5 / 28
閑話 桃花視点
昔から柚葉だけが褒められた。
「柚葉はえらいね。」
「柚葉はお利口だね。」
だから、私は大声で泣いた。私が泣くと皆んなが心配してくれる。
元々あった柚葉への視線は全て私のものとなる。
そして年齢が経つにつれ、男の子たちがチヤホヤと持て囃してくれた。ただニコニコ笑って上目遣いをすればいいだけ。
柚葉には到底出来っこないけど私がやれば皆んな喜んでくれる。そう思ってた。
だけど……
1人だけどうしても桃花を見てくれない。
奏ちゃんだ。
奏ちゃんは桃花がどんなに笑顔を振り撒いても、どんなに哀れに泣いても柚葉を見てた。
どうしても意にそぐわない桃花は次第に奏へ執着していった。
どうしても奏ちゃんが欲しい。
幼い頃、保育園の遠足で動物園に行った。各々が好きな場所から好きな動物の絵を描くよう言われて桃花は奏を誘った。
「桃花はシマウマが描きたいの~。」
同じ班の男の子たちは皆んな桃花に賛同し着いてきてくれた。でも奏は着いてこない。
奏ちゃんの向かう先には柚葉がいる。どうして来てくれないの?桃花は焦れて奏の腕にしがみつく。
「奏ちゃんシマウマ描きたい。着いてきて!」
「シマウマなら他の子も描くからみんなに着いていけばいいよ。柚葉が前からゾウを描きたいって言うから俺はゾウの所に行くよ。」
はぁ?なんでそうなるの!桃花の腕に力が籠る。
「私は奏ちゃんと一緒にいたいの!」
ウルウルと上目遣いで懇願したものの、奏ちゃんは困った顔で更にこう続けた。
「じゃあ、3人でゾウ描きに行こう。」
ズルズルと桃花を引きずるカタチで奏は歩きだした。
途中でキリンにするって言っても聞く耳もたず、ゾウを描き出す柚葉の座る横に座った。
柚葉は夢中になってゾウ描く。柚葉はいつだって自分のやりたい事を曲げない。
そしてやりたい事をしてる柚葉は集中して最後までやり抜く。
阿呆らし。
なんで桃花がゾウなんて描かなきゃいけないの。桃花は途中で飽きてただ灰色のクレヨンで丸く塗りつぶして絵を終わらした。
一方、柚葉はゾウをピンクで塗り背景に青空を描いた。奏はふと気になりどうしてゾウをピンクにしたのか聞いた。
「ピンクは私が1番好きな色だから。」
柚葉は頬を紅くして答える。奏はそんな柚葉から目が離せず自分の頬まで紅くした。
結局、柚葉の絵はクラスの代表になって、誰もが見る掲示板へ飾られた。
それを1人眺めた桃花は誰も見てないことを確認すると絵を破り捨てた。
……絶対、柚葉の好きなもの全て奪ってやるんだから。
「柚葉はえらいね。」
「柚葉はお利口だね。」
だから、私は大声で泣いた。私が泣くと皆んなが心配してくれる。
元々あった柚葉への視線は全て私のものとなる。
そして年齢が経つにつれ、男の子たちがチヤホヤと持て囃してくれた。ただニコニコ笑って上目遣いをすればいいだけ。
柚葉には到底出来っこないけど私がやれば皆んな喜んでくれる。そう思ってた。
だけど……
1人だけどうしても桃花を見てくれない。
奏ちゃんだ。
奏ちゃんは桃花がどんなに笑顔を振り撒いても、どんなに哀れに泣いても柚葉を見てた。
どうしても意にそぐわない桃花は次第に奏へ執着していった。
どうしても奏ちゃんが欲しい。
幼い頃、保育園の遠足で動物園に行った。各々が好きな場所から好きな動物の絵を描くよう言われて桃花は奏を誘った。
「桃花はシマウマが描きたいの~。」
同じ班の男の子たちは皆んな桃花に賛同し着いてきてくれた。でも奏は着いてこない。
奏ちゃんの向かう先には柚葉がいる。どうして来てくれないの?桃花は焦れて奏の腕にしがみつく。
「奏ちゃんシマウマ描きたい。着いてきて!」
「シマウマなら他の子も描くからみんなに着いていけばいいよ。柚葉が前からゾウを描きたいって言うから俺はゾウの所に行くよ。」
はぁ?なんでそうなるの!桃花の腕に力が籠る。
「私は奏ちゃんと一緒にいたいの!」
ウルウルと上目遣いで懇願したものの、奏ちゃんは困った顔で更にこう続けた。
「じゃあ、3人でゾウ描きに行こう。」
ズルズルと桃花を引きずるカタチで奏は歩きだした。
途中でキリンにするって言っても聞く耳もたず、ゾウを描き出す柚葉の座る横に座った。
柚葉は夢中になってゾウ描く。柚葉はいつだって自分のやりたい事を曲げない。
そしてやりたい事をしてる柚葉は集中して最後までやり抜く。
阿呆らし。
なんで桃花がゾウなんて描かなきゃいけないの。桃花は途中で飽きてただ灰色のクレヨンで丸く塗りつぶして絵を終わらした。
一方、柚葉はゾウをピンクで塗り背景に青空を描いた。奏はふと気になりどうしてゾウをピンクにしたのか聞いた。
「ピンクは私が1番好きな色だから。」
柚葉は頬を紅くして答える。奏はそんな柚葉から目が離せず自分の頬まで紅くした。
結局、柚葉の絵はクラスの代表になって、誰もが見る掲示板へ飾られた。
それを1人眺めた桃花は誰も見てないことを確認すると絵を破り捨てた。
……絶対、柚葉の好きなもの全て奪ってやるんだから。
あなたにおすすめの小説
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた
アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。
高校生くらいから何十回も告白した。
全て「好きなの」
「ごめん、断る」
その繰り返しだった。
だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。
紛らわしいと思う。
彼に好きな人がいるわけではない。
まだそれなら諦めがつく。
彼はカイル=クレシア23歳
イケメンでモテる。
私はアリア=ナターシャ20歳
普通で人には可愛い方だと言われた。
そんなある日
私が20歳になった時だった。
両親が見合い話を持ってきた。
最後の告白をしようと思った。
ダメなら見合いをすると言った。
その見合い相手に溺愛される。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
幼馴染と夫の衝撃告白に号泣「僕たちは愛し合っている」王子兄弟の関係に私の入る隙間がない!
佐藤 美奈
恋愛
「僕たちは愛し合っているんだ!」
突然、夫に言われた。アメリアは第一子を出産したばかりなのに……。
アメリア公爵令嬢はレオナルド王太子と結婚して、アメリアは王太子妃になった。
アメリアの幼馴染のウィリアム。アメリアの夫はレオナルド。二人は兄弟王子。
二人は、仲が良い兄弟だと思っていたけど予想以上だった。二人の親密さに、私は入る隙間がなさそうだと思っていたら本当になかったなんて……。