[完結中編]地味OLと冷徹主任〜25歳のOLは、冷徹主任に愛される〜

コマメコノカ@女性向け

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地味OLの一夜の過ち

8.

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 あの後私達は買い物行って、さよならして別れた。本当に楽しいデートでまた行こうって彼は誘ってくれた。そこから平日が来て普通に仕事の日々を送った。
 昨日デートしてそれなりに深い関係になったんだろうって思ってもおかしくはないけど会社じゃ本当に徹底して部下と上司だった。いつもの仕事に厳しい冷徹上司。関わり方もすれ違っても挨拶する程度。そしてちょっとした世間話。まあ私の意向もあるけれど、咬射副社長何考えているんだろうって思う。...というより全然あの時の出来事気にしてないんだろうか?...それは心の片隅に思っていた。
「あら、どうしたの、朋子ちゃん。いつも可愛いけど、今日はなんだか凄く美人よ」
 相変わらずお褒めの言葉しか頂かないパートの方に言われた。私は咬射主任にデートに誘われる前にメイクの練習を沢山したせいか、それではまってしまっていた。
「ちょっとメイクにはまっちゃって」
「あらあら」
「まあまあ。ほら、咬射主任、朋子ちゃん、美人じゃない?」
「うん」
  私は咬射主任そう言われて下を向く。すると、彼が私の名を呼んでちょっと、と誘ったので傍に寄った。
「実田さん。もう今やっていること今日で終わり。今から松崎が来るから、松崎から仕事貰って」
「はい」
「じゃあ、暫くお別れだな。よく頑張ったな。実田さん」
「...わかりました。有り難うございます。咬射主任」
「うん。後暫く忙しくなるから、何か俺に用があったら松崎に宜しく」
「はい」
 すると、彼は携帯を、取り出して私にみせて振った。...個人的なあれだったら、メールでも良いって事かな。私は頷くと彼は笑ってじゃあ、時々顔は見に来るよって言ってドアから出ていった。
(そうか。もう職場で顔を合わせる事が少なくなるのか)
 ちょっと寂しくて心がぽっかり空いたような感じだった。

×××

その後、私は松崎さんから仕事を貰い、業務をこなしていた。でもその間、咬射主任とは合わず松崎さんからは彼は忙しいから今会うのは難しいと言われた。まあ、会社に居るには居るので、会ったら挨拶しときましょう。と言われた。個人メールも、松崎さんから忙しい。と言われていたので、メールはしなかった。...体調も悪くはなかったから。

