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56.疑似恋人 Side.リオ
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その日は何か嫌な予感がして、ルルを探していた。
毎日毎日抱き潰して快感をその身に覚え込ませているのに、ルルはちっとも俺に落ちてはくれない。
身体だけではやっぱりダメなんだろうか?
ルルと愛し愛される仲になりたかった。
なのにここ最近いつだってルルの心を占めているのはあの異世界人だった。
ルルはもう、無意識に俺よりアイツを選んでる。
それを覆したいのに、どうしたらいいのか分からず途方に暮れる。
(ルル…)
頼むから異世界なんかに行かないでくれ。
もし今異世界に行ってしまったら、きっとルルは自分の恋心に気づいてしまいそうで…俺はそれが凄く怖かった。
(嫌なんだ)
ルルを取られたくない。
手の届かない存在になってほしくないんだ。
そう思いながら何かに急かされるようにルルの姿を探す。
そしてやっと中庭で見つけたと思ったところでその魔法陣は発動した。
白光がルルの身体を包み込み、異世界へと運んでいこうと光り輝く。
「嫌だ!ルル!行かないでくれ!」
俺を置いてあんな男のところへ行かないでくれと必死に願い手を伸ばしたけれど、その願いは叶うことはなくあっという間にルルの姿は目の前から消えてしまった。
「ルルッ!!」
感情に引き摺られるように身体の中で魔力が暴れ狂い、やがて外へと溢れ出し、闇と炎が融合し渦を巻く。
ドォンッという爆音をどこか遠くで聞いたように思うが、そこからは正直覚えていない。
ルルがいなくなったことがショックで、それどころではなかったのだ。
気づけば何故かルルが目の前にいて、俺を抱きしめながら謝ってくれていた。
これは夢だろうか?
だって絶対におかしい。
ルルは異世界に行ってしまったはずなのに、こんなに早く戻ってくるはずがない。
頭のどこかでそう囁く声はあったけど、夢なら覚めないでほしかった。
ルルがここに居てくれる。
それだけでよかった。
「もう二度と離さないっ」
そう言って口づけて滅茶苦茶にしてやりたかった。
俺に振り向いてくれないなら身体だけでも手に入れたかった。
でもそんな俺に、目の前のルルはあり得ない行動に出た。
そっと俺の両頬を温かな手で優しく包み込み、ふわりと軽くキスをして、ルルが絶対に言わないような言葉を口にしたのだ。
「俺、リオとはもっと婚約者らしく過ごしたい」
「え…?」
「その…肌を重ねるだけが愛を深めるわけじゃないだろう?」
恥じらうように目を逸らし、そんなことを言うルル。
それは俺が知るルルとは全然違っていた。
「だから…これからはもっとお互いのことを知っていけたらと思って…」
それはずっと俺が願っていたこと。
でもルルが絶対にしてはくれないことでもあった。
やっぱりこれは夢ではないだろうか?
そんな気持ちが込み上げてきて、泣きそうになる。
「ルル。嬉しい。嬉しいよ」
愛しい俺のルル。
理想がそのまま目の前に現れてとても我慢なんてできそうになく、愛しい気持ちを乗せて優しくその唇にキスをした。
それからどこか夢見心地で部屋へと戻り、後始末があるからとどこかへ行ってしまったルルのことを改めて思い返す。
一応夢ではないことを確認するために頬をつまんでみたけれど、どうやらやっぱり夢ではないらしい。
(誰だ?)
夢でないなら先程のルルはルルに似せた誰かだろう。
状況的に俺の魔力暴走を落ち着かせるために誰かがルルに成りすましたのだ。
(それにしては完璧だった)
きっと本気でルルに惚れている自分でなければそのまま騙され続けただろう。
あそこまで完璧にルルになり切るのは、相当魔法に長けた者でないと無理だ。
となるとルルの兄弟の中の誰かが怪しい。
そう考えその日の晩餐に出席すると、ルルの姿はあったものの、ジードリオ王子の姿がなかった。
彼の第一魔法と第二魔法はなんだっただろう?
