たった五分のお仕事です?

オレンジペコ

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Ⅲ.サード・コンタクト

36.説明と挨拶と。

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その後、俺は何故かラフィにいっぱいキスされて「無事で良かった」って何度も言われた。
俺を抱き寄せる手がちょっと震えてたから、ラフィもきっと凄く不安で心配してくれてたんだと思う。

そのままなんとなくくっついて自然とキスして寄り添ってたら、俺は安心感からかいつの間にか寝てしまっていた。

「おやすみ、ユウジ」

そう言って頭を撫でてくれるラフィの手の温もりを感じながら────。




翌朝、ラフィと一緒にエマーリンさんのところへ行き、再度召喚魔法を発動してもらうことに。
召喚というか最早逆召喚魔法になっちゃってるけど、まあこの際どっちでもいいや。

「昨日帰ってないから捜索願とか出されてないか心配だなぁ…」

そう思いながら帰ったんだけど、実際恐る恐る家に帰ったら、普通に怒られた。

「優次!いくらラフィ君が大好きだからって朝帰りはまだ早いわよ?!」
「えぇっ?!」
「エマーリンさんがついてるから大丈夫とか思ったのかもしれないけど、そういうのは高校生が誤魔化す時の常套句だって、母さんもわかってるんですからね!」

『母さんは誤魔化されません!』ってよくわからない雷が落とされたんだけど、意味が分からない。

「えっと母さん?」
「取り敢えず話はラフィ君から聞いておくから、貴方は学校の準備をして行ってきなさい!」

そう言われてどうしようかなって思ったけど、ラフィが自分に任せろと胸を叩いてくれたから、取り敢えず説明は任せることにして『帰ったら俺からもちゃんと話すから』って伝えておいた。

「行ってきまーす!」

それから急いで朝食を食べて、制服に着替えて学校に向かったんだけど、学校に着いてからも俺はそわそわして全く授業に集中できなかった。


***


【Side.ラフィンシア】

腰を落ち着けてユウジの母親と向き合う。
ちなみに父親は会社で、兄のコーイチは学校だ。

「それで?ラフィ君。優次とはいつから付き合ってるの?」
「…?」
「誤魔化さなくてもいいのよ?私の弟も実はそっちの気があるから私は理解しているつもり」

どうやらユウジの母親は俺とユウジが恋人同士だと勘違いしているらしい。
こっちの事情はよく分からないけど、もしかして連絡なしのお泊り=恋人関係決定みたいなところがあるのかもしれない。
ここは取り敢えず順を追って話そうか。
そう考え、手早く話す内容をまとめ、真剣に母親へと向き合うことに。

「昨日はユウジを返すことができず申し訳ありませんでした。でも、俺がユウジを大事に思っているのだけは信じてほしいです」

そう言ってから丁寧に自分の自己紹介から始めることに。

「俺…私は、こことは違う世界にあるアレファンドラという国の第二王子、ラフィンシア=ファンディと申します」
「私は王宮付き筆頭魔術師のエマーリンです。よろしくお願いいたします」
「……え?」

そして驚く母親にエマーリンが召喚魔法について説明。
二度ユウジをあちらに召喚して仲良くなり、今回自分達がこちらに遊びに来たという話をした。

「元々あった召喚魔法とは違い、こちらに生身を残し五分程度意識が飛ぶだけという、誘拐にもならない非常に画期的かつ安全な召喚魔法ではあったのですが…」
「うちの馬鹿な側近がやらかしてしまい、今回想定外の事態が生じてこちらとあちらの狭間にある別の異世界にユウジの身体が丸ごと落っこちてしまったんです」
「やむを得ずいつもとは違った形で完全召喚を行った結果、ユウジを向こうの世界に連れて行くこととなり、こちらに戻せなくなってしまいました。申し訳ございません」
「……え、えっと?なんだか話が物凄くややこしくてよくわからないのだけど…。つまり、平たく言うとあの子をラフィ君の国に連れて行かせてほしいってことなのかしら?」

一生懸命理解しようとしてくれている母親は流石ユウジの母だと思う。
こんな俄かには信じ難い話でも辛抱強く聞いてくれているのだから。

「似たようなものではあるのですが、それだと流石に申し訳ないので、五日間こちらに戻して二日は向こうで過ごして、また五日間戻すという形でなんとか折り合いが付けられないかと」
「それは…大変なんじゃないの?」
「召喚魔法の行使自体は問題ありません。ここの近くの公園に送る形にしようと思っているので安全面でも大丈夫かと」
「…………正直急には信じられない話ではあるけど、色々腑に落ちた点もあるから本当だと仮定してお話しさせてもらうわね?」
「はい」

そうして母親が言うことには、公園に毎週のようにユウジが同じ時間同じ場所に現れたらおかしな噂になって問題が出そうで困るとのこと。
帰りもいきなり公園の傍で消えたら大問題だと。
確かにそれはそうだ。
一回なら人目を忍んでどうとでもなるかもしれないけれど、毎週毎週だと問題が出ないとも限らない。

「だから、もし本当に毎週その召喚?とかいうので優次を送るのなら、家の中の優次の部屋にしてちょうだい」

できるかしらと言われたのでエマーリンを見ると、目印となるものを置いておけば可能とのこと。

「そう。良かったわ。それと、次は優次の将来のことなんだけれど…」

高校はなんとかそれで卒業まで行けたとして、大学や就職の問題があるのだと母親は言った。
大学というのはコーイチが行っている学校のようだ。
より専門的なことを学ぶ学校らしく、その辺りはアレファンドラと大きく違うなと思った。

「その辺りはユウジと話し合って決めたいですね。ユウジが望むなら継続してこちらに召喚するのは特に問題はありません」
「そう。わかったわ。じゃあ本題ね。ラフィ君は優次とどういった関係なのかしら?」
「友人…と答えたいところですが、すみません。今一生懸命口説いている真っ最中なので、できれば応援していただきたいと思っています」

正直にそこは濁さず話してみると、母親は目を丸くした後、物凄く楽し気に笑い始めた。

「ちょっ…!ラフィ君!正直過ぎるわ!」

そうして一頻り笑った後、あっけらかんと『いいわ。応援してあげる』と言ってくれた。

「召喚魔法が本当かどうかはどうせ週末になったらわかるんでしょう?それまではまた五日間ここに泊まるのよね?」
「え?いいんですか?」
「もちろんよ。あの子もラフィ君が大好きだし大丈夫でしょう。息子が増えて嬉しいわ。結婚式には呼んで頂戴ね」

物凄く大らかに受け入れられて感動してしまう。
もっと拒絶されたり激怒されたりしてもおかしくはない状況だったのに…。

「母君。お名前で呼んでも構いませんか?」
「いいわよ。ユリエ母さんって呼んでちょうだい」
「はい。よろしくお願いします。ユリエ母さん」

(やった!ユウジとの結婚の許可をもらえた!)

後はユウジをしっかり落としたら問題解決だ。
帰ってきたら将来のことを話すついでに色々話してみようと思う。

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