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1話 始まり
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僕は今窮地に立たされている。
「おい、黒野ぉ、そこどけよぉ」
僕の後ろには隣の席の女の子、メアが居る。
そして僕の前には不良が数人。
「黙ってないで早くしろよ!」
下卑た笑みを浮かべる不良達。
一方、メアは涼しい表情で立っている。
「面倒だからもうやっちゃおうぜ」
不良の1人がそう言うとじりじりとにじり寄る。
何事も無く平穏な日々を過していたけど、その終わりは朝から既に始まっていたのかもしれない。
──────────
ピリリリリリリ
朝、携帯のアラームが鳴る。もう少し寝たい。
僕の名前は黒野 真央。
高校2年生。父親の記憶は無く、母は1年前に他界した。病死だった。
ショックだったけど、亡くなった母の為にも強く生きないと駄目だと思い、今はなんとか平穏な日々を送っている。
僕には数年間の記憶しか無い。気がつけば母と呼ばれる存在と知らない家で2人暮らし。
母に詳しく聞いても、微笑むだけで何も答えてはくれなかった。
今は一人暮らしをしているけど、やっぱり少し寂しい。
友達がたまに遊びに来てくれるけど、やっぱり家族とは違うんだ。
それでもなんとか元気にやってこれた。
そろそろ微睡みから覚醒して、
眠い目を擦りふと携帯で時刻を確認すると。
「・・・8時!?」
だいぶ遅刻だ。朝ごはんを食べる時間もない。
慌てて朝の用意を済ませて仏壇に手を合わせる。
「お母さん、行ってきます」
そして急いで家を出た。
全力で走ってると突然転んでしまう。
痛い・・・。よく見ると靴の紐が切れていた。
「こんな時に!」
これはもう遅刻確定だ。仕方無いので歩こう。
人間、諦めも肝心なのだ。
歩いてると、よく黒猫に出くわす・・・。
あ、また居た。これで何匹目だろう。僕の横を通り過ぎていくのは。
今日はなんだか不吉な事が起こる気がする。
次は何が起こるのか警戒しながら歩いてると。
「や、真央君!今日は遅刻かな?」
肩を突然叩かれ、ドキッと心臓が跳ねた。
そして後ろを振り返る。
「あ、美華恵、おはよう」
「うんっ、おはよう!」
彼女は天使 美華恵。
アイドル顔負けの可愛さで髪は金色にツインテール。スレンダーな体型で誰にでも分け隔てなく優しく、当然僕にも話し掛けてくれる。
その性格と容姿から学園では人気者で、告白する男子も後を絶たない。
初めて話した時に名前を呼び捨てにして欲しいと頼まれてからは美華恵と呼んでる。
「遅刻の時間なのに随分余裕だねぇ、真央君」
「遅刻だからこそ諦めてる。そっちも遅刻じゃないか」
「私は人助けしてたからいいのっ!」
そう言って笑う美華恵。美華恵は困ってる人を放っておけないので、たまに遅刻してるらしい。
僕も今遅刻で困ってるのを何とかして貰えないだろうかと思う。
「美華恵は凄いよね、僕も見習いた──」
「危ないっ」
そう言って美華恵に押し倒される。何事かと思ってみれば、人気のない通学路でバイクが僕に向かって突っ込んで来ていた。
理解した瞬間肌が粟立つ。美華恵が助けてくれなかったらどうなってたか。
「真央君、大丈夫?」
「ああ、うん、ありがとう」
そう言って今目の前に美華恵がいて凄く良い匂いがしてる事に気付いた。
これが女の子の匂い、、、。身体も柔らかくて・・・って駄目だこのままでは変態だ。
それでも悲しい男の性。おっぱいに釘付けになっていた。
控えめに言って大きい。すごく柔らかそう。
そんな僕の視線に美華恵が気付いて、起き上がる。
「・・・エッチっ」
「あ、ご、ごめん!」
僕も慌てて立ち上がる。見てるのバレてしまった。気まず過ぎる。
「でも・・・、、真央君なら別にいいよ」
