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第一章
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北の大陸、その南東に位置するカリオスロ王国。
その中でも、最も人が集まるであろう王都、カクリュスの広場に設置された処刑台の前には、今や何千、何万もの人々が集まっていた。
「ーー罪人は、前へ」
厳かに告げられた言葉に従って前に出されたのは、後ろ手に縛られた一人の男。
その名はヘンリー・ユル・カリオスロ。
カリオスロ王国の国王……いや、前国王である。
「この者は他国を蹂躙し、民を疲弊させーーーこれらの罪状により、ヘンリー・ユル・カリオスロを死刑とする!!!」
執行官の宣誓に、処刑台の、ギロチンの前に集まった民がわぁっと歓声を上げる。
「殺せ」と誰かが呟いた。
それが火種となり、「こーろーせ!こーろーせ!こーろーせ!」と大合唱になる。しまいには石まで投げつけられる始末だ。
台の上の男に、かつて玉座でふんぞり返っていた王の面影はなかった。
事の起こりは約半年前。
王の庶子、カリオスロの第5王子であるジェルバ・レード・カリオスロの先導により、革命が起こったのだ。
カリオスロ王国は腐敗しきっていた。
王は自らの欲の為に他国を蹂躙し、民が疲弊していくのにかまわずに進軍を続けさせた。
ほとんどの貴族は民に重税を課して私腹を肥やし、更に多くの不正を犯し、やりたい放題。そうでない貴族は粛清された。
王もそれを咎めず、あまつさえ加担する場面もみられた。
王だけではない。
ジェルバ以外の王子・王女、王の后、王子達の后、王族全てが好き放題していた。
それに唯一染まらなかったのが、ジェルバだ。
庶子であった為に避けられて来た事が、皮肉にも彼の価値観を守ったのである。
そんな彼に民たちはすがった。
庶子とはいえ、王族の血を持つジェルバは低いながらも王位継承権を持っている。
加えて、彼は王がジェルバを殺そうと送り込んだ、数々の戦において戦功を上げており、評判もいい。
ジェルバが革命を起こせば民は皆ついてくるはずだ。もしかすると、兵もジェルバに付くかもしれない。
しかし、ジェルバは革命を起こす事を拒み続けた。
彼には自らの親を、兄弟を殺す覚悟はなかった。
ーーだが、ある日悲劇は起きる。
王家、貴族にとって彼らの意見に背き、民からの人気が高いジェルバは邪魔者だった。
けれども、ジェルバは魔術においても武術においても非常に優れている。部下も彼同様優秀であり、ジェルバを殺すもしくは直接脅すのは困難を極めた。
そこで目をつけたのはジェルバの妻、アンナだった。
既に王宮を出て暮らしていた彼の妻は平民の出自。窮屈な暮らしが苦手で、稀に護衛の目を掻い潜って一人で街に出ることがあった。
そこを狙われた。
ジェルバの元に帰ってきたのは、笑って帰って来るはずの首から下のない愛妻であった。
ジェルバは怒り狂い、革命を起こす事を決断した。
その事に民は喜んだ。ジェルバの妻が亡くなっているというのに、歓喜に湧いた。
ジェルバの側近は彼の心を、身体を心配したが、止めはしなかった。ただ、革命を助けるだけだった。
3年かけて戦力を集め、根回しをし、半年前に満を持して革命を、反乱を起こした。
それが今日、ついに実を結ぶのである。
前国王、ヘンリーがギロチン台に横たえられる。
相変わらず、民衆は「殺せ!」と騒いでいた。
そんななか、革命の立役者、ジェルバが台に登る。
軽く手を挙げると、騒いでいた民衆は波が引くように静まっていった。
「凶王、ヘンリー・ユル・カリオスロの死刑をここに執行する。」
ジェルバはそう静かに告げ、今度は右手を高く挙げる。
ーーそして、一気に振り下ろした。
同時にロープが切られ、刃が落ちる。
赤い華が散った。
