【完結】王子の本命~姫の護衛騎士は逃げ出したい~

オレンジペコ

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【本編】

3.花嫁?!どうして俺が?!

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「くそっ…!」

どうしてこんなことになったんだろう?
俺は痛む腰をさすりつつ姫に行き場のない怒りを抱いていた。

(普通処女を捧げるのは花嫁の仕事だろう?なんで護衛騎士の俺が処女捧げてんだよ!おかしいだろ?!)

思ったほどには酷くはされなかったものの、あり得ない場所に突っ込まれて、涙は滲むし悲鳴は出るしで散々だった。
なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないんだと思っても全くおかしくはない。
そもそもセドリック王子だってなんであんなにノリノリだったんだ?
どう見ても嬉々として抱いていたよな?俺を翻弄しながらも絶対にあれは楽しんでいたと思う。
余裕綽々で俺をリードする様は随分手慣れているように感じたからあれが初めてってことはないはず。
それにしても酷い。相手くらいは選んでくれ。
花嫁が来なかったのなら護衛騎士の俺なんてさっさと追い出して、別の女を部屋に呼べばよかったのに…。
性欲処理なんて俺は二度と御免だ!

「姫!!!!」

俺は取り敢えずこの怒りを元凶にぶつけようと姫の居室へとやってきた。
なのに肝心の姫は何故か呑気に食後のお茶を嗜んでいる始末。

「あら、アルフレッド。そんなに怒ってどうかしたのかしら?」
「どうかしたのかじゃありません!どうにかされたんですよ!」

そんな俺の怒りの声は姫にとって予想の範囲内だったのか、どこか楽しげに笑われてしまった。

「あらあら。その分だとセドリック王子に気に入って頂けたようね」
「あれは気に入ったとは言いません!身代わりにされたと言うんです!」
「…そんなことはないと思うわ。だって彼、私のことは好きではないでしょう?きっと私だったら抱かずに終わったか、その日のうちに返されたかのどちらかだったと思うわよ?」

政略結婚だから当然だと言わんばかりに姫はそっと茶器を手に取り一息入れる。

「そんな彼が貴方を部屋から追い出さず抱いたのなら気に入られた証拠だわ。朝帰りするほど気に入られて良かったじゃないの」

けれど俺は全力で言いたい。
どこの世界に花嫁を新婚初夜に抱かない男がいるのかと。
そしてどこの世界に花嫁の代わりに男を抱く男がいるのかと…!

「ふざけないでください!俺は今後一切身代わりなんてしませんからね?!次からは誰か侍女でも行かせてください!」

セドリック王子だって男を抱くよりもきっとその方が嬉しいはずだと思ってそう言ったのに……。

「アル…何をつれないことを言っている?」

急に背後から王子の声がして、それと同時に抱き込まれたので思わず叫びそうになってしまった。
どう考えても気配を消していたとしか思えない。
この俺の背後をこんなにも易々と取ってくるなんて、この王子は只者ではない。
それに加えてあり得ないことまで口にしてきたのだからたまらない。

「初夜に来たのは他の誰でもないお前だろう?アル。だからお前が俺の花嫁だ。侍女など宛がわれても抱くはずがない」

王子はニッコリ笑って俺が嫁だと言うけれど、そんなわけあるかーーーーー!!

「セ、セドリック王子?」
「何かな?アル」
「俺はあくまでも姫の護衛騎士なので、愛人や性欲処理係ではないとこの際言わせて頂きたい」

ヤバい。顔が引き攣る。でも頑張れ俺!笑顔で拒否だ!

「ああ、なるほど?」
「わかって頂けましたか?」
「ああ、勿論。────アルメリア王女……」
「はい!」

急にひやりとした声を出したセドリック王子が冷笑を浮かべながら姫を見遣り言葉を紡ぐ。

「姫の代わりに初夜に来たのはここにいるアルフレッドに間違いはないな?」
「は、はいっ!間違いございません!」
「では…アルフレッドを俺の妃にするのになんの異存もあるまいな?」
「ございません!」
「では今この瞬間からアルフレッドは俺の側妃として扱うように」
「はいっ!喜んでーっ!」

(な、何~~~~?!)

そんな馬鹿な話があってたまるかと声をあげるが、抱かれたのは事実だろうと言われれば反論の余地などない。
つまりは…結婚式で各国にお披露目された姫が正妃で、初夜にやってきて抱かれた俺が側妃と言うことになったらしい。

(そ、そんな馬鹿な……)

頼むから誰か嘘だと言ってくれ。
そして取り敢えず、これだけは言わせてほしい。

「断固としてお断りします!!」


***


「騎士長~王子の嫁になったって本当ですか?」

護衛騎士達の鍛錬に付き合って昼食を食べていると、部下であるコリンズが無邪気にそんなことを口にしてきて思わず口に入れたおかずを吹き出しそうになった。
いきなりなんてことを言うんだこいつは!!

「……俺にその気はない」

たった一回身代わりに抱かれたくらいで嫁認定されてたまるかと俺は全力で拒否する。
大体あの王子は絶対に他にも男がいるはずだ。女だっているはずだ。
何が悲しくて俺が嫁にならないといけない?そんなの真っ平御免だった。
そもそもよく考えたら男が側妃なんて王が認可するはずがないのだと冷静になってから思い至る。
本人にだってきっぱり断っているし、そこは絶対に大丈夫なはず。
なのにコリンズからもうこの話はあっちこっちで噂になってると言われて蒼白になってしまった。

(あんのクソ王子ーーーーー!!)

ある意味噂通りのとんでもない極悪王子だと思いながら俺はギリギリと歯噛みしてしまう。
こっちが全力で拒否しているのをわかっている上で外堀を埋めてくるとは性格が悪すぎる。

(断固拒否だ!!)

俺は改めて強く強く心に誓い、今夜は嫌でも姫の元に王子を行かせてやると気合いを入れた。


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