10 / 18
第二章 成長して花となる
番外編 四人で初詣
しおりを挟む
どうも、美樹です。
今日は勉強会で仲良くなった四人で初詣に来ました。
初めての勉強会の時から優奈さんと陽菜ちゃんが仲良いんだか悪いんだか良く分からないっす。
多分お兄さんを取り合ってると思うんすけど…。
お兄さんかっこいいし、頭も良いし、気持ちは良く分かるっす。
さすがに私も参加したら怒られますよね。あ、お呼びじゃないですよね、ごめんなさい。
「お兄ちゃん、あれ食べたい!」
「陽菜は良く食べるなぁ」
「だって、お祭りならではの食べ物ってそんなに食べる機会ないもん」
陽菜ちゃんも気持ちがある程度落ち着いたようで今じゃすっかり元通りっす。
あたふたする陽菜ちゃんも可愛かったんですけど、いつも通りの元気な陽菜ちゃんもやっぱり良いですね。
「そう言えば陽菜ちゃん、そんなに勉強してるのに、もっと良い所行かないの?」
「お兄ちゃんと一緒のとこが良いもん」
「でも少ししか居られないよ?」
「それでも良いもん」
私は別の所なので卒業したら陽菜ちゃんに簡単に会えなくなるのが悲しいっす。
すると優奈さんがこんな事を言い出しました。
「お兄ちゃんはいつでも会えるけど美樹ちゃんとは会えなくなるんだよ?美樹ちゃんと一緒のとこが良いんじゃないの?ずっと居られるし」
「う、確かに…」
おお、あのお兄ちゃん一筋な陽菜ちゃんが私の為に考えてくれてる。それだけで嬉しいっす。
優奈さんも良い人で良かったっす。陽菜ちゃんのライバルなので素直に褒めていいのかわかんないけど。
「確かに美樹ちゃんとも一緒に居たい、ううん…」
「あの、私は陽菜ちゃんと出来るなら一緒に居たいかなって」
「う、考えさせて!」
陽菜ちゃんがうんうん唸りながら考えてくれてる。本音を言えば私は陽菜ちゃんと一緒に居たいな。
「陽菜、俺も美樹ちゃんと同じところが良いと思う」
「え、お兄ちゃん?」
「美樹ちゃん頭良いし、そのまま勉強教えてもらったら俺と同じ学園に来れるかもだろ」
「そ、そうだよね、うんそうしようかな」
お兄ちゃんの言葉で簡単に意見を変える陽菜ちゃん。本当にお兄ちゃん大好きだよね。
羨ましい…。
「そんな事より、優奈は何処にするか決めたのか?」
そう言えばお兄さんがあの勉強会で優奈さんに名前で呼ばないと無視すると言われてから呼び捨てするようになったっす。初めは照れながら呼んでたのに最近は慣れてきて二人の距離が近くて
陽菜ちゃんが凄くヤキモキしてるっす。
「あたしはね、内緒」
「はぁ、まぁお前の人生だし、俺は何も言わないけど」
何か企んでる顔をしている優奈さんの顔。絶対お兄さんと一緒のとこに行くにきまってるっす。
ただ驚いたのが、優奈さん全然勉強が出来なかった事っす。
お兄さんに近づくというより、本当に勉強会しないと駄目なレベルだったんで一石二鳥だったんすね。
さすが大人の女性っす。陽菜ちゃんがライバル視してるのがわかるっす。
て言っても陽菜ちゃんと優奈さんも仲良い時はめっちゃ良いんすけど。
一緒にお風呂入ってたみたいだし。わたしも大きくなりたいって言ってたけど何の事なんすかね。
「そう言えば、美樹ちゃんと陽菜ちゃんって凄く仲良しだよね、何か切っ掛けとかあったの?」
「え、切っ掛けっすか…うーん」
私は勉強が好きで、勉強以外は何も出来なかった。
友達も居ないし、興味も無かった…はずなんだけど。
「美樹ちゃんって頭良いよね?わたしに勉強教えて欲しい!」
「え、なんで?」
突然話しかけられて、驚いた。私に話しかける人なんてほとんどいなかったから。