「本日は魔力暴走により甚大な被害を出してしまい申し訳ありませんでした」
まずはしっかりその場で頭を深く下げ、自分のしてしまったことに対して謝罪を入れる。
そんな俺に王とルル(仮)は困ったようにしながらも謝罪の言葉を口にしてくれた。
「いや。ルルナスにも非はあったことだし、こちらこそ申し訳なかった」
「リオ。ゴメンな」
双方の懐の深さには素直に感謝の気持ちが湧いた。
そこからは和やかに食事が始まる。
「そう言えば今日はジードリオ王子の姿がないようですが…?」
「ああ、今日ジードリオは視察に出ていて」
「お兄様は元々外に出る仕事が多いのです。どうぞお気になさらず」
ニコリと笑顔でエーデルト王子とヴァーリア王女が教えてくれた。
どうやらここに居る皆はルルがいなくなったことを知っていて、俺を気遣いそれを隠しているということらしい。
なんだか凄く申し訳ない気持ちになってしまう。
ルルのフリをしてくれているジードリオ王子には迷惑以外のなにものでもなかっただろうに。
それでもルルの姿を見るだけでホッとしてしまう自分がいるのもまた事実だった。
その翌日、俺は不安に苛まれルルの姿を探してしまった。
無駄だと思いつつ居ても立っても居られなかったのだ。
今この瞬間にもあの二人がくっついているかもしれない。
そう考えるだけで気が狂いそうになる。
けれどそんな俺の姿を見た誰かが心配してどこかへ連絡を入れてくれたのだろう。
暫くするとルルに扮したジードリオ王子が来てくれて、俺と一緒に居てくれた。
(優しい…)
ジードリオ王子なら暫く傷心の俺に付き合ってくれるだろうか?
少しでいい。ルルとしてみたかったことをやってみたい。
そんな我儘が頭を過る。
そして思い切ってお茶へと誘い、俺のことを知りたいと言ってくれた言葉に甘えて俺好みの菓子を食べさせてみた。
「ルル。今日はルルの好きな菓子と俺の好きな菓子を用意してもらった。いつもはルルの好きなものしか用意してもらってなかったが、これからは俺の好きなものも沢山知ってほしい」
ただの疑似体験でいいんだ。
ルルと恋人らしいことが沢山したかった。
そんな俺に付き合って、ジードリオ王子は律儀に口を開けてくれる。
ジードリオ王子は俺より5つほど年上だからきっと恥ずかしかったんだろう。
それなのに頬を赤く染めながらも嫌がることなく口にして、俺の我儘に付き合ってくれた。
「どうだ?」
「美味しい。リオはこれくらいの甘さが好みか?」
「ああ。甘すぎるよりはこれくらいの方が好きだ」
「そうか。じゃあ今度サニー菓子店というところに一緒に行かないか?きっと気に入ると思う」
「……っ!いいのか?」
「もちろん。甘さが控えめでどのケーキも美味しいんだ。紅茶にもよく合うから、そっちの好みも教えてもらえたら嬉しい」
しかもルルが絶対にしてくれないデートの誘いまでしてくれて、俺の好みも知りたいと言ってもらえたから泣きそうになった。
本当は本物のルルとこうして恋人同士のような会話をしたかった。
疑似体験とは言えそれが叶ったことが嬉しかった。
社交辞令だということくらいわかってる。
それでも嬉しかったんだ。
なのにその嬉しい時間は一時的なものではなく、翌日もまた続いた。
ジードリオ王子は約束を守って、俺をその店へと連れてきてくれたのだ。
予約までちゃんと取ってくれて、温かみのある居心地のいいカフェへと慣れた足取りで入っていく。
「……凄く落ち着く店だな」
「そうだろう?俺のお気に入りなんだ」
行きつけの店に来たからかジードリオ王子は気が緩んでいるらしく、ルルの姿ではあるものの素の笑顔でそんなことを口にしてきた。
どうやら研究室に引きこもってばかりいるルルになっていることを失念しているらしい。
(ルルは街にもほとんど出たことはないのにな)
以前街歩きをした際にそれは確認済みだ。
お気に入りの店などあるはずがない。
「リオ。どれにする?」
「ルルのお勧めは?」
「俺のお勧めはこっちのチーズケーキ。でもリオの好みで選んでくれても全然大丈夫だ。ここのはどれも甘さ控えめで美味しいから、きっとどれでも口に合うと思う」
「そうか。それなら俺はモンブランにするから、シェアしないか?」
「え…?」
「こういう場所でルルと恋人同士のようにやってみるのが夢だったんだ」
「そ、そうか」
今日も俺の我儘は健在だ。
ジードリオ王子の優しさに甘えて、やってみたかったことを実行に移す。
「えっと…紅茶はどうする?」
「そうだな。じゃあアッサムで」
「俺はダージリンにしようかな」
そう言ってジードリオ王子はサクサクと注文を済ませた。
実に手慣れている。
そこからはボロが出ないようにとでも思ったのか、俺の方に沢山話を振ってくれた。
ルルなら魔法の話を沢山しただろうけど、こればかりは仕方がない。
俺の話を誰かに話すのは凄く新鮮だったし、これはこれで非常に楽しかった。
(ジードリオ王子は聞き上手だな)
そう思っていたら、急に心配そうにルルらしくないことを口にしてきた。
「あ、でも剣は実戦経験はあるのか?」
「実戦?模擬戦くらいはあるが…」
「人相手と魔物相手だと割と違うから、もしないならそっちの経験はしておいた方がいいぞ」
どうやら心配する気持ちが強く出て、本気の忠告をしてしまったらしい。
誤魔化す気があるんだかないんだか。
なんだか心が温まる人だなと思った。
結局のところ、ジードリオ王子はルルの兄弟だけあって優しい人なのだ。
そしてうっかりやらかして、それを一生懸命誤魔化すちょっと抜けてるところもあって、微笑ましくて癒される気がした。
素直に甘えても、我儘を言っても、全部受け入れてくれる人。
今の自分にとってその存在は何よりの救いだった。
毎日毎日抱き潰して快感をその身に覚え込ませているのに、ルルはちっとも俺に落ちてはくれない。
身体だけではやっぱりダメなんだろうか?
ルルと愛し愛される仲になりたかった。
なのにここ最近いつだってルルの心を占めているのはあの異世界人だった。
ルルはもう、無意識に俺よりアイツを選んでる。
それを覆したいのに、どうしたらいいのか分からず途方に暮れる。
(ルル…)
頼むから異世界なんかに行かないでくれ。
もし今異世界に行ってしまったら、きっとルルは自分の恋心に気づいてしまいそうで…俺はそれが凄く怖かった。
(嫌なんだ)
ルルを取られたくない。
手の届かない存在になってほしくないんだ。
そう思いながら何かに急かされるようにルルの姿を探す。
そしてやっと中庭で見つけたと思ったところでその魔法陣は発動した。
白光がルルの身体を包み込み、異世界へと運んでいこうと光り輝く。
「嫌だ!ルル!行かないでくれ!」
俺を置いてあんな男のところへ行かないでくれと必死に願い手を伸ばしたけれど、その願いは叶うことはなくあっという間にルルの姿は目の前から消えてしまった。
「ルルッ!!」
感情に引き摺られるように身体の中で魔力が暴れ狂い、やがて外へと溢れ出し、闇と炎が融合し渦を巻く。
ドォンッという爆音をどこか遠くで聞いたように思うが、そこからは正直覚えていない。
ルルがいなくなったことがショックで、それどころではなかったのだ。
気づけば何故かルルが目の前にいて、俺を抱きしめながら謝ってくれていた。
これは夢だろうか?
