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第一話 柚葉視点
しおりを挟むピンク色が好きだった。
女の子なら誰もが一度は憧れる色。
でもその色は私じゃない。いつだってあの子の色だった。
私たちは双子で両親でさえ容姿で見分けがつかなかった。
だから物心ついた時には、洋服の色で判断されていた。
「ピンクは桃花だから柚葉は水色ね」
母からはいつも水色の服や髪飾りがあてがわれた。
「柚葉もピンクがいい!」
何度も強請ってみたものの、
「桃花がピンクじゃなきゃ嫌って言うから」
「お姉ちゃんでしょ!」
と言われて、結局水色の洋服を着ていた。
それにピンクの洋服や髪飾りを付けた桃花はすごく可愛い。
いつしかピンクは私には似合わない色だと決め込んで、キラキラ光る桃花の横で引き立てるのが柚葉の役目だった。
一度だけ…
大好きな祖母が遊びに来てくれた時、母と桃花が買い物に祖母と私は留守番した事があった。
祖母はバックの中からピンクのリボンを取り出すと私の髪を結ってくれた。
とても可愛いと喜んでくれて、私は嬉しくなりクルクルと祖母の周りを回った。
そんな時にインターホンが鳴る。すぐに母だと分かった私はリビングから走り出して玄関先まで行った。
「あらぁ、可愛いわね。柚葉、良かったわね。」
ピンクのリボンに結われた柚葉を見て母は褒めてくれたが、桃花はリビングへ走り出して再び私の元へやってきた。
「ジャキッ」
ハサミの音だと分かった瞬間、ピンクのリボンがヒラヒラと舞った。
皆んなが呆気にとられていると、ハサミを持った桃花が泣きながら叫び出した。
「なんで柚葉がピンクをつけるの!」
「ピンクは桃花でしょ!」
桃花は癇癪を起こし、私に刃先を向けた。怖くて動けなくなった私と桃花の間に入ったのは祖母だった。
結果、祖母は病院で何針か縫うことになり、私はその時の桃花の豹変がトラウマになった。
何年経っても自分の思い通りにならないと私や家族にまで危害を与える桃花にウンザリした。
ピンクは桃花の色で私じゃない。
それでもピンク色を纏う姿に、キラキラ舞う世界に憧れた。
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