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【本編】
23.動揺 Side.ヴォルフガング
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いよいよ国際親善パーティーの日がやってきた。
この日をどれだけ待っていたことか。
顔見知りでもあるディオンの従者ヴィクター経由で、領地でのディオンに様子はしっかりと把握していた。
ディオンが夢中になっているのは見目麗しいラスターという名の平民だそうで、ヴィクターは彼の言語能力や剣技などからスパイではないかと疑ったらしい。
なのにいくら調べても何も出てこなくて悔しいと臍を噛んでいた。
だから王家の影を使って俺の方でも秘密裏に調べてみたのだ。
そんな危険な相手をディオンの側に置きたくなかったから。
なのにそこまでしても何一つスパイであるという証拠は出てこなくて、結論としては彼はただの平民というのが確定してしまっただけに終わった。
つまりただの勤勉さを兼ね備えた天才────ということだ。
性格も良く、周囲の評価も上々。
特に才能に胡坐をかいたり驕り高ぶることもなく、穏やかに周囲と交流しトラブルも全くないようだった。
どう考えても普通にモテるタイプだろう。
(さっさと誰かとくっついていてくれればよかったのに)
平民なら尚更相手の条件が良ければさっさとくっついて結婚まで一直線。
貴族のように家同士のしがらみなんてないから好きという感情だけで突っ走れる。
それなのにラスターという男はこれまで誰とも付き合ったことがないらしく、男女問わず性的関係になった者は皆無だった。
平民で20過ぎの男がこれというのは天然記念物並みと言える。
驚き過ぎて思わず報告書を二度見してしまったくらいだ。
ただ、だからこそ言えることもある。
ラスターは恋愛自体に興味が希薄だということ。
ディオンからも彼とはまだ付き合っていないと手紙に書いてあった。
これはきっと恋愛に興味のないラスターに対して攻めあぐねているのだろう。
簡単にくっつかなくてよかったと思ってしまう自分も大概性格が悪いと思うが、ディオンを諦めきれないからこそ今の状況は有り難かった。
(必ず二人がくっつかないようにしてやる…!)
そう思ったから側近の従兄弟を紹介してもらった。
その男は貴族の中では『どんな美女でも口説き落とせる男』と有名な伊達男で、平民から貴族まで落とせない者はいないとさえ言われていた。
今回はそいつに頼んでラスターを誘惑してもらうことにしたのだ。
後は靡いたところを俺とディオンが目撃すればいい。
完璧だ!
なのに俺の側近は物凄く冷めた目で『随分ベタな作戦ですね』と言ってきた。
この必死さが分からないなんて酷い奴だ。
減給にしてやろうか?!
まあいい。要するに成功すればいいのだ。
成功させやすいように周囲へもちゃんと根回しをしておいた。
今回集まるのは高位貴族達ばかりだ。
当然そんな中平民がいれば目立つに決まっている。
だから彼らには『平民を招待したから親切にマナーをそれとなく教えてやって欲しい』と伝えておいた。
きっと沢山の指摘を受けることだろう。
表面上なんとか取り繕ったとしても落ち込むはずだ。
タイミングを見計らってディオンだけを俺が呼び出し、ポツンと一人になって不安に陥ったところへ伊達男をぶつける!
相手は所詮平民。
優しい言葉であっという間に心揺さぶられることだろう。
これでこの作戦は絶対に成功するはず!
そうしてやっと今日という日を迎えたのだが────。
他国の賓客達と共に大広間へと入場しディオンの姿を探すとすぐに見つけることはできた。
でも肝心の『平民』がいない。
いや。いるにはいるんだろう。
でもそれは明らかに平民ではなく貴族にしか見えなかったのだ。
俺が贈った正装を身に纏い、輝く白金の髪を肩へと流して立つ姿はどこかの王族だと言われてもきっと納得したことだろう。
通常平民は姿勢からして貴族とは大きく違う。
パーティーにだって参加したことはないから、委縮するに決まっているはずだ。
それなのにその平民はまるで場慣れした貴族であるかのように自然体でそこにいた。
寧ろ周囲の誰よりも貴族然としていると言っても過言ではない。
(嘘だろう?)
