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一章
2、商業都市、カナン
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カナンはルナリア王国有数の商業都市だ。商業都市として、唯一国から自治を認められている。
面している国の多くと戦争中の為に国内の商人に限るが多くの商人が来て、同時に沢山の品が集まる。
その賑わいは王都を超えると言われることすらある程だ。
「着いた~」
レイリアは思わず伸びをしながら叫んぶ。
10日間の旅路を終え、やっとついたカナン。
これまで長旅をしたことなどないのだ。
もう、腰が痛くて痛くてしょうがない。
ちなみに、レイリアは今、頭からすっぽりと全身を覆うようなローブを着て、さらに眼鏡をかけている。レイリアの瞳と髪はとても目立つのだ。
ウィンターソン家の特徴でもある金髪赤目はレイリアの誇りだが、今は面倒事を呼び寄せるもととなるだけだ。
到着してまずやらなければいけないのは、何といっても宿探し。見つからなければ、最悪野宿になる。それだけは避けたい。
そして、なるべく良い宿がいい。長旅で暫くベッドで寝ていなかったから、ベッドが恋しくてたまらない。
「長期の滞在がしたいんだけど、いい宿を知りませんか?」
同じ馬車に乗っていた男性に声をかける。こういうのは人に聞くのが一番だ。
勿論、悪い人もいるし、当たり外れもあるが。街に戻ってきた人なら、尚良い。
「ああ、それなら、この通りをまっすぐ行って、服屋のところを右に曲がって少し進んだところにある『陽だまり亭』っていう宿がいいと思うぞ。
というか、俺がその宿でよく長期滞在するんだ。今回もそのつもりなんだが、よければ一緒に行かないか?」
「そりゃあ、そうしてもらえるとこっちも助かりますけど…… そんなに良い宿なんですか?」
「部屋も飯も最高だ! …しかもカウンターの娘が可愛いんだよ。」
最後は小声で言われた。部屋と飯よりも女の子目当てなんじゃないだろうか?
表通りに面していないその宿は、地元の人がご飯を食べに行ったり、よくカナンへ来る人が滞在するらしい。初めて来る人はまず行かないという。
宿に着いてまず思ったのは、「ここにしてよかった~」だ。
まず、雰囲気がいい。木造の建物の窓からはオレンジ色の温かい光が覗いていて、柔らかい雰囲気を醸し出している。「陽だまり」というなにもぴったりだ。
案内してくれた男……そういえば、名前を聞いていなかった。後で聞こう。まあ、その男は慣れた様子で宿へと入っていく。レイリアは宿の様子を見ながらそれに続いた。
「いらっしゃいませ~」
出迎えてくれたのは明るく、元気な声だった。カウンターにいるその娘はクセのある茶髪でくりくりとした目を持っていて、確かに可愛い。
「宿泊ですか? お食事ですか?」
「長期の宿泊で。とりあえず、3ヶ月かな。お前は?」
娘の観察をしていたレイリアはその問にすぐに反応出来なかった。
「ん…ああ、僕は5日で。」
「わかりました。別々のお部屋にしますか?」
「お願いします」
「203号室と205号室になります。食事をここで食べる時は、事前にお声がけください。お湯を使いたい際も同様です。どちらとも別料金となりますが、ご了承下さい。…本日の夕食はどうしますか?」
「お願いします。あなたはどうします?」
レイリアは男に声をかける。できれば、ここで交流を深めておきたいところだ。
街についての情報も集めたい。
「俺もここで食べます。なあ、一緒に食べないか?」
「勿論、喜んで。」
「ではすぐに用意しますね。荷物は一旦ここでお預かりします。」
「お願いします。じゃあ、あそこのテーブルにしましょうか。」
「おう!」
席に付き、下手に沈黙が漂う前にレイリアは切り出す。
「え~、大変遅くなりましたが、僕はレイといいます。あなたのお名前を伺っても?」
「そういえば、自己紹介してなかったな。俺はアルベルトだ。アルって呼んでくれ。」
「はい。アル、今日はいい宿を紹介してくれてありがとうございました。」
「ああ、敬語じゃなくていいぞ。俺、そういうの苦手だし。」
思い返してみれば、最初から砕けた口調だった気がする。
苦手だと言うのは本当なのだろう。
「わかったよ。じゃあ、僕の事もレイって呼んでくれ。」
「りょーかい。」
話しているうちに運ばれてきた食事は、バランスも考えられていて、凄く美味しかった。
食事を終えると、レイリアはアルベルトと別れ、203号室へと向かう。部屋ヘ入ると予想以上に綺麗で広い。