「えっ、それって・・・」
「あはは、何でもない、ただの冗談だよっ、私先行くね!」
そう言って少し顔を赤らめたまま走り去っていく美華恵。
「待ってよ、僕も!」
慌ててあとを追いかける。美華恵が曲がった角に向かうと・・・。
「あれ・・・、居ない・・・?」
美華恵が忽然と姿を消した。
そんな早く走り抜けた?ううん、謎だ。
や、考えても仕方ない、それより遅刻だ。
僕も美華恵に倣って急ごう。
はぁはぁ、どうやら1時間目には間に合ったみたいだ。教室の喧騒の中、急いで席に座る。
そして僕の隣には・・・。
「おはよう、メア」
「はい、おはようございます」
彼女は僕に向かい、にっこりと微笑んだ。
彼女は黒野 メア。
雪のような白い肌に映える腰まで届く銀色の髪。
背は高く容姿端麗。こちらも容姿だけならミカに負けず劣らず人気なのだが、メアは無口だ。
僕にも微笑むだけで会話らしいものは無い。
そして黒野っていう名字、僕と同じなので、僕は被らないようにメアと呼んでいる。
そして、何故か1年からずっとクラスはおろか、席もずっと隣なのだ。皆はこれと言って不思議に思わないのだろうか・・・。
午前の授業が終わり、昼休みに購買に急ぐ。
朝は何も食べなかったからお腹が空いて仕方ない。
何とか辿り着き、カレーパンとアンパンを買おうとレジに向かい財布を取り出そうとするが・・・。
無い。財布が無いのだ。急ぎすぎて忘れた!?
いや、最悪コケた時に落とした可能性も。
食堂のおばちゃんが怪訝そうな顔でこちらを見る。
ハハッ、本当に今日はどうしたんだ。
食べ物にありつけず、中庭の隅で寝そべる。
こんな時は寝るに限るよ。
「お兄さん、こんな所でどうしたの?」
目を開けると顔の近くにパンツが・・・じゃなくて、女の子が立っていた。
「また君かぁ」
「またって失礼だよ、お兄さん」
この子はたまに僕の前に現れる。まさに神出鬼没で、名前も分からない。
見た目は桃色の髪に目に余るほどの巨乳・・・。
この子もトップクラスの可愛さである。
そして何故かこの子を見てるとドキドキが治まらなくなる。
なんだろうか、この気持ちは・・・。
「せっかく良いものもってきてあげたのになぁ」
そう言って僕が先程買おうとしてたパンをチラつかせる。
「あ、それは!」
「お兄さんが買えなくて悲しそうにしてたから持ってきてあげたよ、褒めてくれたら食べていいよ?」
女の子は得意気に微笑む。
「いや、でもそれは君のだろ?僕は大丈夫だから」
そう言ってそっぽを向く、本当は凄く食べたい。
「もしかして、パンツ見たからオカズはもう良いって事?」
バレてる。いやバレるか・・・。
「ご、ごめん」
「あ、見せてるんで大丈夫だよ、もちろん、お兄さんだけだからね?」
ああ、もう。この子は僕をからかって楽しんでるんだ。でもやり返せる程の経験も無くて、いつもされるがまま。
「そ、そんな事言ってるといつか酷い目にあうよ」
「クスッ、じゃあ、・・・お兄さんが合わせてくれる?」
あー駄目だ、この子には勝てない。
「あ、見つかちゃった。じゃあね、お兄さん。パンは置いてくね、パンツも置いていこうか?」
「それは良いから!あの、ありがとう」
女の子は微笑むと立ち去った。その微笑みが少しメアに似てる気がした。
そして放課後。今日は散々な目にあった。
授業中でも毎回指されるし。朝から変な事ばっかりだ。
こんな日は早く帰ろう。流石にもう何も起きないよな?
「おい、黒野、ちょっと付き合えよ」
いきなり肩を組まれる。この人は確か、不良グループのリーダーじゃないか。名前は確か・・・何だっけ・・・。
「え、どこ行くの?」
「良いからちょっと着いてこい」
不穏な空気を感じながらもそのまま着いていくことにした。
連れてこられたのは校舎裏。人の気配も無い。
あぁ、これはまずいなぁ。僕が何かしたのか?
