17 / 18
第四章 風に吹かれた種の行方
乙女の心
しおりを挟む
お風呂場の中であたしは考えていた。
教室で真剣な表情をしていた琉弥の顔。
そして、親の確認…。そのまま家に行って良いかなんて…。
いや、琉弥は真面目だからそんなつもりじゃないのはわかる。
でもシャワーまで借りるってどういう事!もしかして!ねえ!誰か教えて!
ま、まあ…とにかく、琉弥の真剣な表情は反則だ…。
平気そうにしてるけど陽菜ちゃんの事で凄く落ち込んでるんじゃないかとは思ってる。
あたしがしてあげられる事なんていつも通りに接するくらいしかない。
琉弥がそういう風に見せてるのなら、あたしは合わせるだけ。
髪の毛は時間かかるから、身体だけ洗おう。待たせちゃ悪いし。
ってあたしは何考えてるんだ?そんな事あるわけないのに、妄想だけ膨らんでいく。
ってダメダメ。あぁ…、あたしって意外と…。
あたしは多分家が裕福で他の人よりは何不自由ない暮らしをしてたと思う
欲しいと言えば何でも買って貰えたし、両親の仲もそんなに悪くない。
でも、何でも手に入るって、意外と詰まんないんだよね。
最初は楽しいと思うけど、直ぐに飽きるんだ。
本当は女子校に行くはずだったけど、まぁ成績も悪かったし、退屈そうに感じたので共学の所を選んだ。
そんな時、琉弥と出会った。初めてみた印象は、つまんない奴。
話しかけても無難に挨拶ばっかりで周りと打ち解けてる様子もないし、勉強ばっかり。
あたしとは違うけど、あたしと一緒で人生つまんなそうに見えた。
はずなのに…。琉弥は時々誰に見せるでもなく、笑顔を浮かべる時がある。
傍からみたらだいぶキモいんじゃないかって思うけど、琉弥の様子をずっと観察してるあたしもかなりキモい。
つまんない人生と思ってた彼の人生にあの笑顔を浮かべさせる何かがあるんだって思ったら、琉弥の事が急に気になるようになった。もしかしたらあたしの人生も楽しくしてくれるのかもしれない。
あたしは接触を試みようとしたけど、あたしは自分から男子に話しかけた事なんて無いし。琉弥の周りを寄せ付けない壁を壊す方法だって思いつかない。
そこであたしは琉弥はきっと勉強が好きなんだろうと勝手に思って、初めて声を掛けてみた。
「ねえ、佐倉君」
「えっと、確か鈴川さん?」
「そうそう、あのさぁ、あたし課題忘れちゃって、良かったらその見せてくれないかな?」
我ながら適当な事を思いついたものだ。もし琉弥が真面目だったらあっさり断られるのに。
しかし彼はノートを取り出し、あっさりとあたしに手渡した。
「はい、どうぞ、写すのは良いけどちゃんと理解を深めながらやるんだぞ?じゃないと身に着かないからね」
なんだか子供を少し叱るような態度に少し微笑んでしまう。あたし怒られたことないや。
「ありがとう!今度お礼するからね!」
そう言って彼のノートを見た。綺麗な字で要点はちゃんと纏めてあって、読みやすい。
なんだかますます彼が気に入ってしまった。でも意外だ。あっさり見せてくれる辺り、そこまで真面目ではないのね。そっちの方が気が楽だけどね。
それから事あるごとにノートを借りる日々。お小言はあるけど貸さないなんて事はなく、ちゃんと見せてくれる。
そんな琉弥の少し厳しくも優しい姿にどんどん惹かれていく。
でもあたしはまだ彼の中ではクラスメイトの一人なのだ。接点は出来たけどなんとかお近づきになりたい。
そしてある日、あたしは勇気を出して、遊びに誘う事にした…。
「よ、佐倉君、いつも課題ありがとうね!私頭悪くてさぁ」
「数学なんて仕組みを理解すれば後は組み立てていくだけだろうに」
「あーあー、聞こえなーい」
相変わらずお小言ばかりの琉弥。今日はここで終わってはいけない、勇気を出すんだ。
「でだ、佐倉君、そろそろお礼をしようと思うんだけど、どうかな?」
「どうかなって、お礼って何するの?」
「何処か遊びに行こう、私が奢るから!」
心臓が高鳴るのを知られたくなくて強引に事を運ぶ。静まれ、あたしの心臓!カッコ悪いとこは見せるな!