これはディオンが絶対に貴族の中にいるはずだと判断して探し回ったのもわかる気がした。
こんな平民がいるはずがない。
(いや。どうせハリボテだ。平民が目立たないよう、見た目だけでもとディオンが特訓したんだ。そうに決まってる…!)
でなければ作戦は失敗したも同然ではないか。
(そんな事、認められない!)
そう思いながら睨みつけた。
それからなるべく二人を視界に入れないようしながら国賓達と交流を図る。
特に特定の国に外務大臣が苦戦していたのをすぐそばで見ていただけに、なんとか突破口をと頑張ってみたがなしの飛礫だ。
全く隙が無い。
そんな中、ディオンが例の平民を連れて挨拶に来た。
多分待てど暮らせど話が終わりそうになかったから、軽く挨拶だけ済ませてさっさと離れようと思ったんだろう。
「殿下。ご歓談中申し訳ございません」
「《ご歓談中失礼いたします。ご挨拶をしたらすぐにでも去りますので、どうぞご寛恕ください》」
ディオンの礼の後、平民がとても綺麗なトレンバ語で先程まで俺と話していた相手へと礼を取った。
それはあまりにも意外だったのか、相手も驚いたように目を瞠る。
「《貴方はトレンバリエに住んだことでも?》」
「《いいえ。ただ勉強をして身に付けただけです》」
「《だが挨拶の礼法まで完璧だった》」
「《そう言っていただけて嬉しいです。本で見て覚えただけなので、もし間違っていたら教えていただけると助かります》」
にこやかに話すその姿は気負う様子など一切感じられず、他国の者と話すことに慣れているようにさえ見える。
「皇太子殿下。お初にお目にかかります。ラスター=ルクスと申します。この度はこのような場にお呼びいただき感謝いたしております。お贈りいただいたこちらの服も大変有難く頂戴いたしました。心より感謝申し上げます」
「あ、ああ。気に入ってもらえて良かった。どうかこれからもディオンを支えてやってほしい」
「はい。勿論です」
そこへトレンバリエ国の外交官が声を掛けてくる。
「《ラスター殿と言ったか。君はもしかして以前馬車で困っていた女性を助けなかったかね?》」
「《いつ頃でしょう?》」
「《四ヶ月…いや五ヶ月程前だ。姉がこの国に旅行中に薬が切れて困っていたところを白金色の髪に黄金色の瞳の若い男性に助けられたと言っていてね、とても流暢なトレンバ語で話していたと言っていたからもしかしてと思って》」
「《もしかして酔い止めの薬をお渡しした?》」
「《ああ、やはり君だったか。君の機転であの後街で無事に薬も買えたし、とても助かったと姉は言っていた。今回会えたら是非礼を伝えてほしいと》」
「《そうですか。お役に立てて良かったです》」
にこりと微笑み、ラスターは本当に良かったと言い、そこからは凄かった。
世間話のように気軽に話し始め、トレンバリエの書物で読んだとあれこれ話し、同じく今回の親善パーティーに参加していたカルナーナ国の外交官との間に立って通訳しつつ何やら両国間の話をまとめ、最終的に我が国の魔石を高額で取引する話で終わっていた。
(何がどうしてそうなった?!)