「連れてきたぜ」
不良のリーダーがそう言うと不良達がぞろぞろと現れる。
「なぁ、本当に来ると思うか?」
「来るだろうよ、こいつの事いつも見つめてるしな、へへっ」
何が言いたいのかさっぱり分からず冷静にこの場を切抜けるにはどうすればいいか考えていた。
ただ逃げても明日また呼ばれるだけだろう。
「僕は君達に何かしたのかな?何かしたなら謝るけど」
「良いから、お前はそこに居るだけでいいよ」
不良達がニヤニヤと笑う。
そして少し時間が経って一人の女の子が来た。
「メ、メア?」
メアが澄ました顔で歩いてくる。
「やっぱり来ると思ったぜっ、散々俺が声掛けてやってんのにちっとも乗らねえ癖に、やっぱりコイツとなんか関係あるんだな?」
メアは僕の方を向いて、まるで何事も無かったかのように僕の目前まで来た。
そして手を繋がれこの場から立ち去ろうとする。
「おいおい、待てよ、無視すんじゃねえ!」
「・・・行きましょうか」
尚も無視するメア。そして不良達に囲まれる。
「おい、黒野ぉ、そこどけよぉ」
僕の後ろにはメア。
そして僕の前には不良が数人。
「黙ってないで早くしろよ!」
下卑た笑みを浮かべる不良達。
一方、メアは涼しい表情で立っている。
「面倒だからもうやっちゃおうぜ」
不良の1人がそう言うとじりじりとにじり寄る。
僕はメアだけでも逃がそうと思い、久しぶりに声を荒らげた。
「メア!君だけでも逃げるんだ!」
そう叫んだ瞬間目の前が真っ暗になるほどの頭痛が襲った・・・。
「な、なんだこれ・・・。頭が。」
そして脳裏に見た事のないような光景が繰り広げられる。
それはメアに似た女の子に必死で逃げろと言っている僕の姿だった。
「・・・ご主人様、思い出していただけましたか?」
「メア・・・、君は・・・」
「おい、2人で何盛りあがってんだよ!」
僕は不良達の方を見た。すると突然不良達は恐怖に引きった顔をうかべ次々に逃げ出す。
「ひ、ひぃ、勘弁して下さいっ!」
あっという間に2人きりになる。何だったのだろう。そしてメアは僕の方を見てウットリした表情をする。
「この時をお待ちしておりました。私は貴方様の───」
そして耳元で囁いた。
「奴隷ですっ」
「おい、黒野ぉ、そこどけよぉ」
僕の後ろには隣の席の女の子、メアが居る。
そして僕の前には不良が数人。
「黙ってないで早くしろよ!」
下卑た笑みを浮かべる不良達。
一方、メアは涼しい表情で立っている。
「面倒だからもうやっちゃおうぜ」
不良の1人がそう言うとじりじりとにじり寄る。
何事も無く平穏な日々を過していたけど、その終わりは朝から既に始まっていたのかもしれない。
──────────
ピリリリリリリ
朝、携帯のアラームが鳴る。もう少し寝たい。
僕の名前は黒野 真央。
高校2年生。父親の記憶は無く、母は1年前に他界した。病死だった。
ショックだったけど、亡くなった母の為にも強く生きないと駄目だと思い、今はなんとか平穏な日々を送っている。
僕には数年間の記憶しか無い。気がつけば母と呼ばれる存在と知らない家で2人暮らし。
母に詳しく聞いても、微笑むだけで何も答えてはくれなかった。
今は一人暮らしをしているけど、やっぱり少し寂しい。
友達がたまに遊びに来てくれるけど、やっぱり家族とは違うんだ。
それでもなんとか元気にやってこれた。
そろそろ微睡みから覚醒して、
眠い目を擦りふと携帯で時刻を確認すると。
「・・・8時!?」
だいぶ遅刻だ。朝ごはんを食べる時間もない。
慌てて朝の用意を済ませて仏壇に手を合わせる。
「お母さん、行ってきます」