「あのね、いっぱい勉強してお兄ちゃんに追いつきたいの!」
勉強なんて自分の為にするものだし、他人の為に勉強して楽しいんだろうか。
「お兄さんってあの?」
「そうだよ、だめ・・・かな?」
その表情は恋する乙女。こっちまで恥ずかしくなるくらい恋してますって顔してた。
「教えるのは良いけど、ついてこれるの?私人に教えた事無いし」
「頑張るよ!」
人の為に何処まで頑張れるのか、少しだけ興味を持った。
それから時間を見ては勉強を教えた。彼女は嫌な顔一つせず、ただひたすらに課題をこなしていった。
人の為にこんなに頑張れる陽菜ちゃんをいつの間にか好ましく思うようになった。
勉強は好きだ。頑張った分だけ結果に反映される。数字としてそれが現れる。
その数値で優劣を決める。つまり分かりやすいのだ。自分がどこまでやれてるのか。
そしていつものように答案が返される。
うん、いつも通り悪くない。
「うわー、やっぱり美樹ちゃん凄いね、でもわたしも点数上がったよ!」
そして得意気な表情で満面な笑みを浮かべる陽菜ちゃん。私よりも点数が低いのに、とても満足そうで、とても幸せそうだった。
数字だけを見て満足してる私とは大違いだ。私はなんだか自分が恥ずかしくなった。
「陽菜ちゃん、頑張ったね、これからも厳しくしようかな」
「うん、よろしくお願いします!」
私はそれから徐々に陽菜ちゃんに心を開いていった。
「こんなところっすかね」
「へぇ、なんだか素敵な出会いだね」
優奈さんが優しそうにこちらを見つめる。なんだか照れる。
「今の私があるのは陽菜ちゃんのおかげなので、これからも仲良くしたいっすね」
「えへへ、美樹ちゃん、わたしもだよ!」
そしてそのまま抱き着かれる。うん、やっぱりあの時仲良くしてよかった。
「あ、優奈さん、あそこに射的があるよ、勝負しよ」
「いいね、負けないよっ」
「ふふん、こっちこそ」
そして二人とも射的をしに向かった。仲良いっすね。
「はは、置いてかれたな」
お兄さんが私に話しかけてくる。しまった、よく考えたらお兄さんと二人きりだ。途端に緊張してしまう。
「俺達も何処か向かうか」
「は、はい」
「はぐれないように手を繋ぐよ」
そう言ってお兄さんと手を繋ぐ、やばい、ドキドキする。
まぁお兄さんからしたら妹の友達って感じなんですけど。
「ね、美樹ちゃん、陽菜の事、いつも面倒見てくれてありがとう」
「え、いや、こっちこそお世話になってますです」
うー、上手く喋れない。これじゃ陽菜ちゃんの事言えない。
「陽菜は、いっつも美樹ちゃんの事褒めてるよ」
「あはは、私勉強しかできませんから」
「勉強だけじゃないよ、可愛くて優しくて頼りがいがあるって」
「ハハ、そんな事…」
陽菜ちゃん、恥ずかしいからやめて欲しいっす。なんて返せばいいかわからないっす。
「危ないっ!」
「わわっ」
緊張しすぎて転びそうになったのをお兄さんに抱きとめられる。
「大丈夫?足捻ってない?」
そういって屈みこんで足をぺたぺたと触るお兄さん。
「良かった、痛みは無いみたいだね」
そういってにこやかに笑うお兄さん。
「ん?大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込むお兄さん。
あの、やっぱり私もお兄さん争奪戦に参加しちゃ駄目っすかねぇ…。やっぱり駄目ですよね、すみません。
これは心の中に閉まっておきます。
今日は勉強会で仲良くなった四人で初詣に来ました。
初めての勉強会の時から優奈さんと陽菜ちゃんが仲良いんだか悪いんだか良く分からないっす。
多分お兄さんを取り合ってると思うんすけど…。