側で聞いていたが全然わからなかった。
「《では後は皇太子殿下か外交官の方を通して書類作成をお願いします》」
「《勿論だ。戻ったらすぐにでも契約書を用意しよう》」
「【いやぁ、まさかこんなに良い話に乗らせてもらえるとは思ってもみなかったよ。凄いね君は】」
「【いいえ。両国の橋渡しの一助になれて良かったです。今後ともどうぞグラシアス皇国と友好的にお付き合いください】」
二人とも満足気な顔で頷き、今後ともよろしくと口にする。
なんだかさっきまで俺と話していた時とは違い凄く友好的になった。
(悔しい…っ)
平民に負けた。それが凄く悔しい。
「では皇太子殿下。失礼します」
鮮やかに交渉を終えたラスターが見事なタイミングで去って行く。
後は三カ国で話し合うなり交友を深めるなりお好きにどうぞと言ったところか。
「《いやはや。姉を助けてくれたからお礼に金貨でも渡しておこうと思っていたが、それでは彼に失礼でしたな。まさか世間話から三カ国の利を的確に生み出してくるとは思っても見なかった。これは相応の礼を考えねば》」
「【彼は只者ではない。この私が付け入る隙が全くなかった。終始笑顔だったが、利の独り占めはさせないとちゃんと牽制してましたぞ。あの若さであれとは恐れ入る。きっと余程努力して身に付けたのだろう。とても一朝一夕で身につくスキルではない】」
外交官達の言葉が耳に痛い。
俺は彼に比べれば全然ダメだ。
交渉に関する経験が足りていない。
それを嫌でも実感した。
平民だと馬鹿にして、罠に嵌めようと幼稚な策を立てて満足していた。
これじゃあダメに決まっている。
さっきディオンはキラキラしたような目でラスターを見つめていた。
そこにあるのは尊敬の眼差しだった。
俺は一度だってディオンにあんな目を向けられた事はない。
(完敗だ…)
ここからどう巻き返せばいいのだろう?
俺はあいつに勝てるのか?
悔しい。
でも勝たないとディオンには振り向いてもらえない。
頑張る以外に道はないのだ。
(よし!)
気持ちを切り替えてまずはちゃんと交渉のテーブルにつこう。
できないなら経験を積んでできるようになればいい。
腐っていても仕方がないし、そんな時間があるなら成長したい。
だから悔しい気持ちをグッと堪えて俺は笑顔で外交官達に声を掛けた。
百戦錬磨の他国の狸達。
彼等に認めてもらえるように俺も頑張ろう。
そんな気持ちで前を向いた。
この日をどれだけ待っていたことか。
顔見知りでもあるディオンの従者ヴィクター経由で、領地でのディオンに様子はしっかりと把握していた。
ディオンが夢中になっているのは見目麗しいラスターという名の平民だそうで、ヴィクターは彼の言語能力や剣技などからスパイではないかと疑ったらしい。
なのにいくら調べても何も出てこなくて悔しいと臍を噛んでいた。
だから王家の影を使って俺の方でも秘密裏に調べてみたのだ。
そんな危険な相手をディオンの側に置きたくなかったから。
なのにそこまでしても何一つスパイであるという証拠は出てこなくて、結論としては彼はただの平民というのが確定してしまっただけに終わった。
つまりただの勤勉さを兼ね備えた天才────ということだ。
性格も良く、周囲の評価も上々。
特に才能に胡坐をかいたり驕り高ぶることもなく、穏やかに周囲と交流しトラブルも全くないようだった。
どう考えても普通にモテるタイプだろう。
(さっさと誰かとくっついていてくれればよかったのに)
平民なら尚更相手の条件が良ければさっさとくっついて結婚まで一直線。
貴族のように家同士のしがらみなんてないから好きという感情だけで突っ走れる。
それなのにラスターという男はこれまで誰とも付き合ったことがないらしく、男女問わず性的関係になった者は皆無だった。
平民で20過ぎの男がこれというのは天然記念物並みと言える。
驚き過ぎて思わず報告書を二度見してしまったくらいだ。
ただ、だからこそ言えることもある。
ラスターは恋愛自体に興味が希薄だということ。
ディオンからも彼とはまだ付き合っていないと手紙に書いてあった。
これはきっと恋愛に興味のないラスターに対して攻めあぐねているのだろう。
簡単にくっつかなくてよかったと思ってしまう自分も大概性格が悪いと思うが、ディオンを諦めきれないからこそ今の状況は有り難かった。
(必ず二人がくっつかないようにしてやる…!)