だって絶対におかしい。
ルルは異世界に行ってしまったはずなのに、こんなに早く戻ってくるはずがない。
頭のどこかでそう囁く声はあったけど、夢なら覚めないでほしかった。
ルルがここに居てくれる。
それだけでよかった。
「もう二度と離さないっ」
そう言って口づけて滅茶苦茶にしてやりたかった。
俺に振り向いてくれないなら身体だけでも手に入れたかった。
でもそんな俺に、目の前のルルはあり得ない行動に出た。
そっと俺の両頬を温かな手で優しく包み込み、ふわりと軽くキスをして、ルルが絶対に言わないような言葉を口にしたのだ。
「俺、リオとはもっと婚約者らしく過ごしたい」
「え…?」
「その…肌を重ねるだけが愛を深めるわけじゃないだろう?」
恥じらうように目を逸らし、そんなことを言うルル。
それは俺が知るルルとは全然違っていた。
「だから…これからはもっとお互いのことを知っていけたらと思って…」
それはずっと俺が願っていたこと。
でもルルが絶対にしてはくれないことでもあった。
やっぱりこれは夢ではないだろうか?
そんな気持ちが込み上げてきて、泣きそうになる。
「ルル。嬉しい。嬉しいよ」
愛しい俺のルル。
理想がそのまま目の前に現れてとても我慢なんてできそうになく、愛しい気持ちを乗せて優しくその唇にキスをした。
それからどこか夢見心地で部屋へと戻り、後始末があるからとどこかへ行ってしまったルルのことを改めて思い返す。
一応夢ではないことを確認するために頬をつまんでみたけれど、どうやらやっぱり夢ではないらしい。
(誰だ?)
夢でないなら先程のルルはルルに似せた誰かだろう。
状況的に俺の魔力暴走を落ち着かせるために誰かがルルに成りすましたのだ。
(それにしては完璧だった)
きっと本気でルルに惚れている自分でなければそのまま騙され続けただろう。
あそこまで完璧にルルになり切るのは、相当魔法に長けた者でないと無理だ。
となるとルルの兄弟の中の誰かが怪しい。
そう考えその日の晩餐に出席すると、ルルの姿はあったものの、ジードリオ王子の姿がなかった。
彼の第一魔法と第二魔法はなんだっただろう?
「本日は魔力暴走により甚大な被害を出してしまい申し訳ありませんでした」
まずはしっかりその場で頭を深く下げ、自分のしてしまったことに対して謝罪を入れる。
そんな俺に王とルル(仮)は困ったようにしながらも謝罪の言葉を口にしてくれた。
「いや。ルルナスにも非はあったことだし、こちらこそ申し訳なかった」
「リオ。ゴメンな」
双方の懐の深さには素直に感謝の気持ちが湧いた。
そこからは和やかに食事が始まる。
「そう言えば今日はジードリオ王子の姿がないようですが…?」
「ああ、今日ジードリオは視察に出ていて」
「お兄様は元々外に出る仕事が多いのです。どうぞお気になさらず」
ニコリと笑顔でエーデルト王子とヴァーリア王女が教えてくれた。
どうやらここに居る皆はルルがいなくなったことを知っていて、俺を気遣いそれを隠しているということらしい。
なんだか凄く申し訳ない気持ちになってしまう。
ルルのフリをしてくれているジードリオ王子には迷惑以外のなにものでもなかっただろうに。
それでもルルの姿を見るだけでホッとしてしまう自分がいるのもまた事実だった。
その翌日、俺は不安に苛まれルルの姿を探してしまった。
無駄だと思いつつ居ても立っても居られなかったのだ。
今この瞬間にもあの二人がくっついているかもしれない。
そう考えるだけで気が狂いそうになる。
けれどそんな俺の姿を見た誰かが心配してどこかへ連絡を入れてくれたのだろう。
暫くするとルルに扮したジードリオ王子が来てくれて、俺と一緒に居てくれた。
(優しい…)
ジードリオ王子なら暫く傷心の俺に付き合ってくれるだろうか?