彼は少し考えてるようだった。少なくとも即答で断られることは無さそうだ。
「良いけど、俺遊びに行った事なんて妹としかないや」
「へぇ、佐倉君、妹さん居たんだ、意外だね」
遊びに行った事が無いのは予想してたけど、妹さんがいたのは意外だった。だから厳しくて優しい所があるのかな。
「え、意外?そうかな…」
「だって佐倉君、いっつも難しい顔してるし、妹さんにも厳しいの?」
「あー、多分甘いって言われる」
「ますます意外だよ、佐倉君が人に優しいとこ見てみたいなぁ」
今彼は妹さんを思って笑顔を浮かべていた。多分本人は気付いてないかもしれない。
あたしにも優しくしてくれてるのは分かってるけど、もっと優しい彼を見てみたかった。
とにかく居ても立っても居られなくなり、彼の腕を引っ張って街に繰り出す。
琉弥と色々回ってみる。本当に遊んだことがないのか、慣れてないようで表情も硬い。
そんな彼の緊張をほぐす為に思い切って手を繋ぐことにした。
「ねぇ、あたしと居るとつまんないかな?」
答えは分かり切ってるけど、敢えて意地悪をしてみる。琉弥の手から緊張があたしにも伝わる。
とりあえず、異性としては見てもらってるのかな、嬉しいな。
「あれ、なあんだ、緊張してたんだね、すっごい、緊張してるの伝わってるよ?」
「ば、ばか、緊張なんてしてない…」
「声も震えちゃってるっ、佐倉君、可愛いとこあるんだね」
「か、かわ・・・!?」
狼狽える彼が本当に可愛くて、でも厳しくて、優しくて、妹思いで…。あたしは気になってる事をぶつけてみた。
「ねぇ、佐倉君って好きな子居ないの?」
「好きな子?妹かな」
「もう、それは家族でしょ?異性の女の子として好きな子だよ。佐倉君ってホントにシスコンなんだね」
彼なりにガードをしたって事なのかな。あんまり知られたくないとか?
「居ないな、遊びに行くのも妹以外だとこれが初めてだし」
「ふーん、そっかぁ」
彼はあんまり裏表が無いらしくて思った事を口に言うだけみたいだ。じゃあ、あたしも直球で行くしかないよね。
「じゃあ、あたしと付き合ってみない?」
「…へ?」
「実はちょっと佐倉君の事気になってたんだぁ、彼氏とかにも興味あったしさ」
恥ずかしさを隠す為、出来るだけ軽いノリで言ってみる。もう気になってる所じゃない。琉弥の事多分好きだ。
すると彼も顔が赤くなり、照れた感じで俯いてる。
「いや、でもさ、俺鈴川さんの事良く知らないし…」
「そういうのは付き合ってから知れば良いんじゃないかな?あたしだって気になる程度だしさ」
あたしはよく知ってるけどね、琉弥の事。なんて事は言わない。
すると彼は真剣な表情になり、あたしの肩をぐっと掴む。えっ、もしかしてキスされちゃう…?
は、早いけど…彼なら…。
「そんな軽い気持ちで付き合っちゃ駄目だ!」
「え…」
「本気で好きになった人じゃないと付き合っちゃ駄目だ!」
「は、はい…」
あたしは圧倒されてしまった。キスされるなんて思ってた自分が恥ずかしい。
でも彼はあたしの事、ちゃんと真面目に考えてくれたんだよね…。
厳しくて、優しくて、照れ屋で、可愛い所もあって、妹思いで。
なにより、こういう時は凄く誠実で…そして、あの真剣な表情…。あたしは完全に彼に堕ちてしまった。
あたしも彼の横に並べるようになりたい。そう思えた。このまま琉弥に勉強を教えてもらおう。
それにその方がなるべく、琉弥の傍に居られるし。
琉弥を好きになるだけで世界が変わったように感じた。あたしはこれからきっと楽しくなる。そう予感した。
教室で真剣な表情をしていた琉弥の顔。
そして、親の確認…。そのまま家に行って良いかなんて…。
いや、琉弥は真面目だからそんなつもりじゃないのはわかる。
でもシャワーまで借りるってどういう事!もしかして!ねえ!誰か教えて!
