【完結】逆召喚!~いつまでも黙って召喚されると思うなよ?~

オレンジペコ

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20.心揺らされて

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なんだかよくわからないまま俺は二人の男に取り合いされる羽目になってしまった。
正直どうしたものやらと溜息しか出ない。

そもそもの話、誰かと付き合うとかそういうのは『恋に落ちたら自然とそうなる』くらいに思っていたし、迫られても困ってしまうのだ。
だから正直にそう言ったのだけど、それを聞いたリオの方は『それなら問題ない』なんて言ってきた。

「ルル。俺が必ず落として見せる」

そしてまた自信満々な言葉。
でも確かにリオはそう言うだけのことはあってエスコートもスマートで、雰囲気作りも上手い。
適度に強引で、そのくせちゃんと俺の反応も見てくれている。
なんだろう?スパダリ系?
さり気なく俺の腰を抱いて、『何が食べたい?』と聞いてくれて、欲しいと言ったものは皿に取り、自分も食べながら『これ、美味しいな。ルルは?』とさり気なく食べさせてくる。
あからさまじゃないから断り辛いし、タイミングが抜群だからついパクッと口にしてしまうのだ。

(でもなぁ…)

俺としてはそんな手慣れている感よりも、ちょっとピントが外れているバドの方が見ててクスリと笑えるから好きかもしれない。

「お、俺だってルースを落として見せる!」

そう言って気合を入れるんだけど、対抗心からダッシュでドリンクサーバーに走っていって俺に飲み物を持ってこようとしたから俺が『この馬鹿!また倒れる気か?!』と引き留め叱るとしょぼんと肩を落としたり。
なんとかリオから俺を奪い返そうとウロウロウロウロと俺達の周りを回っているのだ。

(本当。可愛いよな)

バドに対して恋に落ちるとかそういうのはないんだけど、こういった行動はなんだか微笑ましくて嫌いにはなれない。

(しょうがないな)

「バド。お前も食べろ。ほら。俺のをやるから」

そう言ってフォークに刺した肉を口へと突っ込んでやると、羞恥に頬を染めながら文句を言おうとしたけど、育ちがいいせいで口の中の物を咀嚼し終わらないと口が開けなくて、モグモグしながら俺を睨んでくる。

(ハハッ!可愛い)

思わずそう思っていたら、横からそっと腕が伸びてきて顎をクイッと持ち上げられた。

「ルル。俺にも食べさせてくれないか?」

さっきまでとは違ってお願いモードでにこやかに微笑まれて一瞬固まったけど、言われていることがわかってつい肉をフォークに刺し、リオの方へと差し出してしまう。

「ん。美味しい」

そして嬉しそうにふわりと笑うリオに思わず見惚れてしまった。

「ルルから食べさせてもらえるなんて、嬉しすぎて夢に見そうだ」

無邪気に喜ぶリオを見るとなんだかさっきまでのスパダリ感が薄れて年相応に見えて、思わず笑みがこぼれてしまう。

「リオ。ここ、付いてる」

ソースが口の端についていたから指で拭ってやったら、何故かそっとその手を掴まれて『本当だ』と言いながらぺろりと舐められた。
と同時にゾクッと背に走る感覚。
そしてそのまま軽く抱き寄せられて耳元に低く囁きを落とされる。

「ルル。ありがとう」

それと同時にカァッと頬に熱が溜まる。

(こ、こいつ!絶対慣れてる!誑し決定だ!)

こんな風に俺が年下の男から手玉に取られる日が来るなんて思いもしなかった。
そんな俺をガシッと掴んでバドが腕の中へと引き込んでくる。

「ルースが嫌がってるだろう?!いい加減にしろ!セクハラ男!」

耳元でギャアギャアと喚くバド。
でもそんなバドにホッとしたのは内緒だ。
助けてもらえて良かった。

「セクハラなんて心外だ。俺はルルにお礼を言っていただけだろう?」
「嘘を吐け!だったらどうしてルースが頬を染めるんだ?!」
「可愛く照れてくれただけだ。寧ろそこを邪魔されて非常に残念なんだが?」

(うわ……)

バチバチと火花が散っているのが見えるかのように睨み合う二人。
まあリオの方は余裕の笑みを浮かべているから、一見するとバドだけが噛みついているようにしか見えないんだけど。

(はぁ…でもここは逃げるに限るな)

「バド。それよりそろそろ行こうか。一時的に症状は抑えられたとはいえ、油断はできないだろう?」
「ルース…」
「ほら。じゃあリオ。今日は会えて嬉しかった。俺は行くけど、ゆっくり楽しんでくれ」
「ルル…」

名残惜しげな目を向けられるけど、もういっぱいいっぱいだから勘弁してほしい。
そして俺は言葉通りその場から逃げ出した。


***


「…………」

バドの手を取り先を急ぐ俺。
そんな俺へとバドの視線が突き刺さる。

「なんだよ。言いたいことがあるなら言えばいいだろ?」
「…………良かったのか?」
「何が?」
「あの王子を放ってきて」
「いいに決まってるだろ?寧ろ俺は逃げたかったから問題はない」

あのまま一緒に居る方が自分が自分でなくなりそうで嫌だったんだから、それくらい察してほしい。

「はぁ…それにしてもまさかあんな風に成長してるなんてな」

想定外もいいところだ。
月日の経過というものはある意味残酷だと思う。
なのにバドは見当違いのことを言ってくるんだ。

「……満更でもなかったくせに」
「は?本気で言ってるのか?」
「あんな風に迫られて、顔を真っ赤にしてたら誰だってそう思うだろう?」
「あ、あれは…!」

初めてあんな風に迫られたから免疫がなかっただけなのに、酷い誤解だ。

「だ、大体、ああいうタイプが元々好みなのはお前の方だろう?初めて会った時だって見惚れてたくせに」
「は?」
「お前って元々年上のお姉様が好みなんだろう?ああいう色気が滲んでるような」
「なっ?!そ、それは確かにそうだったが、今は違う!」
「今は俺が好き?」
「…………ああ」

恥じ入るように俯き、耳まで赤くしながら足を止めるバド。
そんなバドはやっぱり可愛くて、思わずキスがしたくなってしまった。

「バド。キス…していいか?」
「魔力補給か?別にそれなら言わなくても…」

そういう意味で言ったんじゃないんだけどなとクスリと笑って、でも『そうだな』と思い直す。
魔力補給はどうせ必要なんだし、しっかり魔力を与えてやろう。

トン…ッと壁へとバドの身体を預けさせ、顔の横へと手をついてゆっくりとそのまま顔を寄せていく。

(本当。綺麗な顔…)

改めてじっくりとバドの顔を見ながらそっとそのまま唇を重ねてやった。
そして舌を挿し込み、くちゅりくちゅりと口内を犯しながら魔力の乗った唾液を送り込む。
その度に気持ち良さげに緩んでいく表情を見るのは案外嫌いじゃなくて、もっともっと気持ちよくしてやりたいという気持ちになった。

(変なの)

こんなの最初は義務でしかないただの治療行為でしかなかったはずなのに、いつの間に俺の意識は変わったんだろう?

そんなことを考えながら俺は心行くまでバドの唇を味わった。


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