そう思ったから側近の従兄弟を紹介してもらった。
その男は貴族の中では『どんな美女でも口説き落とせる男』と有名な伊達男で、平民から貴族まで落とせない者はいないとさえ言われていた。
今回はそいつに頼んでラスターを誘惑してもらうことにしたのだ。
後は靡いたところを俺とディオンが目撃すればいい。
完璧だ!
なのに俺の側近は物凄く冷めた目で『随分ベタな作戦ですね』と言ってきた。
この必死さが分からないなんて酷い奴だ。
減給にしてやろうか?!
まあいい。要するに成功すればいいのだ。
成功させやすいように周囲へもちゃんと根回しをしておいた。
今回集まるのは高位貴族達ばかりだ。
当然そんな中平民がいれば目立つに決まっている。
だから彼らには『平民を招待したから親切にマナーをそれとなく教えてやって欲しい』と伝えておいた。
きっと沢山の指摘を受けることだろう。
表面上なんとか取り繕ったとしても落ち込むはずだ。
タイミングを見計らってディオンだけを俺が呼び出し、ポツンと一人になって不安に陥ったところへ伊達男をぶつける!
相手は所詮平民。
優しい言葉であっという間に心揺さぶられることだろう。
これでこの作戦は絶対に成功するはず!
そうしてやっと今日という日を迎えたのだが────。
他国の賓客達と共に大広間へと入場しディオンの姿を探すとすぐに見つけることはできた。
でも肝心の『平民』がいない。
いや。いるにはいるんだろう。
でもそれは明らかに平民ではなく貴族にしか見えなかったのだ。
俺が贈った正装を身に纏い、輝く白金の髪を肩へと流して立つ姿はどこかの王族だと言われてもきっと納得したことだろう。
通常平民は姿勢からして貴族とは大きく違う。
パーティーにだって参加したことはないから、委縮するに決まっているはずだ。
それなのにその平民はまるで場慣れした貴族であるかのように自然体でそこにいた。
寧ろ周囲の誰よりも貴族然としていると言っても過言ではない。
(嘘だろう?)
これはディオンが絶対に貴族の中にいるはずだと判断して探し回ったのもわかる気がした。
こんな平民がいるはずがない。
(いや。どうせハリボテだ。平民が目立たないよう、見た目だけでもとディオンが特訓したんだ。そうに決まってる…!)
でなければ作戦は失敗したも同然ではないか。
(そんな事、認められない!)
そう思いながら睨みつけた。
それからなるべく二人を視界に入れないようしながら国賓達と交流を図る。
特に特定の国に外務大臣が苦戦していたのをすぐそばで見ていただけに、なんとか突破口をと頑張ってみたがなしの飛礫だ。
全く隙が無い。
そんな中、ディオンが例の平民を連れて挨拶に来た。
多分待てど暮らせど話が終わりそうになかったから、軽く挨拶だけ済ませてさっさと離れようと思ったんだろう。
「殿下。ご歓談中申し訳ございません」
「《ご歓談中失礼いたします。ご挨拶をしたらすぐにでも去りますので、どうぞご寛恕ください》」
ディオンの礼の後、平民がとても綺麗なトレンバ語で先程まで俺と話していた相手へと礼を取った。
それはあまりにも意外だったのか、相手も驚いたように目を瞠る。
「《貴方はトレンバリエに住んだことでも?》」
「《いいえ。ただ勉強をして身に付けただけです》」
「《だが挨拶の礼法まで完璧だった》」
「《そう言っていただけて嬉しいです。本で見て覚えただけなので、もし間違っていたら教えていただけると助かります》」
にこやかに話すその姿は気負う様子など一切感じられず、他国の者と話すことに慣れているようにさえ見える。
「皇太子殿下。お初にお目にかかります。ラスター=ルクスと申します。この度はこのような場にお呼びいただき感謝いたしております。お贈りいただいたこちらの服も大変有難く頂戴いたしました。心より感謝申し上げます」