ま、まあ…とにかく、琉弥の真剣な表情は反則だ…。
平気そうにしてるけど陽菜ちゃんの事で凄く落ち込んでるんじゃないかとは思ってる。
あたしがしてあげられる事なんていつも通りに接するくらいしかない。
琉弥がそういう風に見せてるのなら、あたしは合わせるだけ。
髪の毛は時間かかるから、身体だけ洗おう。待たせちゃ悪いし。
ってあたしは何考えてるんだ?そんな事あるわけないのに、妄想だけ膨らんでいく。
ってダメダメ。あぁ…、あたしって意外と…。
あたしは多分家が裕福で他の人よりは何不自由ない暮らしをしてたと思う
欲しいと言えば何でも買って貰えたし、両親の仲もそんなに悪くない。
でも、何でも手に入るって、意外と詰まんないんだよね。
最初は楽しいと思うけど、直ぐに飽きるんだ。
本当は女子校に行くはずだったけど、まぁ成績も悪かったし、退屈そうに感じたので共学の所を選んだ。
そんな時、琉弥と出会った。初めてみた印象は、つまんない奴。
話しかけても無難に挨拶ばっかりで周りと打ち解けてる様子もないし、勉強ばっかり。
あたしとは違うけど、あたしと一緒で人生つまんなそうに見えた。
はずなのに…。琉弥は時々誰に見せるでもなく、笑顔を浮かべる時がある。
傍からみたらだいぶキモいんじゃないかって思うけど、琉弥の様子をずっと観察してるあたしもかなりキモい。
つまんない人生と思ってた彼の人生にあの笑顔を浮かべさせる何かがあるんだって思ったら、琉弥の事が急に気になるようになった。もしかしたらあたしの人生も楽しくしてくれるのかもしれない。
あたしは接触を試みようとしたけど、あたしは自分から男子に話しかけた事なんて無いし。琉弥の周りを寄せ付けない壁を壊す方法だって思いつかない。
そこであたしは琉弥はきっと勉強が好きなんだろうと勝手に思って、初めて声を掛けてみた。
「ねえ、佐倉君」
「えっと、確か鈴川さん?」
「そうそう、あのさぁ、あたし課題忘れちゃって、良かったらその見せてくれないかな?」
我ながら適当な事を思いついたものだ。もし琉弥が真面目だったらあっさり断られるのに。
しかし彼はノートを取り出し、あっさりとあたしに手渡した。
「はい、どうぞ、写すのは良いけどちゃんと理解を深めながらやるんだぞ?じゃないと身に着かないからね」
なんだか子供を少し叱るような態度に少し微笑んでしまう。あたし怒られたことないや。
「ありがとう!今度お礼するからね!」
そう言って彼のノートを見た。綺麗な字で要点はちゃんと纏めてあって、読みやすい。
なんだかますます彼が気に入ってしまった。でも意外だ。あっさり見せてくれる辺り、そこまで真面目ではないのね。そっちの方が気が楽だけどね。
それから事あるごとにノートを借りる日々。お小言はあるけど貸さないなんて事はなく、ちゃんと見せてくれる。
そんな琉弥の少し厳しくも優しい姿にどんどん惹かれていく。
でもあたしはまだ彼の中ではクラスメイトの一人なのだ。接点は出来たけどなんとかお近づきになりたい。
そしてある日、あたしは勇気を出して、遊びに誘う事にした…。
「よ、佐倉君、いつも課題ありがとうね!私頭悪くてさぁ」
「数学なんて仕組みを理解すれば後は組み立てていくだけだろうに」
「あーあー、聞こえなーい」
相変わらずお小言ばかりの琉弥。今日はここで終わってはいけない、勇気を出すんだ。
「でだ、佐倉君、そろそろお礼をしようと思うんだけど、どうかな?」
「どうかなって、お礼って何するの?」
「何処か遊びに行こう、私が奢るから!」
心臓が高鳴るのを知られたくなくて強引に事を運ぶ。静まれ、あたしの心臓!カッコ悪いとこは見せるな!
