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第7章 大人との恋
327 綺麗になった少年
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カジュアルなメンズ服の店で買い物を済ませた後、藤城皐月は満にある提案をされた。
「ねえ、皐月に少しメイクしてみたいんだけど、いい?」
「メイク? 俺、男だけど」
「メイクっていっても、目元だけ少しなんだけど、ダメ?」
皐月は同居している高校生の及川祐希が毎日メイクしているところを見るようになり、少し興味を持ち始めていた。祐希のようなナチュラルメイクなら自分でもやってみたいと思ったが、男がメイクするのにはまだ抵抗がある。
「変な風にしないんだったらいいけど……」
「ホント! じゃあ決まりね」
満に手を引かれて、皐月たちは近くのカラオケに行った。メイクが目的だったので1時間で入った。
「うわ~っ、カラオケなんて久しぶりだな~。俺、小学生だからさ、カラオケ行きたくても保護者がいないと行けないんだよ」
「メイクして時間が余ったら、少し歌おうか」
部屋の照明を明るくして、満はバッグからメイク道具を取り出した。今日は簡単なメイク道具しか持っていないそうだ。
「じゃあメイクするね。皐月は顔立ちが整ってるから、絶対綺麗になるよ」
「お手柔らかにお願いします」
満はいちいち説明を入れながらメイクを始めた。目元だけのメイクでも、ベースメイクは必要らしい。ノーファンデで化粧下地とフェイスパウダーを使うと言う。化粧下地はBBクリームを使うらしいが、皐月にはなんのことだかさっぱりわからなかった。
満はメイクの段階ごとに鏡で仕上がりを見せてくれた。アイシャドウやアイラインを入れると印象ががらっと変わった。ビューラーでまつ毛を上げて、少しだけマスカラを塗ると目が大きくパッチリとしてきた。アイブロウパウダーでナチュラルに眉毛の形を整えたら、結構格好良くなった。
「ねえ、リップも塗っていい?」
「えっ? ヤダよ」
「でも少しはリップも塗らないと、バランスが変だよ?」
皐月は内心、満の言うことに納得していた。たしかに目だけメイクすると、いくらナチュラルメイクでも違和感がある。
「大丈夫。女の子みたいにはしないから」
満は楽しそうな顔をして皐月にリップを塗り始めた。皐月は幼馴染の栗林真理がリップを塗って色っぽくなったのを思い出した。あの時、皐月は理性のたがが外れて、真理のメイクを滅茶苦茶にしてしまった。
満の顔がすぐ近くまで寄ってきた。ピンクの髪にしてロリータの服を着た満はメイクもいつもと違って、人形のように美しかった。皐月は現実離れをした満に今まで女を感じていなかったが、満の吐息を取り込んでいるうちに男の本能が目覚めそうになった。
皐月は目を閉じて視界からの情報を遮断し、瞑想に入って邪念を振り払おうとした。だが、目を瞑ったことでかえって妄想が膨らんだ。
「できた。皐月、きれいになったね」
もう終わったと思って目を開けると、満の顔が近付いてきた。慌てて眼を閉じ直すと、口と口が触れた。
息の乱れない静かなキスだった。満は落ち着いていたが、皐月は心が乱れそうになってきた。ドキドキして呼吸が乱れてきたので、皐月は満の肩を軽く押して唇を離した。
「皐月は百合姐さんに似て、綺麗な顔をしているんだね」
「……だからキスしたってこと?」
「ごめんね。あまりにもかわいかったから、つい」
「ついじゃねーよ。びっくりしたじゃん」
「百合姐さんや明日美姐さんには内緒だからね」
「こんなこと言えるかよ……」
皐月は満に鏡を見せてもらった。ナチュラルで軽いメイクだったが、スッピンの時の顔とは明らかにイケメンランクが上がっていた。
満に言われた通り、確かに母に似ているような気がした。皐月は自分の顔が化粧映えすることをこの時初めて知った。
「ああ~、女子がメイクしたがる気持ち、わかるような気がするわ」
「皐月、目覚めちゃった? メイクって違う自分になれるからいいよね」
ドールのような満は確かに芸妓姿や練習着の時とは違っていた。見た目だけではなく振る舞いも変わっていた。自分だってメイクをすると性格も変わるのかもしれない。
「ねえ、俺とキスしたことって薫姉ちゃんに言うの?」
「そんなの言えるわけないでしょ!」
満が今日一番の真剣な顔になった。薫は満と仲が良く、いつも二人でいる印象だったので、今日のことは全て薫に筒抜けなのかと思っていた。
「薫姉ちゃんにも言わないってことは、二人だけの秘密ってこと?」
「そう。絶対の秘密」
「秘密だったらさ、もっとキスしようよ。どうせ誰にも知られないんだし」
「あれ~? 皐月、そっちの方に目覚めちゃった?」
「なんだ、いけないのかよ。男子だからしょうがないじゃん」
「あのね、カラオケの部屋って防犯カメラがあってね、全部録画されてるよ」
「嘘っ!?」
「本当。だからダメ~。店員さんに見られたら怒られちゃう」
満が端末を操作し始めて、曲を入れた。部屋が大音量で満たされて、満が歌い始めた。
