【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

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106.ブルーグレイ再訪⑰

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いよいよ今日はガヴァムへと帰る日だ。
思ったよりも滞在は長引いたが、これでやっと帰ることができる。

そう思ったところで久しぶりにシャイナーからツンナガールに連絡が入った。
こっちに来る前に『ブルーグレイにいる間は出られないかも』と言っておいたから暫く静かだったのにと溜め息が出てしまう。

(まあ滞在も伸びたし、仕方がないか…)

多分そろそろ帰ってるとでも思われたんだろう。
シャイナーは兄がこちらに来たことを知らないはずだし、兄を放って俺がいつまでもズルズルとブルーグレイに滞在するとは思わなかったはず。

「はい」
「ロキ!旅行は楽しめたか?」
「これからガヴァムに帰るところです」
「まだブルーグレイなのか?」
「ええ。少し予想外のことがありまして」
「そうか。気をつけて帰ってきてほしい」
「ありがとうございます。では」
「ちょっと待ってくれ!今日は報告があってかけたんだ!」

通話を切ろうとしたら慌てたように引き止められ、意外な報告を聞かされた。
どうやら花嫁候補が無事に決まったらしく、戻ったら顔合わせをしたいとのこと。
それならばと祝福の言葉を伝えることに。
シャイナーを押し付ける相手だし、できれば仲良くしたい。

「シャイナーが選んだ素敵な花嫁に会える日を楽しみにしています」

そう言ったら感激の声を上げられたけど、どうやらその花嫁候補の女性は隣にいたらしく、挨拶したいから代わってほしいと言う可愛らしい声が耳に届いた。
それに対しシャイナーは全く代わろうとしなかったので、俺の方から代わってほしいと言ってみる。

「シャイナー。彼女に代わってもらえますか?」
「え?!」
「お願いします」
「……わかった」

渋々だが代わってくれたので、すぐに女性の声が耳へと届いた。

「ロキ陛下ですか。このような形で初めてご挨拶させて頂く無礼をお許しください。私、キャサリン=ミランと申します」
「いえ。代わってほしいと言ったのは俺の方なのでどうかお気になさらず」
「ありがとうございます。直接お会いできる日を心待ちにしております」

どうやら礼儀正しいご令嬢のようだ。

(まあそうか)

一国の国王の伴侶なのだ。
普通に考えて王妃となる人物だし、特に不思議ではないだろう。

(でも大丈夫かな?)

ちゃんとドン引きせずに覚えてくれるだろうか?
そう思ったところで彼女の方から口火を切ってきた。

「ロキ陛下。シャイナー陛下は私が踏みつけてでもしっかり『待て』をさせておきますので、どうぞ焦らずご旅行をお楽しみください」

その言葉にどうやら杞憂だったようだと笑みがこぼれる。

「ありがとうございます。おとなしくできなさそうなら首に縄でもつけてしっかり躾けておいてくださいね」
「まあ!うふふ。是非そうさせていただきますわ」
「よろしくお願いします」

そう言って通話を切った。
なかなか気の合いそうな人で良かった。

「ロキ。誰と話してた?」
「兄上。シャイナーが婚約者を決めたらしいので挨拶をしていました」
「婚約者?!もう決まったのか?!」
「ええ。とても気が合いそうなご令嬢で安心しました」
「気が合いそう?シャイナーとか?」
「俺とです」
「何故お前と?!」

まさかシャイナー達と四人でするとか言わないよなと言われたけど、そんなつもりはない。

「シャイナーをその婚約者に押し付けるために、調教方を教える約束なんです」
「なんだと?!聞いてないぞ?!」
「こんなに早く決めてくるとは思ってなかったので…」

そのうち言おうと思ってたんですと言ったら、早く言えと叱られてしまった。

その後リーヴィス達にも改めて礼を言い、ここで別れることに。

「ロキ、次はまた酒場で会おう」
「ああ。ありがとう」
「泣かされたらすぐ誰かに言うんだぞ?俺らがきっちり落とし前つけてやるからな」
「大丈夫だと思う」
「本当か?……兄上サマ?ロキ泣かすんじゃねぇぞ?わかったな?」
「わ、わかってる!」
「リヒター!カーク!しっかりロキを見といてやってくれ。こいつは強がりばっかり一丁前だからよ」
「もちろん」
「任せてくれ!」
「頼んだ!じゃあな!」

そうして笑顔で三人は部屋から出て行った。
きっとこの後言っていたゴッドハルトへと移動するのだろう。

「ロキ、準備できた?そろそろ出発するけど」
「レオ。今行きます。ほら兄上。行きますよ」

その後すぐ呼びにきてくれたレオについていき、兄と一緒にワイバーンへと同乗させてもらう。
リヒターとカーライルは俺が最初に乗ってきたワイバーンに乗り準備万端だ。

「ロキ陛下。またいつでも遊びに来てくれ」

ヴィンセント陛下が笑顔で見送ってくれる。
そしてセドリック王子も。

「ロキ。カリンかガヴァムを捨てたくなったらいつでもブルーグレイに来るといい。お前の席ならいつでも用意してやろう」
「ありがとうございます。困った時は是非頼らせてください」
「なっ?!」

兄は凄く驚いたようだけど、どうして社交辞令にこんなに過剰反応してるんだろう?
俺が兄上を捨てるはずがないとわかってて言ってきてくれてるんだから、サラッと流せばいいのに。

「お世話になりました。それではまた」

その言葉と共にレオも挨拶の言葉を紡ぎ、そのまま空へと飛び立った。
レオの護衛達もいるし、行きと違ってなかなかの大所帯だから壮観だ。
手を振ってくれた面々に手を振り返し、俺は抱きついてきた兄を抱きしめながら、頬を緩めた。