彼は少し考えてるようだった。少なくとも即答で断られることは無さそうだ。
「良いけど、俺遊びに行った事なんて妹としかないや」
「へぇ、佐倉君、妹さん居たんだ、意外だね」
遊びに行った事が無いのは予想してたけど、妹さんがいたのは意外だった。だから厳しくて優しい所があるのかな。
「え、意外?そうかな…」
「だって佐倉君、いっつも難しい顔してるし、妹さんにも厳しいの?」
「あー、多分甘いって言われる」
「ますます意外だよ、佐倉君が人に優しいとこ見てみたいなぁ」
今彼は妹さんを思って笑顔を浮かべていた。多分本人は気付いてないかもしれない。
あたしにも優しくしてくれてるのは分かってるけど、もっと優しい彼を見てみたかった。
とにかく居ても立っても居られなくなり、彼の腕を引っ張って街に繰り出す。
琉弥と色々回ってみる。本当に遊んだことがないのか、慣れてないようで表情も硬い。
そんな彼の緊張をほぐす為に思い切って手を繋ぐことにした。
「ねぇ、あたしと居るとつまんないかな?」
答えは分かり切ってるけど、敢えて意地悪をしてみる。琉弥の手から緊張があたしにも伝わる。
とりあえず、異性としては見てもらってるのかな、嬉しいな。
「あれ、なあんだ、緊張してたんだね、すっごい、緊張してるの伝わってるよ?」
「ば、ばか、緊張なんてしてない…」
「声も震えちゃってるっ、佐倉君、可愛いとこあるんだね」
「か、かわ・・・!?」
狼狽える彼が本当に可愛くて、でも厳しくて、優しくて、妹思いで…。あたしは気になってる事をぶつけてみた。
「ねぇ、佐倉君って好きな子居ないの?」
「好きな子?妹かな」
「もう、それは家族でしょ?異性の女の子として好きな子だよ。佐倉君ってホントにシスコンなんだね」
彼なりにガードをしたって事なのかな。あんまり知られたくないとか?
「居ないな、遊びに行くのも妹以外だとこれが初めてだし」
「ふーん、そっかぁ」
彼はあんまり裏表が無いらしくて思った事を口に言うだけみたいだ。じゃあ、あたしも直球で行くしかないよね。
「じゃあ、あたしと付き合ってみない?」
「…へ?」
「実はちょっと佐倉君の事気になってたんだぁ、彼氏とかにも興味あったしさ」
恥ずかしさを隠す為、出来るだけ軽いノリで言ってみる。もう気になってる所じゃない。琉弥の事多分好きだ。
すると彼も顔が赤くなり、照れた感じで俯いてる。
「いや、でもさ、俺鈴川さんの事良く知らないし…」
「そういうのは付き合ってから知れば良いんじゃないかな?あたしだって気になる程度だしさ」
あたしはよく知ってるけどね、琉弥の事。なんて事は言わない。
すると彼は真剣な表情になり、あたしの肩をぐっと掴む。えっ、もしかしてキスされちゃう…?
は、早いけど…彼なら…。
「そんな軽い気持ちで付き合っちゃ駄目だ!」
「え…」
「本気で好きになった人じゃないと付き合っちゃ駄目だ!」
「は、はい…」
あたしは圧倒されてしまった。キスされるなんて思ってた自分が恥ずかしい。
でも彼はあたしの事、ちゃんと真面目に考えてくれたんだよね…。
厳しくて、優しくて、照れ屋で、可愛い所もあって、妹思いで。
なにより、こういう時は凄く誠実で…そして、あの真剣な表情…。あたしは完全に彼に堕ちてしまった。
あたしも彼の横に並べるようになりたい。そう思えた。このまま琉弥に勉強を教えてもらおう。
それにその方がなるべく、琉弥の傍に居られるし。
琉弥を好きになるだけで世界が変わったように感じた。あたしはこれからきっと楽しくなる。そう予感した。
0
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる