かみさまの落とし子 ~女神様は喪女撲滅活動をはじめました~

高梨

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第一章 異世界で女子力について悩む

能力判明

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次回こそ恋愛色……!


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


「なんじゃこりゃあ!」

衝撃の内容に自分の美少女ヅラをすっかり忘れて、某懐かしの太陽の刑事ドラマのデカみたいに叫ぶ四歳。

さすがの事態に己の突っ込み属性を忘れて、くちばしをぱかっと開けたまま固まる神鳥。


半透明の文字盤が目の前に現れたまでは理解できた。お約束通りのステータス画面である。
しかし、表示された内容がとんでもなかった。


なぜひらがな表示!
初期のRPGか。

あと紙装甲すぎだろ12って。
約束した防御力どこ行った。

つか、お父さん村長にいつなったの!? 知らないんですけど。


――そんな気になることばかりのステータスを、フローラは熟読した。


まず、長すぎるだろう、このステータス。全部見る気が失せる。
こんなクソ長いステータス、俺TUEE主人公ならわかる。しかし、女子力チートのはずの自分がなんでこんなことに……。


最初の方のひらがなの能力値で気になった「しんぎりょく」は、おそらくスキルを発動するための値で「心技力」だろうか。

基本能力値の低さは己の年齢では仕方がないのかも知れない……四歳だし。
そのわりには、まりょくとしんぎりょく、せいしんりょく、かしこさが高い。まあ、魔法もスキルも使えるのは有り難いし、かしこさは前世の記憶持ちなのでわかるが。

基本数値の中のせいしんの値に、自分の図太さを垣間見たフローラであった。

あと、きようの数値が高いのは、家事能力カンストのためだろう。うんも女子力のうち、運気が上がるって言っていた影響か。

(この数値の点……)

きようとうんの数値のあとの点、これはもしかして、数値がカンストって意味だろうか。


まだまだ突っ込みたい箇所もあるが、とりあえず一応すべてを読もうと、フローラは己を叱咤した。
ぱっと見でもヤバいものが見えるのだ。本心は現実逃避したい。
しかし、とにかく知らなければ対応できない。

恐る恐る読み進めて、すぐに次の箇所が気になった。

(……おんみつって、隠密? 隠密、調査、尋問、無限大って……)

不穏当な文字がひらがなで並ぶ。数値は∞。

これはヘラ様がくれた女子力のうち、いるだろうと言っていた部分であろう。


ーー女には、暴かなければならない罪がある。
それを助けるためのスキルである。

もちろんヘラ様も持っている。
これでゼウスの浮気を追い詰めるのだ!
そして浮気相手を調べ上げ、適時懲罰を与えなければならない。

並ぶスキルで、ヘラ様の怒りの片鱗を見たフローラは、深く考えるのをやめた。

考えちゃいけない。
次だ次。


わじゅつは話術だろう。かんぱは看破? ちょうばうは懲罰だろう。
では、しんぎとは?

わからなくて、フローラは無意識にステータスの文字部分に触れた。
すると、触れた部分に詳しい説明が表示された。

〈しんぎーー真偽    うそいつわりを見抜く能力   相手の言っていること、書いていることで、嘘と真を判断できる〉


「浮気見つけてどうにかする気まんまんだ……」

ステータスを調べながら青ざめるフローラに、ハイネは不思議そうに聞いてきた。

「そのための能力だろ?」

ーーさすがヘラ様の象徴!
当たり前に受け止めている!


……女子力とは、浮気を見つけることとみつけたり。

そんなばかな。

(あれ? でも、そうなのかな)

フローラ、前世で浮気を見つける女の勘は凄いというのをテレビで見たことがあった。


なんということだ。浮気発見能力は女子力のうち!(注・違います)


それにしてもこのスキル。
隠れて、調べて、取り調べ、言葉巧みに嘘か真かを見抜き、罰を与える……。

(裁判官か!)

なんという、人を裁くのに適した能力か。
裁判官というより、罰まで与えられるので異端審問間に近い。
とにかく他者にバレたらヤバいスキルだ。

後ろの方のちょうばつがなければ詐欺師?
いや、むしろ暗部か。暗殺者もいけるかもしれない。

黒装束の自分の将来を幻視して、フローラは花畑で虚空に浮かぶステータスを前に頭を抱えた。


初めて見る自分のステータスに夢中になっていたフローラと、鑑定である程度彼女の能力を知っていたが、よく見えない部分があった神鳥は、目の前のステータス画面に釘付けで、花咲く丘をかけ上ってくる存在に気付かなかった。


これが異世界における、フローラの喪女脱却の足がかりであった。




~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

次回、

黒髪の貴公子

です。
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