お兄さんかっこいいし、頭も良いし、気持ちは良く分かるっす。
さすがに私も参加したら怒られますよね。あ、お呼びじゃないですよね、ごめんなさい。
「お兄ちゃん、あれ食べたい!」
「陽菜は良く食べるなぁ」
「だって、お祭りならではの食べ物ってそんなに食べる機会ないもん」
陽菜ちゃんも気持ちがある程度落ち着いたようで今じゃすっかり元通りっす。
あたふたする陽菜ちゃんも可愛かったんですけど、いつも通りの元気な陽菜ちゃんもやっぱり良いですね。
「そう言えば陽菜ちゃん、そんなに勉強してるのに、もっと良い所行かないの?」
「お兄ちゃんと一緒のとこが良いもん」
「でも少ししか居られないよ?」
「それでも良いもん」
私は別の所なので卒業したら陽菜ちゃんに簡単に会えなくなるのが悲しいっす。
すると優奈さんがこんな事を言い出しました。
「お兄ちゃんはいつでも会えるけど美樹ちゃんとは会えなくなるんだよ?美樹ちゃんと一緒のとこが良いんじゃないの?ずっと居られるし」
「う、確かに…」
おお、あのお兄ちゃん一筋な陽菜ちゃんが私の為に考えてくれてる。それだけで嬉しいっす。
優奈さんも良い人で良かったっす。陽菜ちゃんのライバルなので素直に褒めていいのかわかんないけど。
「確かに美樹ちゃんとも一緒に居たい、ううん…」
「あの、私は陽菜ちゃんと出来るなら一緒に居たいかなって」
「う、考えさせて!」
陽菜ちゃんがうんうん唸りながら考えてくれてる。本音を言えば私は陽菜ちゃんと一緒に居たいな。
「陽菜、俺も美樹ちゃんと同じところが良いと思う」
「え、お兄ちゃん?」
「美樹ちゃん頭良いし、そのまま勉強教えてもらったら俺と同じ学園に来れるかもだろ」
「そ、そうだよね、うんそうしようかな」
お兄ちゃんの言葉で簡単に意見を変える陽菜ちゃん。本当にお兄ちゃん大好きだよね。
羨ましい…。
「そんな事より、優奈は何処にするか決めたのか?」
そう言えばお兄さんがあの勉強会で優奈さんに名前で呼ばないと無視すると言われてから呼び捨てするようになったっす。初めは照れながら呼んでたのに最近は慣れてきて二人の距離が近くて
陽菜ちゃんが凄くヤキモキしてるっす。
「あたしはね、内緒」
「はぁ、まぁお前の人生だし、俺は何も言わないけど」
何か企んでる顔をしている優奈さんの顔。絶対お兄さんと一緒のとこに行くにきまってるっす。
ただ驚いたのが、優奈さん全然勉強が出来なかった事っす。
お兄さんに近づくというより、本当に勉強会しないと駄目なレベルだったんで一石二鳥だったんすね。
さすが大人の女性っす。陽菜ちゃんがライバル視してるのがわかるっす。
て言っても陽菜ちゃんと優奈さんも仲良い時はめっちゃ良いんすけど。
一緒にお風呂入ってたみたいだし。わたしも大きくなりたいって言ってたけど何の事なんすかね。
「そう言えば、美樹ちゃんと陽菜ちゃんって凄く仲良しだよね、何か切っ掛けとかあったの?」
「え、切っ掛けっすか…うーん」
私は勉強が好きで、勉強以外は何も出来なかった。
友達も居ないし、興味も無かった…はずなんだけど。
「美樹ちゃんって頭良いよね?わたしに勉強教えて欲しい!」
「え、なんで?」
突然話しかけられて、驚いた。私に話しかける人なんてほとんどいなかったから。
「あのね、いっぱい勉強してお兄ちゃんに追いつきたいの!」
勉強なんて自分の為にするものだし、他人の為に勉強して楽しいんだろうか。
「お兄さんってあの?」
「そうだよ、だめ・・・かな?」
その表情は恋する乙女。こっちまで恥ずかしくなるくらい恋してますって顔してた。
