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2.堕とされた王子 Side.使者
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※一部残酷な表現を含むので苦手な方は飛ばしてください。
宜しくお願いしますm(_ _)m
****************
王の元にその知らせが来たのは唐突だった。
友好国であるブルーグレイ王国に送られた使節団。
そこに同行していたカリン王子がこともあろうにあの冷酷なセドリック王子の側妃に手を出そうと目論んだのだとか。
恐らくそのまま牢に入ることになるだろうから、早々に迎えに来るようにとのことだった。
「何をしているのだ、カリンは!!」
王は激怒したが、その側妃というのがあのゴッドハルトの英雄の片腕であるアルフレッドだったと知り、何とかならないかと考え始める。
相手が相手だ。話を聞けば欲しくもなるというもの。
けれどそんなことは無駄だとばかりにブルーグレイから王子を牢に入れたと知らせが入った。
最早こうなってしまってはどうしようもない。
ブルーグレイには改めて謝罪に訪れ、また機会を見てアルフレッドと接触した方がいいだろうということで結論付けられた。
そしてカリン王子を迎えに行くよう宰相補佐の私に命が下る。
王からは、可能であればセドリック王子の機嫌を取っておいてくれと言われたが、さてどうなることやら。
そうしてやってきたブルーグレイ王国だったが、着いて早々使節団の面々の生首が並ぶ部屋に案内されて恐れ慄く羽目になってしまった。
「こちら、罪人達の身柄でございます。どうぞお納めください」
「は…はひっ……!」
恐ろしい国だと知ってはいたが、まさか本当だったとはと震えが止まらなくなる。
「カリン王子のみ王族ということで死罪は免れましたが、そちらは牢の方に身柄を拘束させて頂いておりますので、どうぞご確認を」
そう言いながら案内された先で、私はあり得ないものを目にしてその場で固まってしまった。
「ひ…ぁあ…………あへぇ…」
「ひぃっ!我が国の王太子がこのような姿に……っ!」
ベッドの上で四肢を鎖に繋がれ、全裸で恥ずかしい姿のまま玩具を突っ込まれて気持ちよさそうによがる姿はとても自分の知る権謀術数に長けた王子の姿とは言い難い。
あれほど将来を有望視されていた王子は最早見る影もなく、ただただ快楽に堕ちきってしまっていた。
これでは殺されたも同然だ。
「どうされますか?セドリック王子から、このままおとなしく連れ帰って何もなかったことにするか、ひと月で国を沈めるかは選ばせてやれと言われておりますが」
しかも国を潰すぞと暗に脅され、崩れ落ちそうになる身体をなんとか支えるのに精一杯になる。
(やる。あの噂の冷酷な王子なら絶対にやる……!)
それがわかっているだけに答えはもう一つしかなかった。
「連れ、連れて帰ります…!こちらとしましてはブルーグレイ王国に歯向かう気は一切ありませんので、くれぐれも、くれぐれも王子にはよろしくお伝えください!」
こんな姿を見せつけられたらとてもではないが直接ご機嫌を取る気にはなれない。
このまま接触せずおとなしく国に帰った方がいいに決まっている。
アルフレッドのことは諦めるしかないだろう。
王にもしっかりと進言しておかねば……。
「そうですか。では今後とも友好的なお付き合いをということで」
「はいっ!もちろんでございます!」
そしてダメで元々、カリン王子を国に連れ帰って医師に診せよう。
それで回復が臨めなければ諦めるしかない。
わが国にはまだロキ王子がいる。
もしものためのスペアだと王は言っていたが、これだけ壊れてしまったカリン王子と比べたらずっとマシだろう。
そう思い、カリン王子に服を着せ国へとなんとか連れ帰ったのだが……。
カリン王子の姿を見た途端、王は箝口令を敷き医師に診せることなくカリン王子を部屋へと閉じ込めてしまった。
「カリンは死んだ」
しかもはっきりとそう明言し、ロキ王子を王太子へと任命して、口の堅い者達を中心に据えてカリン王子の世話をさせるようになった。
媚薬でも盛られているのか、王子は頻繁に自慰をしたがり泣き叫んだので、仕方なく玩具を用意し自分で自分を慰められるように取り計らった。