荷物を置いて、ベッドヘ飛び込むと、疲労が溜まっていたせいか、着替えもしないまますぐに眠ってしまった。
面している国の多くと戦争中の為に国内の商人に限るが多くの商人が来て、同時に沢山の品が集まる。
その賑わいは王都を超えると言われることすらある程だ。
「着いた~」
レイリアは思わず伸びをしながら叫んぶ。
10日間の旅路を終え、やっとついたカナン。
これまで長旅をしたことなどないのだ。
もう、腰が痛くて痛くてしょうがない。
ちなみに、レイリアは今、頭からすっぽりと全身を覆うようなローブを着て、さらに眼鏡をかけている。レイリアの瞳と髪はとても目立つのだ。
ウィンターソン家の特徴でもある金髪赤目はレイリアの誇りだが、今は面倒事を呼び寄せるもととなるだけだ。
到着してまずやらなければいけないのは、何といっても宿探し。見つからなければ、最悪野宿になる。それだけは避けたい。
そして、なるべく良い宿がいい。長旅で暫くベッドで寝ていなかったから、ベッドが恋しくてたまらない。
「長期の滞在がしたいんだけど、いい宿を知りませんか?」
同じ馬車に乗っていた男性に声をかける。こういうのは人に聞くのが一番だ。
勿論、悪い人もいるし、当たり外れもあるが。街に戻ってきた人なら、尚良い。
「ああ、それなら、この通りをまっすぐ行って、服屋のところを右に曲がって少し進んだところにある『陽だまり亭』っていう宿がいいと思うぞ。
というか、俺がその宿でよく長期滞在するんだ。今回もそのつもりなんだが、よければ一緒に行かないか?」
「そりゃあ、そうしてもらえるとこっちも助かりますけど…… そんなに良い宿なんですか?」
「部屋も飯も最高だ! …しかもカウンターの娘が可愛いんだよ。」
最後は小声で言われた。部屋と飯よりも女の子目当てなんじゃないだろうか?
表通りに面していないその宿は、地元の人がご飯を食べに行ったり、よくカナンへ来る人が滞在するらしい。初めて来る人はまず行かないという。
宿に着いてまず思ったのは、「ここにしてよかった~」だ。
まず、雰囲気がいい。木造の建物の窓からはオレンジ色の温かい光が覗いていて、柔らかい雰囲気を醸し出している。「陽だまり」というなにもぴったりだ。
案内してくれた男……そういえば、名前を聞いていなかった。後で聞こう。まあ、その男は慣れた様子で宿へと入っていく。レイリアは宿の様子を見ながらそれに続いた。
「いらっしゃいませ~」
出迎えてくれたのは明るく、元気な声だった。カウンターにいるその娘はクセのある茶髪でくりくりとした目を持っていて、確かに可愛い。
「宿泊ですか? お食事ですか?」
「長期の宿泊で。とりあえず、3ヶ月かな。お前は?」
娘の観察をしていたレイリアはその問にすぐに反応出来なかった。
「ん…ああ、僕は5日で。」
「わかりました。別々のお部屋にしますか?」
「お願いします」
「203号室と205号室になります。食事をここで食べる時は、事前にお声がけください。お湯を使いたい際も同様です。どちらとも別料金となりますが、ご了承下さい。…本日の夕食はどうしますか?」
「お願いします。あなたはどうします?」
レイリアは男に声をかける。できれば、ここで交流を深めておきたいところだ。
街についての情報も集めたい。
「俺もここで食べます。なあ、一緒に食べないか?」
「勿論、喜んで。」
「ではすぐに用意しますね。荷物は一旦ここでお預かりします。」
「お願いします。じゃあ、あそこのテーブルにしましょうか。」
「おう!」
席に付き、下手に沈黙が漂う前にレイリアは切り出す。
「え~、大変遅くなりましたが、僕はレイといいます。あなたのお名前を伺っても?」
「そういえば、自己紹介してなかったな。俺はアルベルトだ。アルって呼んでくれ。」
「はい。アル、今日はいい宿を紹介してくれてありがとうございました。」
「ああ、敬語じゃなくていいぞ。俺、そういうの苦手だし。」
思い返してみれば、最初から砕けた口調だった気がする。
苦手だと言うのは本当なのだろう。
「わかったよ。じゃあ、僕の事もレイって呼んでくれ。」
「りょーかい。」
話しているうちに運ばれてきた食事は、バランスも考えられていて、凄く美味しかった。
食事を終えると、レイリアはアルベルトと別れ、203号室へと向かう。部屋ヘ入ると予想以上に綺麗で広い。
荷物を置いて、ベッドヘ飛び込むと、疲労が溜まっていたせいか、着替えもしないまますぐに眠ってしまった。
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