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【番外編】
1.ブラウン王子とユリエンヌ
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※リクエスト第一弾。ブラウン王子と婚約者のお話です♪
****************
俺はこのラクサノーラ国の第二王子、ブラウン。
婚約者のユリエンヌは侯爵家の令嬢で俺の最愛の人。
花のように可愛らしく笑う彼女と初めて顔を合わせたのは10才の茶会の席だった。
俺と兄の婚約者を選ぶ席で、兄の方は公爵家のカトリーヌ嬢が有力候補として挙がっていて、俺の方は別の公爵家の令嬢の名が候補に挙がっていた。
けれど俺がユリエンヌに一目惚れしたことから、その公爵令嬢ではなくユリエンヌへと相手は変わったのだ。
俺の婚約者候補だった公爵令嬢は元々幼馴染であるカトリーヌの兄が好きだったらしく、笑顔で礼を言ってくれた。
だからなんの問題もなくユリエンヌを俺の婚約者として据えることに成功し、その日から溺愛することができたのだった。
けれど幼い時は良かったものの、年を追うごとに心配事は増していく。
第二王子という立場は兄に比べると酷く中途半端な立ち位置だ。
兄が王太子として相応しくなければ自分が王太子として立つ可能性が高いため、教育は同等に受けなければならない。
けれどいくら頑張っても兄がいる以上王位に就けない可能性の方が高い。
加えて兄はどこかぼんやりしたところがあるから、危なっかしくって俺はいつでもハラハラしっぱなしだ。
勿論実力は高いんだけど、あのどこか運だけで乗り切っているような兄はいつかやらかすのではないかと気が気でなかった。
それならいっそ自分が王位を狙ってもいいんじゃないかと思ってしまっても別におかしくはないだろう。
大好きなユリエンヌが王妃になってくれるのなら願ったり叶ったりだし。
そんな思いでちょっと兄を失脚させる計画を練ってみたことはある。
でも別に本気ではない。
もしもの時の保険程度だ。もちろん。
「でも…ユリエンヌが王妃かぁ…いいな」
きっと綺麗だろうな。
そんな風に思ったところでハタと思い立った。
王妃云々は横に置いておくとしても、俺と彼女の結婚自体は揺るぎない確実な未来の話。
結婚は嬉しい。当然だ。でも────。
(あれ?俺、失敗せずに初夜を終えられるのか?)
勿論房事の教育は受けているし、教育の一環で娼館の視察とか言って連れていかれ、男女の営みを目にしたこともある。
でもそれだけだ。
童貞な俺に愛する彼女を満足させてやれるだろうか?
突然気づいたそのことに俺は愕然となった。
(え…どうしよう……)
無理だと一気に真っ青になってしまう。
カッコよく初夜の場で愛する彼女を落ち着かせ、男らしく余裕をもって抱くという行為はどう考えても無理な気がしてならない。
だってすごく好きなんだ。
絶対に暴走してしまう自信がある。
下手をしたら気遣う余裕さえないほどがっついてしまうかもしれない。
でももしそんなことをして彼女に嫌われでもしたら────。
「絶対に耐えられない…」
これはダメだ。何とかしなければ。
そう思い立ったが吉日。
俺は早速周囲に相談してみた。
すると返ってきた答えは概ね似たようなもので…。
「そんなもの、火遊びと割り切って誰かと一度寝てしまえばいいんですよ」
「そうですよ。一度経験しておけば余裕も出ますし、本番だってばっちりです!」
「避妊しておけば一夜の相手と割り切ってくれる女性は結構いますよ?」
そんな言葉に後押しされて、俺はドキドキしながら仮面舞踏会へと出掛け、男好きと噂される女性と寝た。
噂によると彼女はまだ若い伯爵夫人らしい。
旦那も女好きで夫婦そろって遊んでいるのだとか。
向こうは俺が童貞だと一発で見抜いてくれて、手取り足取り色々教えてくれたし、特に困ったことも起らなかった。
だから安心してたんだ。
それを目の前に突きつけられるまでは────。
「と言うわけで、ブラウン殿下。これをバラされたくなければ俺に協力してくれますよね?」
宰相の息子ノルディックからヒラヒラと提示されたのは、どこで手に入れたのか俺が仮面舞踏会に行った際の報告書とみられる紙。
そこにはご丁寧に写真まで貼られてある。
俺が仮面舞踏会で女性とキスしている写真だ。
きっと報告書には寝たところまでしっかり書かれているのだろう。
(マズい…!ユリエンヌにバレたら婚約破棄されてしまう!)
