悠太と仁と、夏の空

もちもち

文字の大きさ
4 / 7
第4章 龍神の泉

龍神の泉

しおりを挟む
翌日。

この日も、とても暑いけど、まぶしいほどの青空だった。







悠太は、お昼ご飯もそこそこにして。

「いってきまーす!」

と、神社の鳥居に向かって走った。









「仁ーーーー!」
「お!悠太ーーー!」



「今日も暑いから、昨日の滝に行こうぜ!」
「おう!」



ふたりは会うなり、競走するように、龍神の滝に向かった。





相変わらず、軽やかに階段をあがる仁に、悠太も必死についていった。









滝について、悠太が「はあはあ」息をきらしていると。


「今日は、悠太にとっておきのとこ教えてやるよ。ついてきて!」

と言って、仁は、滝の裏の方に、走って行ってしまった。






「えー・・・待てってー・・・はぁはぁ・・・」





悠太が、なんとか仁に追いつくと、そこには洞窟があった。
悠太は、洞窟を見るのは初めて。



「うわぁ・・・すっげぇ・・・」
「だろ~?奥がすんごいキレイなんだ。行こうぜ!」
「うん!」




ひんやりとした洞窟の中、悠太は仁の背中にはりつくように、オズオズ進む。


「おひょーーー!中は結構冷えるんだな。」
「悠太、声が反響してる~。」
「ほんとだ!アッハッハ!」
「アハアハアハ!」




ふざけて、ふたりで笑い声を出し合っていると



ピチョーーーーン・・・

「うぎゃぁ!」
「悠太~!変な声出すなよ(笑)」
「仕方ないだろ~!いきなり首んとこに水がたれてきたんだから~」



悠太は、恥ずかしさを誤魔化すようにプリプリした口調で言った。
でも、たえきれず・・・。



「「ギャッハッハッハ!」」


悠太と仁。
ふたりの爆笑が、洞窟内でこだました。






散々笑ってから、さらに先に進むと、向こうの方がだんだん、ボンヤリと明るくなってきた。







そして、暗く、細い道をぬけた先。
そこは、一面の青だった。

龍神の滝や、池のように、とても澄みきった泉の底が、不思議と青く光っている。





「なに?!スゴ!・・・仁、ここすげーよ!」
「だろ~?ここが龍神の泉!」

「これがそうなんだ。なんかカッコいいな。」
「えへへ」


仁は、自慢気に笑う。








「なあなあ悠太、良いものやるよ。」
「ん?」




そう言って、仁は泉に手を入れると、青く光る小石を拾いあげた。

「はい!あげる」
「え?いいの?」

「大丈夫。オレも持ってるもん!オレは姉ちゃんにもらったんだ。お守りみたいなものだってさ。」
「ふーんそうなんだ。ありがとう!大事にする!」




悠太は、青く光る小石をハンカチに包んで、ポケットにしまった。







しばらく、泉の青い光を眺めてから、ふたりは、来た道をもどった。
騒ぎながら洞窟を出ると、また、むわぁ・・・とうだるような暑さにつつまれる。




みーーーーーーーーんみんみんみんみん・・・・・・


セミの鳴き声も変わらず響き渡っていた。






「やっぱ、外は暑いなぁ」
「ホントほんと」

「よし!一息ついたら、オオクワガタがゴロゴロ潜んでるとこ連れてってやるよ!」
「マジで?!すぐ行こーぜ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。

桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。 それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。 でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。 そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
イシュタは病の妹のため、誰も死なない村・エリュシラーナへと旅立つ。そして、夜空のような美しい少女・フェルルと出会い…… 「昔話をしてあげるわ――」 フェルルの口から語られる、村に隠された秘密とは……?  ☆…☆…☆  ※ 大人でも楽しめる児童文学として書きました。明確な記述は避けておりますので、大人になって読み返してみると、また違った風に感じられる……そんな物語かもしれません……♪  ※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

青色のマグカップ

紅夢
児童書・童話
毎月の第一日曜日に開かれる蚤の市――“カーブーツセール”を練り歩くのが趣味の『私』は毎月必ずマグカップだけを見て歩く老人と知り合う。 彼はある思い出のマグカップを探していると話すが…… 薄れていく“思い出”という宝物のお話。

緑色の友達

石河 翠
児童書・童話
むかしむかしあるところに、大きな森に囲まれた小さな村がありました。そこに住む女の子ララは、祭りの前日に不思議な男の子に出会います。ところが男の子にはある秘密があったのです……。 こちらは小説家になろうにも投稿しております。 表紙は、貴様 二太郎様に描いて頂きました。

野良犬ぽちの冒険

KAORUwithAI
児童書・童話
――ぼくの名前、まだおぼえてる? ぽちは、むかし だれかに かわいがられていた犬。 だけど、ひっこしの日に うっかり わすれられてしまって、 気がついたら、ひとりぼっちの「のらいぬ」に なっていた。 やさしい人もいれば、こわい人もいる。 あめの日も、さむい夜も、ぽちは がんばって生きていく。 それでも、ぽちは 思っている。 ──また だれかが「ぽち」ってよんでくれる日が、くるんじゃないかって。 すこし さみしくて、すこし あたたかい、 のらいぬ・ぽちの ぼうけんが はじまります。

処理中です...