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第Be章:幻の古代超科学文明都市アトランティスの都は何故滅びたのか
伝説と真実/2:トラウマ回と名高い第15話で死ぬべき運命にあったのは褐色わがままクソ女の方であるはず
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アトランティスの都を直前にして、先ほどの休憩中の授業の後の流れでそのまま馬車の中で揺られていた4名。おだやかな日差しにイルマがうつらうつらと船を漕ぐ中、ふとリクが疑問を口にする。
「そういやさ」
「ん? まだ何か疑問? まぁリク君おバカだから仕方ないけど、もう少し勉強しておくべきだったよね。ゲームやアニメで忙しかったんだろうけど、さっきみたいな知識持ってから見ると改めて面白くなる作品わりと多いよ。当時多くのお友達を褐色萌えに落としたアニメ史上屈指のわがままクソ女が主人公やってるNHKのアニメとか」
「いろいろ言いたいことはあるが、知り合いにもっとやべぇ女がいるから特に気にならないんだ、これが」
「そうなんだ。私には紹介しないでねその人」
「物理的に不可能だから安心してくれ。それで、改めて質問なんだが」
そう言ってちらりとリンネの顔を見て。
「リンネちゃん、なんかいろいろ知ってたよな。もしかして、俺達と同じ世界からの転生者なんじゃないの?」
「なっ……」
しまった、いくらなんでも楽しくなって喋りすぎてしまった。この少年がバカだとは聞いていたが、さすがにあれほど現実世界の知識を喋れば勘付かれて当然である。なんという、なんという油断であろうか。
「き、気の所為ですわ? あ、そうですの。私、以前シズク先生から二人っきりでいろいろお話をしておりまして……」
「うん。その時に転生者だってのも教えてもらったんだよね」
突然刺してきやがりましたわこの悪魔!
「え? 聞いてないんだが」
「リク君がバカだったからね。改めてなんだけど、リク君、リンネって名前に心当たりない?」
ディレイアタックですの!? 待ってくださいまし、待ってくれ、待つのである!
「んー……リンネ……リンネ……」
あぁ、もうおしまいですわ。やはりリンネはここで死ぬのです。リンネは二度死ぬのですわ。
「あ! あの人か! え!? マジ!? ありえるの!?」
「あるんじゃない?」
(あぁ、もうダメだ。走馬灯が……)
「多くの次世代を育て上げ……」
(私のことだ……)
「70歳近くて……」
(私のことだ……)
「若い頃は冒険家で……」
(私のことだ……)
「多くの未知の生物に名前をつけた……」
(私のことだ……)
「31巻初登場のグルメハンター!」
「いや誰ですの!? あっ!? またシズク先生の目が死んで! 哺乳綱偶蹄目イノシシ科の生物を見るような目を!」
「いやぁなんでもありだな異世界! まさか漫画のキャラクターまで転生して来てるなんて! なぁ、どんな念能力使えるんだ!? 俺達、本編完結まで生きてられなかったから知らないだよ! ていうか未来ではあの人ちゃんと連載してるのか!?」
「わけがわかりませんわ! わけがわかりませんわ!」
はぁぁぁと渾身のため息をついて表情筋にリセットをかけたシズクが口を開く。
「さすがにそんなわけないでしょ。現実の人だよ」
「なんだ。ならただの別人か。でも、それならそんな小さいのによく勉強してたんだなぁ、リンネちゃんは偉いなぁ。末は学者か総理大臣だな」
こいつはダメだ。もうどうしようもない。そう判断し、馬車を引く馬の手綱を引いていたレーヌを呼ぶ。
「レーヌさん、ちょっと」
「どうした? 私のリンネがなにか粗相をしたか?」
「いえ、うちのリク君がバカなだけで。それで、前に言ってたじゃないですか。リク君の日課の訓練の話」
「あぁ。カイに匹敵する強さでありながらその若さ。確実に厳しい訓練を送ってきたものだと」
「そうなんです。ここ数日休んでたんですけど、そろそろ再開するって」
「なんと! それならば是非!」
「はい。いっしょに走ってきてください」
と、話をつけて振り向くと、そこではリンネ先生の頭を撫でるリクと、魂の抜けた目をしたリンネ先生が。
「リク君」
「ん? どした?」
「馬車、降りて」
かくしてわけの分からぬまま馬車から蹴り出され、そのままレーヌと二人、30km先のアトランティスまでの道を走ることになるリクだった。
「シズク先生……」
ここで改めて魂を取り戻したリンネが袖を掴む。
「また命拾いしたね、リンネ先生。それで今どんな気持ち?」
そう問われたリンネの目から大粒の涙が浮かぶ。
「私のしたこと……未来では誰も覚えていないのですのね……悔しい……悔しいですわぁぁああ!」
この瞬間だけはこの変態にして知識人である少女の思いが理解できてしまい、泣き止むまで体から抱きついて離れなかったことも許した。心はおじさんかもしれなくても、体は小さい女の子だし、まぁ、いいか。
「そういやさ」
「ん? まだ何か疑問? まぁリク君おバカだから仕方ないけど、もう少し勉強しておくべきだったよね。ゲームやアニメで忙しかったんだろうけど、さっきみたいな知識持ってから見ると改めて面白くなる作品わりと多いよ。当時多くのお友達を褐色萌えに落としたアニメ史上屈指のわがままクソ女が主人公やってるNHKのアニメとか」
「いろいろ言いたいことはあるが、知り合いにもっとやべぇ女がいるから特に気にならないんだ、これが」
「そうなんだ。私には紹介しないでねその人」
「物理的に不可能だから安心してくれ。それで、改めて質問なんだが」
そう言ってちらりとリンネの顔を見て。
「リンネちゃん、なんかいろいろ知ってたよな。もしかして、俺達と同じ世界からの転生者なんじゃないの?」
「なっ……」
しまった、いくらなんでも楽しくなって喋りすぎてしまった。この少年がバカだとは聞いていたが、さすがにあれほど現実世界の知識を喋れば勘付かれて当然である。なんという、なんという油断であろうか。
「き、気の所為ですわ? あ、そうですの。私、以前シズク先生から二人っきりでいろいろお話をしておりまして……」
「うん。その時に転生者だってのも教えてもらったんだよね」
突然刺してきやがりましたわこの悪魔!
「え? 聞いてないんだが」
「リク君がバカだったからね。改めてなんだけど、リク君、リンネって名前に心当たりない?」
ディレイアタックですの!? 待ってくださいまし、待ってくれ、待つのである!
「んー……リンネ……リンネ……」
あぁ、もうおしまいですわ。やはりリンネはここで死ぬのです。リンネは二度死ぬのですわ。
「あ! あの人か! え!? マジ!? ありえるの!?」
「あるんじゃない?」
(あぁ、もうダメだ。走馬灯が……)
「多くの次世代を育て上げ……」
(私のことだ……)
「70歳近くて……」
(私のことだ……)
「若い頃は冒険家で……」
(私のことだ……)
「多くの未知の生物に名前をつけた……」
(私のことだ……)
「31巻初登場のグルメハンター!」
「いや誰ですの!? あっ!? またシズク先生の目が死んで! 哺乳綱偶蹄目イノシシ科の生物を見るような目を!」
「いやぁなんでもありだな異世界! まさか漫画のキャラクターまで転生して来てるなんて! なぁ、どんな念能力使えるんだ!? 俺達、本編完結まで生きてられなかったから知らないだよ! ていうか未来ではあの人ちゃんと連載してるのか!?」
「わけがわかりませんわ! わけがわかりませんわ!」
はぁぁぁと渾身のため息をついて表情筋にリセットをかけたシズクが口を開く。
「さすがにそんなわけないでしょ。現実の人だよ」
「なんだ。ならただの別人か。でも、それならそんな小さいのによく勉強してたんだなぁ、リンネちゃんは偉いなぁ。末は学者か総理大臣だな」
こいつはダメだ。もうどうしようもない。そう判断し、馬車を引く馬の手綱を引いていたレーヌを呼ぶ。
「レーヌさん、ちょっと」
「どうした? 私のリンネがなにか粗相をしたか?」
「いえ、うちのリク君がバカなだけで。それで、前に言ってたじゃないですか。リク君の日課の訓練の話」
「あぁ。カイに匹敵する強さでありながらその若さ。確実に厳しい訓練を送ってきたものだと」
「そうなんです。ここ数日休んでたんですけど、そろそろ再開するって」
「なんと! それならば是非!」
「はい。いっしょに走ってきてください」
と、話をつけて振り向くと、そこではリンネ先生の頭を撫でるリクと、魂の抜けた目をしたリンネ先生が。
「リク君」
「ん? どした?」
「馬車、降りて」
かくしてわけの分からぬまま馬車から蹴り出され、そのままレーヌと二人、30km先のアトランティスまでの道を走ることになるリクだった。
「シズク先生……」
ここで改めて魂を取り戻したリンネが袖を掴む。
「また命拾いしたね、リンネ先生。それで今どんな気持ち?」
そう問われたリンネの目から大粒の涙が浮かぶ。
「私のしたこと……未来では誰も覚えていないのですのね……悔しい……悔しいですわぁぁああ!」
この瞬間だけはこの変態にして知識人である少女の思いが理解できてしまい、泣き止むまで体から抱きついて離れなかったことも許した。心はおじさんかもしれなくても、体は小さい女の子だし、まぁ、いいか。
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