「兄上。帰りはずっと俺が抱きしめているから安心してくださいね」
「怖い。空を飛ぶのもそうだけど、お前が取られそうなのが一番怖い!」
「え?」

何故か明後日の方向に怖がられて首を傾げてしまう。

「あっちもこっちも敵ばっかりだ!」
「敵なんていませんけど?」
「セドリック王子とか!ヴィンセント陛下とか!」
「一番味方っぽいですよ?」
「シャイナーとその婚約者とか!」
「上手く押し付けられそうなお相手で安心しましたけど?」
「裏稼業の奴らもリヒターもカーライルも!」
「皆親切なだけで敵じゃないですよ?なんなら一番信頼していますけど」
「酷い!ロキはわかってない!」

わかってないと言われたものの、今言われた相手で敢えて敵と言えるのはシャイナーくらいではないだろうか?
後は全く心当たりがない。
とは言え抱きつきながら可愛く焼きもちを妬かれるのは純粋に嬉しい。
けれど、不安にさせているならなんとかしてあげたいとは思う。
取り敢えず帰る場所には嫉妬する相手はいないと言ってあげたら安心してくれるだろうか?

「ええと…これから帰る場所にはほぼ俺の敵しかいないので、妬く必要は全くないし大丈夫ですよ?」
「うぅ…こんな時に皮肉を言われるなんて…」
「え…だって本当のことですし」

さっき言われたメンバーで言えばリヒター達は側にいてくれるけど、皆いつも俺達を応援してくれるから敵じゃないと思う。
それなら兄も気にする必要はないと思うのだけど。

「どうせ俺よりリヒター達の信頼度の方が高いんだ…」
「それだけ信用できて安心ってことですよね」
「無自覚に痛めつけられて辛い…」
「ロキ…言えば言うほどカリン陛下虐めになるからやめてあげたら?」

レオが気を遣ってなのか困ったように言ってくるけど、何がダメだったのかわからない。

「信じられる相手が少しでもいてくれるのはせめてもの救いなのに…」

それがダメだというなら正直仕事には戻りたくはない。
そう思いながら溜息をついたら、レオが嬉しい提案をしてくれた。

「随分気鬱っぽいなぁ。それなら鉱山ホテルに仕事持ち込んでずっと滞在する?うちはそれでも大歓迎だけど」
「ああ、それは凄く良さそうですね」

ミラルカならまだ近いし、兄と二人で籠れるなら籠りたい。
そう思ったのに兄はよくわからないことを言い出した。

「ここにも敵がいた!やっぱり本気で監禁してやりたい!」
「カリン陛下。たまには大らかに!ロキを監禁したらそれこそ大親友の俺がすぐさま助け出して連れ去るから!」

忘れないでくれとレオが笑顔で釘を刺した。
でも…。

「レオ。兄上は監禁プレイをしたいだけなので、気にしないで欲しいです」
「監禁プレイ?」
「ええ。セドリック王子に勧められて手錠を買ったら気に入ってくれたみたいで」

どうせなら鉱山ホテルで監禁プレイも楽しそうだなと気分が向上する。

「へぇ…。ちなみに他にはどんなプレイが好きなの?カリン陛下は」
「え?鉱山ホテルでは鏡部屋で縛られながら楽しんでくれてたし、牢屋部屋では立場逆転プレイも楽しんでくれてたので、色んなシチュエーションを楽しむのが好きなのかなと思ってますけど?」
「へぇ…。ちなみにロキは?」
「俺ですか?三、四人でするのが好きですけど、最近は兄上に合わせて二人で色々するのも楽しくて気に入ってます」
「そうなんだ」
「ええ。昨日は連れ去られた後いきなり押し倒されて処女をもらうって言われながら乱暴に服を剥がれたから、新しい下克上プレイかなってドキドキして思わず成り行きに任せてしまって…」
「ふ~ん…。カリン陛下、あの後そんなことしてたんだ」
「…………っ!」

心なしかレオの声が低くなった気がするけど、どうしたんだろう?
兄も焦った顔をしているし、不思議でならない。
もしかして俺の処女についてレオに相談した時、レオはちゃんと手順をとかなんとかアドバイスしてたのに、兄が無視してしまったとかそういうオチなんだろうか?
結局どうして急に俺の処女を貰う気になったのかの話を聞きそびれたから、状況がよくわからなかったのだけど…。
何はともあれ俺に言えることは一つだ。

「兄上。兄上がしたいことは全部やっていいですからね?」

ギュッと抱きしめて、笑顔でそう囁いてあげる。
するとご馳走様と言わんばかりの顔でレオから言われてしまった。

「ロキの溺愛がすごい…」
「溺愛?」
「だってカリン陛下のどんなことでも受け入れるって言ってるし」
「それは兄上が大好きだから…」
「うん。だから溺愛してるなって。俺も結婚しようかな」
「レオが結婚するなら精一杯お祝いしようと思うので、何でも言ってください」
「うん。ロキのお陰で国庫も潤いそうだし、もう少ししたら本気で考えてみようかな」

その時はまたセドリック王子達にも声を掛けるとレオは言っていた。

シャイナーも婚約者が決まったことだし、これから結婚ラッシュだなと思いながら俺はガヴァムへと帰ったのだった。


****************

※終わりそうな書き方ですが、この後帰る途中の宿でカリンがロキとちゃんと話し合いをするのでもう暫くお付き合いください。よろしくお願いします。

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