目立たないでと言われても

みつば

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翌日

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翌朝クラスに入るとクラスメイトに囲まれた。一宮は来ていない。
「委員長、って風紀委員長だったんだね。びっくりしたよ。」
「黙ってて悪かった。」
思ったより普通に受け入れられていて驚いた。
「喋り方も変わってるし。」
「でもなんか納得」
そうだよな、と同意する声も多い。
「実は委員長って怒らせたら怖いって有名だったんだよね。」
「あと実は喧嘩が強いっていう噂もあったし。」
「そんなこと言われてたの?」
「うん。去年なんだけど不良を殴り飛ばしてるとこを見たことある人がいたらしくて」
「あと委員長が怒りにいった人が次の日にはすごく真面目になって帰ってきたりとか。」
だから委員長は怒らせるなっていう認識だよね、と。
思ったより隠せていなかったのかもしれない。風紀の仕事で制裁を止めたり喧嘩の仲裁をしたりなど、外で活動することも多かったからある程度は仕方ないとは思っていた。しかし、全校生徒への連絡など、人前に出る仕事は全て五条に任せていたのだ。

「藤崎おはよ。」
「朝比奈、おはよう。」
「昨日結局副会長たちは来たの?」
「いや、来なかった。」
「どうするつもりなんだろうね。」
「な。」
「委員長!」
そこへ風紀委員の香坂が風紀の業務の確認に来た。指示を出していると朝比奈が物言いたげな表情をしている。
「なに?」
「いや、今まで香坂が委員長って呼ぶのはクラス委員長だし違和感なかったけど、香坂的には風紀委員会の委員長ってことだったのかなって。」
「まあ、そうかな。クラスが一緒になるより風紀で顔合わせの方が早かったから。」

「そうだぞ。香坂が藤崎のことを委員長ってよぶから俺が藤崎にクラス委員長を任せたんだ。」

「来栖…。」
「来栖先生と呼べ。」
「嘘つけ。ちょっと重い仕事も押し付けられると思っただけだろ。一般生徒じゃ無理だから教師がやらなきゃいけない仕事とか。俺が風紀委員長でそこそこ権限があるからできるって。」
「それもある。」
「ほぼそれだろ。」
「ははっ。じゃあ朝のホームルームはじめるぞー。席につけー。」
昨日は色々あったが、うちのクラスは拍子抜けするくらいいつも通りだ。

「ね、藤崎。」
先生が話しているときに、朝比奈がコソッと声をかけてくる。
「香坂も来栖も藤崎が委員長って知ってたってことだよね。」
「まあ。」
「なーんか、面白くないな。藤崎と一番仲良いのは俺なのに。」
「ごめんな、言えなくて。」
「昨日の会長の執着っぷりを見たら納得するけど。俺にはなるべく隠し事しないでくれよな。」
「分かったよ。約束するよ、朝比奈。」
「翔、な。頼んだよ湊人。」
流石朝比奈翔。どこまでも爽やかな好青年である。

「じゃあ藤崎、あとはよろしく頼んだ!」
「ちょ待て来栖。」
全然話を聞いてなかった。
「委員長殿頼りにしてるぜ!」
そういうと来栖はさっさと教室から出て行ってしまった。
「マジかよ…。」
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