「教えるのは良いけど、ついてこれるの?私人に教えた事無いし」
「頑張るよ!」
人の為に何処まで頑張れるのか、少しだけ興味を持った。
それから時間を見ては勉強を教えた。彼女は嫌な顔一つせず、ただひたすらに課題をこなしていった。
人の為にこんなに頑張れる陽菜ちゃんをいつの間にか好ましく思うようになった。
勉強は好きだ。頑張った分だけ結果に反映される。数字としてそれが現れる。
その数値で優劣を決める。つまり分かりやすいのだ。自分がどこまでやれてるのか。
そしていつものように答案が返される。
うん、いつも通り悪くない。
「うわー、やっぱり美樹ちゃん凄いね、でもわたしも点数上がったよ!」
そして得意気な表情で満面な笑みを浮かべる陽菜ちゃん。私よりも点数が低いのに、とても満足そうで、とても幸せそうだった。
数字だけを見て満足してる私とは大違いだ。私はなんだか自分が恥ずかしくなった。
「陽菜ちゃん、頑張ったね、これからも厳しくしようかな」
「うん、よろしくお願いします!」
私はそれから徐々に陽菜ちゃんに心を開いていった。
「こんなところっすかね」
「へぇ、なんだか素敵な出会いだね」
優奈さんが優しそうにこちらを見つめる。なんだか照れる。
「今の私があるのは陽菜ちゃんのおかげなので、これからも仲良くしたいっすね」
「えへへ、美樹ちゃん、わたしもだよ!」
そしてそのまま抱き着かれる。うん、やっぱりあの時仲良くしてよかった。
「あ、優奈さん、あそこに射的があるよ、勝負しよ」
「いいね、負けないよっ」
「ふふん、こっちこそ」
そして二人とも射的をしに向かった。仲良いっすね。
「はは、置いてかれたな」
お兄さんが私に話しかけてくる。しまった、よく考えたらお兄さんと二人きりだ。途端に緊張してしまう。
「俺達も何処か向かうか」
「は、はい」
「はぐれないように手を繋ぐよ」
そう言ってお兄さんと手を繋ぐ、やばい、ドキドキする。
まぁお兄さんからしたら妹の友達って感じなんですけど。
「ね、美樹ちゃん、陽菜の事、いつも面倒見てくれてありがとう」
「え、いや、こっちこそお世話になってますです」
うー、上手く喋れない。これじゃ陽菜ちゃんの事言えない。
「陽菜は、いっつも美樹ちゃんの事褒めてるよ」
「あはは、私勉強しかできませんから」
「勉強だけじゃないよ、可愛くて優しくて頼りがいがあるって」
「ハハ、そんな事…」
陽菜ちゃん、恥ずかしいからやめて欲しいっす。なんて返せばいいかわからないっす。
「危ないっ!」
「わわっ」
緊張しすぎて転びそうになったのをお兄さんに抱きとめられる。
「大丈夫?足捻ってない?」
そういって屈みこんで足をぺたぺたと触るお兄さん。
「良かった、痛みは無いみたいだね」
そういってにこやかに笑うお兄さん。
「ん?大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込むお兄さん。
あの、やっぱり私もお兄さん争奪戦に参加しちゃ駄目っすかねぇ…。やっぱり駄目ですよね、すみません。
これは心の中に閉まっておきます。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
貴方の幸せの為ならば
缶詰め精霊王
恋愛
主人公たちは幸せだった……あんなことが起きるまでは。
いつも通りに待ち合わせ場所にしていた所に行かなければ……彼を迎えに行ってれば。
後悔しても遅い。だって、もう過ぎたこと……
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる