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4.到着
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馬車で三日かけてバーリッジ公爵領へと到着!
勿論国境もちゃんとお金を払って通った。
この辺りは最早手慣れたものだ。
そしてシリウスにちゃんと連絡は入ってるかなとドキドキしながら屋敷の門番へと伝えると、お待ちしておりましたと言ってすぐに通してもらうことができた。
良かった。
「ランスロット!」
「シリウス!」
シリウスの変わらぬ笑みにこっちも思わず笑顔になる。
「会いたかった!」
「俺も!元気そうで安心した!」
そしてこれまたいつも通りの抱擁と髪に落とされる親愛のキス。
うん。落ち着く。
「なんかまた背が伸びてないか?」
「そうかな?」
「そうだって!だって俺なんてすっぽりって感じだし」
「嫌か?」
「いや?収まりがいいから好きだけど、俺ばっかり甘えてるみたいに見えるんじゃないかってさ」
「そんな事気にしなくていい。ここには俺達のことを昔から知ってる者しかいないんだから」
「それもそうか」
顔ぶれは確かに変わらないよなと思いながら、俺は促されるまま歩き出した。
「ランスロット。部屋は後で案内するから、荷物は一旦俺の部屋にでも置いてゆっくり話そう」
わざわざここまで来た俺を労うようにシリウスが優しく言ってくれる。
「ちゃんと今日もランスロットが好きな物を揃えておいたんだ」
そしてソファーへと座ったところで、目の前に俺の好きな紅茶やお菓子がズラッと並べられた。
これも割と昔からだ。
悲しいことがあった時も嬉しいことがあった時も、俺がいつだって気分良く話せるようにってシリウスはこうやって気遣ってくれる。
こういうところが俺は大好きなんだ。
ちなみにソファーでは並んで座るのが定位置。
シリウスは俺が正面に座ったら距離を置かれたみたいで寂しいんだって。
『俺達、親友だよな?』なんていつだったか泣きそうな顔で言われたっけ。
身体は俺よりずっと大きくなったけど、シリウスにはそんな可愛いところもあるんだ。
「それで?何があった?」
「それがさ…」
俺は家出に至った経緯を余すことなくシリウスへと話した。
エヴァンジェリンが王子と婚約したこと。
それを受けて俺はお役御免になったこと。
最後まで家族からの扱いが酷かったこと。
「いい加減嫌になって、もう好きにしてやるって飛び出してきた」
「そうか。辛かったな。そんな場所、もう二度と帰らなくていい」
「シリウス」
「昔約束しただろう?俺と結婚してずっと一緒に暮らせばいいから」
優しくそう言われて思わずウルッと涙が出てきた。
「シリウス…」
「お前がいつ家出しても連れ戻されたりしないように、ちゃんとしっかり手を打っておいたんだ」
そしてシリウスはサイン済みの婚姻届と、国籍の変更届、公爵領領地への住民登録届、ついでに聖魔法の登録届を俺の前に並べて置いた。
聖魔法の登録は、俺の場合追加って感じで出しておいたら法的に問題はないんだってさ。
二属性と言うのを家族が把握できてなくて、後から本人が成人後に追加登録するということも事例としては割とあるから、心配しなくて大丈夫ってシリウスは教えてくれた。
問題があるとしたらそれはエヴァンジェリンの虚偽報告の方だ。
国を騙したってことだから、これについての両親の罪は重いらしい。
バレたら牢屋行き確定だから、さっさと国籍自体を変えて侯爵家と縁は切ろうなって言われて、俺は思い切り頷いた。
連座させられたり罪を押し付けられたりしないよう、打てる手は打っておきたい。
「俺と結婚したらもう誰にも文句なんて言わせない。公爵家の力で法的に守ってやるから、大船に乗ったつもりでいてくれ」
そんな頼もしい言葉を俺にくれるシリウス。
本当。モテるのがすっごくわかる良い男だよな。シリウスって。
「迷惑かけてゴメンな?そのうち良い縁談がきたら俺とはサクッと離縁でいいから」
実家と縁が切れただけでもラッキーと思って、その時は一人で生きて行こう。
これ以上シリウスに迷惑がかからないようにしないと。
そう思ったのに、シリウスは『俺達の仲で遠慮なんてしなくていい』と言い切り、『なんだったら今夜にでも本当の夫婦になろう?』なんて抱き寄せられながら耳元で囁かれてしまった。
ノリノリだな。
「シリウスは本当に優しいな」
「お前にだけだよ」
「本当に?」
「ああ。お前より大切な奴なんてどこにもいないから、安心して頼ってほしい」
にこやかに言い切られて思わず赤面してしまう。
恥ずかしいからこんな殺し文句を言ってこないでほしい。