けれどそれだけでは足りないのか、抱いてと叫ぶようになったので、これまた仕方なく毎日男色の気があるものを遣わすようになった。
世話をする者達の表情は暗くなっていくばかり。
終わりのない、救いのない、苦行のような日々。
そんな日々にある日変化が訪れた。
『ねえ父上。あの、精液に塗れた可愛い兄上を…俺が貰っていいですか?』
王の元にやってきたロキ王子がどこか恍惚とした表情でそう言って、カリン王子を引き受けたのだ。
王としては「好きにしろ」以外に言えることなどなかったことだろう。
もう跡継ぎはこのロキ王子以外には存在しないのだから、機嫌を損ねるようなことをするはずがない。
「ロキ王子…。カリン王子のこと、よろしくお願い致します」
慰み者にと口にしてはいたけれど、実の兄なのだ。
きっと無体なことはするまいと思い、頭を下げてお願いする。
けれどロキ王子は意味深な笑みを浮かべてこう宣った。
「大丈夫。ちゃんと医師には診せておくよ」
抱くならせめて誰に抱かれているかくらいはわかってほしいしと…。
本気だろうか?
「ロキ王子…?」
「何かな?」
「…………本当に抱かれるおつもりですか?」
「本当も何も、さっき抱いてきたから」
あんなになるまで、どんな目に合ったんだろうねとクスクス笑う王子に寒気が走る。
「まあ心配はいらないよ。後は全部任せて欲しい」
こちらの憂いを全て引き受けるかのようにそう言ったロキ王子は話は終わりだとばかりに部屋へと戻っていく。
行先は自室なのだろうか?それともカリン王子の元なのだろうか?
(…………そこに幸せがあればいいのだが)
変わり果てたカリン王子に果たして幸せは訪れるのか?
それはきっと────神のみぞ知るのだろう。
宜しくお願いしますm(_ _)m
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王の元にその知らせが来たのは唐突だった。
友好国であるブルーグレイ王国に送られた使節団。
そこに同行していたカリン王子がこともあろうにあの冷酷なセドリック王子の側妃に手を出そうと目論んだのだとか。
恐らくそのまま牢に入ることになるだろうから、早々に迎えに来るようにとのことだった。
「何をしているのだ、カリンは!!」
王は激怒したが、その側妃というのがあのゴッドハルトの英雄の片腕であるアルフレッドだったと知り、何とかならないかと考え始める。
相手が相手だ。話を聞けば欲しくもなるというもの。
けれどそんなことは無駄だとばかりにブルーグレイから王子を牢に入れたと知らせが入った。
最早こうなってしまってはどうしようもない。
ブルーグレイには改めて謝罪に訪れ、また機会を見てアルフレッドと接触した方がいいだろうということで結論付けられた。
そしてカリン王子を迎えに行くよう宰相補佐の私に命が下る。
王からは、可能であればセドリック王子の機嫌を取っておいてくれと言われたが、さてどうなることやら。
そうしてやってきたブルーグレイ王国だったが、着いて早々使節団の面々の生首が並ぶ部屋に案内されて恐れ慄く羽目になってしまった。
「こちら、罪人達の身柄でございます。どうぞお納めください」
「は…はひっ……!」
恐ろしい国だと知ってはいたが、まさか本当だったとはと震えが止まらなくなる。
「カリン王子のみ王族ということで死罪は免れましたが、そちらは牢の方に身柄を拘束させて頂いておりますので、どうぞご確認を」
そう言いながら案内された先で、私はあり得ないものを目にしてその場で固まってしまった。
「ひ…ぁあ…………あへぇ…」
「ひぃっ!我が国の王太子がこのような姿に……っ!」
ベッドの上で四肢を鎖に繋がれ、全裸で恥ずかしい姿のまま玩具を突っ込まれて気持ちよさそうによがる姿はとても自分の知る権謀術数に長けた王子の姿とは言い難い。
あれほど将来を有望視されていた王子は最早見る影もなく、ただただ快楽に堕ちきってしまっていた。
これでは殺されたも同然だ。
「どうされますか?セドリック王子から、このままおとなしく連れ帰って何もなかったことにするか、ひと月で国を沈めるかは選ばせてやれと言われておりますが」
しかも国を潰すぞと暗に脅され、崩れ落ちそうになる身体をなんとか支えるのに精一杯になる。
(やる。あの噂の冷酷な王子なら絶対にやる……!)