純粋なユリエンヌにバラされでもしたら一発アウトだ。
ただの火遊びだったのにそれを元に脅してくるなんて、なんて奴だ!
「ユ、ユリエンヌには黙っててくれ!」
「なら…わかりますよね?」
何が目的だ?
俺は別にこれまでノルディックに何かしたことはないぞ?!
「……何をすればいい?」
「ダレス殿下に近づく輩がいないか見張っておいてください。それと、邪魔者は逐一報告を」
「…あ、兄上が何か?」
「俺の恋人なので心配しているだけですよ」
「こ、恋人ぉっ?!」
「何か?」
兄の名が出たことにも驚いたが、恋人と聞いて思わず大きな声を上げてしまった。
どこをどうやったらこの二人が恋人同士になると言うんだ?
それが俺にはさっぱりわからなかった。
だってお互いに婚約者だっているだろう?!
「え?いや、でもほら、婚約者が…」
「そんなものこれからいくらでも手を打つのでお気遣いなく」
淡々と述べられたその言葉に、俺は悟った。
(ああ…この男が先に兄上に惚れたのか)
あの人はきっと天然でこの男を落としたのだと思う。
何が切っ掛けになったかは知らないが、兄に近づいたこの男は兄の魅力だかラックだかのせいで一発で惚れてしまったのだろう。
そしてあの兄はあっという間にそのまま捕まったのだ。きっとそうに違いない。
ノルディックは優秀な男だから、目をつけられたが最後、あの兄に逃げ切れるとは到底思えなかった。
きっと婚約解消だってあっという間だ。
「はぁ…兄上もとんでもないのに捕まったな」
「人聞きの悪いことを。それと…コレも、どうしましょうかね?」
そして先程の紙とは違うものをまた俺の目の前でひらひらと振ってくる腹黒悪魔。
「そ、それはっ…!」
俺の部屋に隠してあったはずの兄失脚計画!
どうしてそれがノルディックの手元に?!
「ブラウン殿下。物は相談なんですけど、結婚したら子供を一人養子にもらえませんか?」
「…………」
「不穏な計画を立てるくらいならその方が平和的でしょう?」
「……わかった」
勝利を確信した口調で余裕たっぷりに言い切られ、俺の心がぽっきり折れた。
こんな将来の宰相の元で王として仕事をする自信なんて俺にはない。
絶対に虐められる。
三日で逃げ出したくなるのは確実だ。
そうなるくらいなら兄に確実に王になってもらって、俺の子供を王にする方が断然いいと思う。
「では利害の一致ということで」
ニヤッと笑った悪魔を前に俺は深く息を吐いた。
「ブラウン殿下!」
その後庭園で愛しのユリエンヌとお茶を飲む。
俺の癒し。俺の可愛いユリエンヌ。悪魔に虐められた俺をどうか癒しておくれ。
そんな思いでいつものように見つめ、ゆったりと話しながら至福の時間を過ごしていると、何かを思い出したようにそう言えばと話を振ってこられた。
「もうすぐダレス殿下のお誕生日パーティーですわね。今年も御婚約者のカトリーヌ様の華やかなお姿が見られるのが楽しみですわ」
『将来のお義姉様ですし、これからはもっと仲良くしていきたいです』とユリエンヌは言うが、きっとそれは叶わぬ夢だろう。
そもそも彼女は昔からユリエンヌとは相性が悪い。
優しいユリエンヌとそんなユリエンヌの清らかさを苦手と感じているカトリーヌ。
彼女が『ユリエンヌ様はお奇麗すぎて嫌になるわ』と陰で言っていたのを俺は知っているんだ。
だからノルディックに取って代わられても俺としては全然構わない。
ただ…ユリエンヌにはあまりノルディックに近づいては欲しくない。
性格の悪さが移りでもしたら大変だ。
「ユリエンヌ。ここだけの話、ノルディックには気を付けて」
「ノルディック様ですか?」
「ああ。最近兄上と親しいみたいだから、きっとこれから会う機会も増えると思う。でも俺はそのせいで君が傷ついたらと思うと気が気でないんだ」
