誰にでもできる異世界救済 ~【トライ&エラー】と【ステータス】でニートの君も今日から勇者だ!~

平尾正和/ほーち

文字の大きさ
59 / 100
第三章 ダンジョンへ行こう

3-14 教官からの贈り物

しおりを挟む
「ショウスケくん、ランクアップおめでとう」

 ランクアップ試験を終えて受付に戻ったあと、俺のカードでなにやら手続きを終えたフェデーレさんから、ギルドカードを返してもらう。

「それと、カーリーさんから預かりものだよ」

 そいうとフェデーレさんは、ひと振りのレイピアを渡してくれた。
 装飾のない革の鞘、最低限のつばとナックルガードが付いた、シンプルなデザインだ。
 試しに抜いてみる。
 持った感じや剣身を見る限り、鋼鉄製のように思えるが、ギルドで借りているのとはなんとなく雰囲気が違う。
 ある程度使い込まれているようではあるが、ギルドのレンタル品も中古だしな。
 なにが違うんだろ?

「おお、ミスリルコーテッドだね」
「ミスリルコーテッド?」
「ああ。刃の部分にだけ、うすーくミスリルをコーティングしてあるんだよ。コストのわりに切れ味は上がるし、刃こぼれなんかもしづらくなるね」

 おお、いいことづくめじゃないか。

「ただし、使い込んで研いでいくうちに、ミスリル部分はなくなっちゃうんだけど」

 ああ、そういうデメリットもあるのね。

「これは随分使い込まれているようだけど、まだまだコート部分は残ってるね。ミスリルレイピアを購入するまでの、繋ぎにはいいんじゃない?」
「これってギルドで借りてるのと、どっちが性能いいですかね?」

 いただきものを値踏みするようで申し訳ないけど、武器の性能は知っておいたほうがいいからな。

「さて、僕は武器に関してそこまでの鑑定眼を持ってるわけじゃないから……っとぉ、いい人見っけ。おおーい! フランツさん!」

 フェデーレさんが声をかけたほうを見ると、キリッとした男性がいた。
 どっかで見たことあると思ったら、俺が解体用ミスリルナイフ売った武器屋の人だな。
 いや、まぁ死に戻りでなかったことにはなったんだけど。

 フランツさんはキリッとした容姿にたがわず、スマートな足取りでこちらに歩いてきた。
 なんかこの人、存在だけで絵になるねえ。

「どうした?」
「これ、ちょっと見てよ」

 フェデーレさんがフランツさんにレイピアを渡す。

「ほう、ミスリルコーテッドか」

 レイピアを受け取ったフランツさんは、ひとしきりいろんな角度から剣身を見たあと、軽く振ったりした。

「ふむ。芯に純鉄を仕込み、鋼も上等。ミスリルコートもまだ充分に残っているし、手入れもしっかりされているな。それに……魔術紋も施されているか。5,000Gでどうだ?」
「いやいや、売りに出すわけじゃないからね。ちなみにいくらで店頭に並べる?」
「1万くらいにはなるか」
「1万!?」

 おおっと、つい大声を出してしまった。

「ん? 君は」
「ああ、彼がこの剣の持ち主」
「そうか。よし、6,500Gまで出そう。どうだ?」

 この人、前も思ったけどすぐに値段上げるよね。

「ああ、えーっと、それはさっき恩師からいただいたばかりのものでして、売る気は……」
「そうか、残念だな」
「これってそんなに高価なものなんですか?」
「新品だと2万くらいだろうな。いや、魔術紋のぶんを考えればもっとか」

 おおう、マジか。
 でも解体用ミスリルナイフは、買取額が25,000Gだったよなあ。
 ミスリルってそんなに高いのか?
 いや、ナイフの方は本体だけじゃなく、鞘も凄かったんだっけか。

「ねえねえ、ウチのレンタル品とどっちが上かな?」

 フェデーレさんが興味深げに問う。

「あれも悪くはないが、ミスリルコーテッドぶんこっちが上だな。あと、魔術紋施工済みだから、付与魔術を使える魔術士がパーティーにいるなら、こっちのほうが圧倒的にいい」
「だってさ、ショウスケくん」
「どもっす」

