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6、金銭消費
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村を歩き続けること約10分。私は小さな宿を見つける。
「良かった! いくら勇者が最初に来る村だからって、この村の寂さびれようで宿があるか、って、若干心配してたんだよね…………」
とりあえず、泊まれる場所があることにほっとする。
「ひとまず今日はここで休みましょ、キリy…………」
「あはははは! はあ、はあ。この持ち手のグリップ、光を反射する刃! たまらないなあおい!」
「……………………せいっ!」
「ぐはっ!」
私はスキル・正拳突きをみぞおちに一発くらわせることで、勇者を「変態」の状態異常から回復させる。
「はっ! ここは一体……?」
「宿屋。さ、今日はここで休むわよ」
キリヤの襟元を引っ張って宿に入る。
「いらっしゃいませ」
中では、美人の女将おかみさんが笑顔を振りまいて出迎えてくれた。
「あの、ここで一泊したいんですけど」
「お二人さま一部屋なら…………」
「あ、部屋は別で、別でお願いします。別で。」
大事なことだから3回言ってみた。
「は、はあ。では別々のお部屋をお取りしますね。お一人さま100M(メニー)。お二人合わせて200Mになります」
「はーい。……あれ?」
手持ちを確認すると……。ない。武器屋では確かにあったはずのお金が、ない。
「う、うそ、なんで? 空っぽじゃない! 落とした!? いや、袋はあるし、特に穴も空いてないし……」
「ん? 金ならすべてさっきの武器屋に置いていったぞ?」
「…………え?」
「こんなにすばらしいチャクラムを売ってくれたんだ。お前が払った分では到底足りないだろう。だから手持ちの金はすべて置いてきた」
キリッ、と言い切るキリヤ。いや、ダジャレじゃなくて…………。私は一瞬思考停止した後、ふつふつと怒りが湧いてくる。
「はあ!? あんた何してんの!? バカなの!? チャクラムの代金は私が払った分で間に合ってるの! 追加で払う必要なんてないの!」
「いやいや、こんなにいい物をもらってあれっぽっちの代金では申し訳ない。むしろ有り金すべてでも足りないくらいだ」
私は、はあーーーーーーーー、と大きなため息をつく。この変態、理性ぶっとんでる振りしてとんでもないことをしてくれていた。誰が決めたかは知らないけど、お金の管理をパーティ単位にした奴、許さない!
「私、今から戻って取り返してくる!」
だっ、と宿屋のドアに向かって駆け出す。
「おいやめろ! あれは店主に渡した物だ!」
キリヤもすぐ後を追いかけてくる。
「あの、お客様…………」
女将さんを残して、私たちの武器屋までのかけっこが始まる。
***
「はあはあ…………私の勝ちだあ! すいません、さっきのお金! ……え?」
先に到着して武器屋に入った私は、目を丸くする。
「はあ、はあ……。どうしたリミア? ……! これは、どういうことだ……?」
私たちの目の前に広がっていたのは、空っぽになった武器屋だった。置かれていた武器も、店主のおじいさんも、きれいさっぱり消えていた。
「……ま、まさか! あの店主、私がお金を取り戻しに来ることを見越してとんずらこいたな! 探さなきゃ!」
「待てリミア!」
「待たない、取り返す!」
店主を探しに行こうとする私の肩をキリヤが掴む。
「野暮なことはするな! きっとあの店主は、街で暮らす孫に会いに行ったんだ。孫にひと目会うのが先か、自分の寿命が尽きるが先か……。そんな状況で、彼はずっと一人でこの村で旅費を貯めるために武器屋をやっていたんだ…………。こんなにすばらしいチャクラムをくれた人だ、きっとそうに違いない、うん」
「…………」
「だから、それを邪魔するようなことはしてはいけない!」
「……………………」
もはや呆れて言葉も出ない。チャクラム絡みの時のこの勇者はIQが100ほど落ちるらしい。
「もういい! 私一人で店主を探すから、あんたはチャクラムでも愛でて待ってなさい!」
「待てリミア!」
「なに!? また邪魔しについてくる気!?」
「まあ落ち着け。店主を悲しませず、なおかつ俺たちの宿代を稼ぐ方法はある!」
「……………いちおう聞くだけ聞いてあげるけど、なに?」
「魔物を倒して金を稼ぐ!」
キリヤはチャクラムをビシッと天に掲げる。
「魔物を、ねえ…………」
確かに、魔物を倒せばお金が手に入る。「始まりの村」付近の魔物は弱いはずだし、効率よく倒せば今日の宿代くらいは確保できると思う。それに、経験値も入って勇者としてのキリヤの成長にもなる。
………考えろリミア。今から必死に店主を追えばそれなりの確率で遭遇してお金を取り戻せる。でもそれをキリヤは止めてきて、お金が戻っても関係が悪くなる可能性大だ。今から魔物を倒せば宿代と、キリヤのレベルアップが見込める。関係も壊れない。……………後々のことを考えると。
「はあ……わかった。わかったわよ! 魔物を狩りましょ。ただし、ガンガンいくから覚悟してよね!」