「あら。ノルディック様は良い方ですよ?あの方、交流が深くてあちらこちらに伝手をもっておられるので父からは仲良くするよう言付かっておりますの」
「え?!」
「ふふっ。ブラウン殿下、それほど心配しなくても私の心は貴方のものですわ。私、貴方に嫉妬されるほど愛されてとても幸せです」
どうやら嫉妬からノルディックに近づくなと言ったと勘違いされてしまったらしい。
違うのに…。
でもこんなに嬉しそうに幸せそうな笑顔で俺へと真っ直ぐに気持ちを伝えてくれるユリエンヌが大好きだ。
だから────ノルディックにあの情報は絶対に漏らすなと再度釘を刺しておこう。
万が一にでもあれが漏れてユリエンヌに捨てられたらきっと俺はどんな手を使ってでもあいつを潰すだろう。
絶対だ。
「ブラウン殿下?」
「ああ、ゴメンゴメン。折角の二人の時間だし、満喫しないとね」
そう言って新しい茶を淹れてもらい、ユリエンヌとの時間を堪能する。
(あの悪魔の手綱を握る兄上を、これからはこれまで以上にしっかり見ておかないとな)
そんな事を考えながら────。
****************
※こんな風に弟王子はノルディックに協力してせっせと兄の観察を続けていた感じです。
婚約者のユリエンヌは清純派な令嬢ですが、当然王子の婚約者として裏で他の令嬢から妬まれ色々された経験があるので年々精神的に鍛えられており、ブラウンの事を好きな気持ちも相俟って、火遊び程度の話が耳に入ってもびくともしないと思います。
いつまでもユリエンヌに『守ってあげなければいけないか弱い令嬢』像を抱き続けているブラウンですが、杞憂だと気づく日は来るのかどうか…。
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俺はこのラクサノーラ国の第二王子、ブラウン。
婚約者のユリエンヌは侯爵家の令嬢で俺の最愛の人。
花のように可愛らしく笑う彼女と初めて顔を合わせたのは10才の茶会の席だった。
俺と兄の婚約者を選ぶ席で、兄の方は公爵家のカトリーヌ嬢が有力候補として挙がっていて、俺の方は別の公爵家の令嬢の名が候補に挙がっていた。
けれど俺がユリエンヌに一目惚れしたことから、その公爵令嬢ではなくユリエンヌへと相手は変わったのだ。
俺の婚約者候補だった公爵令嬢は元々幼馴染であるカトリーヌの兄が好きだったらしく、笑顔で礼を言ってくれた。
だからなんの問題もなくユリエンヌを俺の婚約者として据えることに成功し、その日から溺愛することができたのだった。
けれど幼い時は良かったものの、年を追うごとに心配事は増していく。
第二王子という立場は兄に比べると酷く中途半端な立ち位置だ。
兄が王太子として相応しくなければ自分が王太子として立つ可能性が高いため、教育は同等に受けなければならない。
けれどいくら頑張っても兄がいる以上王位に就けない可能性の方が高い。
加えて兄はどこかぼんやりしたところがあるから、危なっかしくって俺はいつでもハラハラしっぱなしだ。
勿論実力は高いんだけど、あのどこか運だけで乗り切っているような兄はいつかやらかすのではないかと気が気でなかった。
それならいっそ自分が王位を狙ってもいいんじゃないかと思ってしまっても別におかしくはないだろう。
大好きなユリエンヌが王妃になってくれるのなら願ったり叶ったりだし。
そんな思いでちょっと兄を失脚させる計画を練ってみたことはある。
でも別に本気ではない。
もしもの時の保険程度だ。もちろん。
「でも…ユリエンヌが王妃かぁ…いいな」
きっと綺麗だろうな。
そんな風に思ったところでハタと思い立った。
王妃云々は横に置いておくとしても、俺と彼女の結婚自体は揺るぎない確実な未来の話。
結婚は嬉しい。当然だ。でも────。
(あれ?俺、失敗せずに初夜を終えられるのか?)