きっと俺が真っ赤になるのを見て楽しんでるんだろうな。
別にいいけどさ。
勿論国境もちゃんとお金を払って通った。
この辺りは最早手慣れたものだ。
そしてシリウスにちゃんと連絡は入ってるかなとドキドキしながら屋敷の門番へと伝えると、お待ちしておりましたと言ってすぐに通してもらうことができた。
良かった。
「ランスロット!」
「シリウス!」
シリウスの変わらぬ笑みにこっちも思わず笑顔になる。
「会いたかった!」
「俺も!元気そうで安心した!」
そしてこれまたいつも通りの抱擁と髪に落とされる親愛のキス。
うん。落ち着く。
「なんかまた背が伸びてないか?」
「そうかな?」
「そうだって!だって俺なんてすっぽりって感じだし」
「嫌か?」
「いや?収まりがいいから好きだけど、俺ばっかり甘えてるみたいに見えるんじゃないかってさ」
「そんな事気にしなくていい。ここには俺達のことを昔から知ってる者しかいないんだから」
「それもそうか」
顔ぶれは確かに変わらないよなと思いながら、俺は促されるまま歩き出した。
「ランスロット。部屋は後で案内するから、荷物は一旦俺の部屋にでも置いてゆっくり話そう」
わざわざここまで来た俺を労うようにシリウスが優しく言ってくれる。
「ちゃんと今日もランスロットが好きな物を揃えておいたんだ」
そしてソファーへと座ったところで、目の前に俺の好きな紅茶やお菓子がズラッと並べられた。
これも割と昔からだ。
悲しいことがあった時も嬉しいことがあった時も、俺がいつだって気分良く話せるようにってシリウスはこうやって気遣ってくれる。
こういうところが俺は大好きなんだ。
ちなみにソファーでは並んで座るのが定位置。
シリウスは俺が正面に座ったら距離を置かれたみたいで寂しいんだって。
『俺達、親友だよな?』なんていつだったか泣きそうな顔で言われたっけ。
身体は俺よりずっと大きくなったけど、シリウスにはそんな可愛いところもあるんだ。
「それで?何があった?」
「それがさ…」
俺は家出に至った経緯を余すことなくシリウスへと話した。
エヴァンジェリンが王子と婚約したこと。
それを受けて俺はお役御免になったこと。
最後まで家族からの扱いが酷かったこと。
「いい加減嫌になって、もう好きにしてやるって飛び出してきた」
「そうか。辛かったな。そんな場所、もう二度と帰らなくていい」
「シリウス」
「昔約束しただろう?俺と結婚してずっと一緒に暮らせばいいから」
優しくそう言われて思わずウルッと涙が出てきた。
「シリウス…」
「お前がいつ家出しても連れ戻されたりしないように、ちゃんとしっかり手を打っておいたんだ」
そしてシリウスはサイン済みの婚姻届と、国籍の変更届、公爵領領地への住民登録届、ついでに聖魔法の登録届を俺の前に並べて置いた。
聖魔法の登録は、俺の場合追加って感じで出しておいたら法的に問題はないんだってさ。
二属性と言うのを家族が把握できてなくて、後から本人が成人後に追加登録するということも事例としては割とあるから、心配しなくて大丈夫ってシリウスは教えてくれた。
問題があるとしたらそれはエヴァンジェリンの虚偽報告の方だ。
国を騙したってことだから、これについての両親の罪は重いらしい。
バレたら牢屋行き確定だから、さっさと国籍自体を変えて侯爵家と縁は切ろうなって言われて、俺は思い切り頷いた。
連座させられたり罪を押し付けられたりしないよう、打てる手は打っておきたい。
「俺と結婚したらもう誰にも文句なんて言わせない。公爵家の力で法的に守ってやるから、大船に乗ったつもりでいてくれ」
そんな頼もしい言葉を俺にくれるシリウス。
本当。モテるのがすっごくわかる良い男だよな。シリウスって。
「迷惑かけてゴメンな?そのうち良い縁談がきたら俺とはサクッと離縁でいいから」
実家と縁が切れただけでもラッキーと思って、その時は一人で生きて行こう。
これ以上シリウスに迷惑がかからないようにしないと。
そう思ったのに、シリウスは『俺達の仲で遠慮なんてしなくていい』と言い切り、『なんだったら今夜にでも本当の夫婦になろう?』なんて抱き寄せられながら耳元で囁かれてしまった。
ノリノリだな。
「シリウスは本当に優しいな」
「お前にだけだよ」
「本当に?」
「ああ。お前より大切な奴なんてどこにもいないから、安心して頼ってほしい」
にこやかに言い切られて思わず赤面してしまう。
恥ずかしいからこんな殺し文句を言ってこないでほしい。
きっと俺が真っ赤になるのを見て楽しんでるんだろうな。
別にいいけどさ。
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