満が歌っているのは皐月の知らない曲だった。カラオケに慣れているのか、満は歌が上手かった。皐月は満とキスができなかったことで、どこかホッとしていた。
「ねえ、皐月に少しメイクしてみたいんだけど、いい?」
「メイク? 俺、男だけど」
「メイクっていっても、目元だけ少しなんだけど、ダメ?」
皐月は同居している高校生の及川祐希が毎日メイクしているところを見るようになり、少し興味を持ち始めていた。祐希のようなナチュラルメイクなら自分でもやってみたいと思ったが、男がメイクするのにはまだ抵抗がある。
「変な風にしないんだったらいいけど……」
「ホント! じゃあ決まりね」
満に手を引かれて、皐月たちは近くのカラオケに行った。メイクが目的だったので1時間で入った。
「うわ~っ、カラオケなんて久しぶりだな~。俺、小学生だからさ、カラオケ行きたくても保護者がいないと行けないんだよ」
「メイクして時間が余ったら、少し歌おうか」
部屋の照明を明るくして、満はバッグからメイク道具を取り出した。今日は簡単なメイク道具しか持っていないそうだ。
「じゃあメイクするね。皐月は顔立ちが整ってるから、絶対綺麗になるよ」
「お手柔らかにお願いします」
満はいちいち説明を入れながらメイクを始めた。目元だけのメイクでも、ベースメイクは必要らしい。ノーファンデで化粧下地とフェイスパウダーを使うと言う。化粧下地はBBクリームを使うらしいが、皐月にはなんのことだかさっぱりわからなかった。
満はメイクの段階ごとに鏡で仕上がりを見せてくれた。アイシャドウやアイラインを入れると印象ががらっと変わった。ビューラーでまつ毛を上げて、少しだけマスカラを塗ると目が大きくパッチリとしてきた。アイブロウパウダーでナチュラルに眉毛の形を整えたら、結構格好良くなった。
「ねえ、リップも塗っていい?」
「えっ? ヤダよ」
「でも少しはリップも塗らないと、バランスが変だよ?」
皐月は内心、満の言うことに納得していた。たしかに目だけメイクすると、いくらナチュラルメイクでも違和感がある。
「大丈夫。女の子みたいにはしないから」
満は楽しそうな顔をして皐月にリップを塗り始めた。皐月は幼馴染の栗林真理がリップを塗って色っぽくなったのを思い出した。あの時、皐月は理性のたがが外れて、真理のメイクを滅茶苦茶にしてしまった。
満の顔がすぐ近くまで寄ってきた。ピンクの髪にしてロリータの服を着た満はメイクもいつもと違って、人形のように美しかった。皐月は現実離れをした満に今まで女を感じていなかったが、満の吐息を取り込んでいるうちに男の本能が目覚めそうになった。
皐月は目を閉じて視界からの情報を遮断し、瞑想に入って邪念を振り払おうとした。だが、目を瞑ったことでかえって妄想が膨らんだ。
「できた。皐月、きれいになったね」
もう終わったと思って目を開けると、満の顔が近付いてきた。慌てて眼を閉じ直すと、口と口が触れた。
息の乱れない静かなキスだった。満は落ち着いていたが、皐月は心が乱れそうになってきた。ドキドキして呼吸が乱れてきたので、皐月は満の肩を軽く押して唇を離した。
「皐月は百合姐さんに似て、綺麗な顔をしているんだね」
「……だからキスしたってこと?」
「ごめんね。あまりにもかわいかったから、つい」
「ついじゃねーよ。びっくりしたじゃん」
「百合姐さんや明日美姐さんには内緒だからね」
「こんなこと言えるかよ……」
皐月は満に鏡を見せてもらった。ナチュラルで軽いメイクだったが、スッピンの時の顔とは明らかにイケメンランクが上がっていた。
満に言われた通り、確かに母に似ているような気がした。皐月は自分の顔が化粧映えすることをこの時初めて知った。
「ああ~、女子がメイクしたがる気持ち、わかるような気がするわ」
「皐月、目覚めちゃった? メイクって違う自分になれるからいいよね」
ドールのような満は確かに芸妓姿や練習着の時とは違っていた。見た目だけではなく振る舞いも変わっていた。自分だってメイクをすると性格も変わるのかもしれない。
「ねえ、俺とキスしたことって薫姉ちゃんに言うの?」
「そんなの言えるわけないでしょ!」
満が今日一番の真剣な顔になった。薫は満と仲が良く、いつも二人でいる印象だったので、今日のことは全て薫に筒抜けなのかと思っていた。
「薫姉ちゃんにも言わないってことは、二人だけの秘密ってこと?」
「そう。絶対の秘密」
「秘密だったらさ、もっとキスしようよ。どうせ誰にも知られないんだし」
「あれ~? 皐月、そっちの方に目覚めちゃった?」
「なんだ、いけないのかよ。男子だからしょうがないじゃん」
「あのね、カラオケの部屋って防犯カメラがあってね、全部録画されてるよ」
「嘘っ!?」
「本当。だからダメ~。店員さんに見られたら怒られちゃう」
満が端末を操作し始めて、曲を入れた。部屋が大音量で満たされて、満が歌い始めた。
満が歌っているのは皐月の知らない曲だった。カラオケに慣れているのか、満は歌が上手かった。皐月は満とキスができなかったことで、どこかホッとしていた。
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