彼氏(1)

mami

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彼氏(1)

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ここ最近、自分の手に負えないくらい感情が激動していた。

それがようやく落ち着いてきて、まともな文章を書けるようになった。




一昨日まで、二人の男性について悩んでいた。

どちらも出会って長い関係を築いてきたわけではないが、片方は彼氏で、片方とは友達だった。

彼氏と付き合い始めて間もなく、1カ月離れてしまうことになった。
付き合い始めたのは向こうの「付き合ってみる?」の一言から。
ちょうど、出会ったのは5月、付き合い始めたのは7月で、まだまだ相手について何も知らなかった。

それから1週間後に私は、奥能登へ旅立った。8月の1カ月間は、限界集落でフリーランスとしてネット上で稼ぐ術を学ぶ講座に参加していたのだ。

白状すると、私には今まで恋人がいなかった。いじめられっ子の経験から、人間不信と自己嫌悪に水をたっぷりあげて大きな花をつけてしまったものだから、人と比較しては勝手に落ち込み、存在価値がないとよく泣いた。
自分より優秀な人なら、軽蔑されているんではないかと怯え、顔色を伺うのが常だった。

恋人となった男性は、まさに優秀を絵に描いたような人で、感情的に生きる私とは、全く別の人生を歩んでいた。

地元は同じだが、地区の進学校から京大に進み、院を卒業し、現在は営業コンサルタント(のような)ことをしている。
休日は、「学びのため」に友人や経営者の知人らと会い、私とはその合間に会うような生活。

私は、卑屈な性格も影響して、なんでこの人と私は付き合っているのかまるで分らなかった。

ここで出てくるのが、片方の「友達」
知り合ったのは彼氏と会うよりも後だったけれども、なんでも話せてしまう人だった。過去のことまで、さらりと打ち明けてしまうほど気を許したことで、警戒していた彼氏とくっきりと差が出来てしまった。

信じられない恋人と、信じられる友達。

心が変わるのは簡単だった。絶対に彼氏と別れて、友達である人に告白するんだと、周囲に触れ回るほど浮かれていた。

東京に戻ってきて、3度目に彼と会ったとき、ようやく別れを告げた。

けれども次から次に涙が溢れる。
「なんじゃこりゃ。全然好きじゃなかったはずだろ??」
彼は、私を抱きかかえて、泣き止むまで撫でていた。(普通しないよね?)

その後2日間は、ただただ泣いていた。そこまで依存していたと、自分では気づいていなかった。警戒しながらも、心の奥底では、頼っていたことを改めて思い知った。

片方の友達とはこうはならない。あくまでも友達として、くだらない話をするだけ。もちろん一緒にいるのは、この人の方が楽しい。だが、私が何かに挑戦しようとするとき、距離が離れていても心強いのは彼氏だった。

この時、友達に対する恋心のようなものは無くなった。魔法にかけられていただけなんだ。

非常に身勝手な理由で別れ、非常に身勝手な理由で思いを寄せる。
仕方ない。私はそんな人間だ。
別れた恋人に対する思いは強まり、告白するはずだった友達に対する思いは、内海のように波がなかった。




私は彼に電話をかけた。

「この前はひどいことを言った。身勝手なことだと分かっている。だけど、改めてチャンスをください。前回付き合ってみると言われたときは、流されるまま応じてしまった。今度は、依存はせず、確固たる個人として生きる私と付き合ってください。」

なんとも言えない反応だった。そりゃそうだ。
一度別れた人ともう一度付き合うという頭は無いとも言われた。それでも私は引かなかった。

「もし、改めて付き合うという選択肢は一切無いということなら、この場(電話)で言って。少しでも考え直す余地があるなら、また会って話をさせてほしい」

そうすると彼は、スケジュールをみてまた連絡すると言い、私は承諾して電話を切った。

この話に先があるわけがないと思う?
こんな自己中心的で、身勝手な女誰が好きかって??

うるせーばーかばーか!
この世に生まれちまったんだから、仕方ねーだろ!!
こんな人間でもだめだと卑屈にならないで、開き直って生きるくらいが、この世界じゃちょうどいいんだ。

この続きが、果たしてどうなるか。
どっちに転んでも、またお伝えしましょう。
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