そして急いで家を出た。
全力で走ってると突然転んでしまう。
痛い・・・。よく見ると靴の紐が切れていた。
「こんな時に!」
これはもう遅刻確定だ。仕方無いので歩こう。
人間、諦めも肝心なのだ。
歩いてると、よく黒猫に出くわす・・・。
あ、また居た。これで何匹目だろう。僕の横を通り過ぎていくのは。
今日はなんだか不吉な事が起こる気がする。
次は何が起こるのか警戒しながら歩いてると。
「や、真央君!今日は遅刻かな?」
肩を突然叩かれ、ドキッと心臓が跳ねた。
そして後ろを振り返る。
「あ、美華恵、おはよう」
「うんっ、おはよう!」
彼女は天使 美華恵。
アイドル顔負けの可愛さで髪は金色にツインテール。スレンダーな体型で誰にでも分け隔てなく優しく、当然僕にも話し掛けてくれる。
その性格と容姿から学園では人気者で、告白する男子も後を絶たない。
初めて話した時に名前を呼び捨てにして欲しいと頼まれてからは美華恵と呼んでる。
「遅刻の時間なのに随分余裕だねぇ、真央君」
「遅刻だからこそ諦めてる。そっちも遅刻じゃないか」
「私は人助けしてたからいいのっ!」
そう言って笑う美華恵。美華恵は困ってる人を放っておけないので、たまに遅刻してるらしい。
僕も今遅刻で困ってるのを何とかして貰えないだろうかと思う。
「美華恵は凄いよね、僕も見習いた──」
「危ないっ」
そう言って美華恵に押し倒される。何事かと思ってみれば、人気のない通学路でバイクが僕に向かって突っ込んで来ていた。
理解した瞬間肌が粟立つ。美華恵が助けてくれなかったらどうなってたか。
「真央君、大丈夫?」
「ああ、うん、ありがとう」
そう言って今目の前に美華恵がいて凄く良い匂いがしてる事に気付いた。
これが女の子の匂い、、、。身体も柔らかくて・・・って駄目だこのままでは変態だ。
それでも悲しい男の性。おっぱいに釘付けになっていた。
控えめに言って大きい。すごく柔らかそう。
そんな僕の視線に美華恵が気付いて、起き上がる。
「・・・エッチっ」
「あ、ご、ごめん!」
僕も慌てて立ち上がる。見てるのバレてしまった。気まず過ぎる。
「でも・・・、、真央君なら別にいいよ」
「えっ、それって・・・」
「あはは、何でもない、ただの冗談だよっ、私先行くね!」
そう言って少し顔を赤らめたまま走り去っていく美華恵。
「待ってよ、僕も!」
慌ててあとを追いかける。美華恵が曲がった角に向かうと・・・。
「あれ・・・、居ない・・・?」
美華恵が忽然と姿を消した。
そんな早く走り抜けた?ううん、謎だ。
や、考えても仕方ない、それより遅刻だ。
僕も美華恵に倣って急ごう。
はぁはぁ、どうやら1時間目には間に合ったみたいだ。教室の喧騒の中、急いで席に座る。
そして僕の隣には・・・。
「おはよう、メア」
「はい、おはようございます」
彼女は僕に向かい、にっこりと微笑んだ。
彼女は黒野 メア。
雪のような白い肌に映える腰まで届く銀色の髪。
背は高く容姿端麗。こちらも容姿だけならミカに負けず劣らず人気なのだが、メアは無口だ。
僕にも微笑むだけで会話らしいものは無い。
そして黒野っていう名字、僕と同じなので、僕は被らないようにメアと呼んでいる。
そして、何故か1年からずっとクラスはおろか、席もずっと隣なのだ。皆はこれと言って不思議に思わないのだろうか・・・。
午前の授業が終わり、昼休みに購買に急ぐ。
朝は何も食べなかったからお腹が空いて仕方ない。
何とか辿り着き、カレーパンとアンパンを買おうとレジに向かい財布を取り出そうとするが・・・。
無い。財布が無いのだ。急ぎすぎて忘れた!?