 なんかいいモノもらっちゃったみたいだ。
 こりゃお返しはギルドの食堂とかじゃダメだなぁ。

「さて、剣を売る気がないなら、依頼を受けてもらいたいのだが」

 フランツさんは持っていたレイピアを俺に返すと、懐から写真を取り出し、カウンターに置いた。

「尋ね人だ」

 写真の男に見覚えがある。

「あ、ヘクターさん」
「ほう、知っているのか?」

 フランツさんが驚いたようにこちらを見る。

「ええ、魔術士ギルドで何度か」
「そうか。最近見たか?」
「昨日魔術士ギルドのハリエットさんになにか贈り物と……手紙を渡していたようですが」

 俺の言葉に、フランツさんが眉をひそめる。

「……今日は見ていないか?」
「ええ、はい」
「そうか……」

 フェデーレさんがヘクターさんの写真を手に取り、まじまじと見ている。

「昨日ショウスケくんが見たっていうんなら、今日いなくなったってこと? 大の大人が半日姿を消したくらいで、大げさじゃない?」
「いや、昨夜のことなんだが、私とアクセサリー屋のフレデリックとヘクターの3人で飲んでいたのだよ。ヘクターの奴が妙に落ち込んでいるようだったのでな」
「ふむふむ」
「ヘクターは普段そこまで悪酔いするほうじゃないんだが、昨夜はかなりひどくてな。最終的にはフレデリックとふたりで担いで家に放り込んできたのだが、ふと心配になって今朝様子を見に行ったら、部屋にいなかったのだ」
「酔覚ましに銭湯にでもいったんじゃない?」
「だといいのだが……。もともと気はいい奴なのだが、最近は童貞をこじらせて面倒なことになってなぁ。早いうちに妓楼にでも連れて行って発散させてやればよかったのだが、ここの魔術士ギルドの受付嬢に一目惚れしてからは“初めては彼女に捧げるんだ!!”とかなんとかわけのわからんこと言い出しおって……」

 ああ、童貞こじらすとなるよね、そんなふうに。

「取り越し苦労ならそれでいいんだが、なにやら嫌な予感がするので、すまんが依頼として受けてくれ」
「うーん、わかった。ショウスケくん、どう?」

 いやー、あのヘクターって人、ほんと目つきがヤバかったんだよねぇ。
 童貞こじらせたストーカーとかあんま関わりたくねぇや。
 ちょっと、フランツさん、そんな期待した眼差しを向けないで……!!

「すんません、俺、ダンジョン探索したいんで……」
「そっか。まぁ内容的にGランク依頼だし、Eランクのショウスケくんに頼むのは失礼だよね」
「いや、まぁもし見かけたら報告しますよ」
「そうか。すまんな」

 いや、ホントたまたま見かけたら……くらいだけどね。
 接触はせずに報告だけ。

「ときに、君はダンジョンに潜るということだが、武器はそれでいいとして防具は持っているのか?」
「あー、いえ」
「そうか。ここの売店には私の店からも卸している物があるから見ておくといい。チェインメイルだけでもいいから買っておくと、生存率はグンと上がるぞ?」
「そうですね。検討してみます」

 そういえば防具のことを全然考えてなかったな。
 とはいえ革の胸甲でも500G、青銅だと1,500Gほどするので、フランツさんが受付から離れたのを見計らって、防具のレンタルを予約しておく。
 レンタルだと、鎖帷子くさりかたびら胸甲きょうこう手甲てっこう、すね当てを青銅で揃えても1日100Gだからね。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜

エレン
ファンタジー
 私は水無月依蓮《みなづきえれん》、どこにでもいる普通の女子高生だ。  平穏な生活を送っていた私は、ある日アルテナと名乗る女神に召喚されてしまう。  厨二臭いその女神が言うには、有給休暇で異世界冒険したいから、従者としてついて来なさいとの事。  うん、なんだその理由は。  異世界なんて興味ない、とっとと私を元の場所に返せ。  女神を殴ったり踏みつけたりしてやっと返してもらえるかと思いきや。  え? 勝手に人間を異世界に呼ぶのは天界の掟で禁止? バレたら私も消される?  ふざけるなー!!!!  そんなこんなで始まる私とポンコツ女神アルテナのドタバタ異世界冒険。  女神が貴族をハゲさせたり、「器用貧乏・改」と言うふざけたスキルを習得したり、ゴブリンの棲家に突撃する羽目になったり、手に入れた家が即崩壊したり、色々起きるけど全てを乗り切って見せる。 全ては元の世界に帰るために!!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

処理中です...