湧き上がる歓声。
この時、ジェルバ・レード・カリオスロの即位が宣言された。
その中でも、最も人が集まるであろう王都、カクリュスの広場に設置された処刑台の前には、今や何千、何万もの人々が集まっていた。
「ーー罪人は、前へ」
厳かに告げられた言葉に従って前に出されたのは、後ろ手に縛られた一人の男。
その名はヘンリー・ユル・カリオスロ。
カリオスロ王国の国王……いや、前国王である。
「この者は他国を蹂躙し、民を疲弊させーーーこれらの罪状により、ヘンリー・ユル・カリオスロを死刑とする!!!」
執行官の宣誓に、処刑台の、ギロチンの前に集まった民がわぁっと歓声を上げる。
「殺せ」と誰かが呟いた。
それが火種となり、「こーろーせ!こーろーせ!こーろーせ!」と大合唱になる。しまいには石まで投げつけられる始末だ。
台の上の男に、かつて玉座でふんぞり返っていた王の面影はなかった。
事の起こりは約半年前。
王の庶子、カリオスロの第5王子であるジェルバ・レード・カリオスロの先導により、革命が起こったのだ。
カリオスロ王国は腐敗しきっていた。
王は自らの欲の為に他国を蹂躙し、民が疲弊していくのにかまわずに進軍を続けさせた。
ほとんどの貴族は民に重税を課して私腹を肥やし、更に多くの不正を犯し、やりたい放題。そうでない貴族は粛清された。
王もそれを咎めず、あまつさえ加担する場面もみられた。
王だけではない。
ジェルバ以外の王子・王女、王の后、王子達の后、王族全てが好き放題していた。
それに唯一染まらなかったのが、ジェルバだ。
庶子であった為に避けられて来た事が、皮肉にも彼の価値観を守ったのである。
そんな彼に民たちはすがった。
庶子とはいえ、王族の血を持つジェルバは低いながらも王位継承権を持っている。
加えて、彼は王がジェルバを殺そうと送り込んだ、数々の戦において戦功を上げており、評判もいい。
ジェルバが革命を起こせば民は皆ついてくるはずだ。もしかすると、兵もジェルバに付くかもしれない。
しかし、ジェルバは革命を起こす事を拒み続けた。
彼には自らの親を、兄弟を殺す覚悟はなかった。
ーーだが、ある日悲劇は起きる。
王家、貴族にとって彼らの意見に背き、民からの人気が高いジェルバは邪魔者だった。
けれども、ジェルバは魔術においても武術においても非常に優れている。部下も彼同様優秀であり、ジェルバを殺すもしくは直接脅すのは困難を極めた。
そこで目をつけたのはジェルバの妻、アンナだった。
既に王宮を出て暮らしていた彼の妻は平民の出自。窮屈な暮らしが苦手で、稀に護衛の目を掻い潜って一人で街に出ることがあった。
そこを狙われた。
ジェルバの元に帰ってきたのは、笑って帰って来るはずの首から下のない愛妻であった。
ジェルバは怒り狂い、革命を起こす事を決断した。
その事に民は喜んだ。ジェルバの妻が亡くなっているというのに、歓喜に湧いた。
ジェルバの側近は彼の心を、身体を心配したが、止めはしなかった。ただ、革命を助けるだけだった。
3年かけて戦力を集め、根回しをし、半年前に満を持して革命を、反乱を起こした。
それが今日、ついに実を結ぶのである。
前国王、ヘンリーがギロチン台に横たえられる。
相変わらず、民衆は「殺せ!」と騒いでいた。
そんななか、革命の立役者、ジェルバが台に登る。
軽く手を挙げると、騒いでいた民衆は波が引くように静まっていった。
「凶王、ヘンリー・ユル・カリオスロの死刑をここに執行する。」
ジェルバはそう静かに告げ、今度は右手を高く挙げる。
ーーそして、一気に振り下ろした。
同時にロープが切られ、刃が落ちる。
赤い華が散った。
湧き上がる歓声。
この時、ジェルバ・レード・カリオスロの即位が宣言された。
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