勿論房事の教育は受けているし、教育の一環で娼館の視察とか言って連れていかれ、男女の営みを目にしたこともある。
でもそれだけだ。
童貞な俺に愛する彼女を満足させてやれるだろうか?
突然気づいたそのことに俺は愕然となった。
(え…どうしよう……)
無理だと一気に真っ青になってしまう。
カッコよく初夜の場で愛する彼女を落ち着かせ、男らしく余裕をもって抱くという行為はどう考えても無理な気がしてならない。
だってすごく好きなんだ。
絶対に暴走してしまう自信がある。
下手をしたら気遣う余裕さえないほどがっついてしまうかもしれない。
でももしそんなことをして彼女に嫌われでもしたら────。
「絶対に耐えられない…」
これはダメだ。何とかしなければ。
そう思い立ったが吉日。
俺は早速周囲に相談してみた。
すると返ってきた答えは概ね似たようなもので…。
「そんなもの、火遊びと割り切って誰かと一度寝てしまえばいいんですよ」
「そうですよ。一度経験しておけば余裕も出ますし、本番だってばっちりです!」
「避妊しておけば一夜の相手と割り切ってくれる女性は結構いますよ?」
そんな言葉に後押しされて、俺はドキドキしながら仮面舞踏会へと出掛け、男好きと噂される女性と寝た。
噂によると彼女はまだ若い伯爵夫人らしい。
旦那も女好きで夫婦そろって遊んでいるのだとか。
向こうは俺が童貞だと一発で見抜いてくれて、手取り足取り色々教えてくれたし、特に困ったことも起らなかった。
だから安心してたんだ。
それを目の前に突きつけられるまでは────。
「と言うわけで、ブラウン殿下。これをバラされたくなければ俺に協力してくれますよね?」
宰相の息子ノルディックからヒラヒラと提示されたのは、どこで手に入れたのか俺が仮面舞踏会に行った際の報告書とみられる紙。
そこにはご丁寧に写真まで貼られてある。
俺が仮面舞踏会で女性とキスしている写真だ。
きっと報告書には寝たところまでしっかり書かれているのだろう。
(マズい…!ユリエンヌにバレたら婚約破棄されてしまう!)
純粋なユリエンヌにバラされでもしたら一発アウトだ。
ただの火遊びだったのにそれを元に脅してくるなんて、なんて奴だ!
「ユ、ユリエンヌには黙っててくれ!」
「なら…わかりますよね?」
何が目的だ?
俺は別にこれまでノルディックに何かしたことはないぞ?!
「……何をすればいい?」
「ダレス殿下に近づく輩がいないか見張っておいてください。それと、邪魔者は逐一報告を」
「…あ、兄上が何か?」
「俺の恋人なので心配しているだけですよ」
「こ、恋人ぉっ?!」
「何か?」
兄の名が出たことにも驚いたが、恋人と聞いて思わず大きな声を上げてしまった。
どこをどうやったらこの二人が恋人同士になると言うんだ?
それが俺にはさっぱりわからなかった。
だってお互いに婚約者だっているだろう?!
「え?いや、でもほら、婚約者が…」
「そんなものこれからいくらでも手を打つのでお気遣いなく」
淡々と述べられたその言葉に、俺は悟った。
(ああ…この男が先に兄上に惚れたのか)
あの人はきっと天然でこの男を落としたのだと思う。
何が切っ掛けになったかは知らないが、兄に近づいたこの男は兄の魅力だかラックだかのせいで一発で惚れてしまったのだろう。
そしてあの兄はあっという間にそのまま捕まったのだ。きっとそうに違いない。
ノルディックは優秀な男だから、目をつけられたが最後、あの兄に逃げ切れるとは到底思えなかった。
きっと婚約解消だってあっという間だ。
「はぁ…兄上もとんでもないのに捕まったな」
「人聞きの悪いことを。それと…コレも、どうしましょうかね?」
そして先程の紙とは違うものをまた俺の目の前でひらひらと振ってくる腹黒悪魔。
「そ、それはっ…!」
俺の部屋に隠してあったはずの兄失脚計画!