×××

 すると、暫くたった数日の出来事だった。私は休み時間に廊下出たら、咬射主任が、他部署の部屋の前にいた。
「...こ、」
 私は彼に挨拶しようと思ったけれど、良く見ると、仲良さそうに美人の他部署の人とと話している所を見た。世間話をしているらしい。二人は楽しそうだった。...気にしなくていいか。というか気にしてもしょうがないでしょ。邪魔しちゃ悪いし、辞めとこう。私は普通に彼の前を通りすぎた。通った後はそうでもなく、話し掛けられない事にほっとしたけれど、後でなんだかもやもやした感情が沸いた。
(嫉妬?まさか)
 あんだけ関わったのに挨拶もしない罪悪感なのか、普通に他の女性と関わっている事への嫉妬なのかわからなかった。
すると、私は急にお腹が痛くなった。...あれ、どうしたんだろう。急に。
 しっかり寝ているせいか特段体調が悪いということはなかったのに。すると、急にあの事を思い出す。一ヶ月の辛抱といっても、産むのか産まないのかを考えるのは少し心理負担にはなっていた。そもそも出来ているかわからないのにこんなこと考えるのは野暮だけど。
(...もし出来て、捨てられたら、どうしよう)
 私はふとそう思う。っていうか、一体咬射主任に何失礼なことを考えるんだろうって思った。捨てられるって。...付き合ってもないのに。
(いや、でも考えないよりましなのかも。中絶費用とか、出さないといけないし)
 お腹の痛みは、多分勉強のストレスかもしれないけど、もしかして、その事も同時にストレスであるのかな。と思った。
(...深く愛してくれるのかもわからない人を好きになったら、...自分でなんとかしなきゃいけないよね)
 私はお腹をさすってみた。
(だけど、もし、出来ていたなら、産みたいな。こんな私だって、家庭が欲しい。...咬射主任は、どんな反応するかわからないけど)
 すると、ふと、急に耳奥で声が聞こえた。
『ははは!お前みたいなブスを好きになる男なんかいるわけないだろ!』
 それは、中学の時に受けた呪いの言葉。
 ...私は、中学の同級生の男子から罰ゲームの告白を受けたことがある。それでショックを受けて空にとじ込もってしまった事がある。好きな人が出来てもそれが呪いになって締め付けられる。私みたいなブスが、いっちょまえに恋をするなんてあり得ないって思って、高校の時も結局彼氏は出来ずに終わってしまった。そして、大学には行かずそのまま会社に就職してから、好きな人が出来てちょっと付き合ったけど、あっけなく別れた。原因は私の不安と、彼が私に対して興味ない人間だったから。見た目と思ったのと違うって言われて別れた。だから、そこまで恋愛をしているタイプじゃないから、恋愛に対しては消極的で、仕事に対しても何しても続かなくて、ずるずる20代半を超えた。
 ...でも不安にならない人なんていないよ。恋愛に対して。仕事に対して。咬射主任との事だって...。すると、
「実田さん」
  咬射主任の声が後ろから聞こえた。振り向くと彼は、私の元へ来た。
「さっき廊下通ったの見た。久し振りだな」
「はい...」
 ...咬射主任は、本当に気づく人だな。...私はじんわりしたものが広がった。
「...どうした?体調が悪そうだ」
「いや、大丈夫です」
 さっきまでお腹は痛かったけど、直った。すると、咬射主任はいつもくれる飴を出して私に差し出した。
「飴よりお茶の方が良いかな...。すまない。会社で話し掛けられるの嫌がってるけどやっぱほっとけない」
 「......」
  すると、私はなんだか鬱々とした気分だった。さっきの美人と楽しそうに話している所が頭によぎった。...だからか、要らないです。と、言おうかなと思った。咬射主任を、突き放してみたかった。...だって変な期待して傷つくのは嫌だ。もう、何処か遠くに行って欲しい。苦しい。そんな思いだった。
「...嬉しいです。貰ってもいいですか?」
「うん」
  だけど、私は彼から貰ってしまった。咬射主任は、優しいから苦しかった。優しいからついその手を取りたいと思ってしまっていた。
「でも、咬射主任、私はペットかなにかじゃないんですよ」
 いつも何かくれるからもしかして彼はそんな風に私を見てるかもしれない。そんな気分だった。
「...俺は実田さんの事そう思った事ないよ」
 咬射主任からそんな言葉が返ってきた。すると、咬射副社長は俺は...と続く。
「...俺は実田さんから欲しい言葉がある」
 と彼は言った。...欲しい言葉?もしかして妊娠の事?...他に何の言葉を言えばいいかわからなかった。
「...もうすぐ、3週間立ちますね。だから待っててください」
「......」
 すると、彼は眉を寄せて、私を見た。そして、
「俺、実田さんから離れた方が良いか?」
 私は下をずっと向いていた。でも、確かに両方忙しいから...この間は会わない方がいいと思った。
「...そうですね。試験も、それぐらいの時期にあるので、それまで籠ります。その後私の方から又連絡致します。その時に時間を作ってくださると嬉しいです」
「......」
 咬射主任は暫く無言でいた。すると、わかった。といい、何かあったらメッセージでと言った。

「じゃあ、頑張ってください。咬射主任」

 そう言って私は彼と離れた。
 ...別に突き放したわけではないけれどなんだが心がぐちゃぐちゃしたままだった。
 ...本音はなんだって言ったら、ずっと一緒にいれるなら、咬射主任と、一緒にいたいだった。だけど、無理だったら嫌だから、自分で防衛線を張る。
 素直に咬射主任の事好きですって言えたらいいのに。そして、私の事を好きな可能性があるといいのに。
(本当にごめんなさい)
  罪悪感がわく。それを処理しきれなくて、私は心の中で呟いた。


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