「あ、ああ。気に入ってもらえて良かった。どうかこれからもディオンを支えてやってほしい」
「はい。勿論です」
そこへトレンバリエ国の外交官が声を掛けてくる。
「《ラスター殿と言ったか。君はもしかして以前馬車で困っていた女性を助けなかったかね?》」
「《いつ頃でしょう?》」
「《四ヶ月…いや五ヶ月程前だ。姉がこの国に旅行中に薬が切れて困っていたところを白金色の髪に黄金色の瞳の若い男性に助けられたと言っていてね、とても流暢なトレンバ語で話していたと言っていたからもしかしてと思って》」
「《もしかして酔い止めの薬をお渡しした?》」
「《ああ、やはり君だったか。君の機転であの後街で無事に薬も買えたし、とても助かったと姉は言っていた。今回会えたら是非礼を伝えてほしいと》」
「《そうですか。お役に立てて良かったです》」
にこりと微笑み、ラスターは本当に良かったと言い、そこからは凄かった。
世間話のように気軽に話し始め、トレンバリエの書物で読んだとあれこれ話し、同じく今回の親善パーティーに参加していたカルナーナ国の外交官との間に立って通訳しつつ何やら両国間の話をまとめ、最終的に我が国の魔石を高額で取引する話で終わっていた。
(何がどうしてそうなった?!)
側で聞いていたが全然わからなかった。
「《では後は皇太子殿下か外交官の方を通して書類作成をお願いします》」
「《勿論だ。戻ったらすぐにでも契約書を用意しよう》」
「【いやぁ、まさかこんなに良い話に乗らせてもらえるとは思ってもみなかったよ。凄いね君は】」
「【いいえ。両国の橋渡しの一助になれて良かったです。今後ともどうぞグラシアス皇国と友好的にお付き合いください】」
二人とも満足気な顔で頷き、今後ともよろしくと口にする。
なんだかさっきまで俺と話していた時とは違い凄く友好的になった。
(悔しい…っ)
平民に負けた。それが凄く悔しい。
「では皇太子殿下。失礼します」
鮮やかに交渉を終えたラスターが見事なタイミングで去って行く。
後は三カ国で話し合うなり交友を深めるなりお好きにどうぞと言ったところか。
「《いやはや。姉を助けてくれたからお礼に金貨でも渡しておこうと思っていたが、それでは彼に失礼でしたな。まさか世間話から三カ国の利を的確に生み出してくるとは思っても見なかった。これは相応の礼を考えねば》」
「【彼は只者ではない。この私が付け入る隙が全くなかった。終始笑顔だったが、利の独り占めはさせないとちゃんと牽制してましたぞ。あの若さであれとは恐れ入る。きっと余程努力して身に付けたのだろう。とても一朝一夕で身につくスキルではない】」
外交官達の言葉が耳に痛い。
俺は彼に比べれば全然ダメだ。
交渉に関する経験が足りていない。
それを嫌でも実感した。
平民だと馬鹿にして、罠に嵌めようと幼稚な策を立てて満足していた。
これじゃあダメに決まっている。
さっきディオンはキラキラしたような目でラスターを見つめていた。
そこにあるのは尊敬の眼差しだった。
俺は一度だってディオンにあんな目を向けられた事はない。
(完敗だ…)
ここからどう巻き返せばいいのだろう?
俺はあいつに勝てるのか?
悔しい。
でも勝たないとディオンには振り向いてもらえない。
頑張る以外に道はないのだ。
(よし!)
気持ちを切り替えてまずはちゃんと交渉のテーブルにつこう。
できないなら経験を積んでできるようになればいい。
腐っていても仕方がないし、そんな時間があるなら成長したい。
だから悔しい気持ちをグッと堪えて俺は笑顔で外交官達に声を掛けた。
百戦錬磨の他国の狸達。
彼等に認めてもらえるように俺も頑張ろう。
そんな気持ちで前を向いた。
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