それくらい本当によく働いてくれたから、俺からの感謝の気持ちだ。そんな事を考えていたら、
「すみません柊さん、佐々木いますか?」
若い子達が数人やってきた。何人かは顔見知りだ。大夢を迎えに来たらしい。
俺は大夢が奥にいることを伝えると、それが聞こえたのか奥から顔を出して、
「わりぃ、まだあと少しかかる」
「じゃあ、先に椎名(しいな)の所に行ってた方がいいかな?」
「悪い、俺も後から行くから」
本当は、みんなと一緒に行きたい癖して、我慢してんだろうな………
「おい、佐々木、もう上がっていいぞ」
「でも、それじゃ、柊さん大変じゃないですか?」
すると大夢の友達が、
「あれ?誰かケーキ用意したって聞いてる?」
「あ、それなら俺が柊さんに頼んであるよ。しかもケーキ屋の前でする話じゃないよね。すみません柊さん、こいつら悪気はないんです」
恥ずかしそうに顔を赤くする当たりがまだまだ可愛いと、思ってしまった。そして、楽しそうに話す大夢の姿を見て、大夢はいい友達に巡り会えているように思った。その輪の中に大夢に熱い視線を送っている一人の女の子がいた。俺が見ているのに気がついて、慌ててお辞儀をする。
『ああ、この娘(こ)かな?大夢の好きな娘(こ)って』
俺は大きめのデコレーションケーキと、少し小さめなデコレーションケーキを奥から出してくると、
「自分で最初から最後まで作ったケーキ忘れないで持っていけ。好きな子に今日、告白するんだろ?大丈夫、よく出来ているから安心して告白してこい。後、よく働いてくれたからバイト代とは別に、俺から」
封筒に入れてあるお金を渡すと、大夢はとても嬉しそうに受け取った。
「いいんですか?ありがとうございますっっ」
「Merry X'mas みんなと楽しいクリスマスを」
「はい、柊さんもMerry X'mas 」
「早く行け」
「はい、ありがとうございます。みんな、俺も一緒に行く」
大夢は、着替えてくると言って更衣室に入っていった。
「これはうちからのサービスね」って、ジンジャークッキーを渡すと、
「わ~、可愛い。これアイシングしてあるんですね」
さっきの女の子が嬉しそうに受け取った。
「よく知ってるね」
「はい、よく大夢くんが話していたんで覚えたんです」
幸せそうな顔をしている。
「お待たせー」
と、大夢が来るとさらに嬉しそうに笑った。
大夢の視線も、クッキーを持っているこの女の子に向いている。
「柊さん、お先に失礼します」
大夢も帰ってしまった。
「ついに一人になってしまった……」
ケーキの在庫もまだある。男だけのケーキ屋には中々客が寄り付かない。その為に女の子のバイトを入れたのにまさか『彼氏が出来たのでバイトはやっぱりいいです』なんて、言われるとは思わなかった。
「はあ………予約数以上に作ったからか………」
「あっ……あの、ケーキまだありますか?」
フードを目深に被った女の子が目の前に立っていた。
「いっぱいあるよ。アルバイトの女の子が来れなくなって予約以外のケーキが思ったよりも売れないんだ」
思わず愚痴るとその女の子は、
「わ…私、手伝ってもいいですか?」
女の子は少し顔を上げた時、綺麗な輪郭が見えたけど、正直どうしたらいいのか……
「思わぬ申し出に喜ばないわけがないけど……いいのか?」
小さく頷く。
ありがたい話だ。藁をも掴む気持ちでお願いすることにした。
「荷物は奥の右側に更衣室があるからそこにエプロンもあるから」
「はい……」
俺の横を通り過ぎる女の子は、急いで更衣室に入って行った。
すれ違いざまに女の子が小さな声で呟いた言葉は、
「やっと……会えた」
と、とても嬉しそうな顔をしていた。
何故だろう………
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