いや、最悪コケた時に落とした可能性も。
食堂のおばちゃんが怪訝そうな顔でこちらを見る。
ハハッ、本当に今日はどうしたんだ。
食べ物にありつけず、中庭の隅で寝そべる。
こんな時は寝るに限るよ。
「お兄さん、こんな所でどうしたの?」
目を開けると顔の近くにパンツが・・・じゃなくて、女の子が立っていた。
「また君かぁ」
「またって失礼だよ、お兄さん」
この子はたまに僕の前に現れる。まさに神出鬼没で、名前も分からない。
見た目は桃色の髪に目に余るほどの巨乳・・・。
この子もトップクラスの可愛さである。
そして何故かこの子を見てるとドキドキが治まらなくなる。
なんだろうか、この気持ちは・・・。
「せっかく良いものもってきてあげたのになぁ」
そう言って僕が先程買おうとしてたパンをチラつかせる。
「あ、それは!」
「お兄さんが買えなくて悲しそうにしてたから持ってきてあげたよ、褒めてくれたら食べていいよ?」
女の子は得意気に微笑む。
「いや、でもそれは君のだろ?僕は大丈夫だから」
そう言ってそっぽを向く、本当は凄く食べたい。
「もしかして、パンツ見たからオカズはもう良いって事?」
バレてる。いやバレるか・・・。
「ご、ごめん」
「あ、見せてるんで大丈夫だよ、もちろん、お兄さんだけだからね?」
ああ、もう。この子は僕をからかって楽しんでるんだ。でもやり返せる程の経験も無くて、いつもされるがまま。
「そ、そんな事言ってるといつか酷い目にあうよ」
「クスッ、じゃあ、・・・お兄さんが合わせてくれる?」
あー駄目だ、この子には勝てない。
「あ、見つかちゃった。じゃあね、お兄さん。パンは置いてくね、パンツも置いていこうか?」
「それは良いから!あの、ありがとう」
女の子は微笑むと立ち去った。その微笑みが少しメアに似てる気がした。
そして放課後。今日は散々な目にあった。
授業中でも毎回指されるし。朝から変な事ばっかりだ。
こんな日は早く帰ろう。流石にもう何も起きないよな?
「おい、黒野、ちょっと付き合えよ」
いきなり肩を組まれる。この人は確か、不良グループのリーダーじゃないか。名前は確か・・・何だっけ・・・。
「え、どこ行くの?」
「良いからちょっと着いてこい」
不穏な空気を感じながらもそのまま着いていくことにした。
連れてこられたのは校舎裏。人の気配も無い。
あぁ、これはまずいなぁ。僕が何かしたのか?
「連れてきたぜ」
不良のリーダーがそう言うと不良達がぞろぞろと現れる。
「なぁ、本当に来ると思うか?」
「来るだろうよ、こいつの事いつも見つめてるしな、へへっ」
何が言いたいのかさっぱり分からず冷静にこの場を切抜けるにはどうすればいいか考えていた。
ただ逃げても明日また呼ばれるだけだろう。
「僕は君達に何かしたのかな?何かしたなら謝るけど」
「良いから、お前はそこに居るだけでいいよ」
不良達がニヤニヤと笑う。
そして少し時間が経って一人の女の子が来た。
「メ、メア?」
メアが澄ました顔で歩いてくる。
「やっぱり来ると思ったぜっ、散々俺が声掛けてやってんのにちっとも乗らねえ癖に、やっぱりコイツとなんか関係あるんだな?」
メアは僕の方を向いて、まるで何事も無かったかのように僕の目前まで来た。
そして手を繋がれこの場から立ち去ろうとする。
「おいおい、待てよ、無視すんじゃねえ!」
「・・・行きましょうか」
尚も無視するメア。そして不良達に囲まれる。
「おい、黒野ぉ、そこどけよぉ」
僕の後ろにはメア。
そして僕の前には不良が数人。
「黙ってないで早くしろよ!」
下卑た笑みを浮かべる不良達。
一方、メアは涼しい表情で立っている。
「面倒だからもうやっちゃおうぜ」
不良の1人がそう言うとじりじりとにじり寄る。
僕はメアだけでも逃がそうと思い、久しぶりに声を荒らげた。
「メア!君だけでも逃げるんだ!」
そう叫んだ瞬間目の前が真っ暗になるほどの頭痛が襲った・・・。
「な、なんだこれ・・・。頭が。」
そして脳裏に見た事のないような光景が繰り広げられる。
それはメアに似た女の子に必死で逃げろと言っている僕の姿だった。
「・・・ご主人様、思い出していただけましたか?」
「メア・・・、君は・・・」
「おい、2人で何盛りあがってんだよ!」
僕は不良達の方を見た。すると突然不良達は恐怖に引きった顔をうかべ次々に逃げ出す。
「ひ、ひぃ、勘弁して下さいっ!」
あっという間に2人きりになる。何だったのだろう。そしてメアは僕の方を見てウットリした表情をする。
「この時をお待ちしておりました。私は貴方様の───」
そして耳元で囁いた。
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