少しでいい。ルルとしてみたかったことをやってみたい。
そんな我儘が頭を過る。
そして思い切ってお茶へと誘い、俺のことを知りたいと言ってくれた言葉に甘えて俺好みの菓子を食べさせてみた。
「ルル。今日はルルの好きな菓子と俺の好きな菓子を用意してもらった。いつもはルルの好きなものしか用意してもらってなかったが、これからは俺の好きなものも沢山知ってほしい」
ただの疑似体験でいいんだ。
ルルと恋人らしいことが沢山したかった。
そんな俺に付き合って、ジードリオ王子は律儀に口を開けてくれる。
ジードリオ王子は俺より5つほど年上だからきっと恥ずかしかったんだろう。
それなのに頬を赤く染めながらも嫌がることなく口にして、俺の我儘に付き合ってくれた。
「どうだ?」
「美味しい。リオはこれくらいの甘さが好みか?」
「ああ。甘すぎるよりはこれくらいの方が好きだ」
「そうか。じゃあ今度サニー菓子店というところに一緒に行かないか?きっと気に入ると思う」
「……っ!いいのか?」
「もちろん。甘さが控えめでどのケーキも美味しいんだ。紅茶にもよく合うから、そっちの好みも教えてもらえたら嬉しい」
しかもルルが絶対にしてくれないデートの誘いまでしてくれて、俺の好みも知りたいと言ってもらえたから泣きそうになった。
本当は本物のルルとこうして恋人同士のような会話をしたかった。
疑似体験とは言えそれが叶ったことが嬉しかった。
社交辞令だということくらいわかってる。
それでも嬉しかったんだ。
なのにその嬉しい時間は一時的なものではなく、翌日もまた続いた。
ジードリオ王子は約束を守って、俺をその店へと連れてきてくれたのだ。
予約までちゃんと取ってくれて、温かみのある居心地のいいカフェへと慣れた足取りで入っていく。
「……凄く落ち着く店だな」
「そうだろう?俺のお気に入りなんだ」
行きつけの店に来たからかジードリオ王子は気が緩んでいるらしく、ルルの姿ではあるものの素の笑顔でそんなことを口にしてきた。
どうやら研究室に引きこもってばかりいるルルになっていることを失念しているらしい。
(ルルは街にもほとんど出たことはないのにな)
以前街歩きをした際にそれは確認済みだ。
お気に入りの店などあるはずがない。
「リオ。どれにする?」
「ルルのお勧めは?」
「俺のお勧めはこっちのチーズケーキ。でもリオの好みで選んでくれても全然大丈夫だ。ここのはどれも甘さ控えめで美味しいから、きっとどれでも口に合うと思う」
「そうか。それなら俺はモンブランにするから、シェアしないか?」
「え…?」
「こういう場所でルルと恋人同士のようにやってみるのが夢だったんだ」
「そ、そうか」
今日も俺の我儘は健在だ。
ジードリオ王子の優しさに甘えて、やってみたかったことを実行に移す。
「えっと…紅茶はどうする?」
「そうだな。じゃあアッサムで」
「俺はダージリンにしようかな」
そう言ってジードリオ王子はサクサクと注文を済ませた。
実に手慣れている。
そこからはボロが出ないようにとでも思ったのか、俺の方に沢山話を振ってくれた。
ルルなら魔法の話を沢山しただろうけど、こればかりは仕方がない。
俺の話を誰かに話すのは凄く新鮮だったし、これはこれで非常に楽しかった。
(ジードリオ王子は聞き上手だな)
そう思っていたら、急に心配そうにルルらしくないことを口にしてきた。
「あ、でも剣は実戦経験はあるのか?」
「実戦?模擬戦くらいはあるが…」
「人相手と魔物相手だと割と違うから、もしないならそっちの経験はしておいた方がいいぞ」
どうやら心配する気持ちが強く出て、本気の忠告をしてしまったらしい。
誤魔化す気があるんだかないんだか。
なんだか心が温まる人だなと思った。
結局のところ、ジードリオ王子はルルの兄弟だけあって優しい人なのだ。
そしてうっかりやらかして、それを一生懸命誤魔化すちょっと抜けてるところもあって、微笑ましくて癒される気がした。
素直に甘えても、我儘を言っても、全部受け入れてくれる人。
今の自分にとってその存在は何よりの救いだった。
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