どうしてそれがノルディックの手元に?!
「ブラウン殿下。物は相談なんですけど、結婚したら子供を一人養子にもらえませんか?」
「…………」
「不穏な計画を立てるくらいならその方が平和的でしょう?」
「……わかった」
勝利を確信した口調で余裕たっぷりに言い切られ、俺の心がぽっきり折れた。
こんな将来の宰相の元で王として仕事をする自信なんて俺にはない。
絶対に虐められる。
三日で逃げ出したくなるのは確実だ。
そうなるくらいなら兄に確実に王になってもらって、俺の子供を王にする方が断然いいと思う。
「では利害の一致ということで」
ニヤッと笑った悪魔を前に俺は深く息を吐いた。
「ブラウン殿下!」
その後庭園で愛しのユリエンヌとお茶を飲む。
俺の癒し。俺の可愛いユリエンヌ。悪魔に虐められた俺をどうか癒しておくれ。
そんな思いでいつものように見つめ、ゆったりと話しながら至福の時間を過ごしていると、何かを思い出したようにそう言えばと話を振ってこられた。
「もうすぐダレス殿下のお誕生日パーティーですわね。今年も御婚約者のカトリーヌ様の華やかなお姿が見られるのが楽しみですわ」
『将来のお義姉様ですし、これからはもっと仲良くしていきたいです』とユリエンヌは言うが、きっとそれは叶わぬ夢だろう。
そもそも彼女は昔からユリエンヌとは相性が悪い。
優しいユリエンヌとそんなユリエンヌの清らかさを苦手と感じているカトリーヌ。
彼女が『ユリエンヌ様はお奇麗すぎて嫌になるわ』と陰で言っていたのを俺は知っているんだ。
だからノルディックに取って代わられても俺としては全然構わない。
ただ…ユリエンヌにはあまりノルディックに近づいては欲しくない。
性格の悪さが移りでもしたら大変だ。
「ユリエンヌ。ここだけの話、ノルディックには気を付けて」
「ノルディック様ですか?」
「ああ。最近兄上と親しいみたいだから、きっとこれから会う機会も増えると思う。でも俺はそのせいで君が傷ついたらと思うと気が気でないんだ」
「あら。ノルディック様は良い方ですよ?あの方、交流が深くてあちらこちらに伝手をもっておられるので父からは仲良くするよう言付かっておりますの」
「え?!」
「ふふっ。ブラウン殿下、それほど心配しなくても私の心は貴方のものですわ。私、貴方に嫉妬されるほど愛されてとても幸せです」
どうやら嫉妬からノルディックに近づくなと言ったと勘違いされてしまったらしい。
違うのに…。
でもこんなに嬉しそうに幸せそうな笑顔で俺へと真っ直ぐに気持ちを伝えてくれるユリエンヌが大好きだ。
だから────ノルディックにあの情報は絶対に漏らすなと再度釘を刺しておこう。
万が一にでもあれが漏れてユリエンヌに捨てられたらきっと俺はどんな手を使ってでもあいつを潰すだろう。
絶対だ。
「ブラウン殿下?」
「ああ、ゴメンゴメン。折角の二人の時間だし、満喫しないとね」
そう言って新しい茶を淹れてもらい、ユリエンヌとの時間を堪能する。
(あの悪魔の手綱を握る兄上を、これからはこれまで以上にしっかり見ておかないとな)
そんな事を考えながら────。
****************
※こんな風に弟王子はノルディックに協力してせっせと兄の観察を続けていた感じです。
婚約者のユリエンヌは清純派な令嬢ですが、当然王子の婚約者として裏で他の令嬢から妬まれ色々された経験があるので年々精神的に鍛えられており、ブラウンの事を好きな気持ちも相俟って、火遊び程度の話が耳に入ってもびくともしないと思います。
いつまでもユリエンヌに『守ってあげなければいけないか弱い令嬢』像を抱き続けているブラウンですが、杞憂だと気づく日は来るのかどうか…。
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