それがわかっているだけに答えはもう一つしかなかった。
「連れ、連れて帰ります…!こちらとしましてはブルーグレイ王国に歯向かう気は一切ありませんので、くれぐれも、くれぐれも王子にはよろしくお伝えください!」
こんな姿を見せつけられたらとてもではないが直接ご機嫌を取る気にはなれない。
このまま接触せずおとなしく国に帰った方がいいに決まっている。
アルフレッドのことは諦めるしかないだろう。
王にもしっかりと進言しておかねば……。
「そうですか。では今後とも友好的なお付き合いをということで」
「はいっ!もちろんでございます!」
そしてダメで元々、カリン王子を国に連れ帰って医師に診せよう。
それで回復が臨めなければ諦めるしかない。
わが国にはまだロキ王子がいる。
もしものためのスペアだと王は言っていたが、これだけ壊れてしまったカリン王子と比べたらずっとマシだろう。
そう思い、カリン王子に服を着せ国へとなんとか連れ帰ったのだが……。
カリン王子の姿を見た途端、王は箝口令を敷き医師に診せることなくカリン王子を部屋へと閉じ込めてしまった。
「カリンは死んだ」
しかもはっきりとそう明言し、ロキ王子を王太子へと任命して、口の堅い者達を中心に据えてカリン王子の世話をさせるようになった。
媚薬でも盛られているのか、王子は頻繁に自慰をしたがり泣き叫んだので、仕方なく玩具を用意し自分で自分を慰められるように取り計らった。
けれどそれだけでは足りないのか、抱いてと叫ぶようになったので、これまた仕方なく毎日男色の気があるものを遣わすようになった。
世話をする者達の表情は暗くなっていくばかり。
終わりのない、救いのない、苦行のような日々。
そんな日々にある日変化が訪れた。
『ねえ父上。あの、精液に塗れた可愛い兄上を…俺が貰っていいですか?』
王の元にやってきたロキ王子がどこか恍惚とした表情でそう言って、カリン王子を引き受けたのだ。
王としては「好きにしろ」以外に言えることなどなかったことだろう。
もう跡継ぎはこのロキ王子以外には存在しないのだから、機嫌を損ねるようなことをするはずがない。
「ロキ王子…。カリン王子のこと、よろしくお願い致します」
慰み者にと口にしてはいたけれど、実の兄なのだ。
きっと無体なことはするまいと思い、頭を下げてお願いする。
けれどロキ王子は意味深な笑みを浮かべてこう宣った。
「大丈夫。ちゃんと医師には診せておくよ」
抱くならせめて誰に抱かれているかくらいはわかってほしいしと…。
本気だろうか?
「ロキ王子…?」
「何かな?」
「…………本当に抱かれるおつもりですか?」
「本当も何も、さっき抱いてきたから」
あんなになるまで、どんな目に合ったんだろうねとクスクス笑う王子に寒気が走る。
「まあ心配はいらないよ。後は全部任せて欲しい」
こちらの憂いを全て引き受けるかのようにそう言ったロキ王子は話は終わりだとばかりに部屋へと戻っていく。
行先は自室なのだろうか?それともカリン王子の元なのだろうか?
(…………そこに幸せがあればいいのだが)
変わり果てたカリン王子に果たして幸せは訪れるのか?
それはきっと────神のみぞ知るのだろう。
応援ありがとうございます!
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