【完結】逆召喚!~いつまでも黙って召喚されると思うなよ?~

オレンジペコ

文字の大きさ
17 / 77

16.※黙ってなんていられない Side.バド

しおりを挟む
ルースが俺を抱く。
優しく丁寧に。けれど初めての頃とは比較にならないほどに楽し気に。

「あ…っ、そこはっ…!」
「ん。ここ、好きだよな」

そしてこれまで見つけてきた弱い箇所を中心に緩急をつけながら突いてこられる。
それがたまらなく気持ち良くて、声を我慢することができない。

「う、あっ、ル、ルースッ…!」
「バド。今すっごいいい顔してる」

そう言いながらキスをしてまた魔力を送り込まれた。
凄く凄く気持ちが良くて、ただただその気持ち良さに溺れさせられて俺はルースの名を何度も呼びながら果てる。

焦がれるようにルースを求め、注がれる熱が何よりも愛おしいと思った。




翌朝、俺が目を覚ますとルースの姿はどこにもなかった。
きっといつも通り研究室へと向かったんだろう。
寂しい。
でもルースの魔力はこれまでとは違って俺の身体の中に溢れそうなほど沢山満ちていて、そのこと自体が嬉しく感じられる。

(これが全部ルースの愛情ならいいのに…)

思わずそんなあるはずのないことを考えて、溜め息を溢す。
ルースは俺の事なんて全く好きでも何でもないと昨日実感したばかりだと言うのに、どこまで自分は希望を捨てられないんだろう?

昨日ルースの初恋相手のことを知って、俺はやっぱりどうにかしてルースとの距離を縮めたいと思った。
万が一、相手がルースに会いに来たら?
そのまままた恋に落ちたら?
そう考えるだけで焦りが募るからだ。

どうやったらルースとの距離を今まで以上に縮めることができるのか、その方法がさっぱりわからなくて、結局今日もルースが好きな菓子を手に研究室へと顔を出すことしかできない。

コンコンとノックをして研究室へ入ると、そこにはすっかり顔なじみになった研究室の面々が居て、何も言わなくても『ルルナス王子なら奥にいらっしゃいますよ』と教えてくれた。
だから迷わずそちらへと足を向けたのだけど、そこで見たのは上機嫌なルースの姿。
そんな姿を見て何故か嫌な予感がした俺はすぐさま『何かあったのか?』と尋ねた。
けれど返ってきた答えに『聞かなければよかった』と思ってしまう。
だってルースの口から出てきたのは『初恋相手の王子をパーティーに招待してもらえることになったんだ。再会するのが今から凄く待ち遠しくて』だったから。
こっちだってそんな話を聞かされたら不機嫌にもなる。

「ふんっ。現実を見ろ。幼い頃に可愛かったとしても、成長してからも可愛いとは限らない。会ってがっかりするのが関の山だぞ?」

そんなに嬉しそうにしないでほしい。
どうせ向こうだって覚えていないかもしれないじゃないか。
これまで接点だってなかったんだし、別にこのタイミングで会わなくたっていいだろう?

初恋相手になんて会ってほしくなくて、思わず悪態を吐いてしまう俺。
なのにルースはムッとしたように言い返してくる。

「その可能性が高いのはわかってるし、父上からも聞いた。それでも楽しみなんだからしょうがないだろう?」
「初恋の思い出が台無しになるに一票だ。会わないほうがいい」
「なっ?!お前にそんなことを言われる筋合いなんてないだろう?!」
「俺は正直に現実を教えてやっただけだ。大体お前の方が可愛らしい顔をしてるんだ。会うなら会うで、逆に襲われないように気を付けるんだな!」

そうだ。そちらの方も心配だ。
可愛い系のまま育っていたらルースが恋に落ちる心配もあるし、逆でも襲われてしまう心配がある。
どちらにしろあっても何一つ俺にとっていいことなんてない。
だから何が何でも絶対に阻止してやりたかった。

「はぁ?!俺に抱かれてる側のくせにふざけるなよ?!なんで俺が抱かれる側なんだよ?!」
「可愛い顔をしているからに決まってるだろう!この童顔!」
「ど、童顔だと?!俺は年相応の顔だ!どこをどう見ればそうなる?!」
「どこからどう見ても童顔だろう?!それで俺より一つ下なんて誰が見たって思わないぞ?!15かそこらにしか見えない!」
「背はお前より高いだろう?!」
「そんなもの微々たるものだ!すぐに俺の方が大きくなる!」
「~~~~っ!ああ言えばこう言う!俺はお前のそういうところが大っ嫌いだ!」

そのせいで思わず意地になり過ぎて、最悪なことにルースから大嫌いだと言われてしまう。

(大嫌い……)

グサッと刺さったその言葉がジワリジワリと痛みを伴い俺に脈などないのだと教えてくる。
それでも諦められない自分が嫌だった。

「もういい!今後一切バドに俺の近況なんて話さないから!」

ルースが好きだ。
俺はルースのどんなことだって知りたいのだ。
だからそんな風に突き放さないで教えて欲しい。

「どうしてそうなる?!」
「どうせ嫌味しか言われないんだし、言ってもお互いに気分が悪くなるだけだろう?」
「…………っ!」
「どうせパーティーにはお前は参加しないんだし、こっちのことは気にせず好きにいつも通り過ごせ」

冷たく言い放たれる言葉。
でもここで諦めたらそこでおしまいになってしまう。

(俺の知らないところで、知らないうちにくっつかれたら……)

そう考えると胸が張り裂けそうなほど辛かったから、俺は必死に食い下がった。

「待て!お、俺もそのパーティーには参加したい!」
「どうして?」

確かにルースからしたらなんでだと思うだろう。
でも俺にとっては大事なことだった。

(なんとか…何か理由を考えて参加しないと……っ)

「そ…それは…。そう!折角こっちの世界に来たんだし、開かれるパーティーの違いなんかも見れるチャンスだろう?」
「…………まあ?そもそもお前の国とは文化も大きく違うしな」

どうやら一応納得が言ったようでホッとしながら言葉を紡ぐ。

「もしそこで相手に幻滅したら俺が慰めてやるから」

だからつい希望的観測が口から転がり落ちたのだ。
決してわざとではない。

「なんでお前に慰められないといけないんだ?」
「それは…ほら!今お前には恋人もいないだろうし」
「大きなお世話だ!そもそも上手くいかないのを前提にするな!」

結局そのせいでまたルースを怒らせてしまった。

「…………一応異文化交流という名目で父上には言っておいてやるから、パーティーに出席するならちゃんと服を用意しておけよ?後、マナーのチェックも忘れるな」

でも最終的にパーティへの参加は認めてもらえたらしく、そんな風に言ってもらうことができた。
これで二人の再会を傍で見ることができるようになったし、最悪直接邪魔してやることだってできる。

(その初恋相手はどんな奴なんだろうな?)

願わくば、性格が極悪でルースの愛想が尽きそうな人物になっていて欲しいなと思った俺だった。


しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する

スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。 そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...