「ああ、任せておけ!」
果たして、私たちは魔物狩りに出発することとなった。
「良かった! いくら勇者が最初に来る村だからって、この村の寂さびれようで宿があるか、って、若干心配してたんだよね…………」
とりあえず、泊まれる場所があることにほっとする。
「ひとまず今日はここで休みましょ、キリy…………」
「あはははは! はあ、はあ。この持ち手のグリップ、光を反射する刃! たまらないなあおい!」
「……………………せいっ!」
「ぐはっ!」
私はスキル・正拳突きをみぞおちに一発くらわせることで、勇者を「変態」の状態異常から回復させる。
「はっ! ここは一体……?」
「宿屋。さ、今日はここで休むわよ」
キリヤの襟元を引っ張って宿に入る。
「いらっしゃいませ」
中では、美人の女将おかみさんが笑顔を振りまいて出迎えてくれた。
「あの、ここで一泊したいんですけど」
「お二人さま一部屋なら…………」
「あ、部屋は別で、別でお願いします。別で。」
大事なことだから3回言ってみた。
「は、はあ。では別々のお部屋をお取りしますね。お一人さま100M(メニー)。お二人合わせて200Mになります」
「はーい。……あれ?」
手持ちを確認すると……。ない。武器屋では確かにあったはずのお金が、ない。
「う、うそ、なんで? 空っぽじゃない! 落とした!? いや、袋はあるし、特に穴も空いてないし……」
「ん? 金ならすべてさっきの武器屋に置いていったぞ?」
「…………え?」
「こんなにすばらしいチャクラムを売ってくれたんだ。お前が払った分では到底足りないだろう。だから手持ちの金はすべて置いてきた」
キリッ、と言い切るキリヤ。いや、ダジャレじゃなくて…………。私は一瞬思考停止した後、ふつふつと怒りが湧いてくる。
「はあ!? あんた何してんの!? バカなの!? チャクラムの代金は私が払った分で間に合ってるの! 追加で払う必要なんてないの!」
「いやいや、こんなにいい物をもらってあれっぽっちの代金では申し訳ない。むしろ有り金すべてでも足りないくらいだ」
私は、はあーーーーーーーー、と大きなため息をつく。この変態、理性ぶっとんでる振りしてとんでもないことをしてくれていた。誰が決めたかは知らないけど、お金の管理をパーティ単位にした奴、許さない!
「私、今から戻って取り返してくる!」
だっ、と宿屋のドアに向かって駆け出す。
「おいやめろ! あれは店主に渡した物だ!」
キリヤもすぐ後を追いかけてくる。
「あの、お客様…………」
女将さんを残して、私たちの武器屋までのかけっこが始まる。
***
「はあはあ…………私の勝ちだあ! すいません、さっきのお金! ……え?」
先に到着して武器屋に入った私は、目を丸くする。
「はあ、はあ……。どうしたリミア? ……! これは、どういうことだ……?」
私たちの目の前に広がっていたのは、空っぽになった武器屋だった。置かれていた武器も、店主のおじいさんも、きれいさっぱり消えていた。
「……ま、まさか! あの店主、私がお金を取り戻しに来ることを見越してとんずらこいたな! 探さなきゃ!」
「待てリミア!」
「待たない、取り返す!」
店主を探しに行こうとする私の肩をキリヤが掴む。
「野暮なことはするな! きっとあの店主は、街で暮らす孫に会いに行ったんだ。孫にひと目会うのが先か、自分の寿命が尽きるが先か……。そんな状況で、彼はずっと一人でこの村で旅費を貯めるために武器屋をやっていたんだ…………。こんなにすばらしいチャクラムをくれた人だ、きっとそうに違いない、うん」
「…………」
「だから、それを邪魔するようなことはしてはいけない!」
「……………………」
もはや呆れて言葉も出ない。チャクラム絡みの時のこの勇者はIQが100ほど落ちるらしい。
「もういい! 私一人で店主を探すから、あんたはチャクラムでも愛でて待ってなさい!」
「待てリミア!」
「なに!? また邪魔しについてくる気!?」
「まあ落ち着け。店主を悲しませず、なおかつ俺たちの宿代を稼ぐ方法はある!」
「……………いちおう聞くだけ聞いてあげるけど、なに?」
「魔物を倒して金を稼ぐ!」
キリヤはチャクラムをビシッと天に掲げる。
「魔物を、ねえ…………」
確かに、魔物を倒せばお金が手に入る。「始まりの村」付近の魔物は弱いはずだし、効率よく倒せば今日の宿代くらいは確保できると思う。それに、経験値も入って勇者としてのキリヤの成長にもなる。
………考えろリミア。今から必死に店主を追えばそれなりの確率で遭遇してお金を取り戻せる。でもそれをキリヤは止めてきて、お金が戻っても関係が悪くなる可能性大だ。今から魔物を倒せば宿代と、キリヤのレベルアップが見込める。関係も壊れない。……………後々のことを考えると。
「はあ……わかった。わかったわよ! 魔物を狩りましょ。ただし、ガンガンいくから覚悟してよね!」
「ああ、任せておけ!」
果たして、私たちは魔